2015/07/24 のログ
ご案内:「大浴場」に朽木 次善さんが現れました。
朽木 次善 > ――ぞくり。と。
どこかで誰かに名前を呼ばれた気がして、湯船に浸かったまま背筋が凍った。

……湯船は依然、温かな温度で自分を包んでくれているというのに。
悪寒……? 風邪でも引いたのか……? と首を傾げた。
何か強い欲望に心臓の裏から手を差し込まれるような感覚があったが、もちろん後ろにも誰もいない。

いや、単なる疲労から来る体調不良かもしれない。
ここ数日、あまりにも色んな事がありすぎた。
それが、自分にとって都合のいい物なのか、悪いものなのかすら判断がつかないくらいに。

朽木 次善 > 「………」

湯船から湯を両手で掬い、顔を改めて濡らした。
髪を撫で上げ、微熱を帯びているような身体と動悸を、少しだけ治めるように息を吐いた。

『脚本家』。フェニーチェの首謀者との邂逅は。
日を跨いだ今でも、俺の心に深い爪痕を残していた。
あの後、大通りに出て、歯を食いしばったまま地面に突っ伏し、涙が出るほど大声で叫んで、
ようやく自分の中の膨大な怒りや無力感を外側に逃すことが出来た。

自分の中に、怒りがあったから、まだいい。
半分以上、あの人間の形をした『創作』に遭遇し、
公安の名も知らない誰かのように殺されなかったことへの安堵が、そこにあった。
宣戦布告をしてなお。人を殺した指先を動かしていた脳と知っていながら。

俺は、あの場で、「殺されなかったこと」に、安心したんだ。
生きていることに、感謝すらした。

朽木 次善 > それだけだったら、自分はその場でとっくに折れていただろう。
だからその時は、胸の中にその灼熱の怒りが存在していることに、確かに感謝をした。

這いつくばり。自分の身体を抱き。恐怖で涙で咽びながらも。
噛みしめる歯から感じる血の味があることだけが、俺にとって救いだった。

一歩だけ、踏みとどまる事ができた。たった一歩だけ。
それは、ヨキ教諭や蓋盛教諭と話し、自分の行うべきことについて言葉にし、
それを制約として胸に抱けていたからだと思う。形として、直視出来ていたからだと思う。
そして、一歩踏みとどまることが出来たことで、次の一歩を踏み出す事が出来る。

金曜。
俺は再び、あの『脚本家』と、『話が出来る』。

朽木 次善 > ずっと、尋ねたかった。

何をしたいのか。
そして、何のためにそれを行いたいのか。
何を理想として、何を実現しようというのか。

他人の命を奪い、それすらも仕方のないこととする彼らが。
そして彼らの上でその全てを脚本として描いていた彼女が。
――何を考え、どんな価値観を持っているのか。

俺はただそれだけを知りたいがために。
この犯罪行為に手を染めたんだ。

……自分の行っていることの反道理性に、今度は別の震えが走る。
そう、これは風紀や公安にとってみれば、ただの犯罪行為だ。
指名手配犯の所在を知り、その上でその事実を隠匿するということは、完全な犯罪である。

朽木 次善 > 昨日はだから、眠りが浅かった。いつ彼らが踏み込み、自分に何かを問いただすのではないかと。
外側から見れば、自分は完全なる不審者であり、していることは立派な犯罪者だ。
知らぬ存ぜぬを通せば、ぎりぎり自分だけは助かるかもしれないという打算は、もちろんある。
卑怯者で臆病者な自分が、そのカードを最後に残していないなんて思ってはいない。

だが。
それによって、俺という個人は、『脚本家』という価値観に触れることは、二度と出来なくなってしまう。
彼女は指名手配犯だ。
拿捕されれば、すぐに拘束され、待っているものは死刑だろう。
それすらも、彼女の脚本の上であると、彼女はこともなくそれを受け入れるだろう。
俺だけを、そして死んでいった人間の業だけを、置き去りにして。

朽木 次善 > ――肩が、震える。
今度は怯えではなく、怒りで。
節くれ立つ指先が、骨ばった肩を抱いた。

それは。
どう考えても。
何度繰り返し考えたとしても。道理が合わない。
まだ考えうる全ての可能性を考慮し、まだ最善の手段があるんじゃないかという問いを放棄し。
既存のルールの中で、一番問題のない形に収められてしまうだけに思えてしまう。

俺は、彼女を救いたいわけではない。
俺は、彼女を罰したいわけでもない。
ただ、自分に……自分の中で、納得できる何かを見つけたいのだろう。
だからこれは……ただのエゴだ。俺という我が、ただ彼女という<<逸脱>>を理解したいがためだけの。
公共の正義を敵に回した、暴挙に過ぎないのかもしれない。

朽木 次善 > 大きく息を吸い、吐いた。
自分の呼吸が乱れていることに気づく。

……鈴成が言う、通常の業務に当たるそれを。
むしろ俺が日頃行っているはずのそれに、正面からツバを吐く自分の所業に、額を押さえた。
それは、一人では背負い切れる事実ではない。
でも、それは誰かが背負わなければいけない事実なのかもしれない。
それが今回、たまたま自分であり。そして自分なら出来る偶然を得てしまった、ただそれだけのことなのだろう。

湯船の湯で、再び顔を洗う。
不景気な隈の浮いた顔に、湯が滴る。

そういえば、この男子寮の大浴場には、時々女性が入りにくるらしい。
思考の檻から逃げようとして、そんな眉唾過ぎる噂が脳裏によぎった。
馬鹿じゃないだろうか。どんなサービス満点の男子寮だろう。
そんなもの、俺が遭遇したいわ。

朽木 次善 > ここでは様々な人種や種族がいる。
大方、女性の体躯に似た種族の何かを見間違えたのだろう。
あるいは考えられるのは、男子寮に住む誰かが女を連れ込んで、
明け方に色に惚けた頭で大浴場をシャワー代わりにでも使おうとしたのだろう。
……もしそうなら、発見次第本当に私刑に処していいだろうな。

益体もないことを考える。
今はもう、『脚本家』についての思考を巡らせていてもしょうがない。
金曜に自分の中にある懊悩は全て解消になる。今から気張っていては、本当にどうしようもない。
思考から逃げることも、弱者に許された特権だと思うから。

湯船の中で大きく身体を伸ばして、天井を眺めた。
たまに仕事終わりに入りに来るには、いい風呂だと思う。

朽木 次善 > 髪の毛をもう一度撫ぜ上げ、雫を落とし、立ち上がる。
あまり長風呂をしていても身体に良くない。
身体には肉の下に心地の良い疲労感を残したままで、
このまま身体だけを拭いてベッドに倒れれば、きっとそのときはすでに明日になっているだろう。

今はもう何も考えたくはない。
浴槽の湯を掻き分けて風呂から上がり、タオルを手にとって身体を拭いた。

賽は投げられた。
後は机の上で転がるか。……あるいは。

ご案内:「大浴場」から朽木 次善さんが去りました。
ご案内:「大浴場」に蘆迅鯨さんが現れました。
蘆迅鯨 > 男子寮の浴場、湯船に佇む一人の人影。その他には、まだ誰も訪れていないらしい。
湯煙の中に見える姿は、くびれたウエストに豊満なバストとヒップ。
確認するまでもなく、あからさまに女子であった。それが何故か男子寮、それも浴場にいる。
ただ唯一、ギリギリ『彼女』を男性と見做せる要素があるとすれば、その股間にそびえるハイパー兵器であろうか。大きさは――それなり。

蘆迅鯨 > 彼女――蘆迅鯨 <ルー・シュンジン> は異能により、テレパシー体質を得ている。
といっても他人の心の声を聞けるような便利なものではなく、その逆。
自分の思考が一方的かつ無差別に周囲の相手に届いてしまうものであった。
何とかこの浴場へ忍び込まんと男子寮へのスニーキング・ミッションに乗り出した際も、元より手薄な警備を振り切ることは容易かったものの、
テレパシーで感づかれないように思考を止めていることは困難を極めた。
そうまでして、なぜ彼女は男子寮の浴場に、しかも堂々と忍び込んだのか。それは――
「(俺ちゃんが楽しいからに決まってんじゃん?)」
口を動かさず、頭の中で独り言。無論、この言葉もこの場に誰かが居合わせれば聞こえていることだろう。

蘆迅鯨 > 「(いやーしかし……こんな広い浴場に一人ってのは寂しいもんだね、まったく。俺ちゃん普段から実質ぼっちだけど)」
無論、迅鯨は望んで普段から一人でいるわけではない。
テレパシーの異能――『夢見るままに待ちいたり』<ウェイツ・ドリーミング>の効果は制御が難しく、普通の教室では周囲に及ぼしてしまう影響が大きい。
故に、彼女は「たちばな学級」という一種の特殊学級で他の生徒から離れ、個別に授業を受けているのだ。
それ自体に不満はない。自身の異能のことを考えれば、妥当な措置だと思ってはいる。
しかし、元より寂しがりな性分である迅鯨は、人と触れ合う機会が欲しくてたまらなかった。
なので、迅鯨は放課後になると出会いを求めてさまざまな場所に出向く。学生街から歓楽街、時には危険も承知で落第街にまで。それはこの男子寮の大浴場も例外ではなかった。

蘆迅鯨 > 腰を下ろし、湯船に肩まで浸かる。豊満なバストが水面にぷかぷかと浮かんだ。
「(あー気持ちいい……癒されるわ。やっぱ風呂はいいねー。これでスケベな男子の一人や二人でも来てドッキリハプニング♥なんてことになってくれりゃ俺ちゃんもう最高。うへへへ)」
無論、この言葉もこの場に誰か居合わせれば筒抜けである。
しばらく浸かっていると、急に眠気が襲ってくる。
湯船から上半身を出したまま、徐々に舟を漕ぎだすが。
「(んぁ、やべ……寝そうになっちまった)」
どうにか姿勢を戻す。
『夢見るままに待ちいたり』<ウェイツ・ドリーミング>の効果は、彼女が眠っている時は完全に制御不能になる。
そのため、出来る限り人が集う場所で眠りに落ちてしまうことは避けねばならない。

ご案内:「大浴場」にギルゲイオスさんが現れました。
ギルゲイオス > 今日もよく働いたのである。
(脱衣室でいそいそと衣服を脱ぐ、長身の男が一人。遠目に見れば普通の人間とそう大差がないように思えるも、人とは違う要素も見受けられる。とはいえ、その程度の特徴はこの都市では珍しいモノではないのだろうが)

風呂は命の洗濯、とは日本の格言らしいが。
まさにその通り、疲れた後は風呂で汗を流し、しかる後にぐっすりと寝るのが一番である。
(腰にタオルを巻けばいそいそと、浴室に続く扉を勢いよく開き)

おっと、先客、であるか。
まぁ男同士、裸の付き合いというのも――
(湯煙の中に見える、緑。ややと目を凝らし、気楽そうに口にしていた言葉が不意に止まる。離れて湯船につかる人影、だがその胸元に鎮座している物体は、どう考えても男のモノではない)

……………
(間、そして額の瞳が思いっきり開かれて)

…………………男湯に入ったと思ったら、まさかの女湯。
早々に失礼する故、通報は勘弁していただきたいのである。
(言い訳を早口に告げながら、開いた時以上の勢いで、扉をピシャッと閉める。なお、こいつ直接脳内にな異能は、脱衣所のちょっとばかし離れた場所にいたので聞こえていなかった、様だ)

蘆迅鯨 > 扉を開けて入って来たのは長身、かつ浅黒い肌の男。
「(ふぅーん……イイ感じっしょ)」
などと不用意に考えてしまうが、その直後すぐに浴室への扉を閉じられてしまい。
「あっ待てオイっ、ここ男子寮だから。男子寮の浴場だから。通報とかしないから。俺ちゃんが勝手に入ってきてるだけだからね。むしろ通報されたらヤバいのは俺ちゃんだし。んだから兄ちゃんもさ……(やっべー……刺激強すぎたかナー)」
焦り、大声かつ早口でまくし立てるように喋りながら、どうにか男を引きとめんとする。ついでに思考も漏れ出す。

ギルゲイオス > おかしい、男子寮の部屋から男子寮の浴場に向かった筈が、いつの間にか女子浴場になっていた。
異能か魔術の悪戯、『ふぅーん……イイ感じっしょ』であるか?
ってか何か聞こえた!?
(唐突で脳内に響いた言葉に驚愕を示しつつも、額の瞳も、双眸も閉じ。
腕を組めばじっと思案を巡らせる。
ここに来るまでに、妙な気配を感じた覚えはない。
首を傾げれば、再度確認の為にそーっと扉を開き)

やはり間違いではなかったの、であるか。
うぅむ、何故に男子の浴場に女子がいるのか非常に謎ではあるのだが。
刺激というよりも、驚きの方が圧倒的に――また何か聞こえたのである……
(幻聴か?とばかりに唸り隙間から様子を伺っていたのだが。
アチラとしては、むしろバッチ来いな模様。
此方としても、風呂に入りたいのは確かである)

それでは、失礼させていただく。
(妙な誤解が発生しないか、まずは脱衣所を確認。
人影、無し。
隙間からそろりと浴室に入れば、どことなく落ち着かない様子で湯船へと近づいていく)

ご案内:「大浴場」に三崎 春華さんが現れました。
蘆迅鯨 > 「うんうん、入って入ってー。(見かけによらず中身ウブ系男子?そーゆーのソソるわー……やべっ、これも聞こえてねーかな)なるべく近く……いや離れて……いや近く……えーと……(どっちだ?どっちだ俺ちゃん!?)」
ヒトと接する際の距離感には、とても迷うほうだ。
スキンシップができる程度の距離まで近づけば自身が放っているテレパシーがよい感情も悪い感情も含めてはっきりと聞こえてしまうし、悪感情が漏れて険悪なムードになってしまうことを恐れていた。
かといって遠すぎると、今度は言葉による会話が成り立たなくなる。悩ましいものであった。

三崎 春華 > [浴室に入った直後、脱衣所の扉が開かれる音が鳴る。]

「や、先客…?うーん、まあいっか」
[曇りガラス越しに衣服を脱いでいる姿が映るかもしれない。しかし性別まではわからないだろう]

ギルゲイオス > 元の世界では魔王をやってはいたが、妃を取る歳ではなかったのでな。
初心というか、まぁ、女性の裸に余り免疫が無いのは確かなのである。
っと、頭に響く声の意味が大体分かってきたのである。
(状況的に考えれば、どうやら相手の思考か何かが届いているようだ。
最初は驚いたが、慣れてくればどうという事はない。
元の世界には、喋る事が出来ない代わりに、テレパシーを用いる種族もいた。
掛け湯を行い汗を流せば、浴槽のすぐ近くにとまで)

入れと言われてやってきたら、次は近くだの離れてだの。
まさに、どっちだ、であるな。
まぁ一先ず、ほどほどの距離で入らせていただこう。
此方としても、まぁ、色々あるので。
(やや前屈み気味にしつつ、大浴場、その広さを利用して少しとばかり距離を取った位置に足を――)

ぬぅお!?
(脱衣所方面から気配、そして人影。
思わず驚きの声を上げれば、すっころぶように湯船へと落ち、飛沫をあげる)

蘆迅鯨 > 「ふーん、兄ちゃん魔王ね……エッ魔王!?こりゃ失礼……(……まー不思議じゃないか。異邦人にも色々といるしな)」
魔王を自称した男に対し、一度は両腕を動かす身ぶりもつけてやや大袈裟に驚くも、
直後にはやや軽いノリに戻ってそう告げると、脱衣所のほうを見やる。
「(……ふんふん。俺ちゃん好みの体してんじゃないの?)」
性別まではわからないが、ガラス越しに見えるほっそりとした体つきは、迅鯨の好みに合うほうだろうと考える。
男の方にはすでに伝わってしまっているので、もはやこの場においては無理に思考を止める必要はない。そう考えると、少し気が楽になる。

三崎 春華 > [脱ぎ終わったのだろう、浴室の戸をがらがらと開けて」

「おおー…?おおー…おお?」
[ナイスバディとナイスガイが見える。]

「ここっていつのまに混浴になったんですっけ?」
[彼女も言える立場ではなかったけど。]

ギルゲイオス > うむ、魔王である。
と言っても、城も臣下も領地も無く、一人飛ばされてきた状況。
何の因果か、今はアルバイターであるよ。
(はっはっは、などと冗談めかしたように笑い声が浴室に響く)

あちらの人影で、あるか?
男性に見られる事に、全く抵抗がないのであるなぁ。
此方の世界の女性は、色々と進んでいるというか――
(まぁ男湯だし、次に来るのも男だろうとたかをくくり。
そんな返事を呑気に返して、いたのだが)

…………
(再びの間。
体つきは緑の人物と比べれば大分つつましやかではあるのだが。
湯気の隙間に見える姿と、聞こえる声)

男湯に男子1、女子2、どういう状況であるか、これは!?
我の記憶に間違いがなければ、完全に男湯である!!
(混乱と共に声を上げると、閉じていた額の瞳が思いっきり開かれる。
続にいう、男の娘、という存在なら話は別だけれども)

蘆迅鯨 > 「ふーん、なるほどね。兄ちゃんも結構苦労してんだナ」
などと言って腕を組み、両の瞼を閉じて、むう、といった顔。豊満なバストがより強調される。
「いつの間にってそりゃ、俺ちゃんがここに来てからに決まってんじゃん」
続いて、浴室の戸を開けた桃色の髪の少女の問いかけにそう返すと、アハハ、と大声で笑った後。
「そういうあんたはなんでわざわざココに?風呂入りたいだけなら女子寮でいいじゃないの。それとも俺ちゃんみたいに素敵な出会いとかムフフ♥なハプニングとかに期待しちゃってたりする?」
こちらからも早口で問いかけてみる。

三崎 春華 > 「いやー、私女子寮に登録してないんであっちでも弾かれるんですよねえ」
[呑気に喋りながら浴槽に近い洗い場へと腰掛ける。洗ってから入るタイプ。]
「まあでも」

「こうやって狼狽されるのは楽しいですね、すごく」
[いい笑顔をしている。慣れているのか、特に恥じることも隠すこともない]

ギルゲイオス > 来た当初は、それはソレは苦労したのである。
が、魔王としての役目からある意味解放された自由も、中々良いものだと思って――
(コクコクと頷く後、強調された胸元に思わず視線が釘つけられ。
そそっと、体の一部を両手で隠しなおす)

言ってる言葉の意味は分かるのであるが。
何かを根本的に間違えている気もするのである。
(釈然としない表情で眉根を寄せると、頭を横に傾げ)

男性にとっては勿論喜ばしい状況ではあるのだが、少しは寮の警備体制を見直すべきなのではないか。
(ザルにも程がある、のである。
鼻の下まで湯に浸かれば、ブクブクと泡を吐き出して。
男湯にて男がイレギュラーな状態とは何の冗談か。
のんびりとしに来た筈が、全くもって落ち着かない)

その笑みが、誰に向けられているのか痛い程分かるのである。
ぐぬぬ……
(魔王様、超大変。
どっちに向けても見るに困る状況か、頭の天辺まで徐々に湯船に沈んでいく)

蘆迅鯨 > 女子寮に登録していない、という桃色の髪の少女の言葉を聞き。
「なーるほど。あっちのほうが警備厳しいからナー」
迅鯨は普段女子寮で暮らしているため、男子寮と比べての警備の厳重さに関しては知り得ている。
といっても自らの異能の関係上、睡眠をとる場所だけは『なるべく人の居ない場所』という以外は定まっておらず、状況によっては寮内の自室以外の場所で眠ることもあった。
「んでさ。あんたら名前なんてーの?俺ちゃんは迅鯨<シュンジン>。蘆迅鯨<ルー・シュンジン>だ。ヨロシクぅ」
二人の名は、まだ聞いていない。まずは自分から名乗り出る。

三崎 春華 > 「女子寮も何回か入りましたけど、こう、なんか、面白さが…」
[思わず見えないろくろを回し始めるところだったが]
[「本来」の目的を思い出して髪を洗い始める]

「迅鯨さんですねー、一年の三崎春華(みつざき・しゅんか)です。どうもー」
[魔王がどうこう言っている子がぶくぶく沈むのを横目で見ている。とても楽しそうだ]

ギルゲイオス > (ブクブクブク)

流石に息が続かないのである……女子寮に求める面白さとは一体。
(観念したのか、水面から現れた顔は、湯の熱とその他もろもろで妙に赤い)

……ギルゲイオス・ホッドケーテ、である。
敬意を込めて、ギルと呼ぶが良い。
(聞かれて律儀に答える。
どうにも、何故に桃髪の少女が女子寮の風呂に入れないのか、考える余裕も無いらしい。
一先ずはどうにか落ち着こうと、顔の滴を手で拭えば、灰色の髪をかきあげる)

むぅ、恐らく春華は小悪魔とかそういう感じの種族なのであるな。
(相変わらず楽しげに向けられる表情に、ややと半眼気味を返し。
そんな言葉をのたまう)

蘆迅鯨 > 「ふむふむ。春華にギルね。わーったヨー。覚えとくネ(いや……どう見ても人間じゃねーかな)」
二人の名を聞き、記憶する。その後、春華が『小悪魔』である可能性を推察したギルの言葉に対し、脳内でツッコミを入れつつ。
「面白さネー。確かに、女子寮に女子がいるのってフツーだし。フツー極まるし。何かしら反応を見たいってんなら男子相手のほうが面白いわな。にひひ」
春華の言葉に応え、歯を剥き出しにして笑顔を見せる。

三崎 春華 > [脳に直接声が届く。系統の近い彼女には聞き慣れた感覚]
「残念ですけど淫魔も夢魔もしてないんですよー」

「噂じゃ男子が入り込んだとか覗き魔が出たとかしてるらしいですけど、中々面白いタイミングには出会えませんからね」
「その点ギルさんは今のところかなり面白いですよ」
[謎の評価。あんまり嬉しいものではなさそうだ]

ギルゲイオス > 分かってるのである、分かった上で言ってるのである。
(完全に慣れたのか、思考として流れてくる突っ込みに突っ込みを返す。
一種、皮肉やジョークの類)

面白い反応とか……なんというかもう、イケニエにでもされた気分である。
魔王がイケニエとは、皮肉にもならないのである。
もういっそ、開き直るべきなので、あろうか。
(二人のやり取りを神妙に聞きながら、納得できないとばかりに喉元で小さく唸る。
女子二人に弄ばれる、魔王様の図。
威厳もなにもへったくれもない、元々此方の世界では無いに等しいが)

まぁ男子は欲望に逆らい難い生き物であり、覗き等は起こっても不思議ではないともいえるが。
というか、二人ともそう言うのはお構いなしに楽しむタイプなのであるな。
魔王様ビックリ、超ビックリ
(これが世間一般、でないのは察しがつくが。
思考が妙な環境に流されつつある)

その評価は、褒められている気がまったくしないのである。
というか玩具にされてる感満載なのである。
こう、魔王であるからして、敬意や畏怖を抱くがよい。
(抗議混ざりに、両腕を広げると水面を波立たせる)

蘆迅鯨 > ギルが水面を波立たせると、先程からぷかぷかと浮かんでいた迅鯨のバストもまた、ぷるぷると揺れ動く。
「わーお。さすが」
やや淡白な印象も受けるであろう、賞賛の言葉の後。
「そうさね。少なくとも俺ちゃんはそういうの楽しむタイプよ?ちなみに俺ちゃんも至ってフツーの人間だから。ちょっとばかし体は強化されてるけどね」
二人に説明する。迅鯨はかつて某国において身体強化実験の被験体となった身なので、
同年代の女子はおろか、一部の成人男性以上の身体能力を発揮することができる。
しかし、戦えない身となった今では、その能力を使う機会はとても少ない。
「しいてフツーっぽくないところを挙げるならまあ……これさね。俺ちゃんのハイパー兵器」
そう言って一旦腰を上げ、股間に聳えるソレを恥ずかしげもなくアピールしようとする。
倫理観が若干欠けている部分がある故、時たまこのような行動に出ることもあるのだ。だが止められれば素直に腰を下ろすだろう。