2015/07/27 のログ
ご案内:「ロビー」にヨキさんが現れました。
ヨキ > 「全く……けしからん」

(夕刻。
 竹刀を携行したヨキが、鬼の形相で男子寮の廊下をのしのしと歩いている。

 さる女性教諭より、『女子生徒が男子寮から不穏な視線を感じているらしい』との報告を受けた。
 そうしてやってきたこの建物で、『常世カップル爆発団』……通称TCB団なる者たちと一戦を交えたのだ。

 び、と風を切る音を立てて、竹刀を振るう。
 その切っ先から飛び散ったのは、ヨキに追い立てられたTCB団の面々の汗と涙――志半ばで夢破れた少年たちの、純粋な心から噴出した血飛沫であった)

「ええい、どいつもこいつも……。
 女子を覗く男子あらば、男湯に忍ぶ女子あり。どうなっておるのだ、この学園の道徳は……!
 学業と色を同時に追うなど、若人に過ぎた欲は罷り成らんッ」

(常世の平和を守るのは、公安、風紀、そしてヨキである)

「このヨキの目にバレぬようにやり果せるか、落第してからやれいッ!」

(だが――残念なことに、この教師は狂っていた)

ヨキ > (不機嫌丸出しの足取りでロビーまで戻ってくると、ベンチのひとつに陣中の戦国武将よろしくどっかりと腰を降ろした。
 手にしていた竹刀の切っ先を、床に突き立てる――

 ごとん、と、竹刀には似つかわしくない、重い音がした。

 それもそのはず、華奢な竹刀に見えたその得物は、ヨキがその異能によって現出せしめた極大質量の金属――鉄でできていた。
 竹の質感を優美なまでに写し取りながらも、無骨に黒光りするそのフォルムは、竹刀を通り越してもはや鈍器であった)

「ふん……乳首団め。
 ヨキを敵に回したこと――後悔するがいい」

(TCB団の通称『ティクビ団』をやや不穏当な発音で吐き捨てながら、寮の入り口、廊下の奥をじろじろと睨み回す。
 大股を開いて尊大に腰掛けた格好で、全身からはこれでもかというほどの邪気が吹きすさんでいた)

ご案内:「ロビー」に神宮司 ちはやさんが現れました。
神宮司 ちはや > 混雑する大浴場の出入口からのれんをくぐり、ロビーへと進む。
手にはおふろセット、首にはタオルをかけて、まだ乾き足りない部分の髪を拭いながらほっと一息つく。

本当は時間帯をずらしてお風呂に入ろうと思っていたのに、借りていた本を読むのに夢中で大幅に予定が狂ってしまった。
とにかく何とかお湯をもらえたのでよかったが、先日大浴場にはなんでも痴女が現れたという噂を聞いた。
もしも出くわしてしまったら、なんとすればいいのか……。
やはり暫くは部屋のユニットバスを使おうかななどと考えて歩いていたら

ヨキ先生が片手に竹刀?をついて『乳首』という単語を口にしていた。
ちくび?聞き間違いではないか?
だがその迫力が恐ろしい、ものすごいオーラを感じる。
そっとこの場を見なかったことにして抜けてしまいたかったが、
ちはやはなにもない所で転ぶことができるのだ。
カーペットに足をとられて前のめりに滑った。ビターン

ご案内:「ロビー」にカミューさんが現れました。
カミュー > カミューは廊下の奥からいつもどおりの少女らしい姿で現れる。
物騒な気配、そして叫びと共に練り歩くものが何ものか確認しに来た…のかもしれない。

(…ティクビ団?)

TCBのことだろうか。確か公安でもマークしていたはず…
聞き耳を立てつつそんなことを考えながら…カーペットのほうに目をやった。

「…大丈夫でござるか。」

ヨキ > (『不埒者罰すべし』の旗印を掲げたヨキは、異様なほどの不穏さを撒き散らしていた。
 それでいて当人は、自分を正義が服を着てハイヒールを履いて歩いている、と思っている)

「……ぬ?そこに見えるは神宮司くn……」

(ちはやの姿を見つけるや、激しい転倒音に犬の耳がびんと跳ねた。
 立てた竹刀……もとい金棒に手を置いたまま、彼が起き上がるであろう様子を見届ける。
 呆れたような半眼が、ちはやを見ていた)

「……………………、」

(――のだが、間を置かずして廊下の奥から現れたカミューに、口を開いて絶句する)

「!!!!」

(カミューが発する少年の声に、その性別を判じあぐねてじろじろと見遣る)

「…………、そこの君。見回りをしているヨキだ。
 失礼だが、男子寮の所属か?」

神宮司 ちはや > 「は、はい……大丈夫です……」

カミューの呼びかけにそう応じながらよたよたと立ち上がる。
わりとほぼ隠れようとするたびにこうなるからもう慣れっこだ。痛いことは痛いが。

膝を撫でながら見つかってしまったヨキに気後れしながら頭を下げる。

「こ、こんばんはヨキ先生。先生、お住いはコチラでしたっけ……?」

乳首については聞かなかったことにする。
ヨキの質問に改めて現れた生徒を見ると、ヨキの視線の意味に気づいた。
男女どちらかが判別しづらい、いややや女性だろうか……?
もしかしてこれが噂の大浴場に現れる痴女というやつでは?!
ちじょ、初めて見ちゃった!などと思いながら前門のカミュー、後門のヨキをうろうろとせわしなさげに見やる。

カミュー > カミューの日本語は不慣れで男らしくぶっきらぼうに最近ござるがついたものであるが、音階は少女のものに近いかもしれない。
とはいえ問われれば特に戸惑う様子も無く。

「うむ、拙者は男子寮4年のカミューでござる。
ヨキ…教師でござるか?」

ヨキ教師。たしか担当は美術だっただろうか。
名前を聞いたことくらいはあると思うが、それほど自信は無い。
だが男子寮の住人ならばそこそこ把握しているから、男子寮の住人…ではないだろう。
新入生までまだ顔を覚えているわけではないが、新入生だとは思えない雰囲気だ。

大丈夫という神宮寺さんが立ち上がる様子をみて、近寄って手を貸そうとするのを留める。
どちらにしろ物騒な人物からはもう身を隠せないし、知り合いでもあるようだからそうする必要も無いのだろう。

「…おぬしは、新入生みたいでござるな。」

神宮司さんのほうをみて、そう呟くように言った。

ヨキ > 「うむ、こんばんは。
 ……いや、住まいは研究区の方だがな。
 女子生徒を遠目に覗かんとする者があると聞いて、見回りの最中だ。
 全く……、次に見つけたらタダではおかん」

(低く重い声。落ち着いた語調の中に、サーチ・アンド・デストロイの怒気を含んでいる。
 ちはやが内心うろたえていることには気付かず、カミューへ口を開く)

「4年のカミューか。覚えておこう。
 そうだ、美術科のヨキだ。美術と、力仕事と、あとはこんな見回りなどをやっている。
 男子が覗きを働くのは元より、男子寮に忍び入る女子も少なくないと聞いてな。
 夏に頭のタガまで外されては、敵わんからな」

(再び廊下や寮の外へ目をやって、うろつく者もないと悟ると竹刀を片手に持ち上げる。
 とたんにその表面がぐにゃりと溶けて、ヨキの手首へ垂れ落ちるように絡みつき、鉄色に鈍く光るパンジャに転じた。
 竹刀のフォルムが、跡形もなく失われる)

神宮司 ちはや > 「ええ?女子寮にも……そういうことをする人が出たんですか?
 怖いです、ね……」

ばら撒いたおふろセットを拾いながらヨキに答える。
最後の言葉は覗き魔とヨキの雰囲気にかかっているようだが。

「あ、はい。一年の神宮司ちはやです。式典委員会所属です」

カミューのつぶやきにまた姿勢を正して頭を下げる。
ヨキとカミューの会話を聞くに何故か夏になるとお互いの寮へと潜り込んだり覗いたりするものが盛んになるようだ。
なんだかちょっとわけがわからない顔で黙って話を聞いている。

ヨキの鉄棒がぐにゃりと溶けて見たこともないアクセサリーに変じる様子を見ると物珍しそうに目を輝かせた。
これがヨキ先生の異能あるいは魔法だろうか。美術教師なだけあってそれはとても造形が美しく見えた。

カミュー > 「ああ…。しかしそれならば女子寮に行くべきではないかでござる。
適当にうろついただけで何とかできるなら、TCB団に風紀もてこずったりはしないだろうし。」

流された噂くらいは聞いている。
結局下手人が広めすぎて他の公安だか風紀だかが取り締まりにいったようだったので、特に手を出すことは無かった。

「それに男子寮に忍び入る…でござるか。
普通に訪問する女子なら何度かみるが…。」

たぶん彼女のことでは無いか、と胸元の滑らかな友人の顔を思い浮かべる。
いや、でもとがめるほどのことでも無いだろうと言葉には出さない。風呂の件までは知らないし。

竹刀の変化に、異能だろうか、魔術だろうか。なるほど美術にうってつけだと思う。
怯えやびっくりしたものはなく、頷くような多少納得したような表情だった。

「神宮寺さんでござるか。やはり一年だったか。先輩後輩としてよろしくでござる。
…式典…?」

新たな男子寮の仲間として嬉しそうにそう挨拶して…
縁ある副委員長の顔を思い浮かべる。まさか、まさかなと思いつつ。

「…おぬしも楓副委員長の毒牙、いや、その…そう、勧誘でもされたのでござるか?」

妙な台詞を言いそうになって、もう一人の人物がいることを思い出し…途中で言い直す。
いや、しかしこの見た目ならば彼女の好みにも会うのではないだろうか…。

ヨキ > (自分が『怖い』と評された一部であることには気付かない様子で、平然と話を続ける)

「男子寮にも、女子寮にも……あちこちに、だ。大した行動力だよ。
 女子とて男に飢えるというから、神宮司君も気をつけるがよい」

(言いながら、自分の腕に巻きついた腕輪を見遣るちはやに気付く。
 小さく笑って、)

「…………、これかね? ヨキの異能だよ。
 こうやって、金属を弄れる。それだけだ」

(つ、と指を伸ばす。
 中指に絡んだ細い鎖が、蝋のようにぬるりと立ち上がる。
 薄く翅を広げ――ヨキの手の甲の上で、一匹の蝶に姿を変える。
 今にも折れそうなほど薄い翅は、しかし鉄の硬さを帯びて動くことはない。

 カミューへ視線をやって、その少女然とした顔を見る)

「見回りは、毎日の仕事なのでな。ここのみならず、どこへでも出張り回っているとも。
 …………。普通に訪問?この、男子寮を?」

(ヨキの額の中で、ぴき、と血管が凝る)

「……その女生徒の名を知っているかね?
 全く、何のために男女で分けられているのだか。
 認められることならば、ハナから男女一緒に住まわせておるわ」

(カミューがちはやへ問いかける話に、平坦な調子で耳を傾ける)

神宮司 ちはや > 「飢える……?ですか。うーんおなかがすくというわけではないんですよね……?
 あ、はい気をつけます。ありがとうございますヨキ先生。
 先生も見まわりお疲れ様です」

男女の性の飢餓などよく知らない様子で首を傾げ、ヨキへねぎらいの言葉を返す。
差し出された手の甲に繊細な鉄細工の蝶が現れると、わっと嬉しそうに拍手した。
まるで今にもその翅を羽ばたかせて飛び立ちそうなのに、冷たく硬い光に輝く蝶にうっとりとため息を漏らした。

「すごいです……!先生の異能はとてもきれいなことができるんですね!
 本当に生きているみたい……。動かないのが勿体無いぐらいです」

よろしくお願いしますとカミューへ和やかに挨拶をし、
自身と共通の知人がいることを知ると顔をほころばせた。

「あ、カミュー先輩は楓先輩のことをご存知なのですね。
 はい、ついこの間勧誘されて入りました。
 楓先輩、やっぱり有名人なんですね、すごいなぁ」

毒牙、という言葉には首を傾げた。何かの間違いだろう、あの素敵な副委員長の楓がわざと人にそんなことをするわけがない。
彼女だって過去過ちはあっただろうが、それは環境やそういうものが良くなかっただけである、と固く信じて疑わない姿勢。
言葉の端々から楓を尊敬しているのが伺えるだろう。

ヨキの怒りのボルテージがまた一段のぼったことを感じ取ると、ひ、と喉の奥で悲鳴を漏らす。
小動物のように身を縮めてこれ以上悪くならないことを祈るしかない。

カミュー > 「文字通りの見回りでござるか。それにしては物騒な気配だったが…。
む?来客くらいはおかしくないでござろう。忍び入るとは物騒ではあるが…。
大体は正面から手順を踏んで応接に来訪するでござるよ。彼女もロビーにて礼を述べに待っていただけでござったしな。」

誰のことを口に出しても怒りそうなので、もっとも無難そうな例を挙げてみる。
霜月兄の彼女を生贄に出してもいいかもしれないが…いや。霜月兄はともかく彼女はそういう荒事には不向きそうだ。
とりあえず反応をうかがいながら。

「面白い異能でござるな。
記憶が正しければ美術担当だったと思うのだが、やはりそういう術を生かすのでござるか。」

神宮寺さんと共に金属を操る技に感嘆したように。

「なるほど、やはり勧誘だったか。たしかに彼女は立場上それなりに知名度はあるでござるな。
…うむ。いや、飢えが分からないなら気にしないほうが…いい、のか?」

毒牙と言う言葉を誤魔化そうとして、少々迷う。
まあ彼がいままでそう言う目にあっていないのはいいことだ。だからと言って教育すべきか否かは悩ましい。

「………おぬしには、保健の単位取得をすすめるでござるよ。」

とりあえず、保健の教師に丸投げしておいた。きっと何とかしてくれるだろう。

ヨキ > 「お腹……まあそんなようなものだ。女子には男の知らぬ『別腹』が沢山あるでな」

(それ以上は控えた。
 ちはやの拍手にふっと笑って、)

「残念ながら、自ずから動くことは出来ないがね。
 命まで吹き込んでしまったら、異能どころか全能だ。
 これくらいが丁度よいのさ」

(カミューの言葉に犬どころか獅子が飛び起きたような顔をしていたが、眉間に海溝のごとく深いシワを寄せて唸る)

「うむ、正規の手続きを踏んでおればよい。ヨキはルールを守る人間に対しては、何も言わんよ。
 無断で女子風呂に飛び込むような男がヨキは許せんのだ」

(たった今、問題のTCB団が言葉の通り女子寮の浴場に忍び込んでいるとこのヨキが知ったら、恐らく男子寮の窓ガラスは何枚か破砕していたろう。
 カミューの落ち着いた説明に、怒りをいくらか鎮めながら)

「全く、ほかの大人らとも話はつけるようにはしているが……今夜はこのまま、この男子寮も平穏であればよいのだが。
 女子寮は女子寮で、監督する婦人方が何とかするであろう」

(手分けして不届き者を追い返す心算であるらしい。
 カミューへ向けて指先を揺らし、蝶の翅をひらひらと動かす)

「そう、金工を主にやっているよ。
 全能ではないとは言え、作品を作るには少々万能すぎるのでな。
 自分で金属を弄るときには、異能は一切使わんようにしているよ」

神宮司 ちはや > 「そっか、そうですね……。生命を与える異能があったらそれこそ神様ぐらいしかお持ちじゃないですよね。」

蝶の翅がひらひらとゆれるのを眺め、少しだけ寂しそうに笑った。
こんな便利な異能があったら作品もそれを使って作るのかと思っていたが、どうやら違うらしい。
やはりものを作るという行為は手ずから、苦労を伴って練りあげるからこそ美しいのかもしれないとそっと納得する。

「『別腹』かぁ、楓先輩も女性だからそういうものがあったりするのかなぁ……。

 あ、はい。今度保健室の先生にうかがってみます。
 ぼく、後期では医療魔術とか、看護の授業もとってみようかなって思ってたし、
 ちょうど良さそうですから保健の講義も話を聞いてみますね。」

カミューの意図する方向とはいささか違う返答をして、ふあっとあくびをした。
慌てて口をふさぐも、そろそろお子様はお眠の時間である。

「ぼく、そろそろ失礼しますね。おやすみなさい、ヨキ先生、カミュー先輩」

最後にまた丁寧に頭を下げて挨拶するとおふろセットを抱え直して自分の部屋への階段をゆっくりと登っていった。

ご案内:「ロビー」から神宮司 ちはやさんが去りました。
カミュー > ルール通りであれば問題なさそうだ。
多少変装していたとはいえ鈴成さんのことも…カミューが知る限りではロビーにいただけだしまあ、黙っていて問題ないだろう。
相手が唸りながら述べる答えに、少々ほっとする。

「女子風呂…流石にそこまで行っては黙っているものは少ないだろうでござる。
男子風呂も神宮寺さんがでてきたところなら問題はないだろ。」

平穏という言葉に頷きながら。
女子寮のほうは平穏では無いようだが、カミューもまたそれはしらない。

「うむ。おや、眠い頃合でござるか。
おやすみでござる。」

微笑んで神宮寺さんが部屋に戻るのを見送った。
そうして向かい合う相手に視線を戻し。

「命まではいかずとも、動かすまでは可能でござるか。
確かに、異能ありきでは授業に入れないでござるしな。それでも理屈や美術的な観念は学べるだろうでござるが。」

センスを感じさせる造詣に感心しつつ、蝶の動く様子を見つめる。