2016/09/14 のログ
ご案内:「部屋」に谷蜂檻葉さんが現れました。
■谷蜂檻葉 > 「―――つまり」
■谷蜂檻葉 > 自分に言い聞かせるように、広げたノートに言葉を落とす。
丁寧に、しかし急くように乱雑に細やかな記述が詰まったインクの森には『考察』が詰まっていた。
■谷蜂檻葉 > 1 谷蜂檻葉の魔術について
妖精魔術、と一般にある言葉を当て嵌めたソレは『紛い物』である。
■谷蜂檻葉 > 精霊への”会話のチャンネル”を『過程-術-』を通して開き、『交渉』を行い、『魔』を呼び起こす。
これが一般的な妖精魔術、精霊術、降霊術と称されるものの過程である。
しかし、谷蜂檻葉の使うソレは『過程』を必要としない。
チャンネルは常に繋がっており、そして『交渉』すらなく。
『一方的なお”強請”り』によって『魔』を生み出す。
■谷蜂檻葉 > 一般的な妖精魔術と最も違う点はこれらの過程・交渉において【妖精側に拒否権はない】ことである。
『妖精の直接行使権』 ―――これが谷蜂檻葉が使う魔術。
ただ、「お願い」の形をとっているだけであり其処に「ポーズ」以外の意味を持たない。
どれだけ簡単に言っても、「無理ならしなくてもいい」と言おうと。
指定を受けた妖精に拒否権は存在しておらず、その全霊をもっての【魔】の行使を強制する。
■谷蜂檻葉 > 「……ほんと、自己中心的ね。」
ノートを捲る
■谷蜂檻葉 > 2 谷蜂檻葉の異能について
体成匂薬《オート・アロマテラピー》と名称付けられた異能。
体組織・そして周辺物質を化合し、特殊な臭気をもった揮発性の高い液状物質を生み出す異能。
■谷蜂檻葉 > 異能の診断に関して明確な基準法はなく、
営利・非営利問わずに各国各地に判断施設・判断法があるが
Common TOKOYO Framework of Reference for S-Ability ―――常世共通異能参照枠
略称:CTFRA では常世学園入学から半年の時点で
【段階Ⅰ】2.Elementary「初心者」
『《異能》を何か最低一つの事柄に活用することができる。また、《異能》の暴走で周囲に被害を及ぼさない。』
と、判断された。
彼女の異能が出来ることは「五感の内『嗅覚』に反応を起こす」ことだけだけである。そのように診断された。
■谷蜂檻葉 > しかし、これもまた間違いといえる。
谷蜂檻葉の異能は 『「嗅覚」を媒体に脳へ働きかけ、抵抗力のない対象の意識を操る』所にまで、”無意識化”で至っている。
それは無自覚ゆえのセーブであり、枷であり、箍である。
【段階Ⅲ】7.Specialist「特化」
『《異能》を用いて専門分野で安定した成果を上げることができる。』
―――こと、『政治』という意味では、彼女は十分な成果を上げることが出来るのだろう。
【8.7km²ある街全ての市民の意識を2歳から11歳までの間自分への感情を違和感なく操り続けた】のだから。
■谷蜂檻葉 > 「……本当、馬鹿みたい。」
ノートを捲る。
■谷蜂檻葉 > 谷蜂檻葉の契機。
それは10歳の時に行われた『遠足』に端を発する。
彼女はこの日山に設置されていた、《大復活》時に異界と繋がりを持った”祠”に接触。
『妖精』と呼ばれる種族と面識を持つことになる。
■谷蜂檻葉 > ―――そして驚くべき事に、しかし当然の如く。
”妖精でさえも異能の効果から逃れることなく” 彼女は『交渉』の場を得た。
『絶対的な友好』を持って彼女達に迎えられた谷蜂檻葉は子供ながらの無邪気な発想で「新たな友達」を得ることになる。
■谷蜂檻葉 > ―――そして、この『友好』が谷蜂檻葉の【崩壊】を招くとは想像だにできたものは居なかった。
谷蜂檻葉はこの余りにも便利で気まぐれな、愛しい友人にこう願った。
『心から繋がり合える友人が欲しい』……と。
■谷蜂檻葉 > 妖精に限らず、しかしユニークなものが多い妖精魔術においてこの願いは至極簡単なことだった。
『心を繋ぎ』誰かの心をマジマジと見つめる事は、
「ヒョイ」とその辺の石ころを掴んで見つめるように可能になった。
眺めた心に、『自分が映っていない』事に、簡単に気づけた。
■谷蜂檻葉 > ―――異能の靄に包まれた街の中で、彼女は誰の目にも止まっていなかったのだ。
■谷蜂檻葉 > 谷蜂檻葉の異能は、その日を境に急激に力を落とした。
否、これもまた『無意識下に封じ込められた』。
■谷蜂檻葉 > 息を吐いて、ペンを投げる。
■谷蜂檻葉 > 「後は―――」
ページを捲る。
途中まで書かれているノートを暫くゆっくり眺めていた檻葉だったが、やがて静かにソレを閉じた。
■谷蜂檻葉 > 「んー、呼ぶか呼ぶまいか―――それが問題ね。」
自嘲気味な笑みを浮かべながら部屋を出た彼女の手にある携帯には『比良坂 冥』の名前が光っていた。
谷蜂 檻葉は 『心から繋がり合える友人が欲しい』。
ご案内:「部屋」から谷蜂檻葉さんが去りました。