2016/11/16 のログ
ご案内:「食堂」に谷蜂檻葉さんが現れました。
■谷蜂檻葉 > 夜半。
食事の時間も過ぎて、人もまばらな食堂の一角。
テーブルには一人、されど周囲には人気がパラパラと。
机の上にドンと乗っかった大きな笑い顔にくり抜かれたカボチャを囲うように、小さな人の輪が出来ていた。
「―――それで、こっからご注目……!」
周囲に居るのは、およそ暇を持て余した、されど外に出るほどの気分でもない由緒正しき暇人ども。 女子力低~中の服装で、一体何をするのかと中心の少女―――檻葉の一挙一動を見守っていた。
檻葉が差し向ける掌から、カボチャへゆっくりと魔力が注がれていく……。
ご案内:「食堂」にライラさんが現れました。
■ライラ > その様子をなんとはなしに見つめている蝙蝠が一匹。
天井にぶら下がっている。
■ライラ > なんとはなし とはいえ、ここにいるという事は暇人ではあるのだ。
カボチャの行く末が気にはなる。
きっと、あの時のカボチャであるのだろうし。
ちょっと人ごみが邪魔なのでカボチャの上あたりに移動する。
「キィキィ」
■谷蜂檻葉 > 魔力を受け、内部の疑似蝋が赤熱する。
闇に窪んだ顔が朱に染まり、周囲を燈色に照らし出す。
その灯りは、マッチ程のか細い光量から徐々にその範囲を増していく。
……これが、暗い暗室であれば随分と雰囲気が出るのだがここは公共の場。
煌々と照らされる科学の光の前に神秘性も半減というところだが、何かが起きているのは周囲にわかりやすく、注視は更に深まっていく。
「―――臨也来たれ【迷い人】、導は此処に、貴方の望みを此処に―――」
檻葉が「言霊」を行使する。
意味だけを抜き出した幻世の言葉。
聞くものの故郷の言葉で聞こえる導きの言葉を受けたカボチャは……
■谷蜂檻葉 > 『TRICK OR TREAT!!!』
■ライラ > 大きな声に驚いて、天井から落ちそうになる。
この姿は色々と過敏でいけない。
慌てて天井に張り付きなおす。
「ほう、アヤツを呼んだか。
なるほど腕は悪くないようじゃなぁ」
■谷蜂檻葉 > この世のものとは思えない奇天烈な声質の絶叫。
それと同時に周囲の人間から魔力が、気力が、その者にとっての『力』の一部が吸い取られる。
一気に100m走をしたような倦怠感に、周りのものが檻葉へ様々な視線を向け―――
【チン!】
そんな、電子音に半数がずっこけた。
それから一拍置いて、ザラザラと南瓜の口から何かを想起させる感じに飴玉がこぼれ落ちていく。
■谷蜂檻葉 > 「……よし、複数人対象での実験も成功っと。
えっへへ、皆 ”善意の治験参加” ご苦労! 報酬は飴玉って事で、よろしく♪」
―――なんて、迂遠なパフォーマンスも魔術道具の実験の為。
ひいては、これを提出に使った授業単位のためであった。
いたずらっ子な笑みを浮かべる首謀者に、周囲の観客はやられた、とブーイングを浴びながらも周りのものが飴玉をとっては部屋を後にする。
かぼちゃ味の優しい甘味が生きた飴玉は、そこそこ好評だった。
■ライラ > 電子音に気が抜けて蝙蝠が天井から落ちた。
落ちる前はカボチャをよく見ようとその天井の近くに。
落ちきる前になんとか羽ばたいて、体勢を整えるものの……もうこっそりとはいかない。
「ええい、ミョウチキリンな音を出しおって。
もっと雰囲気と様式美を大事にせんか」
まぁ、ドレインそのものは気にしてないのだが。
■ライラ > 「で、実験の手ごたえはどうじゃったんじゃ。妖精の愛し子よ」
蝙蝠から妖艶な美女に姿を変える。
ちゃっかりと椅子に腰掛けているあたりは歳の甲かもしれない。
ちゃっかりついでに飴玉を二つほど確保しているのだが。
■谷蜂檻葉 > 「あら、あの夜の。」
よしよし、と実験の成功にホクホク顔で南瓜―――吸精型飴玉制作機『イタズラかぼちゃ君Ⅱ』―――をズタ袋に片付けようとしていた檻葉の手が止まる。
「さっきまで居なかったみたいだけど、千里眼で見てたのかしら?
完成度は……おおよそ完璧って感じね♪
変換効率はイマイチだけど、ジャックへ瞬間的に魔力線を繋いで『遊ばせる』っていう計画は問題なし。
たまに通信に失敗したりもするけど、遠隔地への交信で9割超えてれば十分なんじゃない?」
「凄いでしょ。」とズイと差し出された飴玉を口元に咥え込んだままの南瓜は、今はまた暗い眼窩でライラを覗き返す。
■ライラ > 「階下が騒がしいから何かと思って様子見に来たらこれじゃ」
まったく と苦笑が漏れる。
怒っているわけではないようだが、素直ではないのだろう。
「アレがどんな『遊び』をするのかまで制御できてれいば十分じゃろうな。
というか、その発想はわらわにはなかったものじゃ。
誇ってもよいじゃろう」
わざわざ眼窩から手を入れて残った飴玉を取り出す。
宝石を見るようにしげしげと眺めた後に、舌でチロチロと舐めてから口の中に放り込んだ。
「必要な動力は起動時のみ、後は周囲から冗句の範囲でドレイン。
お主、死霊魔術の方面も適正があるのではないかえ?」
■谷蜂檻葉 > 「制御する必要はあまりないのよ?
こっち側からは『呼び出し』、あっち側からは『吸い込み』と『吹出し』だけ ―――ええと、呼吸穴みたいなものね。
機能を極限まで削いでいるから、作った『穴』がおかしくならない限りは問題ないわね。」
発明家の『限りは』という発言はよくよく後の問題になるのだが、ここは常世島。
檻葉は発明家でもないただの一生徒であり、この程度の魔道具作成は月日を過ごせば誰であれ創る経験を積む。
「適正っていうか、そういう子も相手にすることは在るわよ。
ジャックもそっちよりだけど、比較的『私寄り』ってだけで。……貴女のお供に首無し騎士《デュラハン》でも呼びましょうか?」
クスクスと笑いながら、自分でも飴玉を取り出して舐める。
見た目に比べて随分と素朴な味だが、美味しい。
■ライラ > 「なるほどのぅ。
わらわの知る頃の魔術とは趣がかなり変わっておるようじゃ。
やはり知識が交わった事による発展かの」
仮に暴走したとして、被害を被るのは別の誰かだろうし。
そのフォローをする状況でもないだろう。
コマヅカイ
「 僕 は間に合っておるよ。 そも必要なら同胞を作るでな」
王国を築くつもりも無いのだ。
今のところは。
「……しかし、お主はこの島ではどの程度の使い手なのじゃ?
上を見れば際限は無さそうじゃが。
さりとてその他大勢というほど弱くはなかろう?」
■谷蜂檻葉 > 「どの程度……って言ってもねぇ。」
それはまた、答えづらいなぁ。 と、純粋な童子のようなライラの問いに苦笑を浮かべる。
「確かに、ご期待の通りその他大勢に負けるほど "ヤワ" じゃあないつもりだけど。
平均点なら、負けるつもりはない。……かな。
今まで私が努力してきた分、そう言いたいし。 『皆』の為にも、そう誇りたい。」
ただ、奢ること無く。卑下することもなく。
自身への誇りを持って返答とした。
■ライラ > 「答え難い問いに対する返答、感謝するぞえ。
今の人がどれほどのものか未だに測りかねておるでな。
おぬしの努力をわらわは知らぬが、誇れるだけの事をしておるなら大丈夫じゃろう。
わらわには、『皆』はおらぬが譲れぬ矜持はあるでな」
満足そうに頷いた。
そして頭の片隅で考える。
この島の人口、全てが戦えるわけではないだろうし派閥もあるだろう。
しかし人類の敵になりうる自分の場合 下手を打てばすぐに滅ぼされそうだ と認識を新たにした。
■谷蜂檻葉 > 「……今の『人』のカテゴリに私はあんまり入らないとは思うけどね。」
実際に、人としての限界を一部抜けたスペックを今の檻葉は持っている。
人は道具もなく空を飛ばないのだ。
「ともかく、参考になったかしら。
私は今回の結果までをレポートに纏めてくるから部屋に戻るけど………
―――っていうか、名前聞いてなかったわね。
私はオリハ、谷蜂 檻葉よ。 だいぶ今更だとは思うけど、貴方は?」
■ライラ > 「より外れておる身からすれば、おぬしは『人』じゃよ。
ノスフェラトゥであるわらわが保障しよう」
何より、この愛し子はきっと有事の際には人に付く。
大切な人が人間なのだから。
「ライラじゃ。 ライラ=シルバーロード。
よしなにな、オリハよ。
しかしレポートかえ。学生は大変じゃのぅ」
そんな自身も立場上は学生なのだが。
■谷蜂檻葉 > 「そりゃそうでしょうけど。」
それで良いのだろうか。
「……のんきにしてて、後で泡食っても知らないわよ?
こういうのは何だって日々の積み重ねが大切なんだから。」
それじゃあ、と。軽く手を振ってズタ袋を手に檻葉は食堂を後にする。
アウトドアなインドア派の少女との再会は、そう遠くなく在るだろう。
ご案内:「食堂」から谷蜂檻葉さんが去りました。
■ライラ > 「世界は、そういうものじゃ。
己の認識でカテゴリーなど幾らでも変わる」
変わってしまう。
元人間だった身であるなら、なおさらにそう思う。
「わらわには時間だけは腐るほどあるからのぅ。
寿命による死が無ければ何を急ぐことがあろう?
一日が軽いのじゃよ、とてもな」
軽く手を振り替えして見送る。
本当に吸血鬼になってからの一日は軽い。
過ごす時間は同じだというのに、続く未来の長さが違いすぎる。
「そも、わらわはすでに余生の身じゃ。
それに……貴族があくせくと働いては優雅さに欠けてしまうでなぁ」
それは美しくない。
気が向いたら、授業くらいは受けてもいいかもしれないな と考えながら体を霧にして食堂から退散していった。
ご案内:「食堂」からライラさんが去りました。