2015/07/12 のログ
ご案内:「職員寮のロビー」にサイエルさんが現れました。
サイエル > 「はぁ~~~~~……なんかやっちまったかなぁ……
やっちまったんだろうなぁ……」

気取ってあの夜は見送り、言葉を投げかけたものの
それからは気まずく、避ける日々。
美人さんに近寄れず、女性教師の中であいつはだめだと
うわさされてないかなんて不安に駆られる日々。
いや、実際はこう。別段なにも問題はなく
むしろ問題はそこではなく。
怒らせてしまった、それがまずい。
しかもフォローも何もできない
あたりまえだ、生き方からして違う
いやしかし、声のかけ方ももうちょいあったのでは……

「あー……めんどくしゃい……」

ぐびっと、ウィスキーを瓶のままラッパ飲み。

床はひどい有様で散らかりっぱなしである。
いつから飲んでるかって? 当然朝からである。
仕事……?

「さぼったにきまってんだろばーろー……」

つまみの柿の種を口に運びつつ。
いや純粋に、今日は非番にしてもらった。
理由はただ一つ、気が向かなかったからである

サイエル > 「うぃー……あぁー……でも遊びは遊びでしょう……?
 真面目にやったって、使命感に駆られたってうまくならんでしょーが……
 習い事なんて、みんなお遊びでしょ……」

ぶつぶつと、呟きながら。
今日は酒に逃げる。
今日もかもしれない? 気にしたら負けである。

「たばこ……たばこ……」

突っ伏して、ばんばんっと机をたたいて
その辺に投げた煙草の箱を探す。
ないので何度もバンバンバン。
――あった。

「だってさー、楽しくないとサー、やってらんないじゃんサー……
 気が向いたときに楽しくやるのがいいでしょー……?
 今はっつうか昔っからもくひょうなんつーもんは持ってなかったんだからさー」

愚痴がタダ漏れである。
ちなみに本当はキャバクラでしようと思ったのだ。
聞いてくれるし、何しても怒られないし
セクハラ、ちょっとできるし。
しかし――金がなかった。
ちょっとむしゃくしゃして、歓楽区ですってしまったのである。

「んあー……」

口に、煙草をくわえて。静かに紫煙を曇らせる。
禁煙だったっけ? 忘れた。
一本ぐらいいいだろ、なんて
軽い気持ちで――

静かに、煙草を吸いながら一人酒

サイエル > うぃっくっと、ひゃっくりをしながら
煙草を灰皿において、くぴくぴとまた瓶を傾けて

「……いやそれでもだね? 女を怒らせちゃったわけですよ
サボタージュ、だからね。ここはね? 謝るのが、筋なんじゃ――いやいや、いいかい? しかし誤ったところでっていうところがあるわけですよ?」

ぶつぶつと、呟きながら、どんどん思考の海に。

「そんなだから、離婚するんだって? 余計なお世話ですよ
まったく……にしても……」

――そんなに一生懸命になれることが、うらやましいと思ったこと、あったかな?

ふと、疑問に思う。
もう何年も何十年もこんな感じで。
久しぶりに、なんとなく
そんな疑問を”いつか”と同じように

「っは……ばかばかしい。いいんだよ、そんなのは」

――適当に、が一番。

「一流じゃ、仕事が多くなってしがらみで面倒だ
 三流じゃくってけない。金ももらえない
 だから、中途半端が一番なんだよ。分かってるだろ、サイエル」

ウィスキーが切れて。
いつものウォッカを口にする。
全然苦でもなんでもないのに。
今日だけはガツンと、効いた……

ご案内:「職員寮のロビー」に山科 諒平さんが現れました。
山科 諒平 > 「……荒れていますね、サイエル先生」

雑務が一息ついて寮に戻ってきたらこの様である。
このサイエル・ミラーと言う保険医、何ともまあ基本的にサボってばかりの人であるのだが……それにしたってこれはひどい。

サイエル > 「んぁ? ぁぁ、まぁ年をとるとこういうことだってありますわいね」

声をかけられれば首だけそっちに向けて
机に突っ伏したまま。
煙草を消したところでよかった。
ええっと、この先生は確か……だれだっけ?

「ほら、まぁ。少しすれば治りますのでそっとしておいてください
ひっかけるなら美人さんのほうがよいでしょ……?」

くぴっと、ウォッカをさらに煽り

「あぁ、もしかして使うんでした? なら早々に引きあげますが」

とはいうものの。
転がってる瓶やごみを後始末するのに
すぐ、というわけではなさそうだ

山科 諒平 > 「別に、私も使うというわけではありませんが。
それに、その量のゴミを片付けるのがすぐとはいかないでしょう。
私でよければ、付き合いますが?」

抑揚の薄い声で淡々と声をかける。
賢しみと 物言ふよりは 酒飲みて 酔ひ泣きするし まさりたるらし  ── 大伴旅人 ともいう。一献付き合う程度ならば同僚の好だろう。

サイエル > 「酌をしてもらうなら女性のほうがいいですがね……」

なんて言いながらも拒否する様子はない。

「まぁとくに話しすることはありませんが、飲みたければどうぞ?」

進めつつ、自分のウォッカをくぴくぴと飲んでいく。
机の上にはウィスキーウォッカ……
さまざまな酒が転がっている
つまみは……柿の種だけだ

「ちなみにごみに関しては管理人さんに任せます
”よってるので何が起こるかわかりませんから”」

そこはサボるつもりだったらしい

山科 諒平 > 「それでは失礼」

相変わらず抑揚のない声で応え、隣に座る。
うむ、酒臭い。当然ではあるが。

「ゴミは私が片付けましょう。して、何故こんなに飲んでおられるので?」

取り敢えずウォッカを一杯飲みながら問い掛ける。

サイエル > 「いや、まぁ、あれですよ。口説くのに失敗しましてねぇ
 このままひとり身で死んでいくのかいやだなぁといったところです」

はぁっと深いため息をつきながら
柿の種をぽりぽり……
静かにウィスキーをグラスに突っ込んで、ストレートで一気に。

「顔はよくないですから、数で勝負と思ったんですが
 こう何度もまけるうち、心が折れてしまいまして、やけ酒です」

あっはっはと笑いながら。
嘘は言っていない。

「おや、片付けてくれるんです? 助かりますよ」

へらへら笑えば、煙草の香りが白衣から漂って

山科 諒平 > 「成程、そう言った事情でしたか」

相変わらず抑揚のない声。
しかして成程、失恋と言うのは人によっては荒れると言う。自分に経験はないが、サイエル先生にはきっと堪えたのだ。

「ならば、縁がなかった……と割り切るのも難しいのでしょうね。
残念ながら私も色恋には縁がありませんもので、大したことも言えず申し訳ない」

くい、と軽くウォッカを呷る。あまり飲みすぎて自分が潰れてもいけない、と軽めにだが。

サイエル > 「へぇ、色恋に縁がない……興味がないというわけでもないでしょうに」

ふむふむとうなずく。
見たところ自分よりすごく若そうだ。
名前は思い出せないが――
もてるのではないだろうか。多分

「まぁ、そういうものですよ
 なので、忘れたものかこのまま抱えていったものか
 悩んでいるので酒を飲んでいるって感じですよ」

にへらっと笑って、ピーナッツを口に放った

山科 諒平 > 「そうですね、興味がないというわけではありませんが……あまり積極的に声をかけるのは、苦手なもので」

よく陰気と言われるし、女性から声をかけられることもない。したがって縁がないのだ。

「ふむ、そうですね……。
私の意見でよろしければ、忘れた方がよろしいと思います。
忘れずに抱え込むのはある種悲劇的であり、故に陶酔的でもありますが……それに囚われて停滞しては意味がありません。
どうせヤケ酒になって財布を圧迫するだけの思い出など、捨ててしまった方が身軽でよいかと」

抑揚のない声で告げて、柿の種を一口。

サイエル > 「あぁ、今はやりの草食系男子……」

なるほど、寡黙そうだ。
抑揚のない声から感情制御がうまいのか
真面目なのか、それとも何かしら事情があって外に出せないのか
分からないが、だがそれがクールさを生んで
とても、女受けしそうだなと思った。
近寄りがたい雰囲気が柔らかくなれば、だが。

「あぁ、そういう考えもありますね。たしかに」

ふむ、そしてなかなかちゃんとした価値観を持っているようだ。
自分よりも一回りくらい? 離れているだろうか。
25歳のときに自身の価値観の土台ができると
言われるそうだが……

「参考にさせてもらいますよ」

山科 諒平 > 「あくまで私の意見、ですが」

注釈だけしてウォッカを一口。
この人がモテないというのは、容姿以上にだらしのない性格もあるのではないか、と思われる。
所謂ヒモになりそうだ。あれはあれで、非常に難しい生き方らしいが。

「そうですね、酒の勢いで踏み込んだことを言わせていただければ。
その女性は、サイエル先生にとって真に唯一の人と確信が持てる相手なのですか?」

サイエル > 「唯一ねぇ……」

まぁ、恋云々は出まかせといえば出まかせだが。
そうだな……

「ちょっと若いころを思い出させますねぇ」

なんて、懐かしそうに。
目を細めて、グラスを斜めに傾けた。;

「――あるでしょ、若い人を見てると。たまに
 あぁ、こんな時代もあったかな、とか」

山科 諒平 > 「ああ、その想いはわかります。サイエル先生とは違うでしょうが、近ごろの学生を見ると若いころを思い出し、悔恨します」

ふむ。こういう事を思い出すと、ウォッカが味わい深く感じる。
大人を気取るつもりではないが、少なくとも子供には手を出せない味。
老いの味とは違うが、哀愁の味がする。

「近頃の学生は、世間は煩いが実に優秀です。意欲にあふれた学生が多く、より多くの物を取り込もうとする姿勢が眩しい。
また、ここの多くの学生は行動的です。部屋に籠って読書ばかりしていた私とは比べるまでもない」

そう言った学生の様子を見るにつけ、もう少し何かしておくべきではなかったか、と過去を悔恨する。

ご案内:「職員寮のロビー」に河山 海空さんが現れました。
サイエル > 「後悔、ね……」

それはよいことなのだろう。
後にしか残らない悔い。
前に進む糧となるものであり、成長には必要なものだ。
だが、それには強さが必要だ。
心の、だが。

静かにまた喉をコハク色がやいていく。
この感覚が実に心地いい。

「今の学生は読書をおろそかにする傾向があるようですが
ゲームなどのいろいろな娯楽が増えましたからねえ……
まぁでも遅いということはないでしょう。まだ死んでないのですし」

からからと笑いながら

河山 海空 > 「……あらー、お酒臭い……」

のんびりと歩いてきてみれば、なんだか凄いアルコール臭がする。
調理用として扱い慣れてはいるが、飲むのはさほどではないのでキツイアルコール臭にはちょっと驚きを隠せない。

「ロビーで宴会ですかー……?」

見れば、度の強い酒に柿の種、と微妙に侘しい。
どうして男の人ってこうなんだろう、と少し思う。

山科 諒平 > 「そうですね。齢32で老け込むのはまだ早いでしょう」

ピーナッツを摘まみつつ、またウォッカを一口。
自分もまだまだ頑張る段階だ。教える側となった今でも、学ぶ側でもあるのだ。

そう思った所で、やってきた女性教師に頭を下げる。

「すみません、片づけはしますので」

そう言う問題ではなかろうが、現状そう言うしかない。

サイエル > 「あぁどうも……いえいえ、宴会じゃなくて一人酒のつもりでした……だからつまみは用意してなくてですね?」

ふとロビーに現れた女性に気付いて背筋を伸ばす。
さっきまでのだらしなさはどこに行ったのか、ぱぱぱっと
掃除をすませて、ある程度見える程度に……

「早く片付けて、続けましょう。飲みますか? あなたも」

すごく分かりやすい姿であった

山科 諒平 > 苦笑する。成程、こういう二面性が案外見抜かれて敬遠されるのかもしれない。
ただ、それもまたある意味では良さかもしれない。女性に優しいというのは評価ポイントになるとも聞く。

「どうなさいますか、無理強いはしませんが」

取り敢えず、女性教師に聞いてみる。無理に誘うのも良くないだろう。

河山 海空 > 「んー……お酒はー、あまり嗜む方ではないんですよー……
 私は、どちらかというとこっちの方でしてー」

どこから取り出したのか、フライパンやら包丁やら食材やらが現れる。

「でも、折角ですから少し、いただきますねー。
 その分、ちょっとおつまみくらいなら作りますよー?」

勧められたのだし、断るのも申し訳ない。
別に嫌いというわけでもないし。
なにより、口実にして料理ができるのは……そう、悪くない。

山科 諒平 > 「……」

少し驚いた顔をする。成程、これが異能、もしくは魔術と言う物か。

「では、適当な飲み物を買ってきましょうか?よろしければ、その間に用意していただければ」

即座に驚きを飲み込み、抑揚のない声で。
どうせだ。失意のサイエル先生に、少し気分転換の時間を持っていただこう。

サイエル > 「ほぉ、料理ですか……いいですね、家庭的で」

うんうんっとうなずいて。

「つまみは私はなれてしまったのでなくて平気ですが
 あったほうがよいかもしれませんね。胃の負担が軽くなりますよ」

せっかくの厚意ですし。

「リクエスト、したらどうですか? きっと、なんでも材料さえあれば作れる、そんな気がします」

なんて今まで付き合ってくれた男性に声をかける

山科 諒平 > 「おや……とはいえ、悲しいかな私は和食派なのですよ」

残念ながら、洋酒との合わせは良くない。
だが、強いて言うなら……。

「簡素ですが、目玉焼きなど。あまり濃いものは苦手でして」

手間を配慮しつつ、無難なところを。腕の振るいようがないのは問題だっただろうか?

河山 海空 > 「あらー……意外と無欲さんですねー、おふたりともー。
 それにしてもー……あまり食べないのもー、よくないですよー?
 肝は、『怒』を司りますからー……調子を悪くすると、イライラも増えちゃいますよー?」

よいしょっとー……と、変わらず間延びした声で食材の入っているらしき袋をあさり始める。

「じゃあ、とりあえず目玉焼き、ですねー。」

タマゴが3つ、出てきた。

山科 諒平 > 「……成程、勉強になります」

成程、肝臓を悪くするとイライラしやすい……イラついた時は肝臓を気を付けるとしよう。つまり酒の飲み過ぎは良くないという事か。

「すみません、お願いします」

頭を下げる。相変わらず抑揚はないが。

サイエル > 「あっはっは、ええ、ええ
 そうですね、保険医が健康を心配されては
 形無しだ、一本取られました」

実に愉快と笑い、顎をなでた。

「クッキングショー、ですか?
 これまたよい肴になりそうな……」

静かに見つめながら、机の下に隠していた
とびっきりを、机に載せる。

「では女性も来たので、出しましょうね。”十四代”」

河山 海空 > 「五行思想ですけれどねー。医食同源、病も食からー、ですよー。
 少しのお酒、ならいいんですけれどねー。深酒はストレスには逆に毒ですよー」

符を取り出すと、口内で小さく呪を詠む。
呪に合わせて符は小さな炎を上げて、フライパンを焦がす。
どういう原理か、近くの何者にも引火はしない。

「ではー、油をかる~く……あ、お好みは半熟ですかー? 
 それともよく焼いたほうがいいですかー?」

フライパンに油をなじませながらのんびりと聞く。

「あら、日本酒ですねー。これで和食もいけますよー」

山科 諒平 > 「五行思想、ですか。中国で陰陽思想と融合した、世界の全ては五行で成り立ち循環する、と言う思想、だったと記憶しています」

頷く。やはり見ても何が起こっているのわからない、魔術と言うのは複雑怪奇である。

「ああ、では半熟でお願いします。
……サイエル先生、それを出すのはもう少し早くに願いたかったですね」

少し咎めるような眼で。とは言え、別に構わないのだが。

サイエル > 「おや、レディは陰陽師の方でしたか……」

魑魅魍魎がこの島にいてもおかしくはない。
魔術に含まれるのだったか、たしか……
とか、知識を掘り出しながら……

「詳しいですね」

男性の知識に間違ってなかったなと、自分の中で頷いて

「ないとは言ってませんでしたよ。ないとは
 ただほら、とっておきですから。男同士じゃもったいないでしょ?」

なんてほざきつつ……

――見事なものだな……

頬杖をついて、その手際を見る。
目玉焼きというのはシンプルで簡単なものだが。
だからこそ、分かるものがある
そんな気がした。
無駄のない感じ。相当な料理人だろうと思いながら

「おまかせしますよ。一番私にあったものをお願いします、シェフ」

微笑みながら

河山 海空 > 「ええー。五つの気を持って、世界を把握しよう、と……まあそんなのですねー。
 体にも、食にもあてはめてー……ソレで健康を維持しようとしたのが、食医、というものなんですねー」

のんびりと二人に答えながら……そろそろフライパンも温まってきた頃だ。

「ちなみにー。半熟の作り方も、これで結構色々あるんですよねー。
 一番、失敗しにくいのはー……蓋をして弱火でゆーっくり火入れしてあげる方法かなーって私は思うんですよねー。
 少なくとも、そう簡単に火の入り過ぎになりませんしー」

のんびり言いながら片手で卵を割り入れる。
じゅわーっと……フライパンがいい音を立て始める。

「んー……サイエル先生はー、そうですねー。
 固ゆで(ハードボイルド)……は、目玉焼きじゃダメですね。似たところでやっぱり半熟にしますかー」

山科 諒平 > 「そう言えば、陰陽五行によって占いや加持祈禱を行うのが陰陽師でしたか」

成程、そう考えればこの先生は陰陽師だ。現実に存在したとは、と言うのは、この学園においては今更か。

「しかして、陰陽師と言えば私で言えば、式神などのイメージが強いですね。ほら、安倍晴明や賀茂光栄などは有名でしょう」

実際は元々陰陽師と言うのは単に占術や地相管理などを主とする職業だったらしいが、どうしても魔法などが絡むとこちらの方をイメージしてしまう。

「私は料理と言えば、本当に手軽に済ませてしまいますので……そう言った技量に関してのお話は新鮮です」

抑揚のない声。しかし、ちょくちょく料理を失敗する身としてはためになる話だ。

サイエル > 「食事は、大切ですからね……
 おろそかにはできません……ええ……」

といっても、よくサボることは多い。
間食が多いから、変な時間におなかが減ってめんどくさくなるのだ。
そこでコンビニとかで軽いものをつまんで
それで終わりというケースが多い……

「おや、ハードボイルドに見えますか?
 レディに言われるとてれますねぇ。あっはっは」

お猪口を3つだして、とくとくとついでいく

河山 海空 > 「そういえばー、サイエル先生はー……お一人で飲むおつもりだったんですよねー。
 どうしてまた、宴会みたいにー?」

んー……と、軽くフライパンを眺めながら世間話のように質問する。
集中は必要だけれど、この程度なら問題はない。

「んー、式神も使えますけれどねー。でも、私、陰陽道の方がオマケみたいなものなんですよー。
 さっきもいいましたけれど、食医としての知識に五行説を学ぶ必要があってー、そのまま結局全部勉強することになっちゃんたんですよー。
 ですから、本来的には陰陽師とはいえないかもしれませんねー。」

えへへ、と照れ笑いを浮かべた。
ある意味すごい執念と言えたかもしれない。

「そういえばー……サイエル先生は保健の先生でー……えーっとー……
 先生はー……なんでしたっけ?」

そういえば、まともに自己紹介してないなと思いながら男性教諭に問いかける。

山科 諒平 > 「成程、陰陽道を学んだのではなく、料理を学ぶためにたまたま必要な要素の派生だった、と」

見事な執念だ。自身の極めたいもののために全力を尽くす姿勢は好感が持てる。
……と、確かに自己紹介をしていなかった。

「山科諒平。現国の教師をしています」

頭を下げる。相も変わらず、声には抑揚がないが。

サイエル > 「少し、取り乱していましてねー。さっきまで散らかっていた
 大半は私の仕業でして。そこに、山科先生が来てくださって
 そのまま流れでって感じですな」

チョコをくいっと煽って、飲み干しながら。
目玉焼きができていく過程を目を細めて見つめて

「国語……なるほど道理で物知りなわけだ」

あっはっはと笑い、口にシガレットを挟み

「熱心ですなぁ」

勉強した内容を聞けばうんうんっと感心したように

山科 諒平 > 「それほどでも。教員として必要な知識を収集しただけの事ですから」

異能学園、と言う特殊な環境において、自分のような単なる凡人でも、異能や魔術について「知りません」では済まないだろう。
そのように考え、その手の資料を適当に読み漁っただけの事だ。

河山 海空 > 「どうもー。私は河山海空。家庭科とー、一応、陰陽道も教えていますー。
 なるほど、現代国語の先生ですかー。ああいうのもなかなか大変ですよねー
 っと。」

ぺこり、と頭を下げて……急にフライパンを動かす。
さっとフライ返しで目玉焼きをとり……皿に乗せる。
どうやらちょうどいいタイミングだったらしい。

「はい、出来上がりー、です」

皿を二人の前におく。

「あらあらー、サイエル先生はお悩みでもー?」

差し出されたお猪口に少し口をつけて、問う。

山科 諒平 > 「この学園において、現代国語は中々に難しいと実感しているところです。
なんせ、色々な世界から生徒が集まっています。基準となる価値観からしてズレている場合もあるので、読解問題などは不適にすら思えました。
ともすれば、私の価値観の押しつけになりかねませんからね」

くい、とウォッカを呷る。そう、種族も出身世界もまちまちなこの学園において、あくまで人類であることの多い作者の意図を読み取るというのは難しい問題だ。
そもそもその手の問題も、意図を読むのではなく「こういう風に解釈すれば総じて意味が通りやすい」と言う物を考える物なのだが。

「ありがとうございます、ではいただきます」

手を合わせて小さく礼。ふむ……美味しい。これほどまでに、目玉焼きでも差が出るのか。

サイエル > 「みなさんちゃんと先生してますねー」

あっはっはと笑いながら、かりっとシガレットを噛んで顎をさする。
差し出された目玉焼き。
その中央に箸を入れてとろっと黄身がほんの少しこぼれたところで、
半分にわりながら口に含めば、白身と絶妙な火加減の半熟が
口いっぱいに広がり、それをウィスキーで流す
――まずいはずがない

「悩みというか、ナンパに失敗して心折れていただけですよ」

河山 海空 > 「あー……そうですよねー。私も、お料理とかしてるとー異世界の子たち、ちゃんと美味しく感じてるのかー、とか心配になるんですよねー。
 この間、獣人の子とお話したらー。獣の姿の時は動物よりの感覚だーって聞かされましたしー」

種族の違いは人種の違いよりも広く深い問題を抱えている。
味もそうだが、思想などはもっと厄介なもの事が多いだろうことは想像に難くない。

「洋風でもよければ、もうちょっと手間を入れた揚げ物、でもよかったんですけれどねー。
 春巻きの皮を二枚重ねで、挽き肉とチーズをいれて卵を割り入れてー……三角に閉じて、揚げると美味しいんですよー」

単純な目玉焼きでも喜ばれているのは、それはそれで嬉しい事だ。
けれど、ついつい余計な一言を挟んでしまうのは料理好きの悪い癖だろう。

「あらら……フラれちゃいましたかー。
 お酒飲むほど落ち込んじゃったんですか?」

別に悪意はないのだろうけれど、割とズバッと切り込んでしまう。
きっと天然なのだろう。

山科 諒平 > 「それはそうです、私は教師であり、教師とは生徒の今後を左右しかねない存在なのですから」

故に、真面目にやらねばならない。生徒達の未来を担う存在であることを自覚しておかねばならないと、山科諒平は考えている。

「成程、味覚もそうでしたか。やはり世界によっては好みも感性も違う……それを一義的な教育でまとめて指導してしまう事の是非は、今一度我々も考え直すべきなのかもしれません」

神妙な顔で考え込む。
山科諒平は教師ではあるが、人としては凡人だ。
だからこそ、教育と言う一点においては真摯でなくては、この学園にいる意味がない。

サイエル > 「おや、それまたおいしそうだ。レディは、料理が好きなんですなぁ」

嬉しそうに語るその姿にほほえましげに。
好きなことをかたる女性は美しい。
男性は、恰好がつく。
これもまた彼女自身の魅力なのだろうと
目を細めて

「えぇ、ふられちゃいました
 ひとり身で孤独死はしたくないですからねー
 これで何連敗か……とほほ……」

かくんっと肩を落としながらも
青年の真面目な意見を聞いて――

「あっはっは、後悔なんて霞みますね
まったく、魅せてくれますな」

笑いながら呟いた

河山 海空 > 「今後を左右ー、ですか……そうですねえー、確かに。
 私もー、折角授業を受けてくれるなら自炊が出来るー、とか、お店で修行できるー、とか……
 そういう目標を立てて取り組んではいますけれどー。
 実際難しいですよねー、一人ひとり、やることを変える、わけにもいきませんしねえー」

ちょっと首をひねる。
教育問題とは常に悩みとともにあるのだ。

「そうですねー……生き甲斐、なんていうと大げさかもしれませんけれどー。
 料理は大好き、ですねー。サイエル先生は、なにかないんですか?
 拘り、とかー」

えへへ、と照れ笑いを浮かべつつ問う。

「そういえばー、あんまりそういうこと、考えたことなかったですねー。
 孤独死、かー……確かに寂しいかもしれませんねー。」

ちょっとだけまじめに考える。

山科 諒平 > 「ええ、個々人に個別指導をしていては、我々教師の手が足りません。
取り敢えずはカリキュラム自体を、異世界他種の存在からの意見を取り入れ改良していくのが無難だと思われます」

とは言え、それも難しい話だ。特にこの学校は教員に指導要綱の多くが一任されているから、一部で声を上げてもあまり意味はない。

「そうですね……このまま生涯独り身では孤独死もありうる。
私としても出来れば避けたいですが……はてさて」

女性に縁がない自分に、結婚など出来るのだろうか。そう考え小さく溜息を吐き、今度はウィスキーを呷る。

サイエル > 「あっはっは、そんなに料理が好きで教えてるなら
 いつか自分の子供にとか、想像してみると
 意欲がわいたりするかもしれませんね?」

ぱちりと、ウィンクひとつ。おっさんがしても
何も魅力はない。しがれっとをぶらぶら

「私ですか。私はサボりに生きてますよ
 サボり道に云十年です」

ふっとかっこつけて言いながら。
静かにグラスに口をつけて。

「もう40になりますからねぇ……
 早く見つけたいものですよ」

山科 諒平 > 「……サボってばかりだから、相手が見つからないのでは?」

率直に、抑揚のない声で言葉を投げ付ける。
自分が女性だったら、流石に「サボり道に云十年です」と明言する人間を結婚相手には選ばないだろう。
将来に不安しか抱けない。

河山 海空 > 「この島自体が実験ですからねー……逆に自由すぎて難儀している気もしますよね―」

山科先生の考えに、うーん、とちょっと首を傾げてみせる。

「子供、子供、ですかー……」

ちょっと想像してみた。
……してみた、が。まずはその前に伴侶が必要である。
一瞬、旦那様……なんて、可愛らしく想像してみたが……
残念ながら、伴侶のイメージは全く浮かんで来なかった。
へのへのもへじすら見えないとはどういうことか。

「……うん、想像力のなさに悲しみを感じましたー」

微妙に悲しそうだった。

「んー……サボり、ですかー……
 サボってて職を失ってないのは、ある意味すごいですねー」

変な感心をしてみせた。

サイエル > 「そんなへまはしません
 ばれないようにうまくやりますとも」

変に自信満々だった。

「……おや、恋愛や異性にはまだ関心がなかったですか
 では、これからですね」

あっはっはと笑いつつ。

「さて、ではそろそろ私はこれで失礼しましょうかね」

静かに椅子を引き、要領よく片付けをすませた。
きたなかったロビーは、あっという間に元通り。
張ったごみ袋を近くにおいて……

「お酒はおごりということで、好きに飲んでくださってかまいませんよ。では――」

シガレットを食べて、煙草をくわえる。
きっと外に吸いにいくだろう

山科 諒平 > 「実験とはいえ、生徒達は彼らの人生において常に主人公ですから。
我々はそれに真摯に向き合わなくてはならない……実験だからこそ考察も大事だと考えています」

考えながら、自分も伴侶を想像してみた……うむ、出来ない。
難しいものだ、イメージすらわかないとは。

「おや、気は紛れましたか?」

歩き去っていくサイエルに聞いてみる。

河山 海空 > 「うー……一応、憧れのー、とかないわけじゃなかったんですけれどー。
 改めて考えると、なかなか浮かばないものですねー……
 なんか、女の子としてはちょっとダメなんじゃないかなって思ってしまいましたー……」

サイエル先生の言葉にがっくりと肩を落とす。
乙女心は複雑なものである。

「んー……少しは気が晴れましたかー?
 明日の朝は、しじみのお味噌汁とかでもお飲みになるといいですよー?」

去っていくサイエル先生には質問と忠告を……

河山 海空 > 「大事ー、なんですよねー……学園は、自由にさせてくれて嬉しいんですけれどー。
 なんでもできるのも、なかなかやりづらいところもありますよねえ……」

山科先生に改めて愚痴……というより、大変ですよねー、という程度の溜息まじりの言葉

サイエル > 「……さて、気が晴れるものではないですよ。なにせ――」

――若いころには戻れませんからねぇ

なんて呟いて。

「ええ、忠告どうも。ではおやすみなさい」

あっはっはと呟いて、静かに静かに。
玄関の扉をくぐった

ご案内:「職員寮のロビー」からサイエルさんが去りました。
山科 諒平 > 「ええ。自由に出来るという事はいい事でもあるのですけどね」

頷く。だが、自由と言うのがこれはまた曲者なのだ。

「こういう話を聞いたことがあります。
『自由に料理をしろ』と言われた人は何をどうしていいかわからなくなり手が止まったが、『きゅうりを使って自由に料理をしろ』と言われた人は発想の取っ掛かりがあったため、それこそ自由な発想を発揮できた、と。
何かしらの基準は、あった方が良いのかもしれません」

我々にとっては、それが担当している科目なのかもしれませんが。と腕組み。

河山 海空 > 「んー……なんだか意味深、ですねー……」

サイエル先生の言い残したセリフに、ぽつり、と小さく感想を述べる。
といっても自分のような小娘にはうかがい知れないようなものかもしれないので、深くは考えないことにする。

「そうですねえ……自由な料理……は、そうですね。なんでも出来る分、決めるのも難しそうです。
 指向性、は在る方がお互いにいいのかもしれませんねー。」

んー、と……山科先生に言われたことを吟味する。

「現代国語なんかだったらー、そうですねー。
 いっそ、違いを楽しんじゃったほうがいいかもしれませんねー。
 価値観の違いを学ぶ、のも勉強じゃないですかー?」

山科 諒平 > 「若いころには戻れない。当然の話ではありますが、やはり戻りたいと考えるのも事実ですね」

腕組みしたまま呟く。
若いころ、部屋に籠って本を読んでばかり読んでいたが、もっと外に出るべきではなかったのかと今でも考える。
考えても詮無い事ではあるのだが。

「一定の指向性。それがあればその後は定めやすくはなります。
……成程、違いを楽しむ、ですか」

感心する。成程、その発想はなかった。
違う物をどう統一して考えるか、ではなく、違うのだから、どう違うのかを理解する。
そちらの方が余程健全で、教育的だ。

河山 海空 > 「私なんかでも、あの時に戻れたらー、とかは思っちゃいますもんねえー。
 サイエル先生くらいになると、色々と思うことも在るのかもしれませんねー」

んー、と考える。

「そうそうー。料理も結局ー、場所によって大分性質が違いますからねー。
 暑い国ならではの、辛くて汗を吹き出させる料理、とかー。乾燥する地方向けの油の多い料理、とかー。
 だからー、国語なんかでもー……此処ではこうだとか決まりはあるかも知れないけれど、他の人や国では違うーっていうのは在ると思うんですよねー。」

のほほん、とそんな意見を述べる。

山科 諒平 > 「彼は、ああ見えて人生経験も豊富なのでしょう。故に、思う事も多いのでしょうね」

頷く。唯怠けているだけの人ではなさそうだ。……普段は怠けているだけだが。

「料理は、寧ろ地方柄がよく出るのでしたね。中華料理などは、その地方によって水から違うため、随分と技法が変わると聞きました」

地方ごとに辛みの重要性なども変化するらしく、一概に「中華料理」と言っても本当に多岐に渡るらしい。

「貴重な意見、ありがとうございます。早速、取り入れてみましょう」

頭を下げる。さて、色々な世界の文化的資料をかき集めねば。

河山 海空 > 「年の功……とはまた別ですけれど、年を取ることで見えること、見えてしまうこと、なんていうのもあるんでしょうかー。
 案外、あのサイエル先生のサボり好きも、そんなところが原因なのかもしれませんねー。」

大人の更に大人は大変だなー、と考える。
自分はあれくらいになったらそんなことも考えたりするのだろうか。

「中国はー、大雑把に分けても5つくらいあったりしますしねー。
 いえいえ。ふふ、何か参考になったのならー、うれしいですねー」

くすり、と笑う。料理以外で役に立つというのは珍しい気はする。

山科 諒平 > 「思う所があって怠けているのかもしれませんね。少し話しただけでも、中々つかみどころがない」

もしかしたら、もっと別の事で悩んでいたのをぼかされたのかもしれないな……などと考える。
中々に、真意を掴ませてくれそうにない人だ。

「ええ、大いに参考になりました……すみません、早速資料を取り寄せたいので、私はこれで。目玉焼き、御馳走様でした」

立ち上がって礼をする。早速資料を集めねば。

河山 海空 > 「そうですねー……またあった時にお話でもしてみましょうかねー」

ああいうなぞめいた相手というのは話してても面白いと思う。

「ああ、いえー。お引き止めしてすみませんねー。
 せっかくですから、いい授業ができるようにお祈りいたしますねー」

相変わらずのんびりと、山科先生を送る言葉をかける。

山科 諒平 > 「いえ、楽しい時間でした。お互い頑張りましょう」

一礼して立ち去っていく。
……相変わらず、声に抑揚はなかったが。

ご案内:「職員寮のロビー」から山科 諒平さんが去りました。
河山 海空 > 「山科先生もー、あまり調子の変わらない喋り方はちょっと気になりますよねー。
 まあー、喋り方は人のことを言えたものじゃないですけれどー」

ちょっと考える。
しかし考えたところで何の結論も出るわけではない。

「さて、私もいきますかー……おやすみなさいー」

誰にいうでもなく、そういって立ち去った。

ご案内:「職員寮のロビー」から河山 海空さんが去りました。
ご案内:「職員寮・雪城括流の部屋」に雪城 氷架さんが現れました。
雪城 氷架 > カツカツ、とノックが響く
中にいないであろうことはわかっている

ガチャリと鍵の開く音がして、ゆっくりと、真っ暗な部屋に光が差し込む

「………」

括流はこの部屋にはいないだろう
いたとしても、なんらかの方法で氷架の接近を感知して逃げているはずだ
避けられているのだから

靴を揃えて脱ぎ、部屋に上がる

ドアを締める前に照明のスイッチの位置を確かめて部屋の照明をつけて、ドアを閉めた

雪城 氷架 > 「……はぁ」
溜息をつく

やっぱりか
やっぱり、括流は此処に帰ってきてたんだ

新しい買い物袋、それに───

ベッドに触れれば、温もりがある
……ついさっき、もしくはたった今、まで此処にいたのだ

「はぁ……やっぱり、魔術か何か使って私のこと避けてるな…」

ただ、妙な気もする
括流は変温動物、ここまではっきりと体温がベッドに残ったりはしない
………別の人間が住んでいる?
いや、そんなことはない、そんなはずはない

だったら来島が鍵を持っていたりはしないはずだ

雪城 氷架 > ぼふ、とベッドに倒れこむ
温かい

……括流では、ないのだろうか

わからない、括流なら魔術で暖を取ることもできそうな気もする
……でも、それならなんでいつも自分と一緒に寝ていたのだろうか

体温が欲しい、それは嘘ではないと思う
……それだけ? たぶん、ちがう

制服に皺が寄るのも気にせずに、ベッドから視線を横へ向ける

テーブルの上に置いてあるリンゴが目に入った

雪城 氷架 > 「………林檎」

そういえば子供の頃、括流が林檎に巻き付いている姿をたまに見た気がする
大人になるにつれて、特に此処に来てからは、
丸ごとの林檎を買って食べる、ということがなかったから忘れていた

値段的にも色々な果物が入ったカットフルーツのパックに手が伸びてしまうものだ

「間違いないな…括流はここに帰ってきてるんだ…」

別宅があったのだ
知らなかった

教員なのだから、教員用の部屋を与えられているのは当然だったのだけど