2015/07/19 のログ
ご案内:「職員寮@矛海の私室」に矛海 遼さんが現れました。
■矛海 遼 > 人の寝静まるような夜。
玄関を開き、足を中へ運んでゆく。
どうにも今日は情けない所を見せたような気がしなくもない。
このままでは正直この無表情を保てる気がしない。
心がざわついていると言った所か。
――――ならばやるべきことは一つだ。
室内の犬小屋に潜む、『オメガトムハンクス28号』の頭を撫でつつ懐からビーフジャーキーを取り出し、目の前の器に置き、食べさせる。
その様子を横目に見つつ台所に向かい、ジッパーを降ろしてパーカーを脱ぎ放ちソファーに乗せる。
極端に白い訳でも無く、焦げた様に黒いわけでもない。
所謂健康的な体付きである。
■矛海 遼 > 特に上半身が裸になった意味は無い。
別に拘束具を外して強化されたなどという事は断じてない。
そんな都合のいい能力を持っている訳では無いから。
冷蔵庫の前に立ち、取り出した物は捌いたウツボ。
以前の鰻のように腹から捌いた物だ。
これらをまな板の上に乗せて右手に包丁を持ちながら左手で抑え、それぞれ細かく切り分けてゆく。
一口で簡単に終わらせられず、されど食べ辛くならないサイズに。
経験と勘を頼りに手を動かして行く。
数十秒後、まな板の上に乗せられた皿の上に細かくされたウツボを置き、次の工程に入る。
■矛海 遼 > 後方の棚から醤油、みりんを取り出して少量。
大さじで3:1になるくらいにボールに入れ、あらかじめ刻んで瓶に詰めた生姜を少々。
隠し味にほんの少しの酒を混ぜ、そこに切り分けたウツボを流し込み、中にしみ込ませるように揉んでゆく。
一つ一つ丁寧に、そして深く。
時に荒く握り、さらに深く。
単調だが大切な工程だ。
手にも匂いが染みつくが、気にしない。
血の匂いに慣れればこの程度はどうと言う事は無い。
■矛海 遼 > 染み込ませる醤油やみりんが薄くなってくる………良い具合だ。
鮮度は大事だ。畳み掛けるように片栗粉を掛け、
まぶして行く。
湿った肉の表面と己の手を白く染めて行く。
己が【白】と言うのもつまらない冗句だ。と心の中で笑いながらも作業は進めて行く。
指と爪の間にも片栗粉が貼り込み、肉の湿り気が落ちて来たのを確認して手を洗う。
さぁ、最後の作業だ。仕上げに入る。
■矛海 遼 > 揚げ油を敷いた窯をコンロで加熱し、理想の音を響かせるまで待つ。
異能を使わないのかと?まさか。
そんな無粋な真似をするわけがない。便利だからと言って楽な道に走り続けてしまえば、いずれは機械に支配される人間になってしまう。
最終的に頼れるのは己の体と技術のみだ。
なにより、自身の異能は【気に入らない】。
と、ぐつぐつぱちぱちと油の音を聞いて、思考を元に戻す。
さぁ、ショータイムだ。
溶岩めいた窯に肉をほうりこみ、激しい音を立てて揚げられてゆく。
肉の焼ける音、漂う香り。実に最高だ。
【―――――本当に?】
■矛海 遼 > 物心が付いた時に見えていた物は炎。
焼ける、全てが焼ける。
時も物も、老いも若きも巻き込んで。全てが炎に包まれていく。
残った物は何だ?失った物は何だ?失う物があったのか?得た者は何だ?
――――――俺は誰だ?
「―――――ッ」
飛び跳ねた油が手に付き、気を戻して慌てて揚げられた【ウツボの竜田揚げ】を窯から引き上げてペーパーに乗せる。
危うい所だった。もう少しで焦げる所だったのだから。
■矛海 遼 > 今日は本当に己が解らなくなる。
どうにもセンチな感情が加速しているようだ。
呼吸も荒い。肩も震える。
風邪では無い。もっと根本的な何かだ。
恐ろしく前に忘れていた物が目覚めて―――
【何もないならば壊してしまっても良い。見知った顔を、人を。】
―――黙れ。
【視えている物は全て虚像(モザイク)なのだから】
黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ
■矛海 遼 > 息を荒げながら右手に包丁を握り、己の胸元に突き刺して抉り始める。
――――まだまだ足りない
そう、足りない。もっと痛みを、鋭く鋭利な痛みを。
左手で左目上の眉の上に乗せて――――そのまま眼球ごと掻き毟る。
■矛海 遼 > 響く。唯重く響いて行く。
抉り千切り、そして潰し刺す。
其れは血の音だったか、窯に掛かる火の音だったか。
血のにおいを嗅ぎ付けた犬の吠える音だったか。
まだまだ痛みは足りない。唯々音を子守唄にし、禍の中に沈んでゆく。
「――――ふぅお!?」
恐ろしく【らしくない声】が出た。
共に上半身を上げる。どうやら仰向けに倒れていた様だ。
台所に上半身裸で。
周囲に血をまき散らしながらである。
■矛海 遼 > どう見ても変質者です。本当にありがとうございました。
「と言っている場合ではないな………ほれ、落ち着け」
ツッコんでる場合でも無い。駆け寄って胸元を舐める犬の頭撫でつつ立ち上がる。
「さて………食事の前に掃除だな。」
全く馬鹿馬鹿しい、【私は私だ】。何を迷う事があろうか。
■矛海 遼 > 出来上がった竜田揚げをタッパーに詰めて、背後の冷蔵庫にしまうと
新たにモップを棚から取り出して周囲に飛び散った血を拭きとって行く。
我ながら派手にやった物だ。とっとと片付けよう。
犬に「ハウス!」と返し、小屋に戻すと。
数分後に清掃を終える。
………料理するだけだったのに妙に疲れたような気がする。
とっとと休んでしまおう………。
台所を出てソファに座り目を閉じる。
■矛海 遼 > 【俺】は眠り、【私】も眠る……それで今は良い。
次に目覚める時は、如何なる時か。
今見る夢は悪夢か否か。
答えはまだまだ先の話。
『――――男の話をしよう――――』
背負った十字架はまだ下を向いている。
ご案内:「職員寮@矛海の私室」から矛海 遼さんが去りました。
ご案内:「職員寮@シインの私室」にやなぎさんが現れました。
■やなぎ > (結んでた髪をとき、軍服を脱ぎ捨てて、寝室のベッドに転がる。
ちゃんとした寝床で寝るのは何日ぶりだろう。
「・・・・・」
(昨晩、時計塔にて探していた人物にやっと会えた。
しかし、ほっとしたと同時に悪寒が走った。
方向音痴がいつも通りとはいえ、補佐として来たのに数日迷っていたとは二等兵としていかがなものか…。
「…はぁ。」
(不安で眠れなかった。やなぎはベッドから出、菓子の入った箱を持って寝室から出ていった。
ご案内:「職員寮@シインの私室」にシインさんが現れました。
■やなぎ > (不安とは、彼に切り捨てられるかもしれないという事である。
命ぜられて来たはいいが任務を果たせていないのと、
方向音痴のせいでしばし会えなかったのが主な原因になるかもしれない。
軍隊においてチームワークはもっとも大切だ。
それが乱れれば死を招くことだってある。
と何となく覚えているのだが…
「(あの時すっごい眠かったんだよなぁ)」
(つまる所、チームワークのできない自分、もとい足手まといはいらないということだ。
気が重いままにリビングらしき所へ赴く。
■やなぎ > (とりあえずお詫びはしておこう。
テーブルに以前異邦人街で買った、めずらしそうな菓子箱を置いた。
(用はこれだけだ。
眠れないが、特にすることもないので、床に座ってぼーっとしている。
■やなぎ > (部屋は静寂に包まれている。
ここで何かを考えるのには最適かもしれない。
ので思いを巡らすことにする。
自分は軍人あるまじき行為をした。
それは今回が初めてではない。ここに来る前もだ。
次ヘマすればもっと怒られるだろうか。
いや、辞めさせられる可能性だってあるだろう。
どちらにせよ、居場所がなくなるのは間違いないかもしれない。
「・・・・」
(膝を抱えた。
■シイン > 「なんだ、居たのか。既に家から出てたと思ってたぞ。」
手には本を持った彼がリビングに現れる。
察するに、別の部屋で本でも読んでたようで、軍服を着てはおらず私服姿だ。
髪型はポニーテールになっており、いつもの髪を下ろした
姿ではない。
リビング内にあるソファの上に座ると、よく寝れたか?それだけ声を掛ける。
声を掛けて返事を待たずに、部屋の明かりを自分好みの薄暗さに調整をしながら、手に持つ本を開く。
開いた本の文字を目線で追いながら、静かに黙り込む。
■やなぎ > 「あ…いえ。」
(声に驚いて顔を向ける。物音でも立ててしまっただろうかと不安になった。
「眠れなくて」
(テーブルに置いた菓子箱を彼のいる方向へ押して
「これ…よければ食べてください。お詫び、です。」
(と本を開いた彼に言った。
■シイン > 直ぐには返事をせずに横目で彼の方に視線を送らせる。
お詫びなど不要なのだが、彼なりの誠意なのだろう。
受け取るのを断るのは宜しくはない。特に理由もないのだから。
食べないとしても、また今度客が来た時にでも出せばいい。
「あぁ、ありがとう。そこに置いておいてくれ。
あと、これからどうするんだ?暫くは此処で寝泊まりをするか?
一応君は私の補佐として来ているから、手配をすれば直ぐに部屋は取れると思う。」
本の頁を捲り、また視線を本へと戻す。
■やなぎ > 「あ、部屋の手配が出来るならすぐにします。しばらくといっても、ここは少佐…先生のお部屋ですから、長井するわけにはいきません。」
(気遣うような素振りを見せておく。
内心は上官と住むなんて折檻に等しいことだ、と思っているのだが。
それが顔ににじみでてるようで無意識のうちに表情が変わっていた。
■シイン > 「別に私は構わないがな。ただ、君としても階級が違う者。
それも少佐となると緊張やらで日々が休めないだろうからな。」
住まいぐらいは変えるべきだろう、と。
私であれば『少佐』の者と生活するのは御免被る。
「あとはずっと軍服の制服を着ていると疲れるだろう。
派遣されて来ているのは違いないが、休むことも大切だ。
もし他の服がないなら、買うなりして揃えるといい。」
■やなぎ > 「そんなことは…。」
(少佐にしては優しい…と意外という風な顔をした。
一応気遣ってくれてるのだと思うと妙に安心する。
「わかりました、そうします。それと、補佐する上で必要なものも揃えたいです。教材とかもそうでしょうし、何が必要でしょうか?」
(どこからかメモとボールペンを取り出して構えた。
■シイン > 「教材?それなら軍の方で使っている教材があるだろう?アレで良い。
新兵の時に貰ってるはずだ。持ってきてないなら私が貸そう。
それを見ずに内容を暗記するぐらいにはならないと駄目だ。」
決して無理難題を告げてるわけではない。
だが補佐として動くのであれば、それぐらいはしてもらわないと困る。
それに今後の彼の為にもなるだろう。
良い機会だ。
■やなぎ > 「それなら持ってきてます…。」
(ホルダーの中に入っていることを思い出す。
すでにボロボロなのだが。
「それだけで良いのですか?あ、それと授業はいつから始めるのですか?」
(補佐で来たとはいえ授業などはじめてだ。故にとても不安である。
■シイン > 「それなら問題ない。
授業に関しては、基本は昼頃になるな。場合によっては昼前から行う。
だが夕方にも行うことがあるからな、不定期といったところか。」
授業回数もさして多くない。そもそも授業を受講をする生徒が少ないのが問題だが、コレばかりは仕方ない。
「今の所は、補佐を必要としない程度には楽に授業を進めている。
だからいつでも補佐として動けるように学んでいるといい。
この島を観光して交友を広げるのもいいだろう。」
本を片手に彼は語り、また頁を捲る。