2015/07/18 のログ
■焔誼迦具楽 >
「そうね、七生の友達同士、仲良くしましょう」
【邪気の無い笑顔に笑い返す。
その台詞はまあ……深読みのしようのあるものだったが、一応他意はない、はずである】
「思わせぶりもなにも、ほんとのことでしょ?」
【そう言って楽しそうに笑いながら、東雲さんの腕に自分の腕を絡めようとする。
そして、ふと視線を下げたときに気づく】
「あ、七生の水着、私とおそろいね!
ほらっ、黒と赤!」
【水着のデザインを見て、無邪気にはしゃぐ。
迦具楽の水着は、やはり自分の一部を変化させて作ったものだが、それ故に驚き、嬉しかったのだ】
■東雲七生 > 俺の事を忘れろって言ってんじゃないんだよ、今の話忘れろって!
初めて何をしたかとかそういう話!
(トトへと律儀にツッコみを入れ、迦具楽が腕を絡ませてくるのにはさらに赤面した。)
い、いやっ、そういやそうだったっけ。
別に、水着くらいよく似ると思うけど……!
(そんなはしゃぐような事じゃないだろ、と困惑している。)
トト > 「うん、仲良くね… あ、おそろい… いいなぁ、僕も今度何かおそろいとか欲しいかも……… 。」
迦具楽と七生の服装を見て、確かに、と頷く、七生とのおそろい、というものが、何だかとても魅力的に思えたのだ
「んー、わかった、忘れてもいいけどさ、じゃあまた今度一緒に買い物行こうよ?今度はお揃いを買おう、お揃い。」
興味がお揃い、に写ったのかそういって七生の手をわくわくした顔でひこうとして
■焔誼迦具楽 >
「そうかもしれないけど、友達と一緒だったら嬉しいものでしょ?」
【赤面する少年の腕をしっかりと抱きながら、嬉しそうな表情のまま見上げる。
以前よりも近く、人と変わらない体温と柔らかな肌の感触が――以前よりもはっきり伝わるだろう。
小さいが確かにあるふくらみにも触れるかもしれない。残念ながら本当にささやかではあったが】
「ほら、トトだってうらやましがってるじゃない」
【お揃いをほしがるトトさんを見ながら、どことなく優越感を感じる。
東雲さんが手を引かれていくなら、腕を抱いたまま一緒に引っ張られて行くだろう】
■東雲七生 > は、はあ?
また買いに行くのか?ていうか、何を?水着なら今年はもうこれ一着で十分だと思うんだけど……。
(怪訝そうな顔でトトを見たのと同時、手を引かれて頬を赤らめる。
迦具楽は腕を絡めたままで、どうしたものかと途方に暮れた。)
そ、そういうもんなのかな……。
とにかく、二人ともちょっと離れろって!何か、さあ!
(人目を引いてる気がして気が気じゃない。
もうとことん気が気じゃなかった。)
■焔誼迦具楽 >
「えー……っ?」
【離れろと言われれば、不満そうに口を尖らせる。
不満を主張するように、より強く腕を抱くだろう。
視線は……それなりに集まっているらしい。とはいえ、微笑ましそうな、生暖かい視線が多いように思えるが】
トト > 「僕、私服も全然もってないんだよ、男物の服なら、七生に聞いたほうがいいだろう?どっちも見てみたいんだよ。」
とか、それっぽい理由を言ったりして、七生の手には確かなトトの手の温かみが伝わって来るようにも思える
「うんうん、そうだよね、友達と一緒は嬉しいよね、僕も今よくわかったよ、ほら、折角三人友達なんだからさ、何かしようよ。」
彼女に同意して首を振りながら、自分と七生の荷物が置いてある場所まで移動して、手を… 離そうとするが
なんか迦具楽さんがそのままなので、何となくそのままにしておいた、大体ノリである、トト的には
■東雲七生 > ……うぐぬぬぬぬ。
(耳まで赤くなりながら羞恥心に耐える。
もしこの現場をクラスメイトに抑えられたらと思うと顔から火が出そうだ。
頼むからこれ以上知り合いと顔を合せないようにと祈りながら現状に甘んじる。)
男物の服なら、まあ、良いけどさあ……ッ!
そうだな、せっかくだし何かしようぜ。……あ、ほら。スイカ割りやろうぜ、スイカ割り!
(トトの提案に頷いて、そのまま迦具楽を見る。)
■焔誼迦具楽 >
「……スイカ割り!
やりたいっ、やろうっ!」
【すっかり甘えっぱなしだったが、スイカ割りの誘惑には勝てなかったらしい。
あっさり腕を放すと、期待するようにそわそわとしだした】
トト > 「… スイカ割り! 七生が言っていたあれだね?やろう、僕もそれ楽しみにしてたんだよ。」
おお、と手をパチパチと叩いて、期待にあふれた瞳で七生を見つめる、やる気バリバリだ
■東雲七生 > ほぁ……。
(ひとまず二人を離すことに成功し、思わず安堵の溜息を漏らす。
気を取り直してスイカ割りの準備をしようと思ったのだが、生憎スイカの持ち合わせなんて無かった。)
んーと、それじゃあスイカと棒と目隠しの調達をしねえとなあ。
式典委員が張り出してたルールに則るって言ったらどっかで一式揃って借りれたりしねえかな。
(荷物の所まで向かうと、携帯端末を引っ張り出す。)
■焔誼迦具楽 >
「……作る?」
【端末を取り出す東雲さんを見ながら、うにょん、と手のひらの上に黒い球体を出現させる。
それはそのままスイカらしい見た目に成形され、緑と黒の柄になった。
残念ながら迦具楽は学生ではなく、なにかイベントがあるという告知の存在も知らないのだ】
トト > 「あ、やっぱり迦具楽もそういう事出来るんだ?… あー、そういえばどこかでみたような… なんだっけ?」
一応学生ではあるのだが、来たばかりなのもあってそういうのには大分疎い
彼女が作り出したスイカを見ると、面白そうにぽんぽんとスイカっぽい球体を軽く叩いてみる
■東雲七生 > そうか、迦具楽とトトが居れば大抵のものは作れるんだな……。
(というか殆ど迦具楽一人で準備出来そうなのには目を瞑る。
取り出した端末を再び鞄に放り込むと、それでいいか、と笑みを浮かべた。)
まあ、期間中に改めて挑戦すりゃ良いや。
今日はそのスイカ使ってやろうぜ!サンキューな、迦具楽!
(スイカは確保できた。さてあとは目隠しと棒だが。)
──目隠しは俺の持ってるタオルで良いか。
■焔誼迦具楽 >
「……作れるけど、食べられないかもしれないけどいいの?」
【スイカっぽいものを触られれば、その質感も重さも確かにスイカだろう。
だがしかし、やはり迦具楽の一部である。味の再現は保証されないのだ】
「具体的には、食べたら私の味かも?」
【そう言いながら、一応スイカを降ろす。
ずっしりとした重さを伴って、砂の上に転がるだろう】
トト > 「後は割るものがあればいいんだよね?なら之でどうかな、この前ちょっとみたんだ。」
と海水に触れると、トトの手の中で凝固していったそれは、銀色の刀… いや、木刀に姿を変える
「切れると危ないし、切ると割るは違うものね、僕もそれぐらいはわかるんだよ?」
えへん、と何故か自慢げにそれを七生に渡してくる
■東雲七生 > 迦具楽の味って……。
まあ、確かに体の一部的な感じはするけどさあ……。
………いっか、考えても仕方ない。それに、別にスイカ食うのが目的でもないしな?
(あくまで浜辺でのレクリエーションとしてスイカ割りを選んだわけで。
そもそもスイカを食べてもあんまり腹の足しにならない、と東雲は思う。育ち盛りに水分だけ与えられても困るのだ。)
おっ、サンキューなトト。
これで準備万全だな。さーて、誰からやる?
(荷物から取り出したタオルをくるくる回しながら二人を見る。)
トト > 「迦具楽は食べられる、いや、飲める?のかい、それはちょっと面白そうだな、できるなら今度味見してもいい?」
凄い素直に取ってしまったのか、彼女の味、という言葉にそう反応しつつ首をかしげちゃったり
■焔誼迦具楽 >
「あ、そうなんだ。
なら別にいっか。終わった後は私が回収すればいいしねー」
【なるほどと頷きながら、準備の様子を見守り】
「……へえ、トトも面白いこと出来るんだ。
んー、飲めるかも知れないけど、体に悪いんじゃないかなあ。
それでもいいならとめないけど」
【ちなみに本当にのんで見れば、通常人間には消化できないエネルギーである。
消化できないまま何れ出てくるだろう。しかし、それは迦具楽の一部である。悪戯されない保証は、全くないが】
「あ、私やりたーい!
どうやればいいのかしら?」
【びしっと手を上げて意思表明。
トトさん製の木刀に、自前のスイカ。東雲さんの用意したタオルを見て、やり方を訊ねた】
トト > 「じゃあ、初めは迦具楽に譲るよ、やり方をしっかり見せてもらうとするかな、ふふ
有害、というと、人間には余り良くない成分が混ざってるんだね?それはそれで興味深いけど………。」
うーん、と少し唸って
「うん、今はやめておくよ、友達を飲むのって、あんまりいい事じゃない気もするし、今はね。」
うん、と思い立ったように頷いて、観戦モードに移るようだ
■東雲七生 > おっ、迦具楽が挑戦するか?
じゃあまず迦具楽に手本を示して──ってお前も初めてかい。
まあいいや、それじゃあ簡単に説明するぞー?
まず、タオルで目隠しをして、ちょっと離れたところに置いたスイカを、木刀で割る。以上だ。
ただし方向感覚を狂わせるために目隠しをしたまま何度か回って貰う。
(ぐるぐるーっとね、と指をくるくるっと回した。)
■焔誼迦具楽 >
「ん、それじゃあありがたく最初を貰うわね。
私の味はまた今度、って事で」
【そうトトさんに答えつつ、説明を頷きながらしっかりと聞く】
「えーと、とりあえず目隠しして回ればいいのね?」
【タオルを受け取って自分を目隠しする。
それからその場で一度二度とくるくる回る。もちろん、人間同様の平衡感覚器をしっかり再現してからだ】
「お、わわ、これ思ったよりもふらふらするかもっ」
【回り終えると、目隠ししたままふらふら後ずさり、一先ず準備完了といったところか】
トト > 「成る程、やっぱりそのまま、スイカを割る遊びなんだね?なかなか特徴的だよね、食べ物を割って遊ぶ何て
でも、確かに割りやすそうな外見をしてるね、誰が考え出したのかな… 今はいいか。」
ふむふむ、と真剣にルールを聞きながら考えているようだ
「ふふ、がんばれー!僕たちはどうするの?応援していればいいのかな?」
くるくる回る彼女に応援を投げかけながら、七生の横にぺたんと体育座りで座り込む
■東雲七生 > それで、俺らは大体の位置を迦具楽に教えてやって、それを頼りに迦具楽はスイカを割る、ってわけ。
だからトト、迦具楽をスイカまで誘導してやってくれよ。
俺はまあ、最初だし見てるだけにするからさ。
(まださっき貰ったジュースも残ってるし、と。
静かにトトの隣に腰を下ろして、迦具楽を見守る。)
迦具楽も、転ばない様に気を付けろよー?
■焔誼迦具楽 >
「わ、わかった……ようし」
【ふらふらするものの、ひとまず木刀を構えて一歩。
不安定なすでに転びそうな一歩だったが、とりあえず一歩である】
「えっと、どっちに行けばいいのかしら」
【二人に向けて聞いてみる。
その気になれば自分の一部であるスイカ(仮)の場所なんて手に取るようにわかるのだが、そんなことは無粋だろう。今は楽しく遊ぶ時間なのだ】
トト > 「わかった、じゃあえっと… もうちょっと左だよ、まっすぐ、まっすぐ…。」
とぐぐ、と拳を握り締めて張り切り、迦具楽に声をかけて誘導し始める、その姿は真剣そのものだ
■焔誼迦具楽 >
「えっと、左で、まっすぐ……」
【ふらふらと一歩、二歩。本人はまっすぐのつもりだが、進めていない。
左に左に、と傾いて進んで行く】
■東雲七生 > くくく……。
そうそう、その調子その調子。
(誘導するトトも、される迦具楽もどちらも微笑ましい。
肩を揺らして笑いながら、東雲はジュースを飲んでいる。)
■焔誼迦具楽 >
「あ、七生笑ってるっ
絶対割ってやるんだから!」
【そう言って三歩四歩と進むが、どんどん左にずれて行く。
平衡感覚はまだまだ怪しい。まっすぐのつもりが左に偏っているのだ】
トト > 「あ、あ、ダメだよ、もうちょっと右!むむ、なかなか難しいね… ほら、もうちょっと、ああ、ずれた!」
とか此方も割と悪戦苦闘している、途中で微笑ましく見ている七生も目に入らないほど、指示に意気を入れているようだ
■東雲七生 > はは、がんばれがんばれー!
(迦具楽へ声援を送ってから、ふと喉に手を当てる。
先日の戦闘で少し咽喉を痛めていたのが、ふと思い出された。
──あの後すぐ診て貰って、昨日は安静にしてたけど……やっぱまだ変な感じ。
しかしすぐに頭を振ると、手元のジュースを再び飲んだ。)
■焔誼迦具楽 >
「え、えっ? 右? こっち?」
【右へ左へとふら付きつつ、とりあえずなんとかスイカに向かっていく。
が、近づいていったもののてんで見当違いの方向を向いている】
トト > 「うん、そこ、そこだよ!そこで、ええと… 左?をちょっと向いて!すぐそばだから!」
傍までよっていきたい気持ちを抑えながら、懸命に声をかけ続ける、身を乗り出すぐらいに真剣で
■焔誼迦具楽 >
「……七生?」
【送られた声援に、少しの違和感。
何時もの声に聞こえるけれど、少しノイズがあったような】
「あっ、うん!
左にちょっとで……ここっ!」
【さて思い切り振り上げて降ろした木刀(仮)だったが……。
――見事、砂をばしん、と巻き上げてからぶるのでした】
「あーもう、失敗しちゃった!」
【不満そうに目隠しを外しながら二人の下へ戻って行く】
トト > 「あーっ、惜しい、惜しかったよ迦具楽、もうちょっとだったのに… むぅ、ごめんね。」
悔しげにそう言って、ちょっとだけしょぼん、としているような
「じゃあ七生、次は僕が行ってきてもいいかい?… あ、もう飲みきっちゃったのかな?おかわりもあるから、好きに飲んでね?」
と七生の様子にちょっと首傾げつつ、迦具楽から木刀を受け取ろうとしている
■東雲七生 > 惜しかったなー、迦具楽。
まあまた今度、ちゃんとしたスイカでやる時は成功させりゃあ良いさ。
(戻って来た迦具楽を見上げ、笑顔でそう告げる姿と声に違和感のありそうなところはない。
得てして小動物は、自分の体調の不良を隠すことに長けている、ということだろう。)
ああ、今度はトトの番だな!
おっけー、それじゃあジュースもう一本貰っとくぜ、トト!
それじゃあ迦具楽、今度はお前がトトを誘導してやってくれよ。
■焔誼迦具楽 >
「はい、交代ね。
思ったより難しいから、頑張って頂戴」
【トトさんに目隠しと木刀を渡すと、東雲さんの隣へくっつくほど近くに座った】
「むう。その時は絶対成功させるし。
あ、誘導は任せてね!」
【そうトトさんに声をかけると、改めて東雲さんへと向き直る】
「……ねえ、七生」
【トトさんが準備をする間に、すぐ隣からまっすぐ瞳を見るように顔を覗き込んだ。
その表情はどこか不安そうに見えるだろう】
トト > 「ふふ、じゃあ迦具楽、宜しくね?よいしょ… ぐるぐるー、っと………。」
迦具楽と同じように装備して、くるくると回りだす
「くる… おぉ… っぷ…。」
けぷ、と少し声をこぼしつつ、ふらつく、どうやら十分すぎるように回ったらしい、ふらふらと歩き出す
■東雲七生 > うっ……またお前はそうやってくっ付いて……っ。
(迦具楽に近づかれ頬を赤らめたが、その表情を見て言葉を詰まらせる。
察しの良い彼女の事だから勘付かれたのかもしれない、そう思いながらも努めて平静を装う。)
なんだよ、そんな顔してー。
笑った事は謝るって、だからほら、トトの方を見てやれよ?
■焔誼迦具楽 >
【何かを隠そうとしている事は、迦具楽にも察することは出来た。
迦具楽の”嗅覚”は人の魂の匂いをかぎ分ける。
だからこそ……気持ちの揺れをある程度察することも出来るのだが……】
「ううん、ごめん。
なんでもな――ッ」
【――また、聲が――ダマレ――
ずきん、と軋むような頭痛と共に雑音が聞こえたが、頭を振って振り払う。
隠されたのは少し寂しかったが、それだけだ。そう、なんてことは、ない】
「トト、そこから右に少し進んで、三歩くらい!」
【木刀を持ったトトはスイカの位置に比べて左を向いている。だからこそ右へ前進させなければ】
トト > 「………? 二人共、どうかした? あ、うん、右だね、そろそろ… と、こんな感じかな。」
ゆらゆら、と揺れながら不思議そうに呟く
迦具楽の声にあわせて、ゆっくりと右に言われた通りに、ふらつきながらも歩みを進めていく
■東雲七生 > (そんな迦具楽の内面に気付けるほど察しは良くない。
そしてきっと隠すことに関しては東雲よりも迦具楽の方が勝っているだろう。
気付ける筈も、ない。
ただ、本当に“なんでもない”という事を伝えようと思い、東雲は隣に座る迦具楽の頭に手を乗せた。)
うん、迦具楽の誘導は具体的だし的確だな。
トトは上手く割れるかねえ……?
■焔誼迦具楽 >
「そうそう、その調子!
その向きのまま少しだけ左にずれて、あともう二歩くらいまっすぐ!」
【意外なことに、迦具楽の指示はしっかりとしたものである。
恐らく自分が最初にやったことで、どう指示してほしいかが解かったのかもしれない】
「……っ、な――、っ」
【頭に載せられる手が、ここちいい。
驚きはしたけれ―― ――ど、その心地よさに身を委ねた。
――聲が――否、否、否――これは、違う】
トト > 「後二歩、だね、大丈夫、いける、よ………。」
ふらふらと足取りこそおぼつかないものの、迦具楽の指示には的確に従う、足元のおぼつかなさが嘘なように、吸い寄せられるようにスイカに近づく
「……… 迦具楽? 何か、ううん……。」
少し言いよどむ、変わった雰囲気に、何か声を掛けようとしたが、その言葉が自分から上手く生まれなかったのだ
■焔誼迦具楽 >
「そのままそのまま!
後一歩進んだら、止まって、まっすぐ振り下ろしてー!」
【頭に手を乗せられたまま、どこか虚勢を張るように声を張り上げる。
今まで通りトトさんが的確に動けるのなら、スイカに当たる確立はそれなりにあるだろうか】
■東雲七生 > トトー、転ばないようにだけ気を付けろよー!
(横合いからそんな事を言いつつ。
迦具楽の頭に乗せた手を、そのまま動かして少女の頭を撫でた。
東雲に迦具楽の内側は解らない。そして自分の事を上手く伝える言葉もまだ無い。だからこうして触れて伝えるしかないのだ。
気に掛けてくれてるのは嬉しいが、それでも東雲七生は男子だから。意地を張りたい時だってあるんだと。
心配しなくても大丈夫だ、と。)
■焔誼迦具楽 >
「……うん」
【撫でられながら小さく頷く。その気持ちはツたワ――伝わっただろう。
そしてまた、少年にも伝わったかもしれない。
時折、怯えるように、不安がるように。小さく震えるのが】
トト > 「… 大丈夫かい?… ん、わかったよ、後一歩… 進む、止まる… 振り下ろす。」
ぽそり、と声を漏らしてから、迦具楽の言葉を反芻する、足取りはふらついたまま、ゆらりと、頭上に木刀が構えられる、そして
ぶんっっ!と真っ直ぐに木刀を振り下ろす、迦具楽の指示が的確なら、それは寸分たがわず、スイカを叩き割る事だろう
■焔誼迦具楽 >
「わっ、すごい!
ばっちり割れてるよトト!」
【振り下ろした木刀(仮)は、きっちりと中心に……とは行かなかったが、スイカ(仮)のやや右よりに当たり、三分の一がかけたように割れていた。
ちなみに中身も普通のスイカにしか見えない造形である。無駄に手が込んでいた】
■東雲七生 > ん……迦具楽?大丈夫か、寒いのか?
だいぶ陽も傾いて長いしな、そんな恰好じゃいい加減冷えちまうか。
(震えに気付いたが、その理由まではやはり気付けない。
狙ったかのような鈍感さを発揮しつつ、仕方ないなと身を寄せた。)
おおおおっ、やるじゃんトト!
初めてで割るとは、まあ半分は迦具楽の指示のお陰かもな!
(割られたスイカを見て歓声を上げる。
自分は殆ど何もせず座っていただけなのだが、それでも何だか嬉しかった。)
トト > 「… あ、本当だ、割れてるっ、ありがとう迦具楽、ばっちしな指示だったよ!」
確認してからふたりの方にととと、と駆け寄っていき、迦具楽に軽く抱きつこうとする
「うんうん、迦具楽の指示が的確だったお陰だよ、僕だけなら絶対無理だったかな… ありがとう七生、褒められると嬉しいね。」
まぁ、そういうのは僕、得意なんだけどね、えへへ、とくすぐったそうに七生に笑ってみせて
■焔誼迦具楽 >
「あ、ううん、だいじょ――大丈夫。
ありがと、七生」
【微笑んで答え――上手くいかない。
微笑んだ形に顔を作り、大丈夫だと伝え――】
「――って、わぁっ!?」
【トトさんに抱き疲れれば、バランスを崩してひっくり返る】
「わ、私は、ただこう、こうしてもらったらやりやすいかな、って思ってやっただけだし……」
【押し倒されたまま、少しだけ頬を染めながら―― あ
――頬を染めつつ、照れたように顔を背けた】
トト > 「ああ、成る程、【相手の気持ちになって考える】だね?ますます嬉しいよ、ありがとう迦具楽
… あ、ごめんね、痛くなかった?ちょっと勢い余っちゃった… よいしょ、と… 。」
その答えに、また笑みを深くして、うんうんと頷いている、その後押し倒してしまったことに気づいたのか
少し急いで立ち上がって、手をひっぱって迦具楽を助け起こそうとする
■東雲七生 > うん?どういたしまして。
(礼を言われるほどの事は何も無かった筈、と首を傾げる。
というか、本当に大丈夫だろうか、と言及しようとした矢先に迦具楽はトトに押し倒されていた。
突然の事に目を丸くしたが、すぐに笑い出して二人を見る。)
あっははは、もう二人とも砂まみれじゃねえか。
ま、ちょうど良いしそろそろシャワーでも浴びに行くか。
(大分体も乾いて痒くなって来ているし、髪もごわごわだな、と自分の前髪をつまみながら思う。)
■焔誼迦具楽 >
「ん、大丈夫。
そういう事、なのかなあ」
【助け起こされると、ゆっくり起き上がる。
そして、シャワーに行くと聞けば、頷いてゆっくりと、東雲さんの手に触れようとするだろう。
割られたスイカは、いつの間にか流体に戻り迦具楽の元へと帰ってきていた】
「それじゃ、私も帰らないと、かな……」
【名残惜しそうに言いながら、少年の手を取ろうとする】
トト > 「しゃわー、ここにもあるの?そっか、こういうのを落とすためにあるんだね、了解だよ
あはは、七生もばさばさだねー、ちゃんと落とさないと。」
きょとん、とした顔をしてから、そういって頷く、七生の背中にも飛んでついていた砂を手でぱさぱさと払ったり
「うん、そういうこと、だと思うよ?多分、良く分からないけれど、あ、スイカありがとう、楽しかったよ。」
首をかしげながら迦具楽にそう言って、くすくすと笑いかけて、お礼を言う
■東雲七生 > お?
(手を取られ首を傾げながら迦具楽を見る。
確か迦具楽は海に入っていなかった気がしたが、どうして手を掴むのだろうと不思議そうな顔をしている。)
ああ、ありがとう、トト。
俺の方はまあ、シャワーで流すから大丈夫だぜ?
……ああ、そうだったな。ありがとう、迦具楽。
(手を取られたまま迦具楽へと笑顔を向ける。)
■焔誼迦具楽 >
「……うん。
ごめんね、七生。帰る前に、少しだけ」
【そう言われている間にも、手から急激に熱が奪われて行くのを感じるだろう。
それが凍傷、痛みを訴えるほどになる前に、慌てたように手を離し、
――離したくない――離れたくない――自己矛盾――肯定、否否――けれど――違う――不適切――チガウ
手を離して、立ち上がる】
「そ、それじゃ二人とも、またね。
トトも、今度会ったらまた遊ぼう。あなたとなら、色々できそうだしっ」
【そのままどちらとへも、顔を合わせることも無く。
ただ、逃げるように駆け去っていくだろう。
ちらり、と見えるだろう横顔には何が写っていたか。
楽しさ、嬉しさ? 苦悩、不安? ――それは、見る人によって違っていただろう】
トト > 「……… ばいばい、迦具楽、うん、わかった、今度また、ね?」
何か、声を出そうとしたが、上手く言葉にできなくて、手を振って彼女を見送る
「さ、七生、僕たちも早くシャワー浴びよ、少し暗くなってきたし、僕も早くこのざらざら、落としたいかも。」
七生の背中をとすとすとシャワー室のほうに押していこうとする
■東雲七生 > お、おう──って、うわっ。
(手から熱を奪われて、驚きの声を上げる。
今まで何度か周囲が涼しく感じる程度や、唇の触れた部分だけとかはあったが、ここまではっきりと奪われたのは初めてだった気がする。
その感触は、とてもすぐに忘れられそうなものでは無かった。
しかし、別段不快感は無かったのも事実である。)
あ、ああ。気を付けてな迦具楽。またなっ!
(去り往く背中を、窺えた横顔を見送り。暫し考える様に佇んでいたが。
トトに背中を押されて我に返る。)
あ、ああ、そうだな!
じゃあさっさと行こう行こう……。
(促されるままシャワールームへと向かう)
ご案内:「浜辺(海開き状態)」から焔誼迦具楽さんが去りました。
トト > 「……… 七生、冷たい。」
ぽつり、と押しながら小さく呟く、聞こえるかどうかくらいのギリギリで
「うん、ね、また遊びに来ようね、誘うからさ、迦具楽にもまた会えたらいいね、でも… ん? ううん、なんでもない
あ、そうだ、うん、迦具楽とばっかり手をつなぐのはちょっとずるい気はしたね、手つなぎはいいものだ。」
でも、のあとに何かを言いかけようとするが、自分でもよくわからないように首をかしげてから、そんな事を言っていた
■東雲七生 > へ?え?何か言ったかトト?
(呟きは押されて慌てた拍子に聞き逃した。
ただ“何か言ってるようだ”というのは窺えたのだが。)
ああ、また来ような。その前にあれか、買い物だっけ?
……どうした、トト。今日はお前も何か変だぞ?
(言いよどんだり、ちょっと拗ねたような物言いをしたりするのを怪訝に思いながら。
押されるままにシャワー前まで連れて来られた。)
トト > 「別に、何でもないもの、僕は何時もどおり… いや、結構はしゃいでたかな、楽しかったもの。」
ふるふる、と首を振って緩く否定する、よくよく見れば、少し、頬が染まっているのだが
「うん、買い物だね、忘れちゃ嫌だよ?楽しみにしてるからさ… じゃ、さっさと浴びちゃお。」
と、先にシャワーを浴びに行ってしまう、何故だか、そうしたくなったのだ、気分である、気分
■東雲七生 > そうか……? まあ、確かにいつも以上にはしゃいでたよな。
まあ、楽しんでたみたいで何よりだな、俺も楽しかったし。
(背後に居る相手の顔色までは知れない。
やっぱり何だか変な感じだな、と思いつつも本人が否定しているので言及は止めた。)
一応言っとくけど、ちゃんと水着は取ってから流せよー?
それとちゃんと流した後は水着着直して出てこいよ?…って流石に言うまでもないか。
トト > 「!そっか… 七生も楽しかったんだ… 良かった。」
少し赤くなった顔がぱぁあっ、と笑顔になる、この日一番、といっても過言ではないくらいに
「うん、大丈夫だよ、僕だってそのくらい分かるさ、きちんとキレイにしておかないと、後で困るものね。」
そのままの様子でシャワー室に消えていった、どうやら機嫌(?)は一先ず治ったようだった
■東雲七生 > ん、そんなに楽しくなさそうにしてたか、俺……?
(だとしたら反省だな、と思いつつ。
トトがシャワーを終えるのを待って交代する様にシャワー室へ入っていく。
その後シャワーを終えて出てきた後は、他愛無い話をしながら帰路についたのだろう。)
トト > 「……… 何でだろうね、凄い、嬉しかったんだよ、本当に… でも、なんでだろう。」
シャワーを浴びながら、ぽつりと呟く、ぽとぽとと体から滴る雫は、時折黒い砂となって流れていき
「嬉しいけど、ちょっとだけ、ううん… もやもやする、ような、しないような… 変な感じだなぁ。」
誰へとも言わず、そんな事を呟きながら、出たときには何時もどおりの様子で、彼と談笑しながら帰ったのでしょう
ご案内:「浜辺(海開き状態)」からトトさんが去りました。
ご案内:「浜辺(海開き状態)」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「浜辺(海開き状態)」にアリストロメリアさんが現れました。
■アリストロメリア > 燦然と輝きを放ち、空高く仰ぐ真夏の太陽の下で
紫色のパレオと紺と黒の水着に身を包んだ魔女が
トロピカルアイスティーを飲んでいた
詰まる所、日光浴である
さらりとした砂の上に軽く寝そべれば
熱された太陽の熱を帯びた砂は熱く
上から注がれる太陽光も熱いのだけれど
丹田や太陽神経系が温められ、活性化するのは気持ちいいし
身体機能を強化してくれるのだった
おまけに、冷え症や女性に悩みがちな症状の改善も行ってくれて
一石数鳥の効果があるのだ
……まぁ、傍目から見れば所詮は只の日光浴であり
一介の海水浴に訪れた客にしか見えないが
■アリストロメリア > 「ん……気持ちいいですわね……」
砂の上で、その白い肢体を猫の様なしなやかな仕草で伸ばしながらリラックスしながら
降り注ぐ太陽光の温かさを満喫する
夏は暑くて過ごしにくい
……けれど、この街はやたらに学校や寮等を始めとして
至る所でクーラーが効き過ぎて、逆に内臓は冷えて寒いのだ
故に、暑いものは暑いのであるのだけれど
冷え切って冷たい内臓をこうして太陽光で温めるのは気持ちがよかった
それに、本当に暑くて耐えきれなくなったら
目の前にある海に入って、涼めばいい
そんなお気楽に楽しめる日光浴は、極楽であった
ご案内:「浜辺(海開き状態)」に奇神萱さんが現れました。
■アリストロメリア > ストローでグラスの中のトロピカルアイスティーを飲みながら、少しだけ涼む
本日のトロピカルアイスティーは、アイスティー向きのキャンディの茶葉を
通常の紅茶の二倍の濃さで作ったものを
ボウルの中にオレンジやパイナップル、マンゴーやキウイ、パッションフルーツ等の夏の果物を
適度な大きさに切って入れたものの中へと注ぎこみ、混ぜて馴染ませて暫く置いたものを
冷やして、氷を入れたグラスに注いだ物である
芳醇な生のフルーツが香り高く立ちあがる、贅沢な風味のトロピカルティーでとても美味しい
その上、簡単に作れるのでお勧めなトロピカルアイスティーのレシピでもある
■奇神萱 > よく晴れた日だった。
まだ海開きの期間中だから、浜辺に出て弾くことにした。
潮風は楽器によくない? たしかにそうだ。相応の手入れを怠れば痛みの元になるに違いない。
とはいえ、弾きたいから弾くのだ。それ以外の理由などない。
波打ち際で遊びまわる学生たちの歓声が聞こえる。
静けさに包まれた海は荒涼とした印象が付きまとう。まあ、環境音としては上等の部類だ。
大きなビーチパラソルの下、まずはエドワード・エルガーの小品をいくつかお目にかけよう。
何組ものカップルが足を止めて、開いたヴァイオリンケースには小銭の山ができていた。
今奏でているのはエルガーの『朝の歌』。
晴れやかな日差しを言祝ぐような祝福の音色。
ピアノの伴奏が異界から響く。姿なき伴奏者もどこか解放感に浸っている様だ。
■アリストロメリア > ――……そんな、贅沢な真夏の太陽の下で
夏の恵みと光をたっぷりと浴びて育ち、実った果実のアイスティーを楽しんでいた所だった
「…………?」
賑やかな浜辺の喧騒には、不相応な清々しく上品に
そして、風に乗る潮はきっと、その高価なバイオリンを痛めてしまうでしょうに――……
そう、思いながらも 風と共に伝わる音色の美しいハーモニーに心を奪われる
「……この曲は……?」
エルガ―の『朝の歌』だった
美しい朝の日差しと、日の出の喜びと これからきっと幕を開けるであろう
一日の始まりとその幸せを密かに祝福するかのような
優しくも清らかな音色が耳に入る方向へと、顔を向ける
そこには、そのバイオリンの音色の主に相応しい様な
或いは、そのような音色が人の様な姿を持ちえたとしたら……きっとそんな少女の姿となるのだろうかと思わせる
エルガ―の『朝の歌』の、とても似合う
静かで、品ある佇まいの どこかミステリアスな少女の姿が
――……きっと、そう思ってしまったのは
少女の一見黒髪に見えながらも、髪先が、闇夜から太陽の日差しが昇り
その夜明けの幕開けを思わせる――……つまりは『朝を告げる歌』を思わせる演奏と、髪の色が
とても素敵で、印象深かったからなのかもしれない
彼女の方をそっと見つめれば、真摯に楽器を奏でる姿を見て
その音色に身を委ねるように、眼を閉じゆったりとリラックスをし始めた
こんな素敵な音色なのですもの
きっと、彼女が静かに演奏を終えるまで――……楽しまないと、勿体ないでしょうから
■奇神萱 > 黙示録的な宗教観も、深遠なる叡智の香りもしないが、とにかく比類なき爽やかさを誇る曲だ。
輝かしい一日が訪れる予感がする。朝の素晴らしさを謳う喜びの音楽。
初夏から夏にさしかかるころの朝にこそ似合うのだと思う。
わいわいと物珍しそうにはしゃぐ学生たちも、ほんの数音節で静かになった。
女子は目を丸くして旋律に酔いしれ、男子は……舐めるような目でこちらを見ていた。
俺はいいから彼女を気にしてやれよ。
監視員の双眼鏡までこちらを向いていた。大丈夫なのか。
とにかく、喜んでもらえれば結構だ。
見目麗しき歌い手の姿を幻視する。その喉は言語によらない歓喜の歌を歌っていた。
弓を放したとたん、気の早い拍手が始まった。
紫色の目をした女と目があった。聴衆のひとりだ。
他の浮かれた客よりも行儀がよかったと思う。こちらを尊重してくれたのだろう。
いつも聴衆に恵まれるとは限らないのだ。気分がよくて、紫色の目を見て笑った。
次も同じくらいの小品がいい。
時は1904年。フランティシェク・ドルドラ作曲。『思い出』。
お気楽な休日。夏の浜辺にはお似合いの曲だ。
■アリストロメリア > 爽やかに、その海の空間が彼女に支配される
そこには、圧力も何も無く――……ただ、静かに
その清々しい朝の歌の音色に相応しい、巧みなヴァイオリンの音色で
海に居る人々の心を掴んだのだった
年頃の女子や、ある程度年を嗜んだ年齢層のものはともかくとして――……
驚くべきは、その音色に感心の持たない年頃であろう子供や男児までもが
彼女の音色に酔いしれて、心を奪われ静かになった所であった
……もしかしたら、年頃の男児は
凛としながらもヴァイオリン演奏を奏でる『彼女自身』に魅了されたのかもしれないのだけれど……
先程のピアノの音色といい、今度はいつの間に居たのであろうか?
美しき歌い手の姿の幻視まで、現れた所であった
言語によらない歓喜の歌は、静かに清らかに流れるヴァイオリンの音色を一層引き立てて
『もしかしてこれは、表に発表されていないだけで、隠された合奏として存在しているものなのだろうか?』
――……と、思わせるほどに
或いは、きっと
音楽のミューズに愛されたかのような音色を奏でる才を持つ彼女の傍に
そっと、そんなミューズが現れて歌い出したのかもしれない――……と、連想させるほどに
或いは、相当な鍛錬と時間をヴァイオリンに費やしたのであろうと思われる程の腕と
その瑞々しい花の咲き誇る様な容貌は……
もしかしたら、彼女自身が ヴァイオリンの精霊、或いはミューズの様にも思えるのだった
そんな、音楽の妖精を連想させる様な、可憐な少女と目が合えば密かに微笑んで
称賛と喝采を、笑みに秘めて贈るのであった
今日の美しい青空と海に似た、爽やかなマリンブルーの瞳に笑みを返されれば
静かに目を閉じて、その音色に耳を傾けるのだった
次に始まるは、フランティシェク・ドルドラの『思い出』
彼の作品の中でも、とりわけ有名で上品ながらも軽やかさのある音色は
先程の朝の歌が清々しく上品さがあるものと比較すれば
重厚さもありながら、決して重さは無く……
それでいて、過去の楽しい思い出をそっと思い出して、余韻に浸るかのような……
そんな印象を連想させるのは――……
――……きっと。彼がこの曲を作った時のエピソードとして
友人を訪ねる為に乗った電車の中で、シューベルトの墓の近くを経過した時に思いつき
慌てて切符に書き留めたと言われる
『郷愁の想い』の詰まった友人の元へと尋ねると同時に
偉大な音楽家のシューベルトの有名な癖である『思いついたメロディを、メモする』という
双方が、綺麗にエッセンスとして混じっているからだろうか?
……そんな事を想いながら、静かに彼女の、華麗ながらも重厚なテクニックを
さらりと披露するヴァイオリンの旋律に耳を傾けるのであった
■奇神萱 > 結局のところ、俺は一介の伴奏者に過ぎない。
聴衆の体験に華を添える役回りだ。主役はもっと別にいる。
来年の今ごろか、五年後か十年後にでも、この曲を聴いたときにふと今日のことを思い出す。
幸せだった時間を思い出して、噛みしめるように笑うのだ。
そういう思い出のよすがになればいいと思う。
ミッシャ・エルマンのレコーディングを聞いたことはあるだろうか。
のびのびとして気負ったところがなく、何より本人が楽しんでる。
あれくらいお気楽でいいのだ。この曲は。
ガット弦の張替え代くらいにはなっただろうか。せめて半分くらいは?
あと一曲くらいやってもいいか。
ピーチパラソルの下、しっとりと汗ばんでブレザーを脱いだ。
潮風にさらされて熱が冷まされていく。
―――おい待て、歓声を上げるな。やめろお前ら。
最後はジュール・マスネの歌劇から。第2幕第1場と第2場の間に奏でられる間奏曲。
ヴァイオリンの独奏で魅せるにはもってこいだろう。『タイスの瞑想曲』。
■アリストロメリア > 「…………?」
ふ、と――……彼女の方へとハッとして、閉じていた目を開いて振り返る
『目の前に居る』のは紛れもない『ヴァイオリンを演奏している少女』
その筈なのに……何故か?
先程の少女とは、がらりと曲の雰囲気が、一瞬で変わったかのような
或いは別人が乗り移ったかのように感じたのは――……?
曲自体が変わったからか?――……いいえ
音楽でも、絵画でも、演劇でも……
芸術という物に関しては『その創作者の精神』という物が作品に宿るのだ
それは、魔術に似て等しい物でもあるのだけれど
彼女の場合は『正に別人』とでも言うかのように……
音色に乗る魂の旋律たるものが――……先程の彼女の色では無い様に感じるのは……?
汗ばんでブレザーを脱ぐ
たった、それだけの仕草だと言うのに――……何故だろう?
先程の、可憐で清楚な雰囲気の少女には似つかわしくない乱暴さが垣間見えるのは……?
――……等と思いながら、次に始まるは
ジュール・マスネの喜劇『タイス』の間奏曲
その名の通りと言うべきか『タイスの瞑想曲』である
オペラという物は非常に長く、その間にバレエや演奏を挟み休憩する事もあるのであるが
これは珍しく、ヴァイオリンのソロで演奏されるものなのである
して、その『タイス』自体の内容もまた凄まじく
娼婦と修道僧の恋愛の物語なのだ
同時に、この作品の有名な――……
「……フェニーチェ、歌劇場……」
ぽつり、とその名を口にする
……まさか、目の前の彼女は――……
いいえ。名前だけしか聞いた事は無いのだけれど……あの、有名な……?