2015/08/01 のログ
東雲七生 > 「あはは……
 あんまり特殊な感じはしないけどなあ、俺、ただの学生だし。
 
 そうそう、その学校の学生だよ。
 つっても、まあ、落ちこぼれの部類、だけど……。」

(あくまで自分に対する自分の評価は“平凡”だ。 
 特殊なところなんてほとんどない、と思う。

 焼そばを食べんと素顔を晒した姿を見て、ほぁ、と息を吐いた。
 女性だったんだ、と感嘆する。
 今の今まで全く気付かなかった様だ。)

「お、熱そう……。
 ダメだぜ、ちゃんと少しは冷まして食わないとさ!

 ……え?俺?
 いやいや、俺はべつに……!」

(流石に異性の食べかけを頂くわけにはいかない、と)

ダナエ > 「学生か。一番伸びる時期だな。
 おまえのように鍛錬する者は上から落ちこぼれたのではない、
 下から這い上がる者だ」

自分の今後に期待しろ、と付け加えてこぼしかけた焼きそばを口に押し込む。

「遠慮せずともいいのだぞ。
 まあ、満腹になってしまうとらんにんぐに差し支えるだろうからな」

自分で食べたい気持ちも強かったので、あっさり引き下がりもぐもぐと食事を続ける。
焼きそばの最初の一口の熱さで舌が麻痺したため、味がよく分からない。
香りは間違いなくいい!という認識。

東雲七生 > 「いや、それは……
 そうだったら、良いなあ……。」

(流石に買い被り過ぎだと思ったが、
 初対面の相手にそこまで言い切られるとくすぐったくて適わない。
 照れたように頭を掻いて備え付けのベンチに腰を落す。)

「いやいや、それは、……えーと、
 そういや名前聞いてなかったな! 俺、東雲七生!
 
 アンタの名前はっ?」

(流石に鎧さんと呼ぶわけにもいかず、小首を傾げて尋ねる。)

ダナエ > 「この国の人間はひどく謙虚だな……。
 小さいうちは尊大なくらいで丁度いいと思うぞ、私は。
 大人になれば、嫌でも天狗の鼻をへし折られるからな」

年輩の教師のような口調で言う。
元は国仕えの騎士だったため、目線がやや大仰。

焼きそばを粗方食べ終えて、箸を置く。

「ああ、まだ名乗っていなかったな。失礼。
 ソノノ、ん……違うな、シノノ、メか。
 覚えておこう。私はダナエだ」

東雲七生 > 「小さ……ッ」

(表情が強張る。額に青筋が浮かぶ。
 しかし相手は初対面だ、流石に怒鳴り散らすわけにもいかない。
 何よりその所為で話が続けられないのは困る。
 乾いた笑顔を無理やり貼り付けて、ギリギリで理性がブレーキを掛けた。)

「ダナエ、か!
 へへ、よろしく、ダナエっ!

 そんでさ、ダナエは何処から来たんだ?
 海の中からってのは大体分かるけど、俺が聞いてんのは“その前”の話!」

(つまり出身世界の事だろう。)

ダナエ > 「む。どうかしたか?」

相手の変調に気づくが、その理由までは思い至らず。

「……“私の世界”、“おまえの世界”。
 おかしな言葉だな。
 この世界に来るまで私は、世界は一つしかないと思っていた。
 だがそうではなかった、そうではなかったのだ……」

遠い目。
異世界に来てしまった精神的なショックは、まだ尾を引いている。

「私は私の世界の一部しか知らんが、そうだな、
 この国より緑はずっと少なくて、空気も乾いている。
 人間はあまり変わらないが、動植物は大分違うな。
 見た目が似ているから同じと思うと痛い目に遭う。
 ……そうそう、ここは月が一つしかないが、私の世界の月は二つある」

何故か得意げに手甲に覆われた指を二本立てて見せたのも束の間、双子の月の浮かぶ夜空を思い出してホームシックに。

「……なあシノノメ。
 別の世界からこの世界に来て、無事に元の世界に帰れた者は過去にいるのか?」

東雲七生 > 「な、何でもない……。」

(貼り付けてなお引き攣る笑顔を鎮めながら首を振る。
 クールになれ七生クールに、と心の中で繰り返し唱え。)

「まあ、確かにおかしいんだろうな。
 ほんの数十年前まで、こっちの世界も殆どが同じように“世界は一つだけ”だと思ってたと思うよ。
 けどまあ、流石に俺が生まれる前にそれが否定されて。

 今じゃ当然の様に異世界も異能も魔術も認められてるからさ。
 俺にとってはあんまりショックは無いんだよね、しょーじき。」

(生まれたときから“そうだった”のだから。
 世界は一つきりと思われていた時代なんて、それこそ七生にとっては過去の遺物でしかない。
 実感の薄いものに感傷の入る余地は無い。)

「へえ、月が二つも……
 
 う、ん?
 元の世界に帰れた人?……あー、どうなんだろう。
 来られたんだから帰れない理屈は無いと思うけど、その“理屈”がどんなもんかは俺には分かんねえんだよな。
 
 ……ただ、絶対に帰れないって事は無い、と思うけど。」

(盲点だった。
 今まで話をした事のある異邦人は誰一人として『元の世界に帰れるだろうか』などとは口にしなかったように思う。
 なので当然の様に思考から外していた。
 異世界に行く、あるいは異世界から来るとして、その逆、帰る方法。)

ご案内:「浜辺(海開き状態)」に東雲七生さんが現れました。
ご案内:「浜辺(海開き状態)」に東雲七生さんが現れました。
ダナエ > 「……?」

何でもないとは言うが、やはり変だと思いながら。

「ははーん。やはりヤキソヴァが食べたくなったのだな?」

ピントのずれた推測を楽しげに述べる。

「そうなのだろうな、
 この国の人間にとっては……ありふれたことなのだ」

自分に言い聞かせるように言って、背筋を正す。

「そう、世界を移動する術はあるのだ、確実に。
 ……私が、私達異邦人が、
 ここへ来たのと逆の手順さえ踏めれば、きっと……!」

ぐっと握り拳を作り、元の世界へ帰る決意を改めて固める。

「……“おまえの世界”でない世界に、興味があるようだな?
 私が世界を自由に移動する術を見つけた時には、
 “私の世界”に遊びに来るといい。
 ヤキソヴァも旨いが、ヤトルーシュも旨いぞ」

話しているうちに闘志が沸いてきた。
遠くを見ていた目が目の前の少年へと向けられる。

ヤトルーシュ、は郷土料理らしい。

東雲七生 > 「いや、それはない。」

(きっぱりと否定する。
 焼そばは確かに美味しそうだが、どうしても食べたいと思うほどではない。
 勘違いされて余計な気を使われるのもお互い困るだろう、と違うことは違うと言っておくに限る。)

「ありふれた、というか殆ど慣れちゃったかな。
 そっか、幾ら“こっち側”で当たり前だとしても他所じゃそうでもないんだよな……。
 それこそ、つい昨日異世界の存在が認められたって世界もあるのか……なるほど。」

(興味深い。
 非常に興味深い話だ、と七生は腕を組んだ。
 こうして新たな見識を得られるから、異邦人との接触は止められない。)

「まあ、帰る方法を探したいっていうならさ、
 ダナエも学園の生徒か先生にでもなってみたら?
 
 というか、この島に居るには最低でも生徒になっとかないと色々面倒って話も聞くぜ?」

(然るべき手順で然るべき場所に申請すれば補助も受けられるんじゃないだろうか。
 その辺の事情には明るくないが、特に問題があるわけでもなければ門前払いされる事も無いのだろう、と七生は思う。)

「へえ、ヤトルーシュって食いもんがあるのか!
 そういや異世界の食い物ってあんまり食った事ねえんだよなあ。それはちょっと楽しみかも。」

(どんな食べ物なのかと気が早いが想像する。
 未知のものに思い馳せるのは中々に面白い。)

ダナエ > 「なかったか」

推測は当然ハズレ。
残りの焼きそばを不器用な手つきで、しかし丁寧にすくい取って口へ運び、わしわしと咀嚼。

異世界についての認識の違いに頷く。

「そういうことだな。
 世界は広い……いや、世界は多い。

 この世界よりも進んだ世界……
 とっくにどの世界とも自由に行き来できるようになっている世界、
 という世界もあるかもしれんぞ」

頭がぐちゃぐちゃになりそうな話。
ふぅっと長いため息をつく。

「なるほど。生徒か教師か……。
 ただでさえ異邦人で不便だというのに、
 これ以上不便になるのは厄介だな。
 そうしてみよう、進言感謝する。

 ヤトルーシュは私が奢ろう、旨すぎて舌が溶けて落ちるぞ」

有用なアドバイスに、真面目に礼を述べる。
この世界の表現では落ちるのは頬なのだが、“私の世界”では舌なのだった。

身じろぎをする。

「……さて。
 私はそろそろ、今夜の宿探しに行かねばならん。
 なにせ移動に時間が掛かるのでな……」

東雲七生 > 「そうだなあ、異世界があるって事が分かってるんだから、
 どんな異世界があってもおかしくないんだよなあ。」

(焼きそばを食べ終えたダナエを見ながら、何度か頷く。
 色々と思うことはあり、そして聞きたい事もあったが。
 ダナエが溜息を吐けばそれ以上の言及を止めた。)

「そっか、分かった。
 ここから海沿いに東に進んで行けば異邦人の街があるよ。
 今夜の宿を探すなら、そっちに行ってみると良いかも。
 学園の事も、そっちで聞けばもっと詳しい事知ってる人が居ると思う。

 へへ、ヤトルーシュがいつか食えるの、楽しみにしてっからさ!」

(舌が落ちる味とはどんな味なのだろう。
 期待が膨らむのを抑えきれない、と言った様子で満面の笑みを浮かべた。)

ダナエ > どんな異世界があってもおかしくない、との言葉にほんの少し笑みを浮かべる。

「まったく、この世界に来てから驚かされることばかりだ。
 おかげで私の世界に帰った時の土産話がどんどん溜まる」

「おお、異邦人の街があるのか。
 ……今日は何から何まで世話になったな。
 重ね重ね感謝する」
姿勢を正し、騎士の一礼。

「ああ、飛びきり上等の肉を使ったやつにしよう。
 私も普段は食べられないくらいのな。

 らんにんぐ、を中断させてすまなかった」

東雲七生 > 「俺も俺も。
 ここの学校に来てから自分の常識が書き換えられてばっか。
 でも、何か面白いんだよな。次々に自分の前に色んな可能性が出て来るっていうかさ。」

(子供っぽい笑みを浮かべて心底楽しそうに話す。)

「いやいや、こちらこそ。
 話し相手になってくれてどーもね!」

(慌てて椅子から立ち上がって、
 ぺこり、と頭を下げる。格式ばった礼は出来ずとも、それは心の篭ったお辞儀。)

「よっしゃー、肉だー!
 うへへ……楽しみだなぁ~。

 んぁ?ああ、いいよいいよ、気にすんなって!
 それじゃあ、道中気を付けてな!結構暑くなりそうだし!」

ダナエ > 「世界を移動するなどという突拍子もないことでなければ、
 何か新しいことが起きて、それに色々な考えを巡らせている時間というのは楽しいものだ」

子どもっぽい笑みに釣られるように、こちらも悪戯めいた表情。

「感謝するのはこちらだと言うのに……」

感謝合戦になりそうなので、再度の礼をしたいところながらそれは控える。

気をつけて、という言葉に眩しそうに頷き、

「私の信じる神は、この世界では無力かもしれないが……
──シノノメに神の御加護のあらんことを」

小さな頃から祈りを捧げてきた神の力さえ、この世界では疑わざるを得ない。
それでも胸に握った右手を当てていつものように祈り、見送るのだろう。

ご案内:「浜辺(海開き状態)」からダナエさんが去りました。
東雲七生 > 「サンキュ!
 それじゃーまたな、ダナエっ!」

(パラソルの下から夏の日差しの下へ。
 数歩進んで振り返り、大きく手を振ってから再びランニングを始めた。
 ダナエがこれから進むのとは逆の方向、未開拓地区方面へとその姿が小さくなっていく。)

ご案内:「浜辺(海開き状態)」から東雲七生さんが去りました。