2016/06/19 のログ
ご案内:「海底遺跡群」に蕎麦屋さんが現れました。
蕎麦屋 > 海底遺跡――所謂古代の遺跡迷宮群の中。
場違いな屋台を担いだ女が一人。

「――いやぁ、こんな処まで脚を伸ばす羽目になるとは。」

――大ざっぱな方向こそわかるものの、特に目的地があるわけではない。
というかそもそもいい加減に来ておこう、それだけの話ではある。

そもそもどうやってきたのか?歩いてきたのです。
人間頑張れば海底だって案外いける。

「――本当にやりそうなのが今の人らの怖い所ですよねぇ」

蕎麦屋 > 海底遺跡といった所でめぼしい何かがあるわけでもない。今のところは。
ぶらぶらと、浅い層から深い層へ。

こんな場所で店を開けても、来るのは――

「住みついてるナニカ、くらいのものですし。」

流石に小銭も持ってないだろう。流石に。

蕎麦屋 > あの黒眼鏡。ルギウスとやらが呼び出すつもりだった、というからには。
何かしらはあるはずなのだ。
――いや、ネタで海底から呼びました、とかあり得る、あの愉快犯。

なお、今日の提灯は『掛け200円、海老天200円』である。

「んー……」

迷う心配はしていない。最悪は直上掘りでいいのです。
ちらりと見た壁画に掛かれているのは、最も新しく最も古い異貌の神々。

蕎麦屋 > 「この遺跡、沈めた方がよくありません?」

首を傾げ、だらだらと奥へと進む。
商売っ気の糞もない場所だし、もうちょっと後回しにするべきだったかなぁ。などと思いつつ。

いや、気配はするのですけれどね。あっちこっちから。

蕎麦屋 > 「――んー。」

それなりに、奥へ。まだまだ先は長い。
気配こそすれど、音の一つもない静かなもの。

その静寂の中で、草履の鳴る音と、風鈴の澄んだ音色だけが木霊する。

いい加減なにか居ないモノか。目当てだと嬉しいが、そうでなくてもこの際どっちでもいい。

蕎麦屋 > 「山の方がまだ遭遇できますか――」

ここにも間違いなく居ると思ったのだが。
――出てくる気がないか、最初からいないか。
考え事をしていれば、目の前は行き止まり。

「――いったん帰りますか。」

くるりと踵を返す。

蕎麦屋 > ぽん。と手を一つ叩いて。
屋台が消えて、代わりに現れたのは蕎麦屋のカブ。
またがり、エンジンを掛ければ――ぼへぼへと独特な駆動音が静かな遺跡に響き渡り――

遺跡を、蕎麦屋カブが、駆け抜けていく。

ぼへぼへ。

ご案内:「海底遺跡群」から蕎麦屋さんが去りました。