2016/07/26 のログ
ご案内:「浜辺」に界雷小羽さんが現れました。
界雷小羽 > 「食べれたとしても、この砂のお城は食べないで下さいね。」

小羽は、海に遊びに来ていた。
来ていたが、どこもだれも複数人で来ているし、
なんとなくいたたまれない気持ちになって、一人で黙々と砂のお城を作っていた。
そんな中、「瞬間移動とか、砂を食べ物にできたりとか、ていうか砂食って生きていける種族だったらなあ。」

という、今の小羽としては少しばかり物騒なつぶやきが聞こえた為、
そちらに半眼を向けて、ぼそっと、そう言った。

東雲七生 > 「食べれたら食べるってだけで、生憎俺は砂を栄養に出来る気はしないかな……」

愈々幻聴まで聞こえ始めたかな、と消え入りそうな声で答える。
以前から自分にしか聞こえない声に悩まされることもあったし、今回もその手の類だろうと思っていたのだが。
確認がてら声のした方へ目を向ければ、砂の城と、少女が居て。

「………。」

しばしの逡巡の後、

「なあ、何か食べ物持ってない……?」

背に腹は代えられない、と乞食みたいな台詞を吐き出した。

界雷小羽 > 「それなら安心ですね。」

小羽はそう言うと、ぱんぱんと膝についた砂を払って立ち上がった。

「………食べ物?」

首を傾げて、しばらく、考えるような素振りを見せる。
飲み物は無いか、なら、熱中症、と考えるところだったが、食べ物である。
小羽は常識的な思考の末に、海の家を指さした。

「普通に、買えばいいんじゃないですか?」

東雲七生 > 「あそこまで、行く気力が、もう……ない……」

割とこうして喋ってるのもギリギリのところだったりするのだ。
とてもとても情けないのは百も承知だけれど、このまま朽ちる訳にもいかない。
もっとやりたい事があるのだ。崖からの飛び込みとかまだしてないし。

「良ければ、何か買ってきてくれたら助かるんだけど……」

お金はちゃんと出すから、と前以て提示して。

界雷小羽 > 「分かりました、特に鮫とかがいるわけでもない平和な海で、
 なぜそんな状態で倒れているかは分かりませんが、ひとまず、急を要するようですから、買ってきますね。
 事情はその後で聞かせてください。
 
 そうですね、ひとまず、先ほど海の中で捕まえたタコでも食べて待っていてください。
 生食出来ないという程ではないと思いますから。死ぬよりはいいかと思いますし。」

小羽は、どうぞ、と近くに置いてあったバケツからタコを取り出すと、目の前にぽん、と置いた。
うにゅるうにゅると東雲のほうににじり寄るそれをほったらかしに、
「ああ、お金は払って貰いますから、当然です。」と、だけ言い残して、すたすたと海の家の方へ向かう。

東雲七生 > 「さんきゅ……」

七生自身何故こんな事になったのかは分からない。
いや、空腹を気にせず泳ぎ回ってた所為なんだけど、それを認めるにはあまりにも情け無さ過ぎて認められなかった。
きっとお腹が膨れれば認められる気がする。そんな気がするんだ。

「……たこぉ……?」

何を言ってるんだろう、と思えばなるほどタコが居る。
確かに生で食えるだろうけれど、こんなの良く捕まえてきたなぁ、と感心してる間に少女は海の家に向かってしまうし。
せめて何か捌ける道具か何か残していってほしかったなぁ、とぼんやり思ってる間に頭にタコが上って来た。

そしてそのまま頭上に落ち着かれて使いに出した少女を待つ羽目になる。

界雷小羽 > 「焼きそばと飲み物、あとタコ焼きとフランクフルト買ってきました。
 タコ、食べなかったんですか。………頭に乗せてると間抜けな絵面ですね。」

小羽は、この焼きそば、これだけで食べるには少ししょっぱいんですよね、
と、店に悪態をつきながら、近くにしゃがみ込む。

「自分で食べる元気はありますか?」

ひとまずタコ焼きを手に持って、小羽は首をかしげた。

東雲七生 > 「おかえり……
 いや、もう指一本動かすことすら億劫で億劫で……」

それでも七生の頭に乗っているタコの足は一本欠けていた。
どうやら顔に触れたものに齧りついたらしい。
もごもごと咀嚼しつつ返答をしていたが、焼きそばのソースの匂いを嗅ぎ取った途端凄まじい勢いで跳ね起きた。
同時に、最後の力を振り絞ったのかバイクのエンジン音の様な音が七生のお腹からする。

「大丈夫、自分で食える!!」

頭にタコをへばりつかせたままこくこく肯いて、
さながら中型犬の様に少女を見る。尻尾は生えてないので振ることは無い。

界雷小羽 > 「そうですか、ならどうぞ。」

焼きそばと飲み物、夏らしい色のラムネを手渡すと、
小羽はフランクフルトを頬張った。ぷちっといういい音と共に、じわっと肉汁が染み出す。

「ああ、これは買い物の駄賃に貰っておきますね。
 ………あと、飲み物も1本。
 
 私、貸し借りを作るのは性に合わないので。」

手渡したのと別に買ってきたらしいラムネを揺らして、小羽は小さく笑う。

「それで、一体なんでそんな状態で砂浜に倒れていたんですか?」

東雲七生 > 「さんきゅ!!」

食料と飲料を受け取ると、威勢良く礼を述べる。
その後は脇目も振らずに、押し込んで流し込む様にあっという間にそれらを胃の腑へと詰め込んだ。
きっと少女がフランクフルトを半分も食べない間の出来事だろう。それほどまでに七生は空腹だったのだ。

「はぁー、ひとまず海の家に行くだけの回復は出来たな。
 さんきゅ、砂の城の子!ホント助かった!」

あの世に半身突っ込んでたような顔から一変、きゃらきゃらとした子供っぽい笑みを満面に少女へと向ける。
理由を問われれば、少しだけ悩む素振を見せて、

「うーん、朝からずっと何も食わねえで泳いでたからかな……
 朝飯もおにぎりだったし、やっぱ腹減ったら素直に何か食いに行くべきだった。」

海を楽しみ過ぎたなー、と真面目な顔で反省している。

界雷小羽 > 「ただのアホでしたか。」

―――その分奢って貰ったからいいですけど。
呟きながら、フランクフルトをもごもごと食べる。
ラムネをぷるぷるとしながら開ける。

「ラムネって、開けるとき少し怖いですよね。」

一口飲んだ。

「男子高校生らしくていいんじゃないですか?
 アホっぽいですし、事実として馬鹿としか思えませんけど。」

砂の城の子なら、私はお姫様か何かですね。悪くないと思います。
と、呼び方にコメントを残しながら、カラカラと音を立てるくらいまでラムネを飲むと、立ち上がる。

「何はともあれ、良かったですね。お互いに。」

小羽は、もう帰りますかねと呟きながら、
波に流されて溶けてしまった砂のお城を見る。

東雲七生 > 「アホだの馬鹿だの言いたい放題だなあ。」

苦笑しつつも、まあ事実なので否定はしない。
むしろ自称すらするフシがある七生は小さく肩を竦めて、

「まあ、ぷしゅーって溢れて来るもんな。
 俺は怖いっていうより、勿体無いの方が強いけど。

 あ、帰る前にちょっと待って。
 ちゃんと代金渡すからさ。ええと……。」

そう告げて水着のポケットの中を探り始める。
ジッパー付のポケットから出て来たのは防水ケースに入った小銭と数枚のお札。
そのうち少女が持って来て自分が食べたものと、少女が食べた物。全ての代金を計算しようとして、面倒臭くなって。

「はい、じゃあこれで!
 余計な分は手間賃って事で!」

結果、多少のおつりが出る金額を差し出した。

界雷小羽 > 「手間賃、と言うなら遠慮なく貰っておきますね。
 本当に手間を焼きましたから。」

どうせ暇でしたけど、と、小羽はため息をついた。
高校生らしいかと思って海に遊びに来たものの、
やった事といえばお城を作り、タコを捕まえ、アホを助けただけ、
そんな事実に対する、嘆きと、悲しみと、呆れの籠ったため息。

「では、今後はほかの人に迷惑をかけないように遊んで下さいね。
 溢れるラムネを勿体ないと思う割には、太っ腹なお兄さん。」

小羽はひらひらと手を振ると、帰る前に軽く塩を流そうと考えて、
海水浴場の端にある、温水の出るシャワーのほうへ歩いて行った。

ご案内:「浜辺」から界雷小羽さんが去りました。
東雲七生 > 「おう、じゃーなー!


 ……あ、そういや名前聞いてねえや。
 ま、学校の方で見掛けた時にでも改めて礼を言って名前聞けばいっか。」

何だかんだ言いつつ手間かけてくれた訳だし、悪い奴ではないだろうと勝手に判断して大きく肯いた。
それまではペンギン城の子、とか適当な仮名で覚えておけばいいや、
と窮地を救ってくれた恩人に対するには若干ぞんざいな扱いをしつつ。

──改めて、腹の虫が鳴く。

「うんん……もうちょい何か食っとくかなあ。」

まだまだ資金には余裕がある。
今持ち歩いているのが全財産でもなし、使い切る心算で持って来たのだからパーッと行こう、と七生は再び体力が尽きる前に海の家へと走った。

東雲七生 > ──海の家でたらふく飲み食いして、ついでにかき氷までテイクアウトして浜辺に戻ってくる頃には、
海水浴客の賑わいもひと段落しそうな雰囲気だった。

賑やかな夏の海も良いけど、少し落ち着いた海岸も良いな。
そんな事を思いながら、砂の上に腰を下ろしてかき氷を食べ始める。
すぐに特有の頭痛が七生を襲い、ああこれこれ、と悶えながらも夏を実感する。

「っはぁー……夏休みだなあ、夏休み。夏休みー♪」

去年の休暇は本当に、普段通りの登校を余儀なくされていたので、初日から夏季休暇を満喫するのは今年が初めてだった。
だから去年分も合わせて楽しもうとした結果、浜に打ち上げられたりしている。

それでも、七生の笑顔には後悔の色は全く無かった。

ご案内:「浜辺」に迦具楽さんが現れました。
迦具楽 >  
 そうやって浜辺で戯れている少年の視界。
 突然水面から尖った物が飛び出してくるのが映るだろう。
 そして徐々にそれが浮上し、最終的に妙な姿が現れる。
 右手には槍の様な道具を持ち、顔には大きなゴーグルを着け、全身ぴっちりとしたスーツを着ている。
 明らかに海水浴じゃないなにかをしていた姿である。
 そんな妙な人影が、ゆっくりと浜に近づいてきていた。

「……あれ、ここって海水浴場じゃ。
 あ、七生だ。やっほー!」

 聞こえてくるのは、意外かそれとも案の定か、知ってる少女の声だろう。
 そして少年には幸いか不幸か、捕捉されてしまったらしく明らかに向かってくるのが見える。
 妙な格好な上に、腰には魚や貝やなんだと詰め込まれているやたらでかい網がぶら下がっていた。
 

東雲七生 > 「……あれ?」

早くかき氷を食べ終えてもうひと泳ぎしよう、と海を眺めていた時だった。
突如、水面から何か生えた。怪訝そうにそれを見つめていたら、最終的に人影まで水面に現れて。
何だか変な人も居たもんだな、と関わり合いにならないようにしようと素知らぬ顔でかき氷を食べようとしたら、

名前を呼ばれてしまい。

「……その声は、まさか迦具楽か……?」

どうみても遊んでた様には見えない状態でこちらへ来る姿を見て。
折角のブルーハワイの味がみるみる口の中から消えて行くのを感じた。

迦具楽 >  
「やっぱり七生だ。
 一人でどうしたの? 海水浴中?」

 まさか、と思ったとおり、妙な事をするのはやはり迦具楽である。
 ゴーグルを頭の上にずらせば、顔に少し跡が残った知った顔が現れた。

「あっ、カキ氷美味しそう!
 ねえねえ、一口分けてもらってもいい?」

 そして近寄ってくれば真っ先に目が行くのはカキ氷の方である。
 少年がどんな表情をしているかはわからないが、きっとどんな表情をしていても、にこにことカキ氷を分けてもらおうと顔を突き出して口をあけるだろう。
 つまり食わせてくれという要求のようだ。
 

東雲七生 > 「だよなあ、焔誼がこんな突飛な事するわけないもんな……」

ゴーグルをずらした顔を見れば、疑問が確信に変わって。
一体何をしていたのかと問い質す前にかき氷を要求されて、一つ溜息を吐く。

「ほら、あーん。」

口を開けて待機されてしまっては断るにも断れず。
半分ほど溶けたかき氷をストローのスプーンで掬うとそのまま迦具楽の口へと運ぶ。

迦具楽 >  
「玖杜は多分、ダイビングなんてしたら死んじゃうわよ」

 今の自分の原型になった人物を久しぶりに思い浮かべて返した。
 彼女はとても難儀な体質なのだ。

「あー、ん。
 ……んー!
 冷たくておいしー!」

 一口貰えば満足したか、嬉しそうに破顔して幸せそうである。
 それからゆっくりと左右を見渡して首をかしげた。

「うーん。
 ねえ七生、ここって海水浴場でいいのよね?
 おかしいなあ、沖の方に居たのに随分流されちゃったみたい」

 そう言ってやけに大きな網を外して横に置き、「疲れたあ」と腰を下ろした。
 網の中には旬の魚達にタコが混ざって、蟹も放り込まれている。
 もう見るからに、獲って来ましたと言わんばかりだ。

 

東雲七生 > 「だよな、焔誼が水辺に居るのってあんま想像できないし。」

話の中心に居る友人の体質を知っているわけでは無い。
あくまで気がする、程度なのだが。それでもやっぱり水辺は苦手とするようだった。

「……うん、海水浴場。
 沖の方って、お前もしかして漁でもしてたのか?
 その魚……銛で?」

まじかよ、って顔で迦具楽と網と銛をそれぞれ繰り返し見遣る。
さっきの少女もタコを獲ったと言っていたし、何だかワイルドな女子が多過ぎないかと頬が引き攣った。

迦具楽 >  
「玖杜は体温が下がる事に凄く弱いから。
 平熱が四十度以上あるから、普通の人の平熱くらいになると致命的ね」

 想像の通り水辺には殆ど居ない。
 苦手どころか命に関る問題だった。

「うん、漁よ。
 趣味と実益を兼ねてって感じかしら。
 中々楽しいし、ほら、結構獲れたの!」

 と、自慢げに網の中身を見せる。
 銛で突かれたためか魚の胴にはしっかり穴が開いている。
 タコは生きているようで、魚に埋まりながら網の中でうねうねしている。
 

東雲七生 > 「ふーん、そうなのか。
 まあ、よく燃えてたもんな。だったら水の多い所は良くなさそうだよな。」

それは本人以外の口から告げて良い事なのだろうか、と少しだけ疑問に思いつつ。
まあ全くの他人なわけでもないから、良いのか、と納得して頷く。
友人の弱点を把握しておくのはいざって時に備えて大事なことだ、と自分に言い聞かせて。

「お、おう。それは見ればわかるけどさ。
 ……でもほら、魚は水の中に入れといた方が良いと思うぞ?
 すぐ悪くなりそうだし。」

ついでにタコは生きてるし、と。
銛で突かれたのならもちろん死んでいるだろう。
あとはどれだけ鮮度を落とさない様に維持するかだ。
……まあ、多少悪くなってもこの少女が食べる分には問題は無さそうだけれど。

迦具楽 >  
「そういう私も、体温が下がるのは苦手なんだけどね」

 少年の疑問を知ってか知らずか、ついでとばかりに自分の弱点(?)まで提供していく。
 口ぶりからして、迦具楽の中では玖杜についても自分の弱点についても、口を噤むほど重要な事じゃないのだろう。

「んー……言われて見ればそうかも。
 でも、ただ水に着けても鮮度は落ちちゃうし……仕方ないか」

 そう言うと迦具楽は片手を網の中に突っ込む。
 その手触りに一瞬眉を顰めたが、少しすると僅かに周辺が涼しくなったように感じるだろうか。
 そして網の中では、なぜか魚やタコ達が徐々に凍って行っている。

「……こんなものでいいかしら。
 海の家にでも持って行ったら、調理してくれるかなあ」

 「調理させてくれるのでもいいんだけど」なんていいつつ。
 ついに元気だったタコまで氷漬けになってしまった。
 時折見せていた熱の吸収、その極端な応用方法である。

 

東雲七生 > 「でも、お前は水の中入れるんだな?」

そういえば初めて見掛けた時も雨の中だった気がする。
単純に能力的に上位互換なのだろうか、と首を傾げるも流石にそこまで詮索する気は無いらしく、すぐに気にしなくなった。

「……? 何をして……」

不可思議な行動をとり始める迦具楽を見て、怪訝そうに眉根を寄せる。
七生が見ている間にも魚やタコはどんどんと熱を失っていって、最終的には凍結された。
なるほど、以前自分がされたことの強化版だな、と思い出して頬に触れた。

「ん、んっ。 まあ、海の家ならピーク過ぎれば調理場貸してくれるんじゃないか?」

自分がバイトしていた時は、そんなお客さんは来なかったけど、と思い返しつつ。

迦具楽 >  
「うん、余裕のあるときだけね。
 自分の体温を保ちながらだから、普通より疲れちゃうけど」

 「だから趣味なの」と、自分の格好を示した。

「ふふ。大したものでしょ?
 そっかあ、じゃあちょっと貸してもらおうっと。
 ああいうところなら大きなフリーザーもありそうだし」

 少年が頬に触れた瞬間、何を思い出したのか察してにやにや笑い。
 と、重たそうに腰を上げつつ。

「そういえば七生は、まだ海水浴続けたりするの?」

 海の家に乗り込もうと、網を背負いながら聞いてみる。
 

東雲七生 > 「なるほど。
 でもまあ、外に出ればこの暑さだし、限度さえ見極められれば問題は無い感じかぁ。」

納得しながら改めて迦具楽の格好を見る。
お互い成長しないなあ、と去年を振り返ってしみじみと。

「そ、そうだな。そうした方が良いな。
 ……って、何だよその顔!何も思い出してねえよ!」

日焼けで赤いから判別付き辛いが、それでも頬を赤らめて。
そして同時に、自分も魚たちの様になる事もあるのだろうか、と背筋が冷える思いもしたり。
そんな事が無いよう、七生は七生なりの努力を続けようと思う。

「うん?……ああ、もうひと泳ぎしてから帰るつもりだぜ。」

一度体力が尽きて行き倒れているだけに、これ以上の無理はしたくなかった。
次に限界を迎えたら、今度は浜辺に辿り着く前に意識が飛ぶ気がする。

迦具楽 >  
「……どこを見てるの?」

 ある種の視線を感じたのか、一瞬鋭い視線が投げられた。

「ふうん?
 そうよね、ただの挨拶だものね?」

 そんな冷やりとしたものを感じているとは知らず。
 色合いのわかり辛い日焼けた顔を見ながら、意味深に微笑んでいる。

「そっか、それじゃあこれを預かってもらえたら私も一緒に遊んでいい?
 誰かと一緒に海水浴って、一度やってみたかったの」

 「それが好きな人と一緒なら最高じゃない?」と。
 

東雲七生 > 「えっ、いや、水着……お互い去年のままだなあって。」

何だか凄く怖い視線を感じた。邪な考えなんて一切無かったのに、だ。
そりゃあまあ、最近は割と?女性らしい女性との交流もあるので無意識下では較べたりもするだろうけど。
本人の前でそれをするほど野暮な性格では無いというか、その辺きわめて淡白である。

「そ、そうそうそう!
 ただの挨拶だからね!挨拶!」

迦具楽からされた後、二人からそれぞれ別の場所にもされたけれど。
そんな事を言えば面倒臭い事は七生にも察することが出来たので、口にはしなかった。

「おう、良いよ良いよ!
 また一人で遊んでたら知らないうちにガス欠になってるかもしれないし。」

二つ返事で快諾し、待ってるから早く魚置いてこいよと笑顔で促した。

迦具楽 >  
「……ふうん。
 ちなみにこれ、同じようなデザインだけど新しいのだから」

 釈然としなさそうにじとっとした目を向けつつも、新しくしたのだと主張し。
 そういえば去年もダイビングめいた事をしていたっけと思い出した。

「んー……?
 なんだか七生、ちょっと動揺しすぎじゃない?」

 そこで訝しげにじっと見るのは、なにか勘が働いたからかだろう。
 幸い本人は妹かペットが良いと主張してるため、修羅場にはならないだろうが。
 きっとどう考えても面倒になるし、散々いじられる事は間違いない。

「あはは、七生遊びすぎてガス欠になったの?
 うんうん、それじゃあちょっと預かってもらってくるから待っててね!」

 そう言って網を背負うと海の家に向けて駆けて行く。
 結構な漁なので重量はありそうだが、非常に軽やかに見えるのは見間違いじゃないだろう。

 

東雲七生 > 「え、うっそ。」

全然気づかなかった、と目を瞠って。
そもそもそういう差異に気が付くような性格であればもっと楽な人生を送っているはずである。

「そんなことねえし!」

後から誰にされたにしろ、最初にしてきたのは迦具楽に他ならない。
とすればそれなりに特別な情もあるのではないだろうか。ないかもしれない。

「うん……たまたま居合わせた親切な人に食べ物買って来て貰って何とか生き永らえたよ。
 おう、いってらっしゃーい!」

そう言って海の家へと向かう迦具楽を見送ってから。
そういや今年は海開き後に誰かと遊ぶのは初めてだ、と思い出して。

その後、戻ってきた迦具楽と空が朱くなるまで遊び尽くしたらしい。

ご案内:「浜辺」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から東雲七生さんが去りました。