2016/08/10 のログ
ご案内:「浜辺」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 海、それは開放感の象徴。
海、それは青春の幕開け。
海、それは永き夜のプロローグ。
心震わせ、出会いに胸躍らせる夏の浜辺!
日の高く声賑わう夏の浜辺!!
男と男が熱を上げ、女と女が黄色い声をあげ、男女が仲睦まじく遊ぶ夏の浜辺!!!
「――――に、どうして私は用もなく来てしまったんだろう……。」
■谷蜂 檻葉 > 『たまには図書館に篭ってないで、外で過ごしてみたら? 夏だっていうのに真っ白になっちゃうわよ?』
そう、級友に煽られて外に出たのは良い。
早々に熱さにダウンし、図書館に向かおう
……として、級友にばったりと出くわし追撃を受けたのが先ほど。
売り言葉に買い言葉で取り敢えず海辺に向かったのが今さっきで
―――こうして、午後二時を過ぎた浜辺で楽しげに遊ぶ海水浴客を眺めてるのが今現在である。
■谷蜂 檻葉 > (……そういえば、常世島の浜辺に来るのって割と―ー―いや”殆どなかった”……?)
ため息混じりに木陰で湖風を楽しみながら、ふと三年間を思い返して首を傾げる。
そこそこ外に遊びに出ていたような気もするが、ずっと図書館に入り浸っていたような気もする。
誰かと、海辺に遊びに来たこともあった気がするが、一年の頃の記憶なのだろうか。
ぼんやりとした靄のような記憶を脳裏に投影するのがやっとであり、やがてそう時間もおかずに掻き消えた。
(まぁ、水着なんて着れる体でもないしね……)
三角座りの脇腹をそっと触ればやわらかな感触が返ってくる。
それは慢心と油断の象徴がそこにあり、露出と対極の原因でもあった。
■谷蜂 檻葉 > 「はぁー ……あぁ、でも本当に良い風。 もうしばらく、休んでよっかな」
ぺたん、と手を後ろに回して空を仰げば風にちぎられた雲が深蒼の空に分たれていく。
不規則に髪を撫でる海からの突風は何もせずとも汗ばんだ身体を、健康的に冷やしてくれる。
夏の浜辺で、独り。
それはそれで心地の良い自分の世界で、息をつく。
「海って良いわねー」
■谷蜂 檻葉 > しかし、孤独の世界で得られるものは景色その他の自然素材。
料理する道具もなく漫然と座っていればやがてどれ程の絶品も飽きがくるもので
「 ―――――……… 」
静かに樹の幹からズリズリと移動すると、日陰の端。 砂の海に手を伸ばす。
一瞬、何時間も炙られたその熱に手を引っ込めるがすぐにもう一度手を伸ばし、モソモソと砂をいじっていく。 穴と山が生まれ、その高低差がちょっとずつ出来ていく。
■谷蜂 檻葉 > 児戯。
どこまでも意味のない、ただ一人のための山造り。砂弄り。
誰の賞賛も共感もなく、ふとした思いつきで始めた砂遊びは檻葉に奇妙な高揚感を与えていた。
『城を作ろう』
恐らく―――否、確実に妖精術を使えばそのオーダーは達せられるだろう。
遊びの達人たる彼らの手に掛かれば立ち所に居住性のある砂上の楼閣すら顕現しうる。
しかし、しかしだ。
そうではない。
ただ、砂を弄るのだ。
自らの手で、成功の想像図だけを頼りに、赴くままの『自分の城』を――――
■谷蜂 檻葉 > ここに谷蜂檻葉の挑戦が幕を開けた。
時刻は十四時半を過ぎた。
灼熱は続き、しかしその頂点を終えて日差しは地に向けて落ちていく。
同時に、影が伸び檻葉の『領域(日陰)』が拡大していく。
ジリジリと移動しながら、無心で砂を掘り、固め、崩れる一角を継ぎ足して増築する。
今は形に拘ってはいけない思いつきを記憶のストックに留めながら、今はただ基礎をつくる。
知らず、その口元に笑みが浮かぶ。
―――やがて、砂の山が膝程度の高さでこんもりと土台を築いた。
ご案内:「浜辺」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > 海から勢いよく上がってくる一人の男。
濡れている首から伸びた異様に長いタオルが体に巻きついた一人の男。
「いやあ、疲れたな!凄い疲れたな!」
そんな事を言いながら進む足取りは少しふらついている。
そのまま歩いて木陰に腰を下ろした。
…近くを見れば砂を弄る少女の姿がある。
あれは山を作っているのだろうか?
否!違う!あれは城だ城を作っている!!
城のその土台がが作られて行く様子を木陰の下からただ眺め
その土台が出来た時木陰の中一人でガッツポーズを取る。
周りからみたら変な人である。
■谷蜂 檻葉 > 何処までも真剣に、砂と向かい合う少女。
その途中、やけに長いマフラーとも、タオルとも取れる不思議な装具を身に纏ったまま海水浴を楽しんでいた青年が近くの木陰にやってくるが、一瞥するだけで再び砂に手を入れる。この時砂は小山でしかなく、そしてみるみるうちにその大きさを明確に「何か」に近づけていった。
やがて、その土台が完成された時ふと視線をまた上げれば自分のソレを見てガッツポーズをしている男が居た―――同じ男だった。
その時、檻葉は普段の常識人ぶった冷静なフリをした感性を通り抜けて『奇妙な友情』を感じた。
檻葉が立ち上がる。
そして男―――ではなく海の家の方面へと走り去ると、やがて時間をかけずに戻ってくる。
その手には、かき氷が2つ。
一つは自分の足元に置いて、
もう一つは差しだすように男の居る木陰の近くの砂にコップを差し込んだ。
檻葉は、再び砂に手を入れてその形を整形し始めた。
■真乃 真 > 差し出されたかき氷に一瞬戸惑うが理解する。
その感覚を理解する!
溶ける前にかき氷を食べながら少女の作業を見つめる。
見つめているが何かに気が付いたように駆けだしていく。
少女に向かってではなくそう海の家の方向。
帰って来た男の手にはスコップと小さめのバケツ。
スコップを少女の近くに置くと自分はバケツに砂を詰め始める。
その態度は『手伝いはするが城は自分で作るべきだ!』という意思を感じるかもしれない。
■谷蜂 檻葉 > 静かに、男とスコップを見比べる檻葉。
小さく頷くと貯まる砂を土台に盛りつけていき、城郭を作っていく。
魔術を使って水もなしに押し固められていく砂は彫り込まれながら外観を整えていく。
積まれた砂の山は天に伸び、両手で押し上げられていくそれはやがて天閣の輪郭を生む。
掘り下げられた砂をかき集めた穴は天然の堀となり、砂の城は着実に『体裁』を整えていく。
名も無き、東洋の城。
おおよそ、一時間が経過して遊びの域を徐々に超えながらその勇姿を腰ほどの高さで生み出していた。
風を受け、僅かに砂粒を飛ばしながらも頑丈に耐え忍ぶ砂造りの楼閣。
一人の応援を受けて、一人の手を受けて山はやがて『城』になっていった。
しかし、まだ足りない。
城の輪郭を持った、砂の塊。
仕上げが、まだこの先にある。
■真乃 真 > 時には砂をかき集め、時には砂を平らにし手伝うのみに徹した男。
普通の砂遊びならこれで完成でいいだろう。
立派な城だ。
多くの人はそう評するだろう。
だが、目の前の少女は!
この城の作者は違う!
未だにメガネの奥のその瞳に満足の光は見られない!!
ならば僕は満足するまで助けるだけだ!
この少女の城の完成をただ手助けするだけだ!