2016/08/18 のログ
ご案内:「浜辺」に神宮司ちはやさんが現れました。
神宮司ちはや > スッキリと晴れた夏の空と入道雲。さんさんと降り注ぐ太陽光線。
夏休みも終盤だが、浜辺はまだ海水浴客で賑わっている。
今日も多くの人々が海と波にたわむれ、楽しそうに泳いでいた。

その喧騒からは少し離れて、式典委員会が立てていたパラソルの下
レジャーシートを引いてその上にちはやはちょこんと座っていた。
周りには使ったばかりといった様子の水彩用具一式、手には美術の授業で使われるスケッチブック。

夏休みの課題として出された「夏の景色を水彩で描く」。
今日はそれをこなしてしまおうと、朝からここで頑張っていたのだ。

神宮司ちはや > 実家には先日帰省し、式典委員としての仕事も割り振り通りこなしている。
特に問題もなく、目新しさはすでにない毎日を過ごしている。怖すぎるぐらい順調。

パレットに出した色とりどりの絵の具を筆先につけ、不慣れな様子で紙に描いてゆく。
熱心に筆を動かしていたかと思えば、首をひねってスケッチブックを遠ざけたり
集中しているところにビーチバレーのボールが飛んできてめちゃくちゃびくっと驚いたり。

ちはやは自分に絵心があまりないことを知っている。
芸術的な審美眼とか、センスだとかそういったものとは無縁の暮らしをしていた。
だから描いている絵もなんだか妙に自信がなくてふらふらぐにゃぐにゃしているような気がしてしまうのだ。

神宮司ちはや > 美術に限らず、他の科目でもあまり成績は振るわない。
知識を問うものやいわゆるペーパーテストなどはなんとかなるのだが
いかんせん、魔術や異能といったものが関わる授業ではうまくいかないのだ。
研究機関で適性検査なども何度か受けたが
元から持っているちはやの素質や異能が魔術や他の異能の行使を妨げているのではないか、という推論が出ただけだ。

このままじゃ、落ちこぼれてしまうのではないかという心配は常につきまとっている。
それにせっかく田舎から出てきて何も成長ができないのでは送り出してくれた祖父に申し訳が立たない。

はふ、と無意識にため息をこぼした。

ご案内:「浜辺」に真乃 真さんが現れました。
真乃 真 > 夏はもうすぐ終わる、海で遊べるのも今年はもう少し。
その短い期間をエンジョイしようと海に来た男。
その目に入って来たのは溜息をついている一人の少年!
何かに困ってるのだろうか?さては友達と一緒に海に来たのに一人だけ水着忘れたとかだろうか?

何にせよ声をかける。

「おっと、どうしたんだい?そこの少年!元気がない感じだね!」

見れば何かの絵を描いているようだった。
これはここの風景だろうか?

神宮司ちはや > 「わっ、わわわわ!」

考え事をしてぼんやりしていたからだろうか
急に声をかけられて慌てて描いていたスケッチブックを背後に隠す。

見れば自分より年上の何故か首に長いタオルが巻かれた人がいた。
目をまん丸くして見上げていたが、はっと我を取り戻すとぶるぶると首を振った。

「い、いえ……ええと、そんなふうに見えていましたか?」

困ったような、ごまかすような笑みでえへへと笑う。
そうしているうちに背後に隠したスケッチブックを器用な速さで閉じてしまった。

真乃 真 > 「ああ!そんな風に見えた!」

多分、あれださっき隠した絵だ!絵が怪しい!

「なるほど、なるほどどうやら僕の勘違いだったようだね!
 …何でそれ隠すんだい?」

後ろに隠されたスケッチブック中身は結局殆んど見えていない!

「でも、そうか僕の勘違いか…うん、元気有り余ってるのか!まあ、それが一番だよね!」

本人がそこまで元気だというならまあいけるんだろう。

神宮司ちはや > そ、そっかぁ……と項垂れ、再びため息。
初対面の人にまで心配されるような元気の無さだったのは良くなかった。
みんな夏を満喫しにここまで来ているのにそこで元気が出なくては
心配されるのも当然だろう。
考えを切り替えるようにぴしゃりと自分の頬を軽く叩いて表情を直す。

「いえ、あながち勘違いでもなくて……ううん、でも元気が有り余っているっていうのは違うかもです。
 正直にお話するとちょっとさっき落ち込んでいました。

 ぼくってだめな子だなぁって」

隠されたスケッチブックに話が及べばまたぞろびっくりして

「だ、だって……あんまり上手な絵じゃないから
 恥ずかしくて見せたくないんです……」

顔を真赤にしてもじもじと視線を逸らした。
念には念を入れてというか、さらに荷物の奥深くまでスケッチブックを潜りこませる。