2016/10/01 のログ
■東雲七生 > がちょんがちょん。がちょんがちょん。
取り敢えず初めはオーソドックスに空き缶やペットボトルを探して浜辺を歩き、見つけ次第ビニル袋の中に放り込む。
流木などの大きくて重たいものは二の次だ。
……と思ったのだが。
「もしかしたら重い物先に入れて歩き回る方がトレーニングになる……?」
どうにも最近鍛錬のし過ぎで思考回路がスパルタになりつつある七生だった。
■東雲七生 > 結局。
大きめの流木を一つ拾ってビニル袋に放り込んだ。
そんなに重くない程度だが、これを担いで歩き回っていたらいずれ重くなってくるだろう。
そう期待して七生は浜辺に転がるゴミや流れ着いた枝や海草を拾っていく。
「………思った以上に退屈だ、これ……。」
ぽつりと、そんな苦言が口から漏れるも、潮騒が流してしまう。
ご案内:「浜辺」にセシルさんが現れました。
■セシル > 空き時間。セシルはトレーニングの走り込みを行っていた。
不安定な大気は湿気っているものの、気温は一頃ほどでなくなったため、セシルは随分楽になっていた。もう、魔術具も必要ない。
そうして、浜辺の近くを走り込んでいると…
(………ん?)
………知った顔が、何かしている。
走るペースを崩すのは良くないのだが、彼があまりにも景気の悪そうな顔をしているものだから。
「ナナミ!久しいな!」
距離のあるうちからそう声を張ると、浜辺の方に走る。
■東雲七生 > 「うーん、誰かに声掛けて誘ってみりゃ良かったかな。」
袋はどんどん膨れていくが、一向にゴミが無くなる気配が無い。
一応袋は複数枚渡されているのでいっぱいになったら交換すれば良いだけなのだが、
幾ら動き回るのが食事と同じくらい好きな七生でも、黙々とこなす作業となると少し話が違ってくる。
風景も物寂しい秋の海だし。
「はぁ──いまいち人気の無いバイトの理由が分かった。
……ん?」
ふと名前を呼ばれた気がして振り返れば。
「ああ、セシルじゃないか。よーっす、久しぶりー!」
■セシル > 自分の存在に気付いて、相手の顔が少しだけ生気を取り戻す。
その様子に、セシルも人の良さそうな…それでいて男性的なニュアンスの強い笑みを浮かべる。
そして、七生の元に駆け寄ると
「海岸清掃は感心だが、随分景気の悪そうな顔だったな。
慈善事業にしては規模も小さいようだし、告知も見なかったが。」
と、軽口を叩いた。
■東雲七生 > 「そう?そんなつまんなさそうな顔してた?
……ああ、一応慈善事業じゃなくて報酬付なんだ。
だからあまり大々的に募集を掛けなかったんだと思う。」
広告の仕方にも問題があったのか、と小さく肩を落とす。
ちなみに七生がこのバイトを知ったのは別のバイト先、異邦人街での宅配便の事務所でだったのだが。
「そもそも風紀委員とか、定例でこういう事しないの?」
こういうのこそ彼らの仕事なんじゃないか、と思わなくもないが
どうやらセシルの口ぶりからすると、そういう訳でも無さそうだ、と。
■セシル > 「いかにも生気のなさそうな顔をしていたぞ?
報酬付きならば、もっと景気の良い顔をしていても良さそうなものだがな」
「無責任に人を集めるわけにいかんのも分かるが」と、おどけるように肩をすくめて少し笑う。
苦痛の時間の対価に金銭が伴うならば、そこまで生気のない顔をしなくてもいいだろうに、とセシルは思った。
「風紀委員(我々)もやらんことはないが、清掃は、どちらかといえば生活委員会の管轄だな。
…それに、我々に回ってくるとしても、優先的に回されるのは非戦闘員なのだろう」
言外に、「自分はほとんど聞かない」と示す。
夏休み明け以降、セシルは剣を差して「裏」の街を行く職権を得ていた。
■東雲七生 > がちょんがちょん、とトングを鳴らしながら少しだけ不満そうに口を尖らせる。
「いや、確かにバイト代が出るのは良いんだけどさ。
何も変わんない風景の中、砂浜ばっかりみて黙々と歩いてんのはしんどいって。」
報酬や労働に対する不満よりも、ただ作業環境だけに不満があるようだ。
事実こうして話をしている間も、目ぼしいゴミを見つけては拾っている。
「ふーん、そういうもんなのか。
委員会にも色々あんだなー。」
これまでも、これからも無所属故の関心の薄さ。
なるほどなあ、と解っているのか居ないのかいまいち分かり辛い相槌を打つ。
■セシル > 不満を口にする七生の様子とその言葉に、くっとわずかに笑みを零す。
握り拳で口元を軽く隠そうとする仕草をみせるあたり、一応笑いを抑えはしたらしい。
「………それは、不幸な職のミスマッチだったな…」
人によっては「何と楽な仕事か」と思うところだろうが…まあ、セシルの思う七生像的にも、もっとシャキシャキと身体を動かすことを要請される仕事の方が気持ちに張りが出るだろうな、とも思う。
「当然、委員会によって職域は分かれているからな。
…一部衝突しかねん部分もあるが、普通に職務に当たっている分にはさほど気にすることもない」
風紀委員会と公安委員会の微妙な縄張り争いもあるにはあるが、セシルはそういった部分に関心を持っていない。上は大変かもしれないが。
「…まあ、我々は戦闘能力を要請されたりもするが、概ねの委員会は地道な職務の積み重ねだからな。貴殿の性には合わなさそうだ」
そう言って、少し悪戯っけのあるニヤッとした笑みを浮かべた。
■東雲七生 > 「実際、俺の他にも何人か居ると思ったんだけどな。」
見ての通り一人で黙々とやる羽目に陥っている。
身体を動かせるならまだマシだと思っていたが、体を動かしたうえで退屈となるともはや彼にとって地獄でしかない。
「ほーん……そもそも、学校の委員会、なのに学校の外でまでホントご苦労様だよなー。」
何の委員会に対してもそう思う。
普通であればあくまでその権限は学校という敷地の中のみで通用するものだろう。
でもこの島では、学園都市という特殊な環境からか学校の敷地外でも活動している委員会を見てると特にそう思う七生であった。
「まあ、俺は委員会も部活もあんまする気無いしさ。」
■セシル > 「…まあ、臨時の雇用者に一人で無茶な要求を課することもあるまい。
規定の時間まで精一杯働いて、規定の賃金を受け取るのが無難か。割り切るしかないな」
一人で黙々とやるにしても、流石に広い砂浜を回りきる等出来ないことは雇い主も了承しているだろうと、思考の割り切りを薦めた。
「まあ、ここは学園が統治の主体でもあるからな。
委員会も、ただの学校の委員会というよりは公的機関と考える方が近いだろう。
私は、社会勉強と帯剣の都合合わせのために所属しているがな」
実際、普通のアルバイトとは権限もまるで違う。
…当然、その分の責任も発生はするのだが…責任の負い方も含めて、セシルにとっては良い勉強だった。
「む、そうか…良い勉強になると思うが、まあ無理に参加するものでもないか。
責任も負わされるしな」
委員会に対して随分な距離感の七生に、微妙な表情を浮かべるが…無理強い出来る種のものでないことくらいは、流石のセシルも理解している。
ひとまず七生の意見を受容するほかなかった。
■東雲七生 > 「うーん……本当に俺だけでやるなら。
それはそれで、やりようはあるんだけどさ。」
こんな清掃活動、異能を使ってしまえば、一瞬だ。
──さすがに一瞬は話を盛り過ぎた。一時間もあれば完璧に済ませることが出来るだろう。
ただ、それをしてしまうともし後から来た参加者に悪いな、と思ってしまうのが七生という少年である。
「こーてききかん。
まあ、普通に生活してれば殆ど人生に関わって来ないよねぇ。」
前に風紀委員だか公安委員だかに注意されたのももう1年ほど前になる。
あの時は学校外での異能を用いた戦闘を咎められたのだったか、と思い出して。
「ははっ、うんうん。出来れば自分の責任は自分で決めて自分で負いたいしさ。
それに、本当にしたい事をしたい時に出来ないかもしれないのは、なんか嫌だ。」
ひょい、と半分ほど砂に埋まった空き缶をトングで拾いあげながら特に深い意味も込めず言葉を口にする。
■セシル > 「おや、そうか…それは頼もしいな。異能か?」
七生から、強力な魔力の気配は感じない。
当て推量でそう尋ねた。
「そうか?住所の届け出とか、家族形成にまつわることとか、色々あるだろう。
………あ、いや、ここは学園都市だから、後者はあまり縁がないか」
と、相手の公的機関に関する感覚の鈍さに、訝しげに眉を寄せる。
………が、「学園都市」という特性上それにも仕方ない部分があるか、と、やや呆れたように息をついた。
「自分一人のことだけならばそれで良いが…どうしても社会と関わってくる部分は生じるからな。
「本当にしたい事」が自分以外の人間を巻き込みうるときは、少し考えるのだぞ?」
鷹揚に笑うが、最低限の釘さしはしておく。
風紀委員として以上に…彼の傍にある者として。
■東雲七生 > 「うん、異能。
そういやセシルには俺の異能話してなかったもんな。」
実際にやるかどうかはまだ考え中。
もう少し歩き回って足腰の鍛錬としたい。
「転居もあんまりしないし、家族も……ほら、卒業したら島に居場所が無い訳だしさ?
先生になったり、研究者として残るならまだしも。」
小さく肩を竦めてから、今度は瓶を見つけてトングで砂の中から引っ張り出す。
「ああいや、俺が言ってるのはどこかに属して身動き取れなくなったら本末転倒かな、って意味でさ。
とはいえ確かに何の権限も無いから注意はしなきゃだけどね。
……でも、権限が無いのも含めて、俺はこっち側で良いや。」
へらり、と無邪気に笑みを浮かべる。
何時しか別の人に言われた「過ぎた力を持つ」ということ、七生にとってはまさしく権限や権力と言った物がそれにあたると思っているのだ。
■セシル > 「あー………そういえば、血液を使って物を作ったり出来る、という話は聞いた事があったな。失念していた」
「すまん」と言って苦笑する。
…が、その表情を少し気遣わしげに陰らせて、
「しかし、広範囲の清掃に使えるとなれば、随分応用が利くのだな。
…そこで流れる血の量は馬鹿にならなさそうだが、大丈夫か?」
と、尋ねた。
「…確かに、学生の身分で転居もそうそう起こらんな。
………「モデル都市」にしろ、随分「モデル」を簡略化したものだ」
公的機関との縁のなさを改めて強調されれば、こちらも軽く肩をすくめて笑う。
「身動き、か…まあ、この学園においてはそうだろうな」
へらりと無邪気な笑みを浮かべる七生に対して…セシルが返したのは含みのある言葉と、少し困ったような笑い。
■東雲七生 > 「そうそう。
完全に何か作り上げなくても半分固体、
半分液体みたいにしてずるずる這い回らせることも出来るし。」
言うよりも見せた方が早いだろうか、と思いつつ。
今日は手元にあったかな、と何か探す様にポケットを探る。
「ん?……ああ、それなら大丈夫。
ある程度異能の発動中に増加が掛かるからさ。
見た目ほど実際の血が出てる量は多くないとか、よくあるから。」
そこは心配無用、と胸を張って答える。
ただ、以前一度だけ加減を無視して病院送りになったことはある。
「そこに輪を掛けて俺なんか移動するのにも自分の脚で動いちゃうからさ。
こうして見ると土台としては確かにあるんだろうけど、直接関わるかとなると、案外そうでもないもんだよね。」
もう少し意識してみれば変わるだろうか、と小首を傾げつつ。
「責任も、自分が抱えられるもの以上になったらそれを持つのにいっぱいいっぱいになっちゃうし。
そしたらきっと、ただでさえ取りこぼしそうになるものが、もっともっと増えちゃうから。」
細く長く息を吐いて、一度空を見上げてから、よし、と再度気合を入れ直した。
■セシル > 「ほお…動くものとして放つ事も出来るのか。随分応用が利くな」
「私の異能とは大違いだ」と、大らかに笑った。
「ふむ………使って大事にならんのであれば、構わんが。
油断は禁物だぞ」
胸を張る七生に対して、こちらは思考するように腕を組み、顎に手を当てながら真顔で。
病院送りになった件は知らないので、強い念押しはしないのだが。
「まあ、性質の悪い「ただ乗り」をするのでないなら構わんがな。
………ところで、図書館には行かんのか?学生の本分としては少しは世話になれそうだが」
と、質問を投げかけて笑う。相手は、あまり図書館の利用頻度が高いタイプには見えない。
なお、ここでの「ただ乗り」は無論交通機関の事ではなく、社会制度に対しての「フリーライド」のことだ。
「「所属する」というのは「自分以外の事に責任を負う」ことでもあるが、「自分では負いきれない責任を分け合う」ことでもある。
…実際、島の外では「どこにも所属しない」方が不便があることが多いと聞くからな。別に積極的に関わらんでも良いが、遠ざけたままにしておくのも考えものだぞ?」
「どうせ人一人に出来ることなどたかが知れている」とシニシズムじみたことを言う割に、その顔は強気に笑んでいる。
「組織の一部として」「負える分の責任は負っている」ことを、誇りにしているかのような表情だった。
■東雲七生 > 「まあ、俺の身体に触れてる間だけだけどね。」
あはは、と苦笑を浮かべながら小さく頭を掻く。
わかったよ、と頷いてから図書館に行かないのかと訊ねられれば不可思議そうな顔で首を傾げて。
「いや……まあ、最近は行ってないけど、一時期結構行ってたよ。
テスト前なんかはよく空き教室か図書室で勉強してたし。」
ただ読む本がそこまで多い訳でもないし、基本、じっとしている事が苦手なのだ。
それでも異能を用いた戦闘法の参考として武器や道具の知識を仕入れには行っている。
「うん、分かってるよ。
でも……ううん、これはなんか失礼な言い方かもしれないけど。
……別に、委員会に属さなくても誰かの手を取る事は出来るでしょ。……やっぱりなんだか失礼な言い方だな。
ええと、要するに単に俺の性に合わないんだよ。うん!」
困った様に眉尻を下げながらも、笑みを浮かべる。
別に委員会に属する人間が悪いとは思ってない、と告げて。
「きっと俺がこういう風に考えられるのも、委員会がちゃんと機能してるからだと思うしね。」
■セシル > 「ああ、流石に完全に身体から離す事は出来んか」
「難しいな」と、難しそうな表情でぽつりと付け足す。
そして、相手が自分の忠告を受け止めてくれれば「うむ」と安心したように頷いた。
…そして、相手がきちんと図書館を利用している事を表明すれば
「…そうか、失礼した。
学生の本分をきっちり果たしているようで何よりだ」
と、人が良さそうな笑みを浮かべた。
…が、七生が委員会に所属しない理由を語るのには、その笑みが困ったように眉が寄る。
「………まあ、言いたい事は何となく分かった、と思う」
その後に、表情を不意に大人びて和らげさせた。
「…しかし、島の外の社会に出ればいずれ分かる事もあるだろう。
「公的機関」とて完璧ではないことも含めて、色々な。
………学園でその手の学問も学べん事はないはずだが、流石に興味はあるまい?」
最後に、その柔らかい表情のまま軽口を叩いて。
「…さて、私はそろそろ鍛錬に戻るとしよう。
ナナミも、無理はするなよ」
そう言って男性的な笑みを七生に向けると、軽快にその身を翻して、浜辺沿いの道に戻っていった。
ご案内:「浜辺」からセシルさんが去りました。
■東雲七生 > 「いや、離すことは出来るけど、動かせなくなる。
身体に戻したりとかも出来ないしね。」
どちらか、あるいは両方。出来れば何かと便利そうではあるのだけど、と小さく溜息を溢す。
本当に、自分を傷付けるというデメリットに対しメリットが少なすぎるのだ。
「まあね。一度留年の危機にも瀕したし。」
とはいえ、受けている授業の殆どが試験も実技試験の物ばかりである事は伏せておく。
「うん、あんまり興味無い……なぁ。
そうだね、完璧では無いってのも解ってるつもり。つもりだけどね。
……だからやっぱり、俺みたいなのも必要なんじゃないかなって。」
自己弁護にしかならないな、と笑いながら。
そして鍛錬へと戻ると言うセシルに対し、こちらも笑みを返した。
異性であるセシルが浮かべるよりもよっぽど子供じみた笑顔であったが。
「ああ!セシルも頑張って。
俺もこのバイト終わったらランニングしようかな。」
最後にそう呟いて、浜辺のゴミ拾いへと戻る。
そして結局、その後他の参加者は一人も現れず、業を煮やした七生は異能も使って海水浴場を綺麗サッパリ整えたのであった。
ご案内:「浜辺」から東雲七生さんが去りました。