2016/12/17 のログ
ご案内:「浜辺」にザフィールさんが現れました。
ザフィール > ああ、凄い、な……
(砂漠の民にとって感情を表に出すのは恥とされる。
 だが誰も見ていない今ならば、と、ついその戒めを許してしまうほどの光景だった。
 故郷の灰の砂漠は内陸部にあり、自分が旅をした大陸の光景はごく一部だったのだと、思い知らされる。
 天を突く山を見た。
 魔に染められた深い森を見た。
 地の底までとどかんとする渓谷を見た。
 深い深い迷宮を見た。
 そして地の果てまで続く砂漠に産まれた。
 しかしこの、世界の果てまで届き、力強くうねる海は、初めて見た)

ザフィール > ウェイ……ジン・ハール
(精霊よ見よ、と声をかけ手の中に炎が産まれる。
 それは独りでに伸び上がり、一際強く燃え上がり、消える。
 炎の消えた手の中には一本の曲刀が握られていた。

 精霊銀で出来た刀身には複雑な紋様が彫り込まれ。
 それは精霊の「舞台」として働く。

 ザフィールの契約した精霊「陽炎の舞い手」は鳥の姿を持つ。
 形を変え揺らめく炎の側面を持つ彼の精霊は、炎の自由さの象徴だ。
 精霊達の中の舞い手でもある彼の精霊はその舞のためにありとあらゆる物語、光景、経験を好むとされる。
 ゆえに、精霊紋を授かり隣に立つことを許されたザフィールは彼の精霊の望むもの物語を捧ぐと誓っていた。

 故郷の砂漠ではついぞ見られなかった世界の果てまで届く大いなる水の原
 その光景を捧ぐために、舞う)

ザフィール > (曲刀に炎を纏い、肩足を浮かせ、両手を翼のように広げ一呼吸
 トン、と地を蹴り体を浮かせ両の手で大きな円を描く。
 ボウ、と炎が音を立て。
 ボッ、と布が風を叩く)

ウェイ・ジン
(精霊よ、と呼びかける。
 感謝を捧ぐ、共に在る事を
 この光景を見られた事を、そこへ足を運ぶ翼を与えてくれた事を。
 ヴォルトの民は円を尊ぶ。
 世界は円環をなしその循環が世界をなすと考えるがゆえに。
 その円環を舞いであらわすためにくるりくるりと体を廻し伸ばした両腕がさらに大きな円を描く。
 舞うたびにその軌道は変化し、幾重にも重なる多重の円となる。
 その奇跡を棚引く炎が彩り、跳ねながら軸足を滑らかに変え、しかし上体はブレる事がない)

ヨル・スゥーム
ドロール・シュル・ヴィーング
(原初の炎 太陽の翼に捧ぐ
 そう呼びかけると曲刀に刻まれた紋様が輝き
 顔の右半分に赤い翼を模した紋様が浮かび上がる。
 精霊が興味を持ったようで、それはここにあると示すために舞いの流れが変わる。

 大きく腕を廻すまでは同じだが、その勢いを持ってトンと横に飛ぶ
 足を跳ね上げ回転方向に縦の動きを加える
 砂浜の上を舞台とし右に左と炎の軌跡がその後を追う

 特筆すべきはその足元だろうか
 砂の上には小さな跡がトントン、と等間隔に並んでいる。
 それ以外の砂を一切踏み荒らすことなく、同一の場所にだけ足を降ろしているという証左で)

ザフィール > ドロール・ステル
ジン
(この舞を精霊に捧ぐ
 と、告げると今までに軽やかに地を蹴っていた膝が着地と同時に大きく曲げられ
 片足で地をふみ、その膝の上にもう一方の足を乗せる体勢で
 そこからタン、と砂浜を蹴りつけると、大きく高く跳び上がる。
 体を縮め独楽のように回転し
 腕を広げ回転速度に緩急を付け
 バック宙の容量でくるりと天地を返し
 炎が宙に複雑な紋様にも見える軌跡を刻んでいく

 ス…と高さの割りに砂の擦れる小さな音だけを立てて着地すると
 片足を上げ、曲刀を構えた最初の姿勢に戻る

 ふう、と息を吐き出すと曲刀を収め、腰を降ろす。
 それからしばらく、あるか無きかの笑みを口の端に乗せ、海を眺め続ける姿が残された)

ご案内:「浜辺」からザフィールさんが去りました。