2017/02/13 のログ
■東雲七生 > 「まあ、あのリボンをどうにか出来るほどじゃなくても、
やっぱり初歩の初歩の最初の一歩くらいは出来るに越したことはないしね……。」
本を片手に、身構える。
両足を肩幅に開き、右手を前方へ突き出して、本に書かれた呪文を唱える。
「えーと、……メラ!」
▼しかし なにも おこらない!
■東雲七生 > 「………おかしい。」
何かが。
いや、何もかもが。
「……間違っちゃいない筈なんだけどな、何だろう……集中とか、足りなかったかな……。」
そもそももとより不慣れな事ゆえに、一回で上手くいく方があり得ない。
そう考えた七生は、そのまま砂の上に腰を下ろして一度全部読んでみようと試みる。
前回と違って全て読める文字で書かれているのだから、と。
ご案内:「浜辺」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > 吹く風!凍える空気!
夏に泳いだのと同じ場所とは思えないほどの寒さ!
身体を鍛えるトレーニングか?困った人を探しているのか!?
そんな冬の浜辺を一人の男が駆ける!
白く異様に長いタオルを首に巻いた男である!
「っ!!おっと、東雲君じゃあないか!!どうしたんだいこんなところで?
まさか!今年も沢山チョコがもらえそうだからって理由でクラスメイトに仲間外れにされたのかい!?」
後輩の姿を一気に駆け寄り急静止して無駄にカッコいいポーズを取りながら!
本を手に四苦八苦している様子の後輩に声をかける!
「いや!見た感じ違うね!何読んでるの!漫画!?面白いのかい!?」
どうやら読んでいるのは漫画それかファンタジー小説。表紙を見た感じそんな感じだ。
■東雲七生 > 「うーん……ふむふむ、なるほど。 ん?」
黙々と魔導書(仮)に目を通していた七生が、不意に喧しい声に疎外されて顔を上げる。
声のした方を振り返れば、何とも言えない顔で言葉を失った。
「……あー、えと、真乃先輩。お疲れ様っす。」
ツッコミ所はいっぱいあったが、毎度の事だからツッコむ気にもならなかった。
この人毎年バレンタインの話をしてんな、と思うだけに留めておく。
そんな事に貴重な精神力を使う訳にはいかない。
「え?……えーと、魔術の魔導書っすよ。
とりあえずレベルアップというものをしないといけないらしいっすね。」
ぱたん、と閉じて表紙を見せる。
『DRAG○N QUEST』と題打たれていた。
■真乃 真 > 「お疲れ!東雲君!!」
何か会うたびにバレンタインの話をしてる気がする。
まあ、時期が時期なのでそんな話が出るのも仕方ないだろう!!
「魔術書か!魔術の勉強をしてるんだね!!
全くそんなイメージ無かったから意外だよ。」
どちらかと言えば肉体系なイメージ。
勉強よりも実戦だぜ!イヤッホー!みたいなイメージ。
「…なるほど。
あの、何だ、僕は魔術にあんまり詳しくないから何とも言えないんだけど。
…もう少し簡単な物から試していけばいいんじゃないかな?もうちょっと定型的なやつとか!
そう、低いレベルからいこう!」
ああ、知ってるその本は知っている。あの有名な物語の…
きっと、彼は非現実の魔法を現実で再現しようとしているに違いない!!
…うん、男なら誰でもやろうとするものな。僕も似たような事やった。
■東雲七生 > 「まあ、使えないっすからね、全然。
入学したばかりの頃の検査でも──」
そこまで言ってから口を噤む。
自分が劣っている物について語られても楽しい筈が無い、という認識からだ。
ふぅ、と溜息をついてから七生は再び本を開いて視線を落とす。
「俺的に今まで読んだ中で一番簡単そうだな、ってのがコレだったんすけど。
これより簡単になるとどんなのがあるんすかね?」
そもそも消費MPって何だ、と眉間に皺を寄せて首を傾げている。
どうやら自分が読んでいる物が創作物である事を知らない様だ。
■真乃 真 > 「まあ、僕も全然勉強してないしね!
いやあ、使えたら絶対カッコいいと思うんだけどな!」
考えたオリジナルの魔法発動ポーズを取りながら言う。
…今にも魔法が飛び出しそうだ!
「…いやあ、あれだよね!漫画とか現実の区別って付きにくいよね!
事実が小説よりも奇なのが普通になってるって凄い事だと思う!」
もしかしてあの本がフィクションだと気がついていないのでは?
かなり有名な作品であるがそもそもバレンタインデーを知らなかった彼だ。
知らないこともありうる。
「東雲君、言いにくいんだけどそれは、それはフィクションだよ!
いや、もしかしたら使える人には使えるかもしれないけど…。
東雲君はレベルが上がっても魔法を使えるようにはならないんだ!!」
戦士タイプでMPが0のままだからとかではなく。
普通は現実ではレベルアップ何かはしない!!
「…ま、まあ僕も小さかった頃はテレビのヒーロが現実に実際にいると思ってたし!
そんなこともあるよ!誰しも通る道だ!少し遅かっただけさ!」
だから、恥ずかしい事ではないと必死に伝える!
■東雲七生 > 「そもそも勉強したら出来るようになるんすかね?」
いや、出来るようにならないと七生自身が困るのだが。
今度魔術を使える友達に聞いてみようと思いつつ、実のところ誰が使えるのかとかさっぱり把握していない七生である。
何度か手合わせした人に聞いてみれば分かるだろうか。
「………え?
だ、だって魔法自体はフィクションじゃないじゃないっすか!」
魔法が現実のものである以上、出来ない事ではないと思うのだが。
これがフィクション……?と未だ信じられない様子で七生は手元のド○クエの攻略本を眺めた。
メラとかイオとか使えないのだろうか。絶対に?と言いたげな顔で本から顔を上げて真乃を見る。
■真乃 真 > 「勉強してないから分からないぜ!まあ、向き不向きはあると思うけど。
全く全然出来ないって事はないだろうな。」
生まれつき全く才能がないとかはあるかもしれない。
でも、何か道具を使えばカバーできるかもしれない!
そのカバーできる道具を探す、それもきっと勉強だ!
「説明が難しいな…えーと、そのなんというんだろう。
その実際にあるものをモデルにした作品なんだよ。
…頑張れば同じことは出来るけど、手段はもっと複雑なんだと思うよ。
ほら、こういうものは手軽に楽しめるからいいのさ!」
きっと、出来ない事はないのだろう。
でも、するための手段はこれじゃないのだ。
もっと、複雑で面倒くさい勉強の先にRPGな魔法はあるのだろう。
「うーん、独学でやるよりは先生に付いた方が良いと思うんだけどな。
この島なら良い先生の一人や二人や数十人簡単に見つかると思うぜ!」
例えば、真の知り合いのとある魔術の教師であるならばノリノリでRPGな魔術を真似して使うだろう!
特に闇っぽい魔法とか!
■東雲七生 > 「ふーん、やっぱり全然できないって事は無いか……。」
だとしたら今までのやり方はやっぱり悪かったのだろうか。
そんな事を真剣に考えつつ、七生は本を閉じた。
真乃の説明を聞いて、そして改めて考え込む様に足元を見つめる。
別段落ち込んでいるわけでは、無い。
「ふーむ、そっか……これはそのまま同じのは出来ないんすか。
まあでも、似たような事なら出来るんすよねきっと。」
こと再現に関しては、七生の異能を用いた戦闘スタイルに深く関わってくる。
以前真乃と手合わせした時は終始異能を使わずに居たので、知る由もないだろうけれども。
「ううん、先生かあ……。
先生、先生ねえ……俺、あんまり魔術側の先生の知り合いって居ない気がするんすよね……。」
授業を取ってない、というのが一番大きい。
腕組みして思い返そうとするが、ザ・魔術師って感じの先生はやっぱり咄嗟には思いつかなかった。
■真乃 真 > 「そうさ、そのまま同じは無理でも真似くらいは出来る!
真似には真似の良さがあると僕は思う!思いたい!」
そんな事を言いながらどこかで見たような無駄にカッコいいポーズを取る。
本物に劣らないポーズのキレだ!
「まあ、授業取ってなければあんまり会う機会はないよね。
もうすぐ新学年だし、本格的に魔術の授業を取ってみてもいいかもしれないね!
何だっけ!確か元素魔術とかシンプルでカッコよさそうじゃないかな!
…そう言えば東雲君はなんでまた、急に魔術の勉強なんかはじめたのさ?」
今よりもっと強くなるためとかだろうか?
向上心が強いな。少し困る。
■東雲七生 > 「真似には真似の良さ……」
珍しく神妙な面持ちで聞き流さずに頷いた。相変わらずポーズには触れないが。
戦法を模倣することに引け目が少なからずあったが、少しだけ気が楽になった様な気がしつつ七生は一度目を閉じた。
「……元素魔術っすか。
うーん、考えといた方が良いのかなあ。でもあんまり単位落としたくは無いんすよね。
1年の初めころ、それで結構ロスしたのが多くて。
……え?理由っすか?
そんなの、必要になるから、っすよ。何かを学ぶ、修得するなんて他に理由なんて無いじゃないっすか。」
きょとんとした顔で首を傾げる。
空腹だから何かを食べる──そんな単純さで七生は新たな事を学び、吸収していくのだ。
■真乃 真 > 「単位を落とすかもなんて気にしてるのかい!?そんなの後で気にすればいい!落とした時は落とした時さ!
それに、そんなものは真面目に授業に出て予習と復習をきちんとしてれば何とかなるさ!」
普通に真面目な生徒だった!
そりゃ落とすことを考えないな!
「…良いな!良いなその答え!
いや、つまらない事を聞いたね!そうか!」
カッコいいな!カッコいいなその答え!
自然に言える辺りが特に良い!
「…さて、じゃあ僕もそろそろ戻るとしようかな!!」
動かず話しているとどうも冷えてきた。
それにじっとしてられない感じも高まってきた。
「それじゃあね!東雲君!またどこかで会おう!」
これは、あんまりウカウカしてるとどんどんと後輩に置いていかれる羽目になる。
自分も魔術勉強しようかなそんな思いを胸に海岸を後にするのだった。
■東雲七生 > 「予習と復習だけじゃどうにもならない時もあるんすよ……。」
例えば上背とか。
そう呟こうとして、何だか凄く負けた気持になるので口を閉ざした。
それでも昔より座学はマシにはなっているだろう。問題は実技。
「うん。そうっすよ。
……おっ、そうっすか。
俺はもうちょいここで……っても、これじゃ魔法出来ないっぽいし、図書館でも行って違う本探してみるっすね。
それじゃあ、また。真乃先輩!」
その場を去ろうとする真乃を見送る。
そしてすぐに図書館へ向けて七生も走り出すのだった。
ご案内:「浜辺」から真乃 真さんが去りました。
ご案内:「浜辺」から東雲七生さんが去りました。