2017/05/20 のログ
ご案内:「浜辺」に陽太さんが現れました。
陽太 > ____大切な人がいない世界は、こんなにも憎たらしく息苦しい。


「…ついきちゃったよ」

夜中の砂浜。人一人っ子居ないその場所に、陽太はつったっていた。

「…ねぇ、ちゃん」

焦がれるように、夢見るように、呟く。
大好きな家族。愛しい姉。
自分を抱き締めて「大好きだ」と笑顔をくれた彼女の姿。

痛いほど瞼の裏に焼き付けて、一歩一歩踏み出す。
ひんやりした感覚に少し肩を跳ねさせるも、すぐ無言で歩き始めた。

さく、さく。

冷たい砂浜に響く音。
ざー、とゆっくり波が押し寄せていた。

ご案内:「浜辺」に陽太さんが現れました。
陽太 > 陽太にとって海は特別だ。
陽太は海は、嫌いだが好きだ。


_____姉を殺したのも、こんな夜の海の砂浜だったから。


「ッ…うぅ…」

目眩を覚えて、しゃがみこむ。
はぁはぁと荒い息を吐き、冷や汗がドッと噴き出した。


____『やだ、とまれ!!!とまれよ!!!!ねぇちゃん!!!』

__『大丈夫、だからさ。泣かないで、陽太』

___『やだ、やだやだやだやだやだぁぁぁ、ねぇちゃぁんっ!』


「…」

うずくまっていた陽太は、ゆっくりと深呼吸をする。
そしてやがて、唇をつり上げてわらった。

「…嘘つき」

何が大丈夫なんだ。
自分を置いて、死んだくせに。

陽太 > しゃがみこんだ足元に、ざぁ、と波が押し寄せた。
ぱしゃぱしゃと手で水しぶきを上げながら、陽太は何だか笑えてきた。

「はは、ははっ、ははははははっっ!」

 
海は世界中、繋がっている。

もしかしたら天国にも繋がっているかもしれない。


「ばかだなぁ、おれ。

ねえちゃんには、もう会えないのに」


仮に会えても。
会いたくは、ない。
やっぱり臆病だなぁ、とわらうしかない。

___ひとりぼっちは、案外寂しい。
願うだけなら、許されるだろうか。


「あいたくて、あいたくないなんて変なの」

陽太 > 「…かえろ」

何分そうしていただろうか。
住宅街の明かりが殆ど消えてから、
陽太は何もなかったかのように立ち上がった。

「…」

振り替えれは、白い月が空に浮かんでいる。
陽太は笑って、囁いた。


「ねーちゃん…」


___陽太の世界には、相変わらず、姉しかいない。

ご案内:「浜辺」から陽太さんが去りました。