2015/08/09 のログ
ご案内:「常世神社」に神宮司ちはやさんが現れました。
ご案内:「常世神社」にビアトリクスさんが現れました。
ご案内:「常世神社」に正親町三条楓さんが現れました。
■神宮司ちはや > ちょうど日差しも弱まる夕方の頃、常世神社での夏祭りも人が賑わってくる。
様々な出店と盆踊りの音、がやがやと楽しげに話す群衆のざわめき。
蝉の声も控えめになりつつあり、待ち合わせに指定した神社の階段下でそっと二人を待つちはや。
■ビアトリクス > 少し落ち着かない。
人混み自体が少し苦手な上に、夏祭りなんて
遠巻きに眺めるくらいでほとんど行ったことがない。
紺色のシックな男性物の浴衣姿で、群衆の中をそろりそろりと
潜り抜けて、待ち合わせの場所に向かう。
■正親町三条楓 > 着慣れたものなのか、浴衣でゆっくりと神社の階段下へ。
女性にしては背が高く胸が大きい為浴衣はあまり似合わないのだが、それでも精一杯着こなして。
「――ん」
目当ての人物を見つけると、ゆっくり近づく
■神宮司ちはや > 「あ、トリクシーくん、楓先輩!こっちです」
群衆の中に目当ての二人を見つけると大きく手を振って声をかける。
ちはやも浴衣を着ているが…………
何故か女物だった。女物だった。色合いは青が強いが……女物だ。
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二人も同じく浴衣を着ている様子にぱっと表情を輝かせる。
「ふたりともとっても素敵な浴衣ですね。似合ってます!
いつもと違う格好を見れるって得した気分になっちゃいますね」
■ビアトリクス > ほとんど同じタイミングで近づいてきた楓に、軽く手を挙げて挨拶を送る。
うまく着こなせていなかったら軽く胸のことでもからかってやろうかと思ったが、
どうやらそれは叶わないようだ。
(あれっ?)
目的の人物の装いに、意表を突かれ思わず目を背けてしまった。
もともと女性的な雰囲気のある少年だったが、これではまるきり少女である。
いつもは自分が女性物を着ているのでちぐはぐだ。
「ありがと……。
ちはやもよく似合ってる、けど……それ女性物だよね」
訊くかどうか迷ったが訊いてしまった。本人はわかっているのだろうか。
■正親町三条楓 > 挨拶をするビアトリクスには軽く礼を返す。
やはり浴衣は胸が無い方が有利だ。
「こんにちは――あら」
女物を着ているのに軽く目を見張る。
もっとも、とてもよく似合っている事に変わりはないのだが。
■神宮司ちはや > 女性ものだと気づかれると、ちょっと罰が悪そうに恥ずかしげに俯いて
「う、うん……。昔おじいちゃんの浴衣とか借りて着てみたんだけど
どうもなんだか似合わなくて、それでこっちの浴衣になっちゃったんだ。
……ごめんなさい、変かな?」
くるくるとその場で回って自身の浴衣を二人に見せる。
急に女物なんか着てくる男は嫌だったろうか……。
「今日はトリクシーくんが男の子の格好しているね。いつもと違う。
楓先輩は和服、着慣れててすごいなって思いました。
歩き方とか姿勢とかすごく綺麗です!」
それじゃあ、行こうかと石畳の階段を下駄で登り始める。
■ビアトリクス > 「いや! 全然へんじゃない、けど……
びっくりしたからさ。むしろ、いいと思うよ」
あわてて手を振って否定。
自分も女性もので行くかどうか、はすこし考えたのだが。
「女の子っぽい格好ばっかしてたから、
すこしはバランスを取らないとな……って思って。
……ぼくはあんまりこういうお祭り慣れてないから、
二人に先導してもらうつもりで遊ばせてもらおうかな……」
楓は式典委員会副委員長だし、ちはやは神社の息子だ。
自分なんかよりはるかに慣れているだろう。
ちはやに続いて、サンダルで階段を登っていく……。
■正親町三条楓 > 「ふふ、ありがとうございます」
良かった、いつものちはやだ。
ビアトリクスに感化されて、何やら変な思想に目覚めたかと少し心配したが……
いや、むしろアリか?
「私も、いつも準備する側でしたから、今日は楽しみましょうね」
嬉しそうにいいながら、ゆっくりと石畳の階段を登りはじめ
■神宮司ちはや > 変ではないと言われれば安心したように微笑んだ。
「そっか、でも好きならどっちの格好をしていてもトリクシーくんは似合うと思うよ。かっこいいし。
先輩も、いつもお疲れ様です。今日はお客さん側で遊びましょうね」
とんとんと軽い調子で階段を駆け上がり、鳥居をくぐる。
道の両端にはいろんな出店が並んでいた。
お面屋、金魚すくい、ヨーヨーつり、イカ焼き、わたあめ、かき氷などなど……
おおよそ夏祭りと言ったらこれという感じの出店は揃っている。
少し離れた場所では櫓を組んで、上に和太鼓を乗せ、盆踊りの会場なども設営されている。
ちはやは目を輝かせてその光景を眺めた。
「うわぁ、すっごいですね。ぼく、神社の家の子だけど
自分の神社でこんなお祭り開いたことがなくてすごく珍しいです。
何か食べます?それとも遊びますか?」
何気なく指差した方向にあるのはチョコバナナの文字。
ホワイトチョコをかけたバナナにチョコレートスプレーがかかったあの甘ったるいやつである。
■ビアトリクス > 「おお…………」
鳥居の先に広がる、さまざまな屋台。
派手な色の屋根、その裏側に透ける電球の光はまるで蛍のようだ。
人、光、その情報に処理が追いつかなくなる。
夜の歓楽街に少し似ているが、それとはまた違う。
珍しい、と言われれば少し意外そうに目を丸くする。
こういうお祭りを開いているばかりの神社ばかりではないのか。
「あれがチョコバナナ……!」
指さされたほうに視線を向けて、目を見はった。
こういった場以外ではまずお目にかかれないいろいろと雑な食品。
話には聞いていたが目にするのはビアトリクスははじめてである。
中学の文化祭などにもあったかもしれないが彼はフケていた。
興味を惹かれることは確かだ。財布を取り出す。
「面白そうだ。食べてみない?」
二人を向いて。
■正親町三条楓 > やはり祭りはいい。
祝祭空間特有の熱気。楓はこれが嫌いではない。
「チョコバナナですかぁ」
うん、祭りの華だ。
あのいかにもという感じのけばけばしい装飾がたまらない。
「いいですねぇ、食べましょうか」
■神宮司ちはや > 二人が乗り気ならば早速チョコバナナの屋台に走り、すみませんと声をかける。
「3つください!」
指で3と示し普通のチョコとホワイトチョコのものがあると気づくと
二人にどっちがいいかと問いかける。
自分はホワイトチョコバナナにするつもりだ。
屋台のおじさんが手早く割り箸に刺さったチョコバナナをちはやに渡す。
■ビアトリクス > 「じゃあ、ぼくは普通のチョコで……」
無難な選択といえよう。自分の分の小銭を出して、バナナを受け取る。
くるくる、と刺さっている割り箸を回してしげしげと眺める。
「ふぅん……」
ファンシーな見た目だが、これ一本でカロリーは充分みたいな貫禄を漂わせた一品だ。
やや緊張した面持ちで鼻先を近づけて匂いを嗅いで、その先端にかじりついた。
「……濃厚だな……」
つぶやくような感想。もう一口。
■正親町三条楓 > 「あ、私もホワイトチョコでぇ」
バナナを受け取り、もぐもぐと租借する。
うーん、チープな味。
だがそれが良い。
ふっとちはやとビアトリクスを見る。
そういえばこのチョコバナナは食べ方によっては……
■神宮司ちはや > 同じように代金を支払い、白いチョコレートのかかったバナナをキラキラとした目で眺める。
チョコレートスプレーはなんとなく子供の憧れだ。あの色とりどりの体に悪そうなチョコレートがおしゃれに見えるのだ。
「いただきまーす」
おっかなびっくり、先っぽをちょっと舐めてチョコレートを味わうともぐもぐと一口味わう。
見る人が見ればちょっとあれな光景だ。ぺろぺろとスプレーを舐めたりチョコバナナ本体をかじったり
ちょっと口元に白いチョコが溶けてついちゃたりとかそういうあれを考えてみて欲しい。
本人は気にすることがないが。楓も揃って同じ味にしたことにちょっと嬉しそうに笑う。
「あ、トリクシー君こっちもちょっと食べる?甘いけど美味しいよ」
そうして自分のチョコバナナを相手に差し出してみせる。
■ビアトリクス > もぐもぐ……甘ったるい。なんというか雑なテイストだ。安いなりだな。
などと普段なら評価しているところだろうがこの特殊な場がそういう冷淡な評価を下させない。
むしろこの場においてはこういう安っぽい味こそが正義なのだ、そう誰かに言われた気がした。
祭りの食べ物や風習に親しみがないビアトリクスとしてはその感覚を言語化して捉えるのが難しい。
楓がバナナを咥えてもぐもぐしているのを見て、
なんというかこいつにバナナの組み合わせってアレだな、
などと一瞬思ってしまうがさすがに失礼だし口には出さないほうが――
そこまで考えてちはやのほうに視線を向けたら手にした割り箸が喉を貫きそうになった。
「ングッ……」
お前。
「えっ!? えーと、その…………」
反射的に手を出してみたが本当にそれを受け取ってしまっていいのか
目を白黒させている。
(わざと言ってんだろいい加減にしろよ)
■正親町三条楓 > む、ちはやがビアトリクスにバナナを食べさせる?
これは一大イベントではなかろうか。
カメラ、カメラはどこだ。
広報部! 広報部! はやくしろ、間に合わなくなっても知らんぞ!!
などと脳内で盛大に騒ぎながらも
「あらあら~」
口に出してはにやにやと見守る程度にしておく。
■神宮司ちはや > 反射的に差し出したビアトリクスの手にチョコバナナを握らせる。
どうしたの食べないの?などと無邪気な顔で首を傾げてビアトリクスを見つめる。
飲み込んでぼくのチョコバナナ、などという意図はみじんもない。
ただの好意で食べさせたいだけである。
代わりにビアトリクスの普通のチョコバナナをかすめるように一口食べた。
「えへへ、もーらい」
いたずらっぽく笑うと口の端についたチョコレートが見えた。
■ビアトリクス > 「あっあっ」
狼狽している間にあれよあれよとバナナを握らされてしまった。
心の何処かで楓が諌めてくれるのではないかと期待していたが
何が面白いのかにこやかにお見守りになられる模様。
こうまでされて食べないというのも逆に変だ。
そう……食べないわけにはいかない……
呪文のように脳内で繰り返した。
「ううっ……」
よくわからないがひどい辱めを受けている。
顔を赤くして目尻に涙さえ浮かべながら、渡されたチョコバナナの先端を咥える。
ちはやがかじったところに舌を這わせてから、そろりと歯を立て、一口齧る。
(おいしい……)
これはバナナを食べただけ、バナナを食べさせられただけ、何一ついかがわしい意味合いはない……
なんか気が付いたら自分のバナナも食べられていた。その笑顔が眩しい。
「んっ……」
俯いたまま、いただいたホワイトのチョコバナナを返したい。
■正親町三条楓 > 「ちはや君ったら」
くすくすと笑いながらも心の中ではガッツポーズ。
かわいい少年たちのじゃれあいを間近で見れる楽しみは何にも代えがたい。
「ほら、ついてますよ~」
指でちはやの唇を拭い、チョコレートをふき取り、そのまま自分の口へ。
この程度の役得は許されてしかるべきだろう、うん。
■神宮司ちはや > 何故かチョコバナナを交換しただけで涙目で赤面するビアトリクスにどうしたのという顔をする。
「ごめんホワイトチョコ嫌いだった?」
自分のバナナを受け取ると心配そうになる。と、その横で楓の細く白い指が自分のチョコレートを拭って
そのままつややかな口元へと吸い込まれてゆく。舌をぺろりと舐め上げる仕草。
途端に恥ずかしくなってこちらも頬を染め、もじもじとバナナを持ったままうつむく。
「あ、ありがと、ございます……」
恥ずかしい所を見せたと反省して、慌てて別の方向を見る。目に入る金魚すくい。
でも金魚は生き物だから飼えないとかわいそうだ……。ではその隣のヨーヨーつりをしてみよう。
「あ、あのつぎアレがやってみたいです。」
プールに浮かべられた色とりどりのヨーヨーを指さす。
ご案内:「常世神社」にテストさんが現れました。
■ビアトリクス > 「ぜんぜん! ぜんぜんそんなことないって。
(ちはやの)バナナおいしかったよ……」
首をブンブンと振る。
性教育が必要なのではないか? とは思うものの性教育ではバナナのことは教えてもらえないだろう。
知り合いの養護教諭なら教えるかもしれないが。
楓はなんか妙に楽しそうだしこいつのことをどう評価するべきなのかわからなくなってきた。
なんかこの場において損をしているのは自分だけなのではないかという思いが強い。
チョコをペロる楓の定番ムーブに対してもそうかという枯れた感慨しか出てこない。
もう少し生きやすい性格に生まれればよかった。
「ヨーヨー釣りか……」
やろうやろう、と頷いて近づく。
渡されるのは釣り竿と呼ぶにはあまりに頼りないコヨリ。
当然ながらはじめてだ。こんなものでどれだけ釣れるだろうか…… [1d6-1→3+(-1)=2]個ほど釣れる
■正親町三条楓 > ちはやの赤面する姿を見てにっこり。
あぁ、やはりかわいい。
ヨーヨー釣り。
お祭りの定番である。金魚すくいよりかはマシだろう。
あれは技術がいる。
「そうですねぇ、ヨーヨー釣りですかぁ……」
ゆっくり頷きながらも、まずはちはやのお手並みを拝見とばかりに。
■神宮司ちはや > 「よかった。僕もトリクシーくんのバナナとっても美味しかったよ」
ビアトリクスの心配をよそにちはやは嬉しそうに笑う。
楓もにこにこしているのならこのチョコバナナという食べ物を食べた思い出になった。
ちょっと甘すぎたけど、お祭りの食べ物ならなにか特別な雰囲気があるし悪くない。
ヨーヨーつりのプール際にビアトリクスと楓に挟まって座り、
ビアトリクスがこより一本で2個のヨーヨーを釣り上げるとすごいすごいと手を叩いてはしゃぐ。
自分もお金を払って、店員からこよりを受け取るとそっとプールに浸した。 [1d6-2→1+(-2)=-1]個釣れる
■神宮司ちはや > ぽちゃん、こよりは水に浸しただけで切れた。終わった。
ぶわっと涙がこみ上げる……。悲しい……。ヨーヨー釣れなかった……。個釣れる
■ビアトリクス > (その主語は省略していいやつだから!)
さておき。
「よっ……と」
慎重に指を動かす……と、思ったよりあっけなく、水ヨーヨーにコヨリの先端が引っかかった。
ひとつ釣り上げ……しっかりと観察し、ひょい、ともうひとつ、こよりに吸い付くように持ち上がる。
調子に乗ってもうひとつ……と水に浸したところで、ふやけてぷちんと切れた。
肩をすくめる。まあこんなものか。
青と黄色のヨーヨーを手に、隣のちはやの戦果はどうかと、視線をやると……
「あっ…………」
涙目になっているちはやがいた。
「も、もう一回やってみようよ。料金はぼくが出したげるからさ……」
必死になだめる。泣くな!
■正親町三条楓 > 「あらあら~」
よしよしとちはやを慰めながら、自分もこよりを買う。
さて、ヨーヨー釣り。
あまり器用ではない楓が何個釣れる事か…… [1d6-2→4+(-2)=2]
■正親町三条楓 > 「よっと……」
なんとかこよりを操り、同じ柄のを二つ釣る。
意外と普通に釣れた。
釣ったひとつをちはやに差し出す。
「ふふ、はい、ちはや君。おそろいですね」
■神宮司ちはや > 切れてしまったこよりの先を未練がましそうに眺めていると楓が差し出したヨーヨーが目に入った。
楓の持っているものと同じ柄。慌ててそれを受け取るとさっきの泣き顔はどこへやら
嬉しそうにヨーヨーをつついて遊び始める。
「あ、ありがとうございます楓先輩!これ、大事にしますね」
そうはいうもののヨーヨーは数日も経てばあっという間にしぼんでしまう。
それはまだ経験したことがないのでとにかく楓に貰った特別なものだからとの発言だった。
ビアトリクスの慰めにもいいの?と首を傾げ
「それじゃあもう一回、がんばってみる!」
もう一度店員さんからこよりを受け取り、そっと水に浸して紐を狙う……。 [1d6-2→6+(-2)=4]個釣れる
■神宮司ちはや > 神社の神様が哀れに思ったのか、はたまた眠れるヨーヨー釣りの才能が目覚めたのか、4つも吊り上げてしまった。
先ほどの無様な戦果が何かの悪い夢だったような結果である。
しかし合計で8個も連れてしまったヨーヨー。手一杯にヨーヨーがバインバインしている。
これは予想外だった、結構邪魔だ。店員さんに言って結局3つキャッチアンドリリースした。
■ビアトリクス > おそろいのヨーヨーを渡すのを見て、あっずるいな、とちょっと思ってしまう。
その手があったか。生憎と自分が釣ったものは色がそれぞれ違っていた。
まあ、そんなことをいちいち気にはすまい。ちはやもうれしそうだし。
「うわっすごい釣れたな」
自分で釣ったヨーヨーをバインバインさせながら拍手する。
さっきコヨリが音速でちぎれたのは何だったのだろう。
店主が手抜きしたのではないだろうか。
「まあそうなるよな……」
どう考えても邪魔である。
そもそも雰囲気に乗せられて釣りに興じたはいいが
水ヨーヨーなんてどのみちゴミになるしかない運命だよなと冷淡に考えてしまう。
どうにも祭りの景品というのは刹那的だ。
バインバイン。
■正親町三条楓 > 「あら凄い」
嬉しそうにちはやにぱちぱちと拍手を送る。
屋台のおっちゃんがかわいそうに思ってちはやに太目のこよりを渡してくれたのかもしれないが……
ここはちはやの実力と思っておこう。
屋台をきょろきょろ見回す。
次は――
「あ、リンゴ飴がありますよ。あれ、私好きなんですよねぇ」
■神宮司ちはや > 「えへへ、ありがとうございます!」
たくさん釣れたのはいいが結局荷物になってしまうのは由々しき問題だ。
とはいえ自分で釣った分と楓に貰った分は手放そうとは思わないが。
次に楓が声を上げた方へ視線を移すとりんご飴の屋台が在る。
真っ赤な丸いりんごにクシが刺さって透明な蜜のようなものがかかっている。
「りんご飴?楓先輩食べたことがあるんですか?」
ちはやはりんご飴という存在も食べた経験もない。
とりあえず屋台に並んでいるりんご飴を珍しそうに眺めた。
■ビアトリクス > 「またずいぶんとラフな食べ物だな……」
つられてビアトリクスもキャンディーアップルに視線を向ける。
もちろんビアトリクスだって食べたことはない。
まだお腹には余裕があった。
チョコバナナと似たような雰囲気の食べ物だが、
さすがにりんごでいかがわしい事故は起こるまい。安心だ。
■正親町三条楓 > 3人分のリンゴ飴を注文。
それぞれに手渡して行く。
「ん……」
ちろちろと舌を伸ばし、飴を舐め取る。
あまりはしたなくないようにしながら。
それでも、彼女がリンゴ飴を舐めとる姿はちょっと健康的な青少年には刺激的かもしれない。
■神宮司ちはや > お礼を言って楓からりんご飴を受け取る。
珍しそうに暫くくるくると回していたがおもむろに自分も一口かじってみる。
飴の歯ごたえとりんごの微妙な火加減が通った果肉が面白い味だ。
「りんごに飴ってどんな味だろうっておもったけど美味しいねぇ」
もくもくと口に運びつつなんとなく楓に視線を向ける。
真っ赤に濡れた唇と舌がこれまた真っ赤なりんごの表面をなめている。
なんだかとても良くないものを見てしまった気がして慌てて俯いて視線を逸らした。
わけもなく恥ずかしくなる。
■ビアトリクス > 「…………」
さっきのモノローグが完全に旗を立てていたことを悟った。
この楓という女は何を食べてもいかがわしくしてしまうのか。
そんなことを冷ややかに考える。
ビアトリクスはある程度以上に女性性の強い存在に欲情することが難しい体質になっていたため、
特に心乱されることはなかった。
恥ずかしがるちはやを横目に、黙々とりんご飴に歯を立てて食していく。
ことさらに艶かしいこともなく普通の食べ方だ。
(何の味もしないな……)
■正親町三条楓 > 飴をなめとり、齧り終えると。
軽くハンカチで口を拭う。
「さて、次は何処を見ましょうか~?」
楽しそうにあたりの屋台を見回す。
ちはやはちょっと恥ずかしがっているようだ。
あぁ、かわいい。
■神宮司ちはや > りんご飴をそれぞれ食べ終えたことを確認すると、きょろきょろとあたりを見回す。
射的の出店が目に入った。が、銃なんて撃てないかなぁ……となんとなく景品の棚を覗きこむ。
はやりのキャラクターグッズ、光る勇者の剣(ここは常世島なのでもしかしたら本物かも知れないが)
怪しい魔導書、魔法の飲み薬(男女性転換効果!抜群!とラベルに書かれている)、キャラクター文具、猫耳などのコスプレグッズ
一番上に一抱えほどもあるゆるい猫の大きなぬいぐるみが飾られていた。
クリーム色をしたやわらかそうな、もたれたらきもちよさそうなねこ。
「ね、ねこ……」
ちはやの目が猫のぬいぐるみに釘付けになる。
■ビアトリクス > スッ、とちはやを追い抜き、射的屋の店主から無表情にコルク銃を受け取る。
言葉など不要、とばかりに構える。
もちろん銃など使ったことはない、が……
元素魔術試験の射撃ではそれなりの成績を修めた身だ。
やってやれないことはないだろう……
ちはやの願いにここで応えないわけにはいかない! [1d6→2=2]奇数なら猫、偶数ならそれ以外の何かに
■ビアトリクス > スコーン。
「あっ」
力みすぎて思いっきり狙いが逸れた。
弾は猫のぬいぐるみを逸れて何かに命中し、台からポロッと落ちた。
「くそっ」
毒づく。
というかあのでかいぬいぐるみ、当たっても素直に落ちてくれるのだろうか。
■正親町三条楓 > 「あらあら~」
あのもふもふの猫のぬいぐるみ。
確かにかわいいが、大当たりの景品のようだ。
なら――
「私もやってみましょうかぁ」
ここで退いては女が廃る。
よーく狙って――奇数なら猫、偶数ならそれ以外に命中。3dで13以上が出れば落ちる
■正親町三条楓 > [1d6→2=2]
■正親町三条楓 > こちらも狙いは外れ。
猫のぬいぐるみの隣にあった妖しげな薬がぽろりと落ちた。
「あらぁ、残念……」
しかしあれは本当に落ちるのだろうか。
何か魔力の障壁とか張ってないか?
■神宮司ちはや > 二人がすっと華麗に銃を構え、続けて猫のぬいぐるみを落としにかかる。
が、しかし狙いはそれてそれぞれ別の景品を撃ち落としてしまった。
二人が自分のためにぬいぐるみを狙っていることに気づいて、胸が熱くなる。
「ぼ、ぼくもやってみます!」
店員からコルク銃を重たそうに受け取ってふらふらと構えながら一番上の猫のぬいぐるみに狙いをつける。
あたっても落ちないかもしれないがやらないで逃げるのは二人に失礼だ。 [1d6→3=3]奇数なら猫、偶数ならそれ以外
■神宮司ちはや > ぱこ、軽い音がしてコルクの弾丸が猫の眉間を撃ちぬいた。
反動でちはやはひっくり返りそうになっていたが、あわてて踏ん張る。
とはいえ一度当たっただけでは重量級のねこは落とせない。ちょっと位置をずらしただけだ。
■ビアトリクス > 撃ち落としてしまった猫耳カチューシャを渋い顔で受け取る。
脳波に反応して動くとか動かないとか。
「……ところでさっき楓先輩が撃ち落としたクスリって何?」
ぬいぐるみばかりに気を取られていたがかなりアレなラインナップな気がする。
「よし、今度こそ……」
コルクの反動でひっくり返るってどれだけ妖精ボディなんだよと
内心ツッコミを入れながらも追加の攻撃フェイズに入る。
先ほどの一射で勝手はつかんだ。
身を乗り出して、できるだけ対象に銃口を近づける。
的は大きい。慎重に狙いさえすればハズす道理はない。
先ほど位置がズレて多少落ちやすくもなっているはずだ――! [3d6→3+4+5=12]12以上で猫が落下
■ビアトリクス > 「どうだっ……!」
元素魔術実技試験優秀者はダテではない。
乾坤一擲の射撃が猫の側頭部――急所を正確に捉える。
台の上でぐわんぐわんと揺れ動く。
堕ちるか、巨猫――!
■正親町三条楓 > 「えーと……『これ一本でお手軽性転換! 自販機印の性差逆転薬』」
なんだそれは。
一体誰が何の目的で作ってどうしてそんな事になっているのか。
――まぁ、一応受け取っておこう。
何かに使えるかもしれない。もしかしたら。
「あ――!」
猫が落ちるかもしれない。
固唾を呑んで見守る。
落ちて欲しいような、そうでもないような……!
■神宮司ちはや > 「せいてんかん?」
耳慣れぬ言葉にまたまた疑問を抱きながら楓の手にした薬を見つめるが、
まぁ使い方は楓が知っているのだろう。彼女の賞品だし。
ぐらぐらと揺れ動いた末に猫がお腹を出して台の上から転げ落ちた。
『まいったにゃー』と言った具合でごろんとその巨体が下に落下する。
店員が驚いてすぐに大当たり!!と叫びガランガランと鐘を鳴らした。
どうやらビアトリクスが1等賞らしい。
店員が袋にねこをつめてビアトリクスへおめでとうと渡す。
袋にはちきれんばかりに詰められたねこはじっとぬるい顔でビアトリクスを見つめている。
「すごい!トリクシー君おめでとう!猫耳カチューシャも似合うね!」
ちはやが笑顔でぱちぱちと拍手を送る。
■ビアトリクス > 「せいてんかん」
この島は気軽に性差を踏み越えすぎなのではないか?
ビアトリクスは訝しんだ。……どう使うんだ?
まあそれよりもである。
「落ちた……!」
自分でやっておいてなんだが、ビアトリクスも本当に落とせるとは信じきれていなかった。
夢でも見ているかのように渡されたねこのぬいぐるみを見つめ返した。
しかしそれもそこそこに、す、とぬいぐるみの袋をちはやに差し出す。
それが当然であるかと言うように。
「似合、う……」
あじさいの葉の裏にかたつむりが這っているかと思ったらなめくじでしたぐらいの
納得のいかない表情を浮かべ……
カチューシャを頭部に付けた。
「……」
うつむく。
この間会話した天然猫耳野郎に見られたらどう言われるだろうか……。
■正親町三条楓 > 「あらかわいい♪」
ビアトリクスに面白そうに声をかける。
不機嫌な猫耳少年。
うん、イイ。凄くイイ。
「ただのお薬ですよ~」
いいながらポケットに仕舞う。
今度誰かに使ってみよう。
■神宮司ちはや > 差し出されたねこのつまった袋に、思わずビアトリクスの顔を見つめる。
「いいの?ありがとう……!嬉しい!」
両手いっぱいで猫の袋を抱えると、大事そうに猫の顔に頬ずりする。
柔らかい、かわいい。
だが、そっと猫耳カチューシャを身につけたビアトリクスを見ると思わず吹き出した。
「あは、トリクシーくんかわいい!ねこさんだー!」
くすくすとそれでも似合う似合うと笑ってその姿を目に収める。
本当はいやそうなのに自分が似合うというとすぐ付けてくれる彼の優しさが嬉しかった。
それに彼の不機嫌な顔も嫌いではない。
その後、他にもいろんな出店を回ったり神社へお参りしたり盆踊りに少し参加したりしながら十分夏祭りを堪能した。
そろそろ時間もいい頃だ、帰り道に行こうとして階段下まで降りた所で二人に声をかけた。
「あの、今日は楓先輩もトリクシー君もありがとうございました。これ、今日の思い出とお礼です。」
言って、途中二人から離れて買った品をそれぞれに差し出す。
縁日でよく見かける安いアクセサリー屋で見つけたものだが、二人に似合うかなと思って買ってしまったのだ。
シルバーのネックレス。ペンダントトップに銀色の涙滴型の小さな飾りと、輝く石が付いている。
楓の分はピンクのガーネットに似た色、ビアトリクスのはブルーの涼しげな色。
■ビアトリクス > 「はあ、どうも」
ぞんざいな返事。楓から向けられる視線に若干危険なものを感じる。
まあ、不興を買うよりは気に入っていただけたほうが良いだろう。おそらくは。
「かわいい……そうか……」
ぶすっとした顔のまま、猫耳が、ぴこ、と動いた。
本日二度目の恥辱体験だった。
さっさと外してしまいたかったが、どうやらお気に召したらしいので
もうしばらくはこのままつけて過ごすことにした……。
……
すっかり周り疲れて。
「くれるの? ありがとう。
……だ、大事にするよ」
頭を下げ、恭しく、差し出されたネックレスを両手で受け取る。
前にプレゼントをもらった時は、混乱のあまり電柱に頭を何度も打ち付けてしまったが
さすがに今度はそんな取り乱し方はしない。
ネックレスを包んだ手を、ぎゅっと自分の胸元に寄せる。
じんと、身体の内側が暖かくなるような感触を覚えた。
■正親町三条楓 > 祭りもたっぷり堪能した。
あの後焼き蕎麦やらたこ焼きも食べたが、常世神社の縁日はなかなかレベルが高い。
式典委員会で参考にしてもいいかもしれない。
「あら、ありがとうございますね」
うん、ちはやからのプレゼント。
大切にしよう。
これに合う服を新調するのもいい。
先日の不機嫌も何処吹く風で、すっかり機嫌を直した楓であった。
■神宮司ちはや > 意外に楓がたくさん食べるということも知れた。
なんでも美味しそうに品よく食べる楓の姿はきっと作った人達も見たら嬉しくなるだろう。
今度、お弁当とか持って行ったら食べてもらえるかな、なんて考えたりもする。
二人共嬉しそうに受け取ってもらえて良かったと一安心。
「ちっちゃいものですけど、良かったら使ってくださいね」
それから猫の袋を抱え直して肩に通し、ヨーヨーを両方の手に吊り下げて、二人の真ん中へ
右手と左手をそっと二人に差し出す。つないで帰ろうという意思表示。
これをきっかけに自分だけではなく二人の仲もより深まってほしいなと思いながら。
■ビアトリクス > いつのまにか、恋敵に相当する存在である楓と共に過ごしていても
心が以前ほどにはざわつかないことに気づいた。
それが自分にとって歓迎すべき変化なのか、それはわからない。
すべてが良い方向に転がるなどという楽観はもちろんない。
しかしかつてのようにどうしようもない絶望と悲観は抱いていなかった。
「……それじゃ、帰ろうか」
そっとちはやの左手を取った。
■正親町三条楓 > うん、今度是非使わせてもらおう。
――ビアトリクスに関しては、うん。
そのうち仲良くなれるだろう。
多分。
「ええ、帰りましょうか」
ちはやの右手を取ると、帰路につく
■神宮司ちはや > 二人の手を握りながらその手の暖かさを実感するように軽く握り返す。
今日はとても楽しかった、こんな毎日がいつまでも続けばいいなと思ってやまない。
ゆっくりとお互いの歩調をそれとなく合わせ、最寄りの駅までの道を下っていった。
ご案内:「常世神社」から神宮司ちはやさんが去りました。
ご案内:「常世神社」からビアトリクスさんが去りました。
ご案内:「常世神社」から正親町三条楓さんが去りました。