2015/09/25 のログ
ご案内:「常世神社」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > ──夜の常世神社
静かなその境内の、片隅にぽつんと据えられたベンチに腰掛けて。
七生はぼーっと夜空を眺めていた。
首に巻いた包帯も、そろそろ外しても良い頃合いらしいが、とりあえず今週いっぱいは巻いておこう、とそのままにしている。
「……はー。虫の声ー……」
緩く開いた唇から、そんな言葉が零れ落ちて。
いまいち焦点の定まっていない目は、星の隠れた曇り空を見つめていた。
■東雲七生 > 二日間の入院期間を経て、少しだけぼーっとする事が増えた。
別に考え事をしているわけではない。ただ、意識がふわっと何処かへ行く事が増えたのだ。
それは時や場所を選ばず、また前兆の様な物も無い。気が付くと意識が宙に浮いていて、我に返ると時間が経過しているといった風だ。
今日も授業中、突然意識が途絶えて気が付くと終礼の鐘が鳴っていた。
──その時は単に微睡んだだけなのだろうとは思ったのだが。
後で確認してみると、授業内容の書き取りは全て行われていた。
普段七生がしている板書と、それに関する簡単なメモ書き。それが七生の意識に無い間にも正確に行われていた。
こうなると少しばかり、気味が悪い。
■東雲七生 > 「お祓いとか、した方が良いんじゃねーかなあ……」
ぽつりと、そんな事を呟いて。
取り敢えず神社に来てみれば何かして貰えるかもしれないとは思ったが、
そもそも霊に憑りつかれたというのもイマイチ自分で説得力に欠けると思う。
生きてる人間に憑りつき、授業を受ける霊なんて果たしているのだろうか。
「……深雪になんて相談しよ。」
居候先の少女には伝えた方が良いとは思うのだが。
さてどう説明するかとなると、言葉に困ってしまう。
「ていうか家に居る時に変な事してたらどうしよう……」
むしろそっちの方が大問題だった。
自動筆記なんて比べ物にならないくらいの問題だ。
■東雲七生 > 「きっと大丈夫、大丈夫だ、……大丈夫。」
何度も繰り返し呟いた後、大きな溜息を一つ。
ある種の夢遊病なのだろうか、だったら病院探さないと等と考えながら、軽く境内を見回してみる。
先日、ここでも大規模な戦闘があったと聞いた。
しかしその痕跡は殆ど見受けられなかった。
事後の復旧力というか、修復力の高さは流石だ、と思わざるを得ない。
■東雲七生 > しかし、この修復力の高さが逆に仇になるのではないか、とも思う。
例えば、自分の力の強大さを誇示したい者にとっては「何事もありませんでした」と言った顔をしてるのは神経を逆撫ですることだろう。
しかし、だからと言ってそのまま放っておくというのも出来ない事なのは七生にも理解できる。
「──めんどくせーったらありゃしねえ。」
妥協点を探ろうにも、そもそもその妥協点が本当に存在するのか。
まだ半年もこの島で生活して居ない七生には、判り兼ねた。
■東雲七生 > 「……帰ろう。」
気が付けば日も沈んで久しい。
そろそろ“散歩”と言い訳するには苦しい時間だろう。
ひとまず説明はまた今度にして、今日のところは熱いシャワーでも浴びて。
明日はちゃんと授業を聞いていられるように、しっかり練る事にしよう。
そう決心して、七生はベンチから腰を上げて。
静かに神社を後にした。
ご案内:「常世神社」から東雲七生さんが去りました。