2015/09/27 のログ
■蓋盛 椎月 > 「なるほどね。
親友か。畝傍ちゃんからともだちの話は度々聞いていたよ」
納得したようにうんうんとうなずいてみせる。
「どうやら、一般的に言われる解離性同一性障害とはだいぶ勝手が違うみたいだな……
あたしの《イクイリブリウム》で解決できるようなものでもなさそうだ」
拝殿を離れ、参道のあたりをぶらぶらと歩く。
「きみは随分と畝傍ちゃんのことを案じているみたいだね。
この機に成り代わったりとか――そういうことは考えないの?」
■千代田 > 「…………それは」
俯いたまま思案を続けた後、歩きながら話を続ける蓋盛に視線を合わせつつ、
「それは、千代田の望むところではありませんわ、先生」
また口を開き、そう返す。
畝傍の心中にて生を受けたばかりの千代田ならば、
そのような事も考えたかもしれない。しかし、今は。
「千代田は……畝傍を。愚かで哀れな、たったひとりの"姉君"を……守らなくては、ならない……そんな気がしていますの。……ですけれど」
今の千代田に、畝傍の人格は『守るべき対象』として映っていた。
それが時の流れの中で変化した千代田自身の意思であるのか、
あるいは別の何かであるのかは、今の千代田自身にも判断がつかない。
■蓋盛 椎月 > 「そう」
どこか嬉しそうに目を細めた。
「なんだかきみたちはお得だな。
ひとりの身体なのにふたり分ある。賑やかでいい――
――なんて、不謹慎かな?」
立ち止まり、ひひひ、と子供っぽい笑みを向けた。
「大切な親友と、案じてくれる“妹”がいる――
そんな幸せな場所なら、いつかちゃんと畝傍ちゃんも戻ってくるだろうよ。たぶんね。」
安心させ、励ますような口調。
■千代田 > ふたり分の視点、ふたり分の感情、ふたり分の感覚。
そして、ふたりでひとつの記憶。
「……いいえ。不謹慎だなんて、そんな」
向けられた笑みに、千代田はどこかかつての畝傍を思わせながらも、異なる微笑みを見せ。
「ありがとうございます、蓋盛先生。あの子が貴女を頼りにしていた理由が……少し、わかる気がしますわ」
再び口を開くと、感謝の言葉を告げる。その右目には、小さな涙の粒がきらりと光っていた。
■蓋盛 椎月 > 「感謝されることなど!
涙はもっと大事なときにとっておくべきだよ、レディ」
芝居がかった台詞。スキップで参道を歩く。
「それじゃ、あたしはこの辺で。
今は特に手伝えそうなことはないが――
もし何かあたしの力が必要になったときは、よろしくね」
機嫌よさそうに手を振って、そうして鳥居をくぐり、神社を後にする。
(――願をかける相手が間違っていたな)
(――あたしに大人を演じさせてくれるのは、いつだって子供たちなんだから)
(けれど、大人を演じるだけでは)
(届かない心もある――――)
……小さくため息を付いて。
ご案内:「常世神社」から蓋盛 椎月さんが去りました。
■千代田 > 「はい、先生」
そうして蓋盛が去った後、千代田は拝殿へと向き直る。
今は交信できない畝傍ともども、参拝の正しい手順に関する知識がないため、
しばしの間手を合わせ、目を閉じて祈るにとどめ。
再び目を開けば、千代田もまた来た道を戻るようにして歩き出し、鳥居をくぐって神社を後にする。
ご案内:「常世神社」から千代田さんが去りました。