2016/07/09 のログ
ご案内:「常世神社」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 陽の落ちた後の常世神社で七生は一人考え事をしていた。

昼間の暑さがまだじんわり残る境内の片隅にあるベンチにぽつんと腰を下ろし、じーっと虚空を見つめている。
あまりじっとして考え事する方ではないが、昼の間動いていたらすっかり動く気力が尽きてしまっていたのだった。

「……」

中々考えがまとまらないのか、自然と眉間に皺が寄る。
なんだか目の前の見えない相手を睨みつけているような気がしないでもない。

東雲七生 > 「うぁー……だ、めだー……」

やっぱり考えても答えは出ない。
これから自分はどうしたら良いか、どうすべきなのか。
時間がある間に考えてしまおうと思っていたのだけれど、どうにも自分は考え事は向かないらしい。

トライ&エラーを繰り返して、繰り返して、繰り返して。
それでもじりじり前進する方が、よっぽど性に合っている気がする。
……でも、それではいけない。
今度に限って言えば、一度のエラーが取り返しがつかない事態を引き起こす。
………そんな気が、する。 確証は無いけど。

「う~、それにテストも近いしな~!」

七生が受けている授業では、いわゆる机に向かって行うタイプのテストは去年に比べ少なくなった。
しかし、そのかわりにもはや試練と呼べるような課題考査が山の様に出て来るようになってしまった。

ご案内:「常世神社」に上泉 和正さんが現れました。
上泉 和正 > (常世神社にお参りに来てみればベンチに座ってうんうんとうなっている少年が一人)少年よ。悩んだ様子じゃがどうしたんじゃ?(笑顔でそう問いかける)
東雲七生 > 「へ?」

はたと我に返ればどうやら参拝客がやって来た様で、少しばかり恥ずかしそうに笑みを浮かべながら其方を見やる。

「いや、ちょっとテストも近いから色々と覚悟しとかなきゃな~って思って。」

あはは、と困った様に笑いながら問い掛けに応える。

上泉 和正 > テストの悩みか……まあ勉強するしか無かろう(カカカと笑う)しかし「それにテストも近し」ということは他に悩みがあるんじゃろう?もし良ければ言ってくれてもいいんじゃよ。もし良ければの話じゃが
東雲七生 > 「いやまあ、そりゃそうなんすけどね。」

困り笑いのまま軽く頭を掻く。
ところどころに癖っ毛のある真っ赤な髪が、跳ねを少しだけ増やした。

「んー、あんまり人に相談してどうこう、って悩みでも無いんすけどね?」

さてどう説明したものか、と少しだけ視線を老人から夜空へ向けて。
それからすぐに老人へと戻し、

「んーと……強くなる、ってどういう事なんすかね?」

上泉 和正 > 強くなる……か。色々な強くなるがあるからのう。戦いに勝つのが強いというものもおれば、いやいや折れない精神が強いと言うものもおる。結局はどんなことを願っているか?そういうことではないかのう(真面目な顔になって答える)
東雲七生 > 「だからその、“どんなこと”の部分が分かんなくなってるんすよね。
 ……人に訊いたところで、俺の問題だからしょうがないのは解ってんすけど。」

はぁー、と深く溜息を吐いてから思い出したようにベンチを少し横にずれた。

「あ、せっかくなんで座ってください。
 俺の方がよっぽど年下なのに座ったまんまっていうのも何だか変な感じっすから。
 ……だからって2人して立って話すような事でもないっすしね。」

上泉 和正 > 確かに難しいのう……というよりなぜそういうことを思うようになったのじゃ?(真剣な眼差しで聞く)あ、そうさせてもらうかの。気遣いありがとうの(そう言ってベンチに座った)
東雲七生 > 「いや、なぜと言われると……うーん、何から話せば良いのやら。」

更に説明が難しくなって、さっきよりも眉間に皺が寄る。
自分の抱える問題というのは、人に説明するには斯くも難しい物か、とさっきとは別の意味で頭を抱えた。

「……きっかけは、強くなるって言う、約束だったんすけど。
 段々、その強くなる、っていうのがどういう意味なのか分からなくなってきて。
 
 それで、こないだ別の人とも同じように約束……かな?
 まあ、そういう感じの話をして、やっぱり強くならなきゃならないみたいで。」

上手くまとまんないっすね、と苦笑しつつ。
自分でそれなりにまとめて話してはみるものの、どれほど伝わるか不安にもなる。

上泉 和正 > その約束した人はどういう強さを求めていたのじゃろうな……(問いかける)約束を守るにはそこから考える必要があると思うぞ
東雲七生 > 「どういう強さって……もう、何もかもだと思うんすよね。
 多分、肉体的にも精神的にも、誰にも負けないくらいの。」

約束の相手を思い浮かべる。
生半可な強さじゃ、ちっとも納得してくれそうにない。
少なくともその本人よりは強くならなければならないのだ。

「ちょっと腕っ節が強いとか、ちょっと根性があるくらいじゃ、駄目だと思うんすよね。
 そう、思ってたんすけど……。

 こないだ、別の人に言われたのはそれとは何か違う気がして。」

困っちゃうっすよ、と鼻の頭を指で掻きながら苦笑する。
思えば両方とも自分より年上の女性だ。やっぱり大人の女はそういうのを好むんだろうか、などと見当違いの想像をしたり。

上泉 和正 > ははは、二つも約束をするとは……お主結構欲深いのう(笑いながら言う)う〜ん後者は具体的な状況が分からんことには助言のしようがないの……役に立てずにすまん(しょんぼりとした様子でいう)
東雲七生 > 「笑い事じゃねーんですって、マジで。」

まったくもう、と少し口を尖らせて不満を露わに。
しかしすぐに年相応というよりは幼く見える笑みを浮かべて

「いやいや、別に良いんすよ。
 俺自身、あんまり人からアドバイスを貰えるような悩みじゃねーなって解ってるっすから。
 むしろ、聞いてくれてありがとうございますっすよ。」

気を落とさないでくださいっす、と笑みを浮かべたまま首を振る。
そういえば、この老人は誰だったかと首を傾げて。

「ところで、じーちゃんはどちら様っすか?」

上泉 和正 > わしは上泉 和正。教師をやらせて頂いておるの。おじいちゃんの先生と覚えておけばいい。見かけが老人なのはわしと確かもう一人だけじゃからのう。今のところは(ほほえんでいう)
東雲七生 > 「上泉……ああ、もう一人おじいちゃん先生っていうと士沢のじーちゃん先生っすね!
 前に話した事ありますし、色々教えて貰ったんすよ!」

主に電車の定期の買い方などなど。
最近電車を利用してないので、申し訳なさもあるのだが。

「教師……何の授業やってるんすか?
 多分、俺、授業取ってないと思うんすけど、先生の。」

上泉 和正 > 符呪がせんもんじゃの。あとわしはそろそろ帰らねばならん。悩めよ若人よ。では
ご案内:「常世神社」から上泉 和正さんが去りました。
東雲七生 > 「ふじゅ……?」

聴き慣れない言葉に首を傾げる。
とっさに漢字も思い浮かばない程度には、あまり縁の無い言葉だったようで、
頭の上に幾つもの疑問符を並べながら首を傾げた。

「あっ、ういっす。話聞いてくれてあざっした!」

老教師が席を立てば、釣られてベンチから腰を上げて。
ぺこり、とお礼と同時にお辞儀をして、去って行くのを見送った。

東雲七生 > 「ふぅ~……」

石段の向こうへと姿が消えるのを確認してから、大きく息を吐く。
解っては居たものの、改めて自分の抱える悩みの面倒臭さについて実感して少し気が滅入った。
この悩みを何時まで続ければいいのか、夏休み前には解放されてしまいたいなどと思いながら、七生も石段に向けて歩き出す。

「明日は何も考えないでパーッと過ごそうかな。
 そういや水着も何だかんだで買えてないし、色々……やりたいこともあるし。」

愈々梅雨明けの気配も見え隠れしてきている。梅雨が明ければ海開きだ。
今年は目一杯泳ぐつもりの七生は僅かな不安と大きな期待を心に神社を後にしたのだった。

ご案内:「常世神社」から東雲七生さんが去りました。