2016/09/30 のログ
ご案内:「常世神社」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「ふぅー、夜の神社に来るのもかなり久々かも。」

時間は深夜と呼ぶか呼ばないかの、それくらいの際どいところ。
七生は食後の軽い微睡から覚醒した足で、そのまま神社まで赴いていた。
昼間は暑さを感じたが、夜になれば逆に肌寒さすら覚えるようになったこの季節が、七生は好きである。

夏と冬の境。
そこら中に満ちていた様々な生命が、緩やかに落ち着き、そして静かに眠りに着くような。
その過程の季節。そして時間。

「参拝じゃねえけど、一応な。」

鳥居をくぐる前に、おじゃまします、と一言告げて。
七生は参道から逸れて玉砂利の上を歩き出した。

東雲七生 > 少しずつ、少しずつだけれど自分の成長を感じる。
相変わらず背は伸びないし、思っていたほどのマッチョにもならない。
髭が生えたりもしなければ、まあ、全体的に毛は薄い方だ。
大人に見えるかと言われれば、全く見えないだろう。

それでも、七生は今、自分自身が「成長してる」と感じられるのだった。
──理由も根拠も、特に無いのだけど。

「ふふふーん、ふふーん。ふん……」

じゃりじゃりと玉砂利を荒らさない程度に踏み鳴らしながら歩いて、いつものベンチに腰掛ける。
月でも見ようか、なんて思い立って来たは良いものの、神社に着いたらそんな気分じゃなくなってしまっていた。

東雲七生 > 「せめて誰か一緒に居りゃ良いけどさあ。」

月が嫌いになった訳じゃない。
一人でぼーっと眺めるのが、なんだか惜しくなっただけだ。
きょろりと辺りを見回しても、場所柄か、時間の所為か、誰か居る様な気はしない。

「ま、しゃーなしか。」

ふわぁ、と欠伸を溢してから背凭れに体を預けて。
神社に来よう、という目的を達したからか、少し戻ってきた眠気に体を委ねる。

東雲七生 > 海からの風がゆっくりと吹き抜け、鎮守の森の木々を揺らす。
葉擦れの音に耳を傾けながら、うとうと、うとうととしている間に七生の目蓋は完全に下りた。

穏やかな虫の声の中、赤髪の少年の寝息が静かに伴う。
見ているのはどんな夢か。それとも夢を見る程にまで眠りに落ちていないか。
小さく肩を上下させながら七生は静かにこの場所の空気と融け合おうとしていた。

東雲七生 > 不意にびくんと肩が跳ねて、七生の意識が急激に覚醒する。
微睡んだままに焦点の合わない目で、誰かを探す様に辺りを見回して。

「み……あぁ、」

そして今居る場所が本来の自分の寝床で無かったことを思い出した。
ふるふる、と頭を振ってまだぼんやり纏わりつく眠気を払うと、目を擦ってから欠伸を一つ。

東雲七生 > 「ふぁ……帰、ろ。」

生欠伸を繰り返しつつ、ベンチから腰を上げる。
来てまだそんなに時間は経っていない筈だったが、時計が手元に無いので確認できない。
もしかしたら何時間も経っているのかもしれない、と早足で玉砂利の上を歩く。

そして鳥居をくぐり、はた、と足を止めて。
くるりと振り返ると、お邪魔しましたっ、と頭を下げてから神社をあとにした。

ご案内:「常世神社」から東雲七生さんが去りました。