2016/11/05 のログ
ご案内:「常世神社」に寄月 秋輝さんが現れました。
ご案内:「常世神社」に阿曇留以さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
すい、と浮いたまま移動してくる。
魔力のきらめきを足元から残しながら、ゆらりと。

「…………」

両手を合わせ、ぺこりと頭を下げて境内に入ってくる。

ここに満ちる力はほんの少し体に合う。
霊力行使の練習にも、瞑想にも、何より羽休めにも。

阿曇留以 > その後ろ、寄月の後を追うようにしながら境内に入る。
同じく軽く頭を下げながら。

(すっかり寒くなっちゃって。
ここも雪とか降るのかしら)

雪とか降ったら大変だろうなぁと思いながら歩く。

寄月 秋輝 >  
振り返り、留以にも頭を下げる。

「すみません、留以さん。
 無理なお願いを」

霊術の行使、退魔術に関して未熟が過ぎるため、彼女に指南を願ったのがここにいる理由だ。
とはいえ、今から専門家に追いつけるとは思わない。
期間的にも、自分の才能的にも。
しかし少しでも、出来ることを伸ばしておきたいのだ。

阿曇留以 > 振り替えられれば、ほんわかとした笑顔を浮かべる。

「あら、別にいいのよ~。
うちには秘伝みたいなものはないから。
寄月くんみたいに基礎が出来てるなら教えるのも大変じゃないでしょうし~」

本当に秘伝がないかはさておき、教えるのはさほど大変ではないだろうと踏んでいる。
これが全くの初心者だったならもっと大変だろうけども。

寄月 秋輝 >  
「では、是非お願いします」

もう一度頭を下げる。

刀を鞘ごと握り、くるりと回して正面に携える。
この愛刀の力があって、ようやく半人前程度の能力しかないのだ。

「基礎中の基礎と、あとは実践で無理矢理培った技術ですからね。
 根本から経験者に教わらなければ」

その点、彼女は信頼している。
向き不向き、得手不得手はある。
その点で、霊術に関して留以は十分な能力の持ち主だと考えている。

阿曇留以 > 「とはいっても……なにから教えればいいかしら……」

空を仰ぎ見ながら考え込む。
今回頼まれていることは、矯正のようなものだ。
実戦で身に染みこんだ手順を崩し、再構築するということが必要で。

「……そうね~、まずは知識のほうから教えていきましょうか。
ただ、知識といっても教えるのはあくまで私の、もっといえば阿曇の流派の知識になっちゃうから、
寄月くんに合わなかったりしたらその都度、自分でなんとか組み上げていってね?」

阿曇の退魔術に染まるのであれば問題は無いが、彼には彼の流派というか、やり方があるだろう。
であれば、最後は結局彼自信が再構築をするしかないのだ。

寄月 秋輝 >  
「あぁ……」

少し考える。
母から教わったとはいえ、その技術に深いこだわりや思い入れがあるわけではない。
ならば別の流派の技術を、そのまま取り込んでもいいのかもしれない。

「わかりました。
 しかし留以さんの知識に合わせたほうが、何かと楽かもしれませんね」

今後教わるならば特に、だ。

阿曇留以 > 「あら、楽をしようだなんて。
寄月くんたら怠け者さんね~」

くすくすと笑う。
それは年下の子を弄ぶような声色で。
もちろん、そんなことはおもっていないのだが。

寄月 秋輝 >  
「睡眠時間を減らさない程度には怠けようと思っていますよ。
 せっかく今回は、体調を崩さずに済んだので」

ふっと笑い、そんな言葉を漏らす。
やるべきことをやり続けたら、倒れるまで続けてしまう男だ。
悪癖を理解して、ようやく抑える術を身に着けたと言ってもいい。

「ではお願いします。
 簡単にでいいです、わからないところは随時聞かせてもらいますので」

くるんと手の中で刀を回し、準備を整えた。

阿曇留以 > 「そうね、じゃあお勉強会をやっていきましょうか~」

ごそごそと袖から三枚の御札を取り出す。
なにやら文字が書かれている御札。
一つは漢字でかかれており、一つはひらがなでかかれており、もう一つは韓国語のような文字で書かれている。

「先に一言いっておくと、霊術と退魔術は似て非なるものなの。
で、まず退魔術なのだけれど、私たち阿曇の退魔術は神通力を使ってるの。
神様の力を借りて妖怪を修祓する。
だから、退魔術はやろうと思えば誰でも出来る技術なのよ。

逆に、霊術は自分の霊力、魔力を使って修祓する技術。
こっちは……私が魔力を良く知らないからなんともいえないのだけれど、霊力を必要とするからほぼ先天的な技術となってるわ。

どっちが効きやすいとかはきいたことが無いけれど、私は退魔術のほうが得意だからそっちを多様してるわね」

霊術も使えないわけじゃないのだけれど、と笑いつつ。

「で、この三つの御札。
一枚は霊力を籠めた御札で、もう二枚は神通力を籠めて、ただし媒体を変えたもの。
ちょっとこの三枚を寄月くんの胸に貼り付けてもいいかしら?」

寄月 秋輝 >  
お勉強会ということで、まずは空中で姿勢を正して聞いていく。

(……霊術と退魔術って違うのか……)

ほとんど一緒くたにしていた知識を、即時修正する。
では刀に込められた神通力を使っての退魔と、自分に備わっていた霊力を消費しての霊術だったということだ。
その区分を理解していなかったのに、よくまぁ今日まで退魔術も霊的結界術も行使出来たものだ。
というより、よく刀が応えてくれたというべきか。

「はい、どうぞ。
 ……媒体を変える、というと……?」

阿曇留以 > 御札三枚を寄月の胸にはる。

「漢字で書かれた御札とひらがなで書かれてる御札。
これらは普通の洋紙を使って作っているの。
でもこっちの阿比留文字――お隣さんの国の言葉っぽい文字を使ったこっちは、和紙を使ってるの。
理屈は知らないし、研究してる人がいるかも知らないけれど、和紙のほうが威力が出るようなのよ。
後、使う文字によっても威力が違うみたいで」

手の準備運動を行ないながら説明を続け。

「そういうわけで、一度寄月くんに霊力を籠めた御札と神通力を籠めた御札、受けてみてもらおうと思うのだけれど、大丈夫かしら?」

寄月 秋輝 >  
既に思考がこんがらがってきた。
和紙のほうが威力が出る、というのは初めて聞いたものだ。
ほとんど無意識に和紙に字を描き込んではいたのだが、理由まであるとは思わなかった。
文字もまたしかり、そんな大きな差が生まれるのだろうか。

胸元に目を落とすと、確かに紙の質は違うようだ。

「ええ、大丈夫です。
 いつでもどうぞ」

ぐっと体に力を込める。
しかし霊力や神通力の炸裂を邪魔してはいけない。
衣服の表面に魔力を通しておくだけで、体は覆わないように。

阿曇留以 > 「軽くいくけど、しっかり防御してね~」

ぷらぷらと手を柔軟に動かしてからまず一発目。
霊力が籠った御札に優しく触り。

「っふ!」

軽く、という割りには、力がこもった掌底を繰り出して御札を発動させる。
物理的衝撃が寄月に襲い掛かるだろう。

寄月 秋輝 >  
しっかり防御、とはどうしろというのだろう。
とりあえず服は破れないようにはした。
あとは吹っ飛ばないように、ちゃんと地面に降り立って。

留以の掌底が胸に直撃し、女性の細腕からの一撃よりははるかに大きな衝撃。

「……これは……?」

一歩だけ、衝撃を逃がすために足を下げながら耐えて、尋ねる。
あまり身に覚えのない術の行使だったようだ。

阿曇留以 > 胸に張られた御札をどうやって防御しろというのか。
防御、というよりも心構えだろう。
それはともかく、寄月に張られた御札の一枚が霧散する。
不思議そうな顔をしている寄月に説明しようと近づいて。

「今のが霊術。
ほんとに基本的な攻撃方法で、例えるなら……ただ剣を振っただけだから名前はないのだけれど。
感想を聞く前に退魔術のほうも試してみよっか。
威力の強いほうと弱いほう、どっちを先に受けてみたい?」

なんて尋ねてみる。

寄月 秋輝 >  
「今のが霊術、ですか……」

服は破れていないので一安心。
衝撃を感じた部分を手でさすってみる。
確かに探知してみれば、霊術の類の力を感じる。

「うーん……そうですね、では弱い方から是非」

自分の知らないことが実に多い。
これは基礎的な知識があると思って学ぶと、彼女に迷惑をかけそうだ。

ひとまずは退魔術を受けるために、再び足をそろえて姿勢を正した。

阿曇留以 > 「はぁい、それじゃあ……」

弱いほう、といわれて和紙のほうに手を当てる。

「――ふっ!」

もう一度掌底。
今度はかなり本気で、体重を乗せた掌底を放つ。
が、先ほどの霊術よりも威力は弱く、そしてほとんど衝撃が無い。
あるといえば、留以が放った掌底そのものの衝撃のみだ。

寄月 秋輝 >  
「ん……っ」

術的な衝撃は淡いが、人間の体重の乗った掌底の一撃。
体がのけぞり、それを抑えるためにまた一歩下がった。

「こっちが退魔術、ですか?
 ……大した効果を感じないのは、僕が人間だからでしょうか」

先ほどとの大きな違いは感じられないが、実際はどうなのだろう。

阿曇留以 > 効果を失った御札がまた霧散する。
その御札の攻撃に、神性も何も感じることは無かっただろう。
残りは一枚だけ。

「って、思うでしょ?
じゃあもう一枚のも試してみましょうか~。
こっちはたぶん、ほんとに強いから気をつけてね?」

秘密をばらすときが楽しみそうに笑いつつ、また寄月に近づく。
再度寄月の胸に手をあて、今度は息を吐く動作さえもなく、寄月の胸を掌底で軽く押した。

それだけで、神性を帯びた物理衝撃が発生する。
それも、霊術よりも強めのものが。

寄月 秋輝 >  
「はぁ……わかりました」

今度は本当に強いと聞いて、再び態勢を整える。
ぐっと耐えるつもりで。

留以の重心が移動しているように見えないのに、かなりの衝撃が胸に走る。

「っ……」

さすがに予想を上回る力に、わずかに息を詰まらせる。
吹き飛び……ぐるりと体を回転させ、右手だけでバク転の要領で着地する。

「……ええと、今のが……?」

最後の一枚が霧散するのを見ながら尋ねる。
どういう作用、相乗効果が起きていたのかわからない。

阿曇留以 > 「今のがちゃんと発動した退魔術。
といっても、洋紙で作ってひらがなで書いたものだからあれでも弱めなのよ?」

くすくす笑う。明らかに寄月の反応を楽しんでいる。

「さっ、それじゃ……質問なにかあるかしら?」

寄月 秋輝 >  
術の差がこれほどにも大きく出るとは思っていなかった。
むーんと考え、どこから質問するかをまとめる。

「術の違いで威力に差が出るのはわかるのですが……
 二つ目と三つ目の術に、どれほどの差があったのでしょう?」

まずはそこからだ。
同じ退魔術で、これほどの差が出た理由を知る必要がある。

阿曇留以 > 「じゃあ説明していくわね。
最初にいったけれど、洋紙よりも和紙のほうが威力が出るっていったでしょ?
でも、二つ目の術はほとんど威力が無かった。
なんでかっていうと、実は使用してる文字のせいなの」

いつの間にか伊達めがねを装着している留以が嬉々として答え始める。

「物体に対する威力しか確かめてないから、妖怪に対してどういう効果になるかは試してないのだけれど。
二つ目の御札は、阿比留文字っていう神代文字と言われてる文字で書いた御札でね。
この文字を使うと、どうも退魔術としての効力が一切発揮されないみたいなの。
なにが悪いのかは全然わからなくて、もしかしたら妖怪には効力が出るのかもしれないけど……。

三つ目のほうはひらがなで書いてるけれど、こっちは効力が出るみたいなの。
もちろん、妖怪にも。

つまり御札を使って退魔術とか霊術を使用する場合、御札に使う紙と文字によって威力が変わるの。
なんでかっていわれると、私もわからないのだけれどね?」

寄月 秋輝 >  
「神代文字の札は退魔術の効力が一切……?」

眉をひそめながら呟く。
では『退魔術は神の力、神通力を借りて行使する』とはどういうことなのだろうか。
神の力を借りているのに、神代文字が効果を為さない?
妖怪に対する効力が出るかどうか、彼女も理解していないのもまた不思議だ。
威力が出ないものを実戦で試すわけにはいかない、ということかもしれないが。

伊達眼鏡に対するツッコミはさておき、思考を高速で巡らせた。

「和紙を使えばいい、というのはよくわかるのですが……
 使用する文字で、ここまで大きな差が生まれるのは正直想定外ですね」

自分の使っている文字が、どこまで役に立っているかもわからなくなってきた。
もしかすると、十全な威力を発揮できていなかったのかもしれない。

阿曇留以 > 「そうなのよね~。
まさか文字でここまで違いがでるだなんて思わなくて……。
私は研究者じゃないからこれ以上調べようとは思わなくてやめちゃったけれど。
御札作るときには気をつけたほうがいいのかも~」

とはいえ、大体お札を作るときなんて漢字を使用するのだが。