2017/04/10 のログ
東雲七生 > 「へー……俺はこの世界の春しか知らないしなー。」

もっと言えば、この島の春しか知らない。しかも去年と、一昨年の。
だから他所の世界の春が、四季がどんなものなのかはとても興味があった。
いずれこの島を出て、この世界を出て、自分の目で確かめてみようと思うくらいには。

「うん?俺の今年の目標?
 うーんとね……せめて年相応に見て貰うことかなあ。」

少しだけ悩んで答える。
見た目だけなら中学生と間違われがちな七生だが、もう高校三年生。
二十歳だってもうすぐなのだから、そろそろ大人の男として見て貰いたかった。

クロノ > …… そっか。七生が知りたい、見たいと願っていれば、きっと外の世界の…いろんな季節もちゃんと見られるよ。
(やたら砂嵐だったりものすごく雨季だったり、年中変わらず真夏だったり…過ごしやすいかどうかはさておき、世界にはいろんな春がある。彼がそれを自らの身体で体験したら、どう思うのだろうか。少し楽しみでもある。)

…… なるほど…ね。七生も三年生だし、後輩たちと一緒に居ると、相応に先輩な感じになるんじゃない?
(相手のひたむきに努力家なところとか、人か人に非ずか分け隔てなく等しく接してくれる所とか、ちゃんとそういうところを見てくれて、慕ってくれる人もきっと少なくは無いだろう。そんな彼の努力が実を結ぶ日が、少しでも早く来てくれたら、と祈る男の子だった。)

東雲七生 > 「そうかなあ?だったら良いなあ。
 まあその為にももっともっと強くなっとかなきゃなんだけど!何処に行っても生きていけるよーに!」

その前に越えなきゃならない壁があるのだが。
それはそれとして、異なる世界への憧憬が日増しに強くなっていた。

「そういうのじゃなくて……何て言うのかな。
 ……ううん、何て言うのかなー……

 なあ、クロノ?別に俺が、その……女子の身体とかに興味を持つのって、変じゃないよな?」

意を決したように訊ねる。至って真剣な表情だ。
機械の少年相手に訊く様な事でもない気がするが、何しろ相手は保健の教員だ。
もちろん、その手の相談を持ち掛けられることも、あるのだろうと考えてのことだった。

クロノ > … そうだね。…身体も、心も。
(知らない世界に突如入り込んだ時、そこでとりあえず生き抜けるだけの強さと、その世界のことを知り、受け入れて応えていける深さと広さ。きっと様々な「強さ」が必要になると思うけど、彼ならきっと大丈夫、と。相手の気合いの入った宣言には、男の子はそっと小さく頷いた。)

…… ──── …… ?

(そういうのではなくて、何というか。相手の、暫し悩んで考え、戸惑いがちに出てきた言葉を、男の子は静かに聞く。)

…… ん。大丈夫。全然、変じゃないよ。 … 七生が、ちゃんと大人になっていっている証。
(相手のように男子生徒からの相談もあるし、逆に女子生徒からの相談もある養護教諭の日常。今まで経験した事の無いような心境の変化と、数年の間に大きく変わる自分達の体と。ココロとカラダの成長は、必ずしも同じペースとは限らない。)

東雲七生 > 「にひひ、頑張るぞー!」

常世学園に入学して丸二年、最も身に着いたのは順応性と適応力かもしれない。
しかし七生自身が求めているのは、フィジカル的な強さである。それと身長。

「……そ、そっか。うん、そうだよな!
 別に変じゃないよな!変じゃない!……よし!」

第三者にちゃんと認めて貰えて少しだけ安堵したのか、無邪気な笑みを浮かべる。
それこそ入学したての頃は自分の幼さを自覚してるが故にそういった気持ちの変化を無理やり否定していたのだけれども。
最近は、少しずつ向き合う様になってきていた。少しずつ、しかし確実に。

「ふう、少しだけ楽になった気がする。サンキュー、クロノ!
 それじゃ、俺そろそろ行くわ。」

お礼を述べるとともにベンチから跳ねるように立ち上がって。
玉砂利の上で一度くるりと振り返ると、大きく手を振った。

クロノ > (彼のがんばる宣言には男の子も「応援してるよー」と楽しそうに。ついでに「何かあったら手伝うよ」とも付け足しておく。既に相手の方が年上なんだけど、異界からの来訪者として何か相手の力になれれば、と男の子は願うのだった。)

… 急に、あからさまに表に出して狙うのは周りにびっくりされちゃうだろうから、最初は「あの子かわいいよね」とか抽象的な感じで、分かり合える仲間を探すといいかもね。

… ん。どういたしまして。気をつけて帰るんだよー?
(あと、そのうちでいいから、と一言付け足して。彼の好みがどんな感じなのかとか、いつかはそんな、年頃の男の子同士らしい話もしてみたいな、と願いながら見送る男の子ロボだった。彼を見送ってからも暫く、境内でこの街の春と、彼の春の到来をしみじみ感じていたとか何とか。)

東雲七生 > 「おう、わかった!分かり合える仲間、か……。
 じゃーなークロノ!お仕事がんばってなー!」

機械の少年に見送られながら、風に乗った小鳥の様に軽々と
紅い髪を揺らしながら、七生は神社を後にしたのだった。

ご案内:「常世神社」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「常世神社」からクロノさんが去りました。