2017/08/25 のログ
ご案内:「常世神社」に神代 理央さんが現れました。
神代 理央 > 「―…えぇ。近頃の落第街の騒ぎは憂慮すべき事態ではありますが、先輩方の適切な処置によって最小限の被害で喰い止められているのは間違いありません。はい、ええ。私も、何時でも任務に当たれる様にしておりますので。ええ、では」

神聖な静寂さが支配する夜の神社に、無粋な文明の匂い。
静まり返った境内で、スマートフォンを耳に当てて心にもない世辞を乱射していた少年は、電話を切ると小さく溜息を吐き出した。
別に徒労する様な事でも無かったが、やはり自己顕示欲の高い奴の相手というのは肩が凝る。自分自身もその類であるという事は考えない事にして。

「…しかしまあ、仕事が多いというのは良いことだ。これでより武闘派な先輩方の意見も通りやすくなる。俺も色々とやりやすくなる。誰も損をしないとは良いことだな」

薄暗い境内でベンチに腰掛ければ、夜の涼風に身を任せながら機嫌良く呟いた。

神代 理央 > 今のところ、島での活動状況について実家からも特に異論が出てはいない。
戦闘に身を投じる事により異能の使用頻度を高め、能力の増強も―実感は余り無いが―行っている。
力を持て余しがちな風紀委員会の先輩方の為に過激とも言える取り締まり(というよりも殆ど殲滅戦だが)を積極的に行い、騒ぎが起こるように出来る範囲で手を回している。
強いて問題点を上げるとすれば―

「……学業が疎かに成りがちなのと、私生活が崩壊している点だろうか。些細な問題ではあるが―」

世話焼きな使用人達からは小言の重機関銃を浴びせられそうな今の生活ではあるが、元々趣味らしい趣味も無かったので自分としては問題無し。
夏季休暇が終了した後は学業にも力を入れなければならないが、そこは何とか折り合いをつけるしかないだろう。
学生街のマンションは引き払ってマンスリーマンションでも借りた方が良いんじゃないだろうかと、割と真剣に悩みながら境内を照らす星空を見上げる。

ご案内:「常世神社」に筑波 察さんが現れました。
筑波 察 > 「こんな島にも昔ながらの文化があるなんて、正直驚きだねぇ」

常世神社。
大変容以前からあるらしいこの神社を訪れるのは、今日が初めてだった。
異邦人のために異界の文化を模した街並みは用意されているが、
こうした"自分の世界"の文化に触れることは、正直なかった。

「ん、人」

神社の境内に到着する前に、
こうした昔ながらの雰囲気とは相いれない、
無粋なゴーグルが先客をとらえた。
こんな場所にも、人がいるのか。そう思いながら、境内に入っていく>

神代 理央 > 格別他人に比べて気配に敏感だとか、危機感知能力が高いということは断じて無い。
さりとて、静寂が支配する境内において、自分以外の足音を聞きつけるくらいの聴力は持ち合わせている。
星空を見上げていた視線を、足音がする方向へゆるりと向けるだろう。

「………ええと、今から何か催し物でもあるのですか?お邪魔なら、立ち去りますが」

視界に捉えたのは、古風な神社に似合わぬゴーグルを身に着けた男。
何でもありの島での生活にも慣れたつもりではいたが、夜中にゴーグルを身に着けた男と鉢合わせになれば、流石に何事かと怪訝な表情を浮かべる。
取り敢えず、何か用事があって訪れたのかと当たり障りの無い問いかけを投げかけてみるが―

筑波 察 > 「……?
 催し物があるなら、僕はそれに参加する側だからねぇ。
 別に君を排したりするつもりも権限も僕にはないよ」

もし、夏の終わりに祭りでも開かれるなら、
それに参加してみるのも悪くない。
でも、そういうイベントがあるかどうかを僕は知らないし、
まして先客として足を運んでいた彼をここからどかすことなどできない。

「ちょっと興味本位で立ち寄っただけだからねぇ。
 今日初めて寄ったし、もしかしたら君の方が詳しいんじゃないかい?」

少なくとも、彼とは初対面だ。
彼がどんな人間なのか、こちらは知らない。
だから彼の方がもしかしたら詳しいのかもしれないと、
そんなふうに話を振ってみる。>

神代 理央 > どうやら、彼も散歩か何かの類だったらしい。
敵意も全く感じられないし、此方の考え過ぎだったのだろう。
後ろ暗い事ばかりしていると、猜疑心が強くなるのだろうかと内心自嘲する。

「これは失礼しました。実は僕もこの神社に立ち寄ったのは初めてなんです。夜中に人と鉢合わせして、少し警戒してしまいました。不快な思いをさせてしまったのなら、謝罪します」

ぶっきらぼうな発言になってしまった事を謝罪しながら、改めて眼前の青年に視線を向ける。
自分よりも一回り背の高い青年は、ゴーグルと夜の闇ではっきりとは分からないが恐らく自分よりは歳上だろう。というか、そうであって欲しい。主に身長的に。
ならば、後輩らしく良い子を演じておくべきかと思考を切り替え、作り慣れた子供らしい笑みを浮かべる。

「失礼ついで、と言ってはなんですが。僕は神代理央。一年生です。まだ入学して日も浅く、色々分からない事だらけですが、もし宜しければ宜しくお願いします」

自己紹介するタイミングでは無いかなと思いつつも、名を名乗るのは取り敢えずの礼儀だろう。
ニコニコと笑みを浮かべながら、小さく頭を下げて年下らしく挨拶してみせた。

筑波 察 > 「そう。
 まぁ、日が暮れたあとの神社で自分以外の存在と鉢合わせするなんて、
 神や幽霊を信じていなくたっていい気分じゃないからね」

自分だってきっと多少は警戒の色を見せるだろう。
というより、その状況で警戒の色を見せない人は、
危機感というものが著しく欠けていると思う。

「ん、僕は筑波察っていうんだ。
 この島で学年ってものがどれくらいの意味を持つかはわからないけど、
 一応2年生。歳は17ね」

相手が先に自己紹介をしてくれたので、それに乗っかる形でこちらも。
言ったばかりだが、学年というものの意味がいまいちつかめない自分なので、
年齢を明かしてしまう。
この島においては見た目も学年も大きな意味を持たないことがほとんどだ。

「それから、あまり猫をかぶるようなことはしなくていいよ。
 わかる人にはわかっちゃうから」

少し丁寧が過ぎる言葉遣いの彼に、少しつめたい言葉をかける。
わかる人にはわかる。
その中に自分は含まれていないが、なんとなく>

神代 理央 > 「此の島では特に妖精だの妖怪だの、訳の分からない存在が跳梁跋扈していますからね。大変容の後では、仕方のない事かも知れませんが」

此方に同意してくれる青年の言葉に、相も変わらずニコニコと笑みを浮かべながら頷く。

「…そう言われればそうですね。僕は15歳。筑波さんが学年も年齢も先輩ですね。きちんとご挨拶出来て良かっ―」

彼の言葉を受けて、歳上だったことに先ず安堵。
学年の意味については、自分も思うところではあったので素直に同意した。
だが、彼が次いで発した言葉に思わず言葉を止め、少し考えるような表情を浮かべる事になる。
彼が果たして学園内でどの程度の影響力を持つのか。委員会や部活の所属は何か。異能や魔術は何か。延々と思考した上で―全部投げ捨てた。

「…こういう《良い子》で居たほうが得な事が多いものでね。とはいっても、そういう忠告を頂ける相手には着飾る意味も無い。大人受けばかり考える生意気な餓鬼だと笑うなり、怒るなりしてくれて結構ですよ?」

スイッチの切り替わりの速さは、己の美点であり欠点であると自負していた。真面目な後輩から生意気な少年へと変容し、幾分先輩への敬意を残しながらも尊大さを感じさせる口調で彼に作り物ではない笑みと共に首を傾げてみせるだろう。

筑波 察 > 「この島じゃなんでもありだからね。
 理解できないものの方が多いかもしれない」

自分のことだってわからないまま生きている。
そんなのだって珍しくないのだから。

「笑う理由も、怒る理由もないだろう?
 その接し方が、僕からすると息苦しいだけだから」

その接し方。
きっと初対面で、社会的な交流をする上でなら万人受けする、
当たり障りのない接し方。
そんな接し方に、嫌悪を抱くのは間違いない。
本島にいた頃の、周りと同じように扱おうと変に気を使う、
周りの人間たちの接し方に通ずるもの。それが不快だったのかもしれない。
でも、それを彼が知る由は、この瞬間ではないのだが。

「ちょっと生意気で、ずうずうしくて、ずるいくらいがいいよ。
 友人として接するならなおさらその方が都合がいい」

友人として。
そういったが、あくまでそれはこちらが勝手に思っていることだ。
彼の切り替えの早さには少々驚きつつも、
素で話し始めてくれたことには素直に喜んでいるようで>

神代 理央 > 「息苦しい、か。俺と大して年齢も変わらない様に見えるが、随分と難儀な人付き合いをしてきたんじゃないか?愛想笑いを浮かべる八方美人は苦手かね?」

自分の様に愛想笑いを振りまく人間を「息苦しい」と評した事に興味深そうな視線を向ける。
おべっかを使っているだの、子供らしくないだのという嫌悪感を向けられた事はあっても、この態度を息苦しいと評された事は無かったからだ。
或いは、彼自身がそういう生き方を続けた結果の感想なのか。何方にせよ、彼の言葉の想いを全て汲み取る事は出来ないだろう。

「…出会って数分で友人扱いか?俺が言うのもなんだが、もう少し警戒心を持った方が良いんじゃないか。いや、別にそういう扱いをされる事事態は構わないんだが」

まさか初対面の相手に友人扱いされるとは思っていなかったのか、些か面食らった様な表情で彼のゴーグルを見つめるだろう。
自分の様な生意気な小僧を友人扱いするなんて人が良いを通り越して些か変人の類なのでは無いだろうか。
若干心配そうな口調と共に、僅かに首を傾げて見せるだろう。

筑波 察 > 「別に、人付き合いとしてはむしろ周りの人は優しかったけどね。
 でも優しさが行き過ぎてて気持ち悪かったのは間違いない。
 この島にいて、相手に気を使い過ぎるのは息が詰まる。
 八方美人が八方にいたら、そう感じるだろう?」

気持ち悪いと評した本島での人間関係を、彼はどう感じるだろう。
自分としては、異能持ちであることを変に話に出さないようにしたり、
極力同じ人間であるように扱われるのは、逆に不便だった。

「ちょっと前なら知り合いくらいの扱いをするところなんだけど、
 最近できるだけ仲良くするように意識しててね」

仲良くするように。
さっきまで猫をかぶることに否定的だったくせに、仲良く。
矛盾を感じるかもしれないが、自身の中でははっきりと違う。
そう断言できる。

「別に君が友達になりたくないと拒否してきてもいいんだ。
 もともと特別な位置に入れれば好かれようが嫌われようが関係なかったし。
 でも、どうせ特別な位置にいるなら、良い場所にいたいと思ってね」

最近、いろんな人と話していて、そう思うようになった。
そう付け加えて、彼と会話を続ける>

神代 理央 > 「八方美人当人からすれば、自分以外の八方美人等喋るマネキンと同義だ。勿論、相手から見た俺もそういう風に見えているかもしれんがな。
そういう意味では、息苦しさ等感じる事はない。マネキンと騙し合いしているだけだからな」

僅かに肩を竦めて彼の言葉に答えを返す。
自分を売り込む為、親の付き合いの為、様々な利益を享受する為。
他者に囲まれる場に放り込まれ続けた己に取っては、自分を偽って笑みを浮かべる事は息をするのと同様に慣れたものだった。それ故に、彼の言葉には今ひとつ共感しかねるといった態度を見せるだろう。
尤も、別にそれをおかしいと糾弾する事も、自分が正しいと主張する事も無い。互いの考え方が違う事など当然なのだから。

「…つまり、好意であれ嫌悪であれ、他者から何かしら特別な感情を持たれたいという事なのか?興味を持たれない。無関心でいられる事が楽な事もあるだろうに」

次いで彼が発した言葉に、不思議そうな表情を浮かべながら疑問を投げかける。
何故そこまで他者と深く関わりたがるのか、と言わんばかりの表情で―

筑波 察 > 「残念だけど僕は八方美人じゃない。
 嫌いな人には嫌いというし、興味のない人間は眼中にない。
 そして仮に、目の前にいる人間が皆マネキンに見えたとしたら、
 僕はその場で自殺する」

その言葉に嘘や冗談はなかった。すべて本気だ。

「黙っていればみんなお互いに無関心さ。
 かかわりを持ちたくなければ一切の言葉も、表情も押し込んで、
 マネキンになっていればいい」

 ――マネキンに向かってしゃべる奴は大抵頭がおかしいんだから。
そういって、ゴーグル越しに彼を見やる。
君はマネキンに向かって一人べらべらとしゃべり続けるのか、と。

「話しかければ興味を持ってくれる。名前を言えば覚えてくれるかも知れない。
 僕は本島で"異能を持つ"という自分を、
 正当に評価してもらいたいだけだった。
 この島にいれば異能なんて当たり前だからね、良い場所だよ、この島は」

無視してほしい時は話しかけたりなんてしないのだ。
マネキンに向かって話しかける人も、
道行く人に見境なく話しかける人もいない。

「でも、マネキンにはなりたくない。
 やっぱり話し相手は欲しいからね」

結局、寂しいだけなのかもしれないが>