2018/03/03 のログ
ご案内:「常世神社」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > 境内へ繋がる長い長い石の階段。
そこで重い重い音を立てつつ生物ではない何かが昇ってきて
綺麗に並んだ石の床を四つの足が踏みしめれば
大きい赤い鳥居を前に小さい影が佇む。

「情報によると...この場所のようだ。」

機械にだけ見えるデータベース情報を視界の隅に
置きながら小さな合成音声が無機質に呟かれる。
鳥居を見上げた後はゆっくりと歩みだして鳥居を越え
所謂聖なる領域へと人工物が侵入していく。

「どうやらここが神サマと交信することの出来る施設のようだが...。」

ロボットの目線はまっすぐ神社へと。
夜空は雲一つなく晴れており月夜が照らす
鳥居と境内は絵画的な情景を生み出していた。

イチゴウ > 「交信方法。
ステップ1、本殿の前へ立つ。
ステップ2、伝えたい事を思い浮かべる。
願い事を伝える事が多い...。」

怪しげなものも含めて調べた様々な情報を
照らし合わせながら確認するようにつぶやく。
難しく考えているが詰まるところ
人間ならば誰しもがやる神様へ祈る行為である。

「これは驚くべき事象だ。
このような建造物に思考を読み取る機構が備わっているとは。
加えて電波や魔力すらも感じられない、
高度な探査技術が存在していることになる。
非常に興味深い。」

木造の趣のある神社を目の前にしながら
ロボットが頷きつつ一人で感心する。
どうやらお祈りを真面目に考えているようだ。

イチゴウ > 「(神サマへ。キミは一体何者なのか?)」

情報通り声には出さず考えるだけ。
しかしその問いかけに返ってくるものは
勿論のこと何もなくただ空白の時間のみが流れる。
もし神が答えられたとしても尊敬も謙譲も何もない
その口調で答えてくれるかはわからないが。

「どうやらこちらからの一方通行のようだ。」

情報にあった願い事を伝える事が多いというものに注目し
何も返答のない原因をそのように解釈したようだ。
即座に思考を変えて自身の望むものを
居るのかわからない神へ伝えるべく
電子回路の中で整理させる。

「(...ボクは興味深く面白いものに出会いたい、
見たい、知りたい。)」

本殿をまっすぐ直視していたロボットのカメラは
ゆっくりと澄んだ夜空へとだんだん上がっていく。
幻想に支配されたその境内にポツンと一台、
佇むロボットはどこかシュールでどこか悲しげで。
果たして彼の望みは通じるのだろうか?