2015/06/27 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」に畝傍・クリスタ・ステンデルさんが現れました。
畝傍・クリスタ・ステンデル > 異邦人街の商店街を歩く、橙色のボディスーツに身を包んだ少女が一人。
その手には狙撃銃ではなく、保健室で出会った養護教諭から受け取った散弾銃が抱えられていた。
異邦人街は『彼女』のテリトリー。畝傍が再び赴くのは危険だ。
だが畝傍には、その危険を冒してでも入手せねばならないものがある。
今までの『狩り』で得た資金を用いて、今後の戦いのためにどうしても『それ』を購入しなくてはいけない。
そうして、畝傍はある店の前で足を止めた。
この世界よりもいくらか発達した機械文明を持つ世界で開発された、特殊な装備品を扱う店である。
外装からして遠未来SFを思わせるその店に、畝傍の求める物があった。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 扉を開け店に入ると、出迎えたのは丸い体に手足のついたロボット。
胴体前面のディスプレイ状の顔に、縦線状の目が映し出されている。
子供向けのゲームやアニメに出てきそうな、コミカルで可愛らしい外見だ。
彼もまた、れっきとした『異邦人』である。
「イラッショイ……失礼……イラッシャイマセ」
いかにもな機械音声で歓迎するロボットに、畝傍は探し物の在処を問う。
「こんにちは。フライトユニット、さがしてるんだけど。どこにあるの?」

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「オ客様ハ人間デイラッシャイマスネ。人間ノ方用ノフライトユニットデシタラ……コチラニ」
畝傍は、案内するロボットの後ろをついていく。
やがてロボットと畝傍はさまざまな形状の飛行ユニットが陳列された棚の前で足を止めた。
「コチラ、オ安クナッテオリマス」
ロボットが示したのは、背中に装着する銀色のシンプルな筒状ジェットパック。
やはり昔の子供向けアニメに登場するロボットのそれのような形状だ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「うーん……」
このシンプルなジェットパックならば操作は覚えやすいだろうが、姿勢制御の観点で難がありそうだ。
それでは畝傍の理想とする新たな戦闘スタイルには程遠い。
「ボク、ちがうのがいいな。もっとこう……しせいとか、かえやすいの」
考えた末、違うものを見せてもらうことにした。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「ソレデシタラ、コチラハ如何デショウ」
ロボットは別のフライトユニットを示す。
長方形の箱状の外観。片側の四つの角に小さな噴射口が一つずつあり、
同じ側の下部には球状の可動部に繋がった大きな噴射口が一つだけ備わったものだ。
「コチラハ木星エンジントモ呼バレルタイプノモノデ、姿勢制御トイウ観点カラ見レバ優レタ性能ヲ持チマス。オススメシマスヨ」
だが、欠陥品である。店主のロボットは店の利益のため、意図的にそれを隠しているのだ。
そんな事など知る由もない畝傍は、この木星エンジンタイプのフライトパックを購入しようかとしばし考えるが。
「……やっぱり、ちがうのがいい」
やめたようだ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 今度は畝傍自身で気になるものを指差し、ロボットに問うてみる。
「あれ、どうなのかな」
畝傍が指差したものはこれまでのものと同じく背中につけるタイプのフライトパックだが、
円形の中心ユニットから二本の翼が伸び、さらに翼の先端には底の平たい卵型の噴射ユニットが備わっている。
翼は伸縮、中心ユニットは左右に回転し、二つの噴射ユニットはそれぞれ片方だけを噴射させることも可能なタイプのものだ。
「ボク、あれがほしいんだけど。いくら?」
と、店主のロボットの説明を聞く前から宣言し、金額を問う。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……アア。アレデスカ。困リマシタネ……イヤハヤ、ホントニ困ッタ。イエ、ナンデモナインデスヨ。コッチノ話デス……」
ディスプレイ状の顔に映し出された目が縦線から横線に変わり、
明らかに怪しい言動をする店主のロボット。だが畝傍はそれを意に介さず。
「……いくら、なの?」
問い質す。
「アア、ハイ……アレハ…………万円ニナリマス。エエ。マア、オ客様ニハ到底手ノ出ナイ代物デゴザイヤショウケドネエ」
畝傍の姿と言動を見て、所詮は子供、買えるわけがないとでも言いたげに嘲笑するロボット。だが。
「うん、わかった。かうよ」
畝傍は笑顔で答える。畝傍には金があった。そう、日課の『狩り』で得た資金が!

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……エ?今、ナント?」
ロボットは目を丸くする。この小娘が、あれを、買う?なぜ?どこにそんな金が?疑問がロボットのCPUを駆け巡る。
「これ、かうよ。おかね、あるから。ちょうだい」
といって、ロボットの手をやや強引に広げ、札束をポン、と置く。
たちまち、ロボットの目は「$」型に変化し。
「(カ……金……!コノ小娘ニ……コンナ……金……!!)」
と、思考がカネ一色に染まる。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「エエ、エエ。イイデショウ。ドウゾ持ッテッテクダサイマシ。金ヲ払ッテクダサルノハ良イオ客様デスカラネエ」
ロボットは目を元の縦線状に戻すと、腕を伸ばして棚の上のフライトパックを取り、畝傍に差し出す。
畝傍はそれを受け取ると、ロボットに微笑んだ。
「ありがと。これ、だいじにする。じゃあね」
そう言って、畝傍は早足で店を出ていく。
後には、少女の年齢に見合わぬ大金を見て呆然とする、店主のロボットの姿が残されたのだった――

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」から畝傍・クリスタ・ステンデルさんが去りました。