2015/07/12 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」に枢木 柩さんが現れました。
枢木 柩 > 人混みの中に見え隠れする三角の耳が左右に揺れる。
朝とはいえ日曜日、それなりに人は多い。なにかイベントをやるらしいが、枢木にとってそれはどうでも良いことだった。

朝ごはんを買いに来ただけなのだ。

「夕べ疲れて帰って寝ちゃったからなぁ…。」

おなかすいた、と小言を漏らしてチェーン店に向かう。
足取りはしっかりしているものの元気がない。

枢木 柩 > 大手のファストフードチェーン店につけば、朝食セットを注文。
ここのメインは彼女曰くホットケーキで、ハンバーガーは『腹にたまるなにか』らしい。
二分ほど要すると言われたので席について待つことにする。

店員が耳と尻尾を二度見する。触らせてやらんぞ。
人間は耳と尻尾が好きらしい。自分と違うものを排斥するくせに。
まぁ、それはどの動物でも同じようなものだけれど。

変なやつらだ。

枢木 柩 > 朝食セットが届く。元気が出てきた。

「いただきます。」

最初に食べるのはホットケーキだし、最後に食べるのもホットケーキである。ハンバーガーもないとお腹がすくので食べる。

背に腹はかえられないのだ。

ファストフードで少し喜んでしまうあたり、安い女だと我ながら思う。

ホットケーキを六つに切り分けていく。

枢木 柩 > 窓際の席で、外を流れる人並みをぼーっと見つめてひと切れ頬張る。
「♪」
おいしい。シロップも効いている。

路上をゆく人々は圧倒的に人間が多いのだが、時折自分のように、人ならざるものも見受けられる。

「どこかで見たな、こういうの…なんかのアニメ?」

この間やっていた、駿崎 宮のものだろうか。
あれは人気らしく、何度目かのロードショーだった。

あの世界では人の方が少なくて、虐げられていたが。

「この世界じゃあ人間が虐げられることは…宇宙人が来たり邪神が復活したりしないかぎり、ないだろなぁ…むぐ。」

ふた切れ目を頬張る。バターを多めに塗っている部分で、まろやかな口触りだった。

枢木 柩 > 今日はこれからどうしようか。三切れ目を口に入れる。
「うん。」
ソースがあまりかかっていなくとも、おいしい。

今日は休みなので、できれば買い物を済ませて、それから…

「海、かな…」
正直ほぼ毎日行っているが。

枢木 柩 > 「水着、買いたいところだな…。」
四切れ目、5切れ目と頬張る。少し苦しい。おいしい。

水着については、当初泳げればいいかな、ということで学校指定のものを使っていたが。

海に行って水着を見たら、やっぱり欲しくなってしまった。可愛い。

もぐもぐと嚥下して、六切れ目。

枢木 柩 > 「こう、いい感じのやつを…買えば…。」

買えば。友達ができるかも。

「うーん…でも水着、似合わないんだよなぁ、たぶん。」

似合わないとまではいかなくとも、デザインは限られてくるだろう。胸がない。

「気にすることはないらしいんだけどなー。」

最後のひときれはシロップに浸して食べた。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」から枢木 柩さんが去りました。
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」にヘルベチカさんが現れました。
ヘルベチカ > 屋根の形が、歪だ。
そんなことを、大通りの一店舗、軒先日陰のベンチで考えた。
多くの異邦人を受け入れたこの大通り、そして商店街。
建築基準にさえ合致していれば、文化の一つである建築物も自由に受け入れられる。
それが故に、ここは毎度来るたびに、面白い。
視線を右から左へ送る。
丸屋根、尖塔、四角に………あれはなんだ。口で表現できない。
三角の、いや、ねじ曲がり、鋭角を、丸く………目を逸らした。
そんなこんなの、色々な屋根。

ヘルベチカ > 彼らの元の世界にだって、こんな風景はないだろう。
人種の、どころではなく、世界観のサラダボウル。
小説家がこの街へ来れば、一泊二日で何本の作品を作れるに違いない。
もしかすれば、視界の中、歩いている人間の中にも居るかも知れなかった。
とすれば、いずれ図書館に、それらしい作品が入ってくることも在るのだろうか。
気付ければ、面白い。
口元に、一人、僅か笑みを浮かべて。
手の中に握った、四重殻真球の底面を凹ませた容器。
そこから伸びたストローに、口をつけた。

ヘルベチカ > 口の中に広がる甘みと酸味、僅かな香辛料の香り。
Xubelliairedrgosseをずるずると啜る。
まだ僅か凍ったままで、咀嚼すればしゃりしゃりと音がなった。
口の中で混ぜて、温度がじわじわと上がる度に、
舌が味に慣れ、新しい味を見つける。
美味しい、というよりは、楽しい、けれど、不味くない。
秋口になると閉店してしまうこの店の、夏特有の味わい。
この街には、外にないものが沢山ある。

ヘルベチカ > Quargalhiとこれのために、夏はこの辺りに来ていると言っても過言ではなかった。
そして来る度に、なんとなく、本の中の世界に来たようで面白い。
島全体に薄く広がる異界感。
それを煮詰めたこの場所の空気。
昔、昔の人が想像した、想像できなかった、色々な世界がここには在る。
右手で、己の頭を撫でた。
日陰、風にふるりと揺れる、猫耳に触れる。
これのお陰で、ここには混ざりやすい―――いや、どう見ても人間も歩いているので、あまり関係はないのだが。
なんとなく、自分の中で、そういう気分なのだ。

ヘルベチカ > 『おかわりいる?』
斜め後ろの窓から、店主に声をかけられた。
「あぁ、まだいいよ。入ってる」
手の中、容器を揺らせば、半分凍った液体が揺れる感触。
あいよ、と一言返事を残して、
店主は店の中の接客へと戻った。
後頭部から生えた副椀で、窓を締めていった音。
冷房が逃げないためだろう。
そろそろ少し、暑い時期だ。湿度は随分と上がり始めている。

ヘルベチカ > しかし、この島。一応日本近海だ。
再び、今度は左から右へ、視線を流す。
目に入る幾つもの建物たち。
「これ、湿気とか、風通しとか、そういうのどうなんだろ」
多様な文化は多様な環境から生まれる。
即ち、元の世界の環境に合わせて、これらの建物も作られた、はずだ。
それらが今、この日本という国の気候に、
ごったにして放り込まれた形。
むむむ、と唸りながら顎に手を当てて。
並ぶ建物を、一つずつ観察する。

ヘルベチカ > 「あの建物、石だよな……どうなんだあれ……しかし土壁のアレも、素材がこっちの素材だけど……」
うんうんと唸りながら、勝手な想像を一通りしてから。
「中だけなら窓閉めて冷房入れればいいんだよな」
巨大コンクリート建築物ばかりの近代日本もそうである。
益体もない結論を出して、少年はベンチの背もたれに寄りかかって。
日除けの裏側を眺めながら、ストローを啜った。

ヘルベチカ > 頭上、日除けの軒の裏側。
刻まれた複雑な文様達。
これが、薄いこの布で十分に光を遮り、
そして僅かに風を吹かせている。
熱エネルギーを有効利用する、太陽光発電のようなものだ。
きっとどこかで、学園の中にも使われているのかもしれない。
もしくはこの店主の秘蔵なのだろうか。
だとすれば、いいものを見たことになる。
無能力者の少年では使えないが、だからこそ。
こういうところで見かけなければ、一生見ないかもしれない。
じゅるじゅると、ストローでシャーベット状の液体を吸う。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」にヨキさんが現れました。
ヨキ > (手にしたプラスチックカップになみなみと満たされたフローズンドリンクの名称を、もう忘れてしまった。
 店主はいったいどんな発音をしていたのだったか。少なくとも、Xubelliairedrgosseではなかったはずだ。

 異邦人街での用事を済ませて帰る折、喉を潤すために買い求めた。
 ああ、この店が出る時期になったのだ、と思う。
 花ほどに甘ったるい香りに比べて、随分とすっきりした飲み口が気に入った。
 店主に案内された軒先の日陰へ、日よけの布を持ち上げて入り込む)

「……おや」

(先客の少年――ヘルベチカが涼んでいるところだった。
 向かいのベンチに、ゆっくりと腰を下ろす)

「君も夏になると、この店の味が恋しくなるクチかね?」

(穏やかに笑って、何気なく声を掛ける)

ヘルベチカ > ずず、ず……ずー。
容器の底面、僅かに残った液体を吸い上げて、重力に負けて落ちる音。
ストローから口を離して、容器を揺らす。
重心の移動が感じられない。どうやら飲み終えたようだ。
容器のくぼみへコインを挟めば、ぐいっと、ベンチの後ろへ向けて。
背もたれの上に乗るように身を伸ばした。
ぐーっ、と背筋が引き伸ばされ、限界のところで、猫耳がぷるぷると震える。
そして、かろうじて届いた容器で、店の中に繋がる窓を叩いた。
「おっちゃん、おかわり!」
容器が一度店の中へ引っ込んで、そして返却される。
重みを増して帰ってきた容器の中には、再度飲料が満たされて。
伸ばしていた身をベンチの上へと戻したところで、目前に男がいた。
でかい。立てば己より30cmは大きいだろう相手へと、一瞬、僅かに身をのけぞらせる。
「あぁ、はい。そうなんですよ。学生街じゃ、売ってないんで」
笑ってそう言いつつ、身を戻して。
視線を飛ばしたのは、相手の手元。
「それもおいしいですよね。なんていうか……夏っぽい」
美味い言葉が浮かばなかったのか、言ってから、苦笑い。
「えーと、その口ぶりだと、先生もここ好きなんですか?」

ヨキ > (他人の小さいことにはもはや慣れっこであるからして、彼が見せた一瞬の怯みには気付かなかった。
 そよそよと身体を労わる風に、黒髪を掻き上げる)

「夏っぽい。まったくだ。
 ヨキもこれまでたくさんの果物を食べてきたが、どの味ともつかん、……のだよな。
 掛け値なしに美味いが、味の表現が浮かばんときた」

(喉越しのあとに、すっと通るような香辛料の香りがある。
 ベンチに深く腰掛けて、足を緩く伸ばす)

「それに、ここの洒落たカップが好きでな。
 すっかり毎年通っているよ。

 ……ヨキの顔を知っていてくれて有難いよ、何かと人の多い学園だからな。
 それで……君はたしか、図書館に居なかったか。
 役職者の紹介で、君を見かけたような気がして」

ヘルベチカ > イケメンは様になっていいな、と考えながら、相手の仕草を見て。
ぴくぴくと猫耳が揺れて、少年の手が上がりかけて、降ろされた。
「多分、こっちの材料で、店主の元の世界の味に近づけてるんでしょうけど、
 本当の材料で作ったら、どんな味するんでしょうね、これ」
それとも種持ち込んだのかな、なんて口にしながら、
ストローの口に鼻を近づけて、すんすん、と嗅ぐ仕草。
「あー。こういうところも、学生街とかじゃ中々目にしないかたちしてますもんね。
 たまに、店主が気に入ったんでしょうけど、真似か、この地域産の小物か、使ってる店もありますけど」
思い出すように、少し視線を右斜め上に飛ばしてから、相手の顔を見た。
「クラフトの本、先生の授業受けてる人が借りて行ったんですよね。
その生徒が、かっこいい先生がいるって、写真見せてくれたんですよ」
怒らないであげてくださいね、と笑いながら、少年は頷いて。
「図書委員です。役職、っていうほど重鎮なわけでもないですけど」

ヨキ > 「名前からして、ろくすっぽ発音出来るものではないからな……。
 きっと我々がふだん使っている言葉では言い表せないのではないか。

 世界すら異なるとあっては文化を持ち込むにも苦労するだろうに、よくぞ折衷させたものだと思うよ。
 この間などは向こうの喫茶店に、緑茶に氷を落として、ああ温かい、と喜ぶ者があってな。
 この街は本当に退屈しない」

(与り知らぬ場での自分の評判には、ほ、と楽しげに声を漏らして)

「写真か。いつの間に撮られたやら、抜かっておったな。
 頼めばもっと格好よく撮られてやったものを」

(怒りはせんよ、と首を振る。そういう話をしそうな生徒の顔、を思い浮かべているらしい)

「ああ、やはり委員であったか。
 ヨキも図書館には世話になっているからな。
 委員たちはみな、自分の身体のことのように蔵書を把握しているものだといつも感心する」