2015/08/06 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」に畝傍さんが現れました。
■畝傍 > この日、畝傍は異邦人街を訪れていた。
先日の路地裏における交戦で損傷し、修理に出していたフライトパック。その修理が完了したとの連絡が入ったので、受け取りに来ていたのだ。
目的を果たし、大通りを歩きながら帰路につこうとしていた途中、風紀委員の制服を着用した数人の生徒が、掲示板に何かを貼りつけている姿を見つける。
■畝傍 > しばし遠くからその様子を窺い、やがて掲示物を貼りつけた風紀委員が去っていくのを確認した後で近づいてみると、
そこに貼られていたのは、先日発生した風紀委員本部襲撃事件に関与しているらしき人物の指名手配書であった。
仮面をつけた男と、フード姿の人物の正確な似顔絵が描かれ、建造物等損壊、器物損壊、建造物侵入、公務執行妨害、建造物放火――などといった罪状が並べ立てられている。
そして、仮面をつけた男の似顔絵の下に書かれていた名に視線が向いた時、畝傍は一瞬、我が目を疑った。
そこに書かれていた名は――白崎玲刃。かつての畝傍にサヤの魂が宿る刀の断片を託した協力者である。
「(レイハ……?なんで、レイハが……?)」
彼がなぜ、風紀委員から指名手配を受けることとなったのか?
路地裏における交戦以降彼と顔を合わせておらず、先日発生した襲撃事件にも一切関わりが無かった畝傍には、それを知る由もない。
ただ、貼り出されている手配書を前に戸惑うのみであった。
■畝傍 > 「(どうして……)」
畝傍の中でいくつかの感情が渦巻く。
せっかく、サヤを救いだせたのに。その事実を伝えられぬまま、このようなことになってしまうとは。
なぜ、彼は風紀委員本部への襲撃などという凶行に及んだのか?――そもそも、この手配書に書かれている仮面の男は、本当に"あの"白崎玲刃なのだろうか?
畝傍は事件の事を知らない。事件が起こった当日、彼の姿をどこかで直接目撃した訳でもない。
ならば、彼の名を騙る第三者が、彼の名を貶める目的も兼ねてこのような犯行に至ったという推察もしうる。しかし――
立ったまま、思考はなおも続く。夏の日差しが、橙色を纏った畝傍の体を照りつけていた。
■畝傍 > しばらく考えを巡らせるが、やはり自身が与り知らぬところで起こった問題ということもあり、一人では答えに行き着けない。
「風紀のヒトなら、なにかしってるかな……」
誰に言うでもなく、呟く。
サヤの件で畝傍が世話になった久藤嵯督や、先日女子寮で互いに名を教え合ったレイチェル・ラムレイは風紀委員である。
まだ名前を知り得ていない者もいるが、他にも何人か風紀委員には出会ったはずだ。
彼らに事情を聞くことができれば、何かわかるかもしれない。
一人で悩んでいても何も始まらない。まずは情報収集を行い、その後に改めて自身の頭の中でも整理すべきだ。
そう考え、掲示板の前を離れてまた歩き出す。
やがて、橙色の少女は異邦人街を後にするだろう――
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」から畝傍さんが去りました。