2015/09/05 のログ
嶋野陽子 > 『とりあえず、どうやったら帰れるか
教えてもらえると嬉しいです』と、かなりの時間悩ん
だ末に日下部君が答えたので、陽子は
(本当は行きたい所があるんだろうな)と思う。
「日下部君が携帯端末を持ってるならば、ナビのアプ
リをあげるわよ。それを見れば最寄りの駅や行きたい
お店に案内してくれるから」と提案する陽子。ステラ
特製のナビアプリだから、その精度は折り紙付きだ。

日下部 理沙 > 「おお、そんな便利なものがあるんですか。ありがとうございます、では早速。
……といいたいところですが……私、携帯もってないんです、すいません」
 
本土に居た頃は当然持っていたのだが、今はない。
こっちに来るときに諸々あって解約したのだ。
そのうちまた契約し直す予定だが、一先ず今ない事は確かである。 
 
「とりあえず、出口の方向を教えてもらえないでしょうか?」

嶋野陽子 > 携帯端末が無いとなると…
『出口の方向を教えてもらえませんか?』
と聞かれると、陽子は少し辺りを見回して、あるシン
ボルマークと矢印だけという簡単な看板を見つけて、
それを指差す。
「私が指差した看板が判る?シンボルマークと矢印だ
けの単純な看板よ。あれが、最寄り駅への案内板よ。
あのシンボルマークの看板の矢印の方向をたどり
続ければ、駅に出られるわ。駅からは電車でこの島
のどこへでも行けるわ」と説明する陽子。
「駅に行くならば、一緒に行きましょう。私も電車に
乗って帰るところだし」と提案する。

日下部 理沙 > 「御親切にありがとうございます……それじゃ、今日も御一緒させてください」
 
そう、先日のようにまた頭を下げる。
表情にそれほど変化はないが、背中の翼が申し訳なさそうに畳まれ、力なく垂れ下がった。
陽子の指差したシンボルマークだけの看板を頼りに、駅前に向かう。
陽子を先頭にすると当然ながら前が見えなくなる上、道も覚えないので今回も理沙が先頭である。

嶋野陽子 > 済まなさそうにしている日下部君が、
自分で道を覚えるために先導するのを見ながら、昨日
のように沿道の情報を適宜教えつつ、二人で駅に向か
う陽子。明日は土曜日だけど先週の公務欠席の補講で
ほぼ潰れているが、明後日なら空いている。
「日下部君。明後日に二人で異邦人街に出直さない?
私もまだ行ってない場所が多いから、探検を兼ねてに
なるけど、いざとなったら私のナビがあるし」 
と二人で異邦人街を再訪することを提案する陽子。

日下部 理沙 > 陽子の説明に逐一頷きながら、道と店を覚える。
残念ながら今回通った通りに有翼人向けの店はなかったが、興味深い店はいくらか覚えた。
次来るときはいってみてもいいかもしれない。
そんな風に、翼をひょこひょこ動かしながら前を歩いていたが。

「お誘いは嬉しいですが、確約できないので遠慮しておきます」
 
陽子の提案に対して、ほぼタイムラグなしでそう返答する。
前を向いているので、表情は見えない。
ただ、背中の翼は、一度だけ小さく揺れて、それきり動かなかった。
 

日下部 理沙 > 「今日は、ありがとうございました」

駅前について、理沙はそれだけいって、改札に消えていく。
翼を動かすこともなく、ただそれだけいって、去っていく。
背を向けたまま。一度たりとも、振り返ることなく。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」から日下部 理沙さんが去りました。
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」に嶋野陽子さんが現れました。