2015/09/08 のログ
ご案内:「異邦人街大通り/商店街」にやなぎさんが現れました。
やなぎ > 日のすっかり落ちた頃、
一人の青年が、学校案内のパンフレットを片手で見ながら大通りへやってくる。

「ん、と。文房具は…」

もう片方には空の布の手提げをもって、
きょろきょろ見渡しながら店をあさっていた。

入学へ向けての道具を揃えている。

やなぎ > 基本的な文房具は揃っておらず、上履きなどと言った物、
そして教材なども買わなくてはならない。
そしてなにより重要なのは、学生らしい制服だ。

「流石に軍服じゃぁ入れないよなぁ…」

一人ぼやきながら、その辺の小さな文房具店に入った。

やなぎ > 手に持っていたパンフレットを手提げに入れて、
一見古そうに見えるレトロなノート、樽型の木のシャーペンを数本。
半透明プラスチックの筆箱、めっちゃ落ちそうな消しゴムなどを腕いっぱいに抱えてレジに行く。
金額は気にしない。
それらを先ほどの手提げに放り込み、店を出た。

他には何が必要だろうかなどとぼんやりと考えながら
再び店を物色する。

やなぎ > その途中、制服が展示されている店が目にはいった。
デザインがまちまちの制服が並んだショーケースに手をついて、じいっと眺めてみる。
一般的な学ランからブレザー、
ふりふりのついた女性ものや、和服のようなものまで、種類は大分あるようだが……

「…きまった制服なんてあったかな…?」

ろくに確認していなかったツケが回ってきた。

やなぎ > た、確かなかったはずだ。
あったとしても無難な制服ならきっと大丈夫だろう。
それはまた後で考えよう。

そうてきとうに結論付け、さて次は何を買おうかとまた歩き出した。
途中で自販機があったので、冷たいコーヒーでも買いながら。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」にシインさんが現れました。
シイン > ハイヒールの踵がコツコツと地面を踏む音。
静かながらにもそれは響かせて、また歩む異邦人達に当たらぬように前へと進む。

「……来たことない場所は、流石に迷うな。」

それでも前は見える。
男は久方ぶりに"男"に戻ったので感覚を取り戻そうと、日が沈んだ頃から出歩き始めた。
"女"である時と、視線の位置がだいぶ変わるのと、やはり歩幅も違う。
感覚を混合せずにと、転ばぬように注意を払いながら進む。

この場所は、一度と来たことはないが、どのような場所かは知っていた。
だからこそ、角も翼も尾も隠さずに、堂々と歩む。
何ら違和感もないのだから。

身長がそれなりに高い男だ。
夜とはいえ、多少はまだ人通りもある大通り。
背が高い者の歩く姿は目に移りやすい。

迷いながらも真っ直ぐと進む姿を、視線に映すだろうか。

やなぎ > 空になった空き缶を捨て、ぼんやりと、
あの大正浪漫ふうの学ランがいいなぁなんて思いつつ、そろそろ行こうと歩き出そうとして――
ひときわ目立つ、背が高く、赤い髪の、羽根を生やした人物が目に飛び込んできた。

「……」

絶句した。
その場で立ちすくむ。
自分のよく知る人物が何故、今、ここにいる?

視線を"彼"から放さず、足は自然と彼の方へ向かっていく。

シイン > ふと、足を止める。
声を掛けられたからだ。

普段見慣れない"龍"の姿を見て若干興奮気味の子供が二人。
"かっこいい"やら"すげぇ"やら、子供特有の黄色い声を響かせている。
その二人の背後には親だろうか、苦笑を浮かべながら此方に謝罪をしていた。

少し前の花火大会で白き龍が見せた花火。
それが噂になってたようだ、この子供達はあの場に居た子なのだろう。
どつかれ、翼やら尾を変に触られたりもするが、気にせずに。
飽きるのを待つ。

男は子供の相手をするのに忙しいのか、特に向かってくるやなぎに気づいてないようだ。

"まだ"の話だが。

やなぎ > 前にあった時は黒づくめだった。
最後見たのは黒い炎につつまれていた、"龍"。
それきり連絡はなかった。
例の事件の後、彼が自首したことは聞いている。
教師が生徒に手をかけたのだ、軽い罪ではないはずだ。

今も刑務所か何かに入っているはずなのだ。

歩みは止まらず、静かに近づいていく。
人違いであってくれ、と願いながら。

彼は騒がしい子供たちに気を取られているのだろうか、まだこちらには気づいていないようだが…

―それが分かる位置までくれば、服を掴もうと、手を伸ばす。

シイン > 子供に微笑みを向けながら、特に追っ払うような事をせずに付き合う。
親もそれに安心してか、今暫くは子供を任せてるようだ。
子供は嫌いじゃない。
黄色い声を"聞き慣れてる"のもあり、気にしないというのも大きい。

そんな自分の龍の姿の象徴となる場所を弄っては笑ってる子供達。
一人の子供の視線が尾から外れるのを見た。
視線は親の方でもなく、もう一人の子供でもない。
ぼけっとしながら見てる姿に不思議と思い、その方向へと振り向く。

服を掴まれるその前に、振り向いて顔を合わせるだろう。

やなぎ > 伸ばした手は空を切る。
しかと、視線が合った。

「シイン…しょ……さ?」

相手が口を開くまで、その限界まで願い続ける。
『良く似た人物に違いない、何故ならアイツは刑務所にいるはずなのだから。』

視界が一瞬曇った。

シイン > その顔は久しい顔だった。

最近はどのように、この島で暮らしていたのか。
彼も取り調べを受けてたのか。
事細かなことはあまり知らなかった。
教師の補佐はやめて、生徒としての申請をした云々の話は風のうわさで流れてたが、どうも信憑性が欠けてたので信用せず。

だが噂は手提げの袋に視線を移すに、どうやら本当のようだ。

視線は直ぐに彼の瞳に移される。

そして指を一本口の前に立てて"しっ"と、黙れと。