2015/09/09 のログ
やなぎ > 願いは簡単に打ち壊された。
頭が真っ白になった後、沸々と怒りが湧きあがる。
それでもまだ冷静さは残っており、彼のジェスチャーを見るに
子供の前ではことを荒げたくないのだろうとは伝わってきた。

だから、早く、一目のつかない所まで連れていきたい。

再び手を伸ばし、服を掴めればぐいぐいと引っ張るだろう。

シイン > 微笑む表情。それはやなぎの前でも変わらずに。
だが掴む手だけを軽く払う。
あまり黒衣の形が変わるのは好かない。

子供とその親に、彼と待ち合わせをしてたと理由をつけて離れた。
離れる際に、子供はまだ離れたくなかったのか強く尾を掴まれたので、"尾"だけを消して手を振り踵を返す。
"またね~"との声が大きく大通りを響かせた。微笑ましいものだと。

彼を追いて先頭に立ち、まずは一言。

「久しぶりだな、どうだ?元気にやってたかな。」

やなぎ > 手を払われれば機嫌が一気に悪くなる。それは顔に出てしまっていた。
自分の前を歩く彼に追いつきながら、
できるだけ怒りと声を落として口を開く。

「……ああ、元気に見えますかね。」

棘のある言葉と口調でそう言い放った。

「お前……あなたは、自首されたんじゃなかったんですか?
 わたしはここの生徒からそう聞きましたが。」

攻めるような口ぶり。
罪人とはいえまだ自分の上官だ。口調がこれ以上変わっていかないように気を付ける。

シイン > 「どっちだろうな。元気かもしれないし、元気じゃないかもしれない。」

特に元気にも見えず、落ち込んだ様子にも見えず、曖昧な返事。
特に面白みのない返答。

「…君は知らないのかな。新聞やらニュースなどを見た方がいいぞ。
犯罪者を収容してた施設が襲撃されたんだよ。それで一部の近々裁判が行われる者達の日程が早まった。

当然だな、襲撃されて囚人達の死傷者を多数だしたのだから。
同じ場所に収容し続けるというのは問題だよ。

それで私は執行猶予付きで出されたというわけだ。」

淡々とした返答。
歩みを続けながら、特に顔を向けずに。
一から説明をして。

「で、"お前"か。いや、それでもいいぞ。
素直に感情を現している者は好きだ。最近は読めない者ばかりと話してたからな。
普通にソッチの方が好感が持てるというものだ」

やなぎ > 自分のことはどうでもいい、と思えば

「あなたの方が随分とお元気そうで。」

嫌味ったらしく言い放つ。

ここのニュース情報などはほとんど知らなかった。
精々入学手続きを行った際に、詳細までは知らない度重なる事件が起きたせいで入学が遅れるという事のみだ。
新聞もとってはおらず、テレビも備え付けがあったが金がかかるので見なかったのだ。

「…そうでしたか。人を撃った奴がのうのうと出歩いてるだなんて世の中怖いものです。
 いえ、それ以上にそんな所を襲撃してくるだなんて世も末ですがね。
 
 …あなたの好みに合わせてるわけじゃないですよ。
 犯罪者をあんまり刺激したくないだけです。
 で、何ですかその白いの。前は黒でしたよね?」

そんなことを言ってももう遅いのだが。
声は以前として抑えたまま、愚痴のようにのたまう。

シイン > 「いいや、元気ではないよ。
寧ろ落ち込んでいるし、自分を見失っている。」

何故か。理由までは言わない。
理由を言った所で理解される気がしない。
嫌味を嫌味として受け取らずに、受け流すように答えるだろう。

「この島は混沌としすぎている。何が起きるか分かったものじゃない。
それこそ何時に、この場所がなくなるかわからないぐらいに、恐ろしい世の中だよ。」

実際問題として、常に問題が起きているこの島のことだ。
どうに転ぶか予想もつかない。
目的として場所もなく、ただただ大通りを進んで。
歩みを続けていく。

「さて、なんですか?と言われても答えられない。
それはハッキリと明確に答えられないから。で、犯罪者犯罪者と言ってるぐらいだ。
特に用がなければ私は私の場所に戻るよ。」

このような場で言われるのも好かない。
前を向いたままなので表情は見えないだろうが、良いものとはいえない表情だ。
それもそうだ、こんな大通りで言われて誰が良い顔をするか。

やなぎ > 「そうには見えないな。」

むしろ、彼が落ち込むなんて"許せない"。
それ以上に撃たれた被害者のほうが辛いはずだ。

島のことはもう頭には入らない。
怒りで前が見えなくなりそうだった。
どこに向かうわけでもなく、自分の前を進む彼がただ憎い。

自ら人を傷つけて、この態度。

場所も多少関係しているだろうが、
きっとどこで話をしようとも、自分の質問に答えてくれるとは思えなかった。
だが、一つだけ問うてみたい。

「…事件のこと、反省、してるんですか。」

拳を強く握りしめ、今すぐにでも罵声を浴びせたい気持ちを抑制する。
あくまでも彼にだけ聞こえるように落ち着かせて。

シイン > 「見せないようにしてれば、それは見えないに決まってる。
誰にも見せたくない一面はあるのだから。」

当たり前のように語り、当たり前の事を話す。
言ってることは極普通のこと、特に何か言えるような言葉でもない。
見えないというのであれば、見せてないだけにすぎない。
それだけの話、それ以上でもない話。

「反省な…。」

一言発してから踵を返して、振り向く。
真紅の瞳がただ見つめ、無表情のままに。

「その質問に答えたとしてた。
――私からの言葉を信用するように見えないが?」

ん?と首を傾げながら問う。

やなぎ > 「…あなたは機械だろ。機械にそんなものないはずだ。」

龍人には見えるも、本質的なものは変わってないだろうと思っているのだが、
どうも人間くさいところがあるような印象をうける。


無表情の彼がこちらを見てくれば、睨み付け、

「信用するかどうかはわたしが決める。
 あんたと戦ったっていう人から聞いたことなんだが、
 被害者の女子生徒は自首するあんたを許したんだってな。
 で、それを教えてくれた人もあなたを許すって言ってた…。 

 …そんな二人を裏切るような答えを、"今の"お前は出せるのかよ?」

昔は反省の欠片もなかったような彼が自首したこと、
龍のパーツが黒から白に変わったことまではわからないが、
ともかく昔の彼とは違う、と直感的に感じていた。

威圧的な態度をのせ、片足1歩前へ進む。
どうなんだ、答えやがれと。

シイン > 「それは考えを固執しすぎているよ、やなぎ二等兵。
私は何処の世界の機械か知ってるのかね?いいや、知らないな。
知らされてないはずだから。私は異世界の技術発達した世界の機械だ。
"そんなものはない"など"機械だから"で片付くのは昔の話だよ。」

人を模倣するのであれば、どこまでも模倣して創り上げる。
それが機械を創る故に必要なこと。

「あまり慣れない強い言葉を使わない方がいい、ボロが出やすいぞ。
で、質問の答だ。
反省はしている。そうでなければ静歌とも会わないさ。
それにな、反省というのは言葉では幾らでも言えるのだよ。
行動でどう示すかが大事になる。
だから言葉でいくら聞いたところでな、そんなので決めたり判断するようでは…底が知れた判断力だ。

聞きたいことはそれだけかな。」

一切と動じずに部下の問に答えた。
表情も動きも何も変わらず、見せず。

やなぎ > 「(知るか、んなもん。)」

反論する気もなくなり、小さく舌打ちする。
やはり態度が気にくわない。

「…お前が反省をしてることはわかった。
 で、どんな行動をして、相手様に反省を行動で示してるんだって?
 わたしはお前の行動を見ていないからわからん。でも迷惑かけたのは二人だけじゃないしもっと大勢いる。
現にわたしやあんたの娘にも迷惑かかってんだよ。…謝るぐらいしてくれないのか。
 
 だから、今んトコ上辺だけの反省をしてることはわかった。」

それを言えば後ろを向いた。
機械のような無表情な顔などみたくもない。

シイン > 「行動内容を君に伝えるほどに、私はお人好しじゃない。
罪の償いなど教えた所でどうにかなる話でもない。
…娘?ダリアの話か。アイツはアイツで勝手にやって勝手に動いてるだけ。
娘と呼ぶに烏滸がましい。

それにな、最初から信じてないような態度を取って、謝りも求めてない人に謝罪をしても許されるとも限らないだろう。
礼儀として言うには言うが、すまなかったな。
だがな、犯罪者犯罪者とこの場で言うには失礼過ぎる。」

後ろを向いて話を聞く気があるのか無いのか、分からない奴に言葉を紡いでいき。

「――詳しいことを知りたければ路地裏の――に来るといい。」

そこが自分の住む場所だから、と。

シイン > 彼の言葉はそこで終わり、振り向く頃には去っているだろう。
静かに、霧のように。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」からシインさんが去りました。
やなぎ > 「………。」

結局、礼儀として、か。

未だ収まらぬ怒りを抑え込み、振り返らずその場を走り去る。


あの路地裏に、今度乗り込んでやると思いながら。

ご案内:「異邦人街大通り/商店街」からやなぎさんが去りました。