2016/02/08 のログ
ご案内:「異邦人街にある公園 」に六道 凛さんが現れました。
六道 凛 > ……時は経つ。流れる、特になにも起きることなく。
いや、起こってはいるのだろうが本当に流れに流されてた日々だった。
これが普通、と言われれば其れまでだが。自分にはどうにも”何かが”かけていた。

人と、学業をともにし、人と生活を共にし
依存しているような、はたまた自立させられているようなそんな曖昧な時間。
物足りない――……
そう感じてしまうのはやはりまだ”馴染んで”いないからなのか。
少しは慣れて、合わせられる程度にはなっている、はずなのに。
なんとも――

「……感情の、起伏がない」

コメディのように心躍ることも、ドラマのような悲劇もなく
普通の、特筆することがない、普通の生活。
それは――なんだか、気が重くて。
昔とは違うと、教えてもらっていたはずなのに。
自分はもう、変わっていると思うのに。

「……遠い」

掴みたい何かが、すごく、遠い

ご案内:「異邦人街にある公園 」に濱崎 忠信さんが現れました。
六道 凛 >  
「……再起動、データベース接続、検索――」

電子の世界へと沈む。検索はいつもの通り――
”彼ら、彼女ら”の顛末について。
自分は、まだ知らない。知らされていない。
そして――

「……エラー。接続不可」

知る資格も、ない。データが存在しないと、なっている。
そんなはずは、ないのに。

「……はぁ」

重たい溜息とともに、ブランコを漕ぎだす。
ひどく、身体が重い気がする。気のせい、かもしれないが

「……今日、彼は帰ってくるのかな。あの人は、仕事か。遅いのかも」

だったら冷めても美味しいものがいいか。同居人はかなり食べる。
昨日は魚だったから、今日は肉にしようか。どんな肉が良いだろう――
思考を切り替えるように、今日の献立を考える。
なにせ、それくらいしかやれることはないのだ

濱崎 忠信 > 「へぇ、こんな時間でも帰らない人と暮らしてんだ、アンタ」
 
唐突に、そう声は掛けられた。
声をかけてきたのは、黒髪黒瞳の少年。
真っ黒な瞳で凛を見下ろしながら、片手に持った肉まんを齧る。
 
「大変そうだな」
 
口端から垂れそうになっていた肉汁を袖で拭って、無感動にそう呟く。

六道 凛 > ――誰?

声をかけられた方に目を向ける。
黒。漆黒――
なんとも、”色”を重ねてくると思った。まるで紛れているかのようで。
声をかけられるまで”全く”気づかなかった。

「――居候、させてもらっている身だからなんとも言えないけど。それ、袖で拭くよりハンカチとか、ないの?」

少しの警戒。用心にこしたことはない。
なにせ唐突に現れたのだ、”意識の外”から――

ゆっくりと、長い髪を耳にかけて。静かに視界を広げつつそう返した

濱崎 忠信 > 「ああ、そうなんだ」
 
気遣いの言葉を気に掛ける事もなく、残りの肉まんを咀嚼もそこそこに呑み込み、指についた肉汁を舐めとる。
そして、そのまま隣のブランコに断りもなく腰掛けて、コンビニのレジ袋から取り出したペットボトル……安い炭酸飲料を一口。
 
「でも、なんで? 居候でもなんでも、一緒に住んでんでしょ。ワガママくらい言えばいいじゃん」

六道 凛 > ――変な奴

モブ、とはならないがそんな考えが頭に浮かぶ。
この考えは良くないと指摘され続けたがそうそう長年染み付いたものを落とすのは簡単じゃない。

「わがまま? なんで、そういう話になったの?」

ワガママを言うつもりなんて全く無かったのに。
どこからその発想に行き着いたのか――

――なんか、雑だな

食事のしぐさから――何処かの誰かを思い出す。
もう会えない、誰かを。

ぎぃっとブランコが、揺れる

濱崎 忠信 > 「?」

問い返されれば、少年は怪訝な顔をする。
目を細め、眉間にしわを寄せてから、心底不思議といった様子で凛を見て。

「だって、アンタ、誰かに話しかけて欲しそうにしてるじゃん」
 
そう、呟いた。
特に何の感動もなさそうに。
 
「嫌なんじゃないの。一人でいるの」

六道 凛 >  
「……ボクが?」

目を点に。話しかけてほしそう――寂しそうということ。
確かに、間違ってはない。昔を思い出して若干の寂しさを感じるのは
今でもあることだ。同居人と家主には呆れた顔をされるが。
しかし、一人で射ることが嫌かどうかと言われると――

「どうかな。誰かといないと自分の意義を感じられない時があるのは確かだけど、今はそのほうがいいかもしれないとも言えるさ」

それにしても――

「……キミ、情が表に出ないね? ボク以上に」

濱崎 忠信 > 「だって、夜の公園に一人でいるわけじゃん。
相手はどうあれ話しかけられるの待ちに見えたよ」

飲み干した炭酸飲料のペットボトルを屑籠に放りながら、「情」と言われればまだ首をかしげる。

「情……? まぁ、それは自分だと良くわからないし、あんまり興味もないな」
 
続けて、またコンビニの袋から取り出した携帯食料の箱を開けて、ぼそぼそ食べ始める。

六道 凛 > ――マイペース。無頓着
分析する。人柄の把握は大事だ。

「……家に帰りたくないとか、そういう思考は?」

感情に興味が無い、ということばから鈍感なのだろうか。
いや、他人には鋭い、自分には――というパターンも有る。なにはともかく――

――栄養バランス、悪いな

濱崎 忠信 > ぼそぼそした携帯食料をゆっくり食べながら、視線だけを向けて呟く。

「『彼』の帰りが遅いと溜息を吐いてた奴が家に帰るのを嫌がっているとは思わないな」
 
黒い瞳を揺らしもせず、ただ、思ったままそう口にしたとでもいうように。
 
「何より、そうやって『何故そう考えなかったのか』と問い返してくるあたり、図星に見える」

六道 凛 > ――観察眼有り。それに――……

「デリカシーのないやつ。それが本当だとしたら指摘するのは逆上を誘うとか考えないの?」

一つ、ため息。今のが電子の話であれば好感度は低下だろう。
変な選択肢がそこから派生しなければ。

「残念だけど、ため息は帰りが遅いからじゃないさ。別件だよ。仕事が上手くいかなくてね」

濱崎 忠信 > 問われれば、また怪訝な顔をする。
口についた携帯食料のカスを親指で拭ってから、また、問う。

「逆上? ……え? なんで?」
 
小首を傾げてから、また携帯食料を齧る。

「仕事が上手くいかないと面倒臭いってのは、まぁわかるけど」

六道 凛 >  
「図星を指摘された相手がなにするかわかんないでしょ。慌てるかもしれないし、怒って帰るかもしれない。怒鳴るケースだってあるよ」

ありきたりな反応を上げてみる。図星だということが当たってしまったケースを、だ。
こういった反応のシュミレートは大事だった。リアルな、”舞台”を生み出す上で

「面倒くさい……まぁ、そんな感じ。なかなか思うようには――舞台のようには回らないね」

ほぉっとまたため息。寒いからか白く染まり。どこか艶やかに見える――

濱崎 忠信 > 羅列されたケースを聞いても、首をただ傾げる。

「……それで何か問題ある?」
 
そう、呟いて、空になった携帯食料の包みをまた屑籠に放り投げる。
 
「それこそ、舞台じゃないんだから、相手が思うように動かないのは当然だし。
面倒ではあるけど、少なくとも慌てられたり、怒られたり、怒鳴られたりしても……別に面倒ではないと思うな。
ああ、いやでも、仕事だったら面倒かもな。うん」
 
艶のある吐息にも一瞥をくれるばかりで、それ以上のことはない。
ただ、ぼさっと眺めて、また携帯食料の包みを開ける。

六道 凛 >  
――何処かずれてる

はぁっとため息。怒らせるつもりがなくて怒られたりするのは嫌じゃないのだろうか、心配じゃないのだろうか――そこまで考えて。

――いつから、こうやって他人のことを意識するようになったっけ

彼らだけだったはずなのに。いつのまにか、普通にそんな心配をするようになっていた。新しい発見だ。

「――そう? ボクはちょっと嫌だな。ちゃんと自分の見立て通り、”栄えて”くれないのは」

ぎぃっと、ブランコを揺らして立ち上がる。ぱんぱんっと制服を払って。

「――そろそろいい時間だ。夕飯を作らないといけないから帰るよ。 食事には、気をつけてね」

濱崎 忠信 > 「へぇ」
 
立ち上がるその姿とみて、言葉を聞いて。

「欲張りだな」
 
ぽつりと、少年は呟き返す。
 
「『栄え』を見立てて誰かに与えるってのは」
 
帰ると言われれば、少年も携帯食料を片手に立ち上がって、既に中身のないレジ袋を丸めて放り投げて。
 
「アンタ、かなり人に気を遣うんだな」
 
ついでに、そう言葉も放ってから、公園を去って行った。

ご案内:「異邦人街にある公園 」から濱崎 忠信さんが去りました。
六道 凛 > 欲張り? 自分が――?

「……そういう見方もある、のか」

なるほどという合点。自分が自分のままで
そのままでいるという一つのこだわりは、そんな視点にもなるのかと。
欲がないとか。もっと出張っていいとか、胸を張れとか言われてきたのに――

「気を使ってるつもりなんて、無いけどね」

そう。自分は舞台装置。主人公を栄えさせるのは当たり前なんだと心のなかでつぶやいて。静かに帰路につく

「……結局夕飯、どうしようかな」

ご案内:「異邦人街にある公園 」から六道 凛さんが去りました。