2016/06/04 のログ
■迦具楽 >
「んー、とりあえず磨くくらいは……」
【なにやら表面には装飾に文字や絵なども記されているようで、とりあえずそれがはっきり読み取れるくらいには磨こうかと思うものの】
「磨いた瞬間、ランプの魔人があらわれたり、なんてね」
【と、笑ってみるが。
しかしここは常世島。
そんな奇怪なランプやランプの魔人がいるくらいは、十分にありえる可能性である。
まるで手品のように手元に布キレを《創造》したものの、それで実際に磨いてみるには、少なくない躊躇があった】
ご案内:「異邦人街」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 「あれ……?」
バイトを終えての帰り道。
通り掛かった公園に見覚えのある姿を見かけて足を止めた。
「……迦具楽じゃん。何してんだろ。」
何やら古めかしいランプを持っているが、
まさか買ったのだろうか、と訝しみながらも歩み寄っていく。
■迦具楽 >
「……いやいや、でも折角だし試さないのもなあ。
うぐぐ、でも磨いた瞬間呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン、はちょっとなあ」
【まあ別に、妙なものが出てきたとしてもこの島なら何とでもなりそうだとは思いはしたが。
そんな葛藤のような呟きが、近づいてくると聞こえるだろうか】
「んーんー……説明に何もないって事は、危険はない、気もするけど……」
【ランプと、その説明書らしい紙をにらみつけて唸っている。
珍しく、近づいてくる人の気配にも気づいていないようだ】
■東雲七生 > 「よっ、迦具楽。何してんだ?」
どうやら気付いていないようなので、十分近づいたところで声を掛けてみる。
迦具楽が人の接近に気付かないなんて珍しいな、と苦笑しつつ。
どうやらよほどランプが気になるらしいな、と迦具楽の手の中のランプへ目を向ける。
「どーしたんだ、それ。買ったのか?」
■迦具楽 >
「――ひゃっ!」
【ほんとに集中していたんだろう、声を掛けられるとびくっと震えて、ランプを落しそうになった】
「わ、わっ、と!
……あ、あれ、七生、七生?」
【危うく落しそうだったランプを確保して、声のほうを向くと。
自分の存在を定義付けて、受け入れて、『迦具楽』にしてくれた少年の姿。
一瞬、少年を見上げて呆としていたが、すぐに嬉しそうに表情が変わる】
「七生、久しぶりね。
これはね、えっと、もらい物なの」
【そう言って、入手した経緯を説明する。
仲のいい骨董屋で貰ったこと、そしてその来歴なんかが書かれた紙を呼んで怪しんでいた事。
たった今、磨くか磨かないか葛藤していたこと、など】
■東雲七生 > 「おう、久し振り。
特に変わりないみたいだな、安心したぜ。」
にぱっ、と笑みを返す。
隣良いか、と一言断わってから更に近づいて、拒否されなければそのままベンチに腰を下ろすだろう。
「もらい物?その……ええと、ポットみてえなのが?」
どうやらランプというものを七生は知らない様だった。
しかし、経緯を聞いているうちに納得したらしく、
「ほーん……とりあえず、磨くだけ磨いてみたらどうだ?
別に何か出て来ても、お前と俺なら大抵何とか出来んだろ。」
さも当然の様に言ってのけて、視線を迦具楽の手の中のランプへと向ける。
さほど変な物には見えないけどな、と呟きつつ。
■迦具楽 >
「うん、生活環境は凄く変わったけど、私はまだちゃんと『わたし』だよ」
【『もちろん!』と隣を空けて、少年が腰を下ろせば以前のように、ぴったりと甘えるようにくっつくだろう】
「そうかな、私には凄く変なものに見えるけど。
うーん、確かに七生もいるし……それじゃあ磨いてみようかしら」
【もともと好奇心が強い迦具楽である。
迷っていたところで背中を押されたら、当然逝――行くのだ。
というわけで、少年の前で慎重に丁寧に磨いていく。
磨いていくと、くすんでいた表面が輝きだし、黄金で出来た本来の姿を見せる。
今のところ何も起きないが、表面の、おそらく少年の知る限りの文化や習俗には無い奇妙な装飾や、恐ろしく旧いのだろう、絵文字の性質すら残した言語で書かれた文字が刻まれているのがはっきりとしてきた】
「……何も起きない、ね」
【そうして丁寧に丁寧に磨き終えたところで、迦具楽はまるで拍子抜け、といった調子で呟いた】
■東雲七生 > 「ああ、そうみてえだな。」
くっつくかれて少しだけ居心地悪そうに身を竦めたが、
気恥ずかしさと一緒に懐かしさもあって、特に離れるよう求めることはしなかった。
猫でもあやすかのように迦具楽の頭をぽんぽんと撫でようとしつつ、
迦具楽によって磨かれていくランプを眺めて
「……ああ、何も起きねえな。」
そんな事だろうとは思ったけど、と軽く肩を竦める。
そもそも何が起こるというのだろう、といった風だ。
伝承や物語に疎い七生にとって、古めかしいランプもヘンテコな骨董品でしかなかったのかもしれない。
■迦具楽 >
【あやすように撫でられれば、幸せそうな表情を浮かべつつ磨いていたが】
「うーん、磨いてダメって事は、実際に使ってみるしかないのかなあ。
……七生はこの文字、読めたりしない?」
【きっと知らないだろうとは思いつつも、たずねてみる。
聞くだけあって、もちろん迦具楽も読めないのは言うまでも無く。
気になる説明書きはあったけれど、案外本当にただの骨董品なのかもと思い始めていた。
……それにしたって、全部が黄金で作られているだけでも相当値打ち物のような気はするのだが】
■東雲七生 > 「いや、全然読めない。」
さっぱりだ、と首を振る。
古語どころかただの英字であってもきっと同じ反応をするだろう。
学術方面に関しては、一部を除き本当にからっきしなのである。
高校生として最低限の勉強が出来るだけで、少しでもその範疇から出てしまうと頭が考えることを止める。
というか、怪し過ぎてまともに考える気にもなれない。
「見た感じ金ピカだけど……まさかこれ本物の金って訳でもないよな?」
胡散臭い、と疑いを隠そうともせず。
迦具楽の手の中にあるランプを、色んな角度から眺めたりしている。
■迦具楽 >
「だよねえ。
私もさっぱり。
たぶんこのランプの名前とか、作った人の名前とかなんだろうけど」
【それくらいは想像ができるものの、それまで。
さまざまな記憶を知識として蓄えているものの、そのうちに該当する文字がないのだ】
「んー、私は本物だと思うなあ。
正確なところは鑑定してもらったりしないと、わからないと思うけど。
少なくともこれ、日常品じゃないもの。
なにかしらの儀式的なものか、宗教的なものだと思うし、そういうのはほら、素材とかすっごく拘るでしょ?」
【見た目は奇妙なランプだけれど、装飾の性質を見ると日常品としてみるよりはそういった道具だと思える。
とはいえ、作られたのは説明書きを見る限り超古代文明ということで、今の常識なんて通用しないとも思えたが】
「うーん、まあとりあえず今はいっか。
それよりも、ね、七生」
【興味はあるものの、別に今すぐ色々試す必要もないのだ。
好奇心はある程度満たされたし、後はじっくり調べてもいいのだから。
今はそれより、久しぶりに会った少年のことの方が気になる。
ぴったりとくっついていたからか、ずっと良く『匂い』と『色』が分かるのだけど】
「……すごく女の匂いがするけど、会わない間になにかあった?」
【より美味しそうになっている『匂い』と『色』。
その理由まではわからないけれど少年の事だから、と予想して。
ちょっと不満そうな表情を浮かべながら、突いてみた】
■東雲七生 > 「どっか持ってったら良いんじゃねえの?
ほら、……ええと、博物館とか?」
古いものなら博物館だ。七生の中ではそうなっているのだ。
もっとも、博物館なんて殆ど行った事が無いし、この島にそれに該当する施設があるのかすら定かではない。
「本当に金だったら、すげえ高値で売れたりするんじゃねえか?
いや、別にお前は金に困ったりとかしねえと思うけどさ。」
そもそもこの少女の生活にお金が掛かるとは思えない。
そんな風に考えながらも、ランプを眺めていたが迦具楽の興味が他所へ──
──というか、自分へと向いたのを機にランプから彼女へと視線を移し
「……え?
女の……匂い?」
居候先が居候先だからだろうか、などと考えつつ。
軽く自分の服の袖口とか嗅いでみる。
言われるほど気になるものでは無かったが、もしかすると自分の鼻が慣れてしまってるのかもしれない、と。
「あー、実は今居候しててさ。
そこの家主が香水とか結構使うから、その所為かも。」
バツの悪そうに頬を掻いて、苦笑を浮かべる。
居候してるだけで、特に疾しい事は何も無いと自負している。
……自負して良いものかどうかは、また別としてだ。
■迦具楽 >
「博物館はともかく……使い方が分からなかったら売っちゃうのは有りかしらね。
実は私、今は自給自足の貧乏暮らし中なの」
【おそらく少年からすると予想外だろう返答をして。
自分もまた、予想外の答えに驚いた】
「……七生のことだから、また女の子誑かしたんでしょ。
それも同棲って、居候って、うわぁ」
【少年を見上げていた迦具楽の視線が、じとっと細くなる。
とはいえ離れたりはしないあたりが迦具楽だろうか。
しかし、若干視線は冷たいかもしれない】
■東雲七生 > 「実はも何も、元から自給自足みたいなもんだったじゃないか。
……とはいえ、もう神社には住んでないんだな?」
予想外といえば予想外だったが、元々そうだった気がしないでもなかった。
だって目の前の少女は人外だし、普通の生活を送る様な性格していないと思って居たから。
「またって何!?今まで誑かしたことなんてねえよ!?
それに同棲と居候は違うんじゃね!?」
だからあんまり言いたくないんだ、と困った様に眉根を寄せて。
少し冷たくなった視線に気後れしつつも反論を唱える。
まあそれ以外にも色々と余罪は突けば出て来るのだけど。
■迦具楽 >
「そういわれればそうかも。
うん、今は友達と一緒に建てたマイホームで生活中だから、光熱費とか掛かっちゃうしわりと大変」
【食費は何とかなっても、電気代も水道代も掛かるのだ】
「えー、私をはじめ、トトとか玖杜とか。
私が知らないところでも、好意を寄せてくれる女の子とか多そうだけどなあ」
【少年の性格からすれば、意図せずそういう事になってしまってる可能性は随分と高そうだと思うのだけれど。
ただ。自分は特に、それで嫉妬するとかどうとか、という事はないにしてもだ】
「女が男を居候させるとか、普通はそういう事でしょ。
七生はその人の事、好きなんじゃないの?」
【少なくとも、そんな好意を寄せてる子達を思えば、ある程度そういう気持ちの上であって欲しいとは思う。
じっと少年を見上げて、どうなのかと答えを待つ】
■東雲七生 > 「電気や水道って……要る?お前の場合、特に。」
純粋な疑問である。
言い方が悪かったかな、と思って思案するが、他に的を射た表現も出てこなかったので訂正もしない。
「うっ、お前や焔誼はなんか違う気がするけど、まあ置いといて。
トトは……というか、トトも含め不思議でしょうがねえんだよな。別に俺、特別好かれるようなとこないと思うんだけど。」
背も低いし、特別腕っ節が強い訳でもない。
目立つような事はとことん避けたい性格だし、おおよそモテとは対極に居る気がする。
そんな事をぶつぶつと呟きつつ、不満げに口を尖らせていたが、
「まあ、色々と事情があったからさ……
向こうからすれば、どっちかと言えば捨て犬でも拾った感じだと思うけど。」
あはは、と苦笑を浮かべる。
本当に、お互いに男女の間に芽生えがちなものは無く過ごして来ている。
七生はそれで十分だと思っているし、そもそもそんなのは七生にとって“まだまだ遥かに先の話”でしかない。
だから、
「んーとね、俺に姉ちゃんが居たとしたら、こんな感じだろうなって!」
いつも通りに裏の無い笑みを浮かべて答えるのだった。
■迦具楽 >
「今は私、殆ど人間だもん。
お風呂も入りたいし、娯楽も欲しいし、ご飯だって食べるんだから」
【一般的な人間の生活をしたいと思えばこそ。
そこは中々、放棄するわけにはいかないのだった】
「魅力って、自分じゃ分からないものだし、仕方ないわよね。
まあ私の場合、七生に惹かれたのは食欲の部分が大きかったりするけど」
【非常に美味しそうである、故に、もっと美味しくなるのを待ち続けた結果がこれなのだから。
……まあ、他にいくつだって理由はあるのだけれど、だ】
「……ふぅん、お姉さんねー。
じゃあ私は妹かしら、それともペット?」
【『ご飯がもらえるならペットでもいいや』などと付け足すが、以前に一緒に飲食店に入ったときの事を思い出すかもしれない】
「暫く会わない間に、七生にも色々あったのね。
まあ私が風紀の破壊神に雇われてたり、この街で暮らしてるくらいなんだから、それも当然かあ」
【なにも、日々を歩んでいるのは自分だけではないのだから。
きっとこの少年も何かに躓いて、何かを乗り越えたのかもしれない、と。
ただ、その時傍に入れなかった事は、少なからず後悔する気持ちがあって、少しばかり不満げな表情を浮かべているだろうが】
■東雲七生 > 「ああ、そうか……
悪い、今のは確かにちょっと考えが浅はかだったな。」
どうにも初めて会った時の印象が強くてさ、とバツの悪そうに頭を掻く。
人外であっても殆ど人間と同じであっても迦具楽は迦具楽なのにな、と苦笑しながら付け加えて。
「食欲って……
食われるの、俺?なんか、知りたくなかったなぁ……。」
どういう食べられ方をするんだろう、なんて他人事の様に考えたりしつつ。
出来れば痛くないと嬉しい、と半ば真剣に考えたところで我に返って。
「いや、一緒に住んでるから姉ちゃんみたいだなって言っただけで。
別に迦具楽は一緒に住んでないだろ?迦具楽は迦具楽だよ。」
そもそも集ろうとするなよ、と失笑しつつ少女の頭をぽふぽふと撫でる。
実際のところどちらかと言えば妹寄りなのだろうか、と七生自身思わなくもなかったが。
いとも容易く兄の財産を食い潰しかねない妹などまっぴらだった。ペットならなおの事。
「まあね。色々と……うん、本当に色々と。
って、え、ちょっと待て。風紀委員の破壊神?」
何か久し振りに聞くフレーズが少女の口から飛び出した気がして、思わず聞き返す。
破壊神、なんて七生の交友関係の中には一人しかいないし、他に居るのかもしれないが、とも思ったが。
もしかしてもしかするのだろうか、などと嫌な予感に眉を顰める。
■迦具楽 >
「ううん、それでいいんだよ?
私は『わたし』だけど、どれだけ人間に近づいてもバケモノなのには変わりない。
七生がどっちの『わたし』の事も理解してくれてて嬉しいよ」
【どちらとしても扱ってもらえて、どちらの自分も理解してくれる。
そんな相手だからこそ、迦具楽は――《その■×は不▲切》――なのだから。
一瞬脳裏に響いた『聲』に首を振った】
「……ふふん、七生が一番美味しそうになった時には、私がすっかり食べちゃうからね」
【と、冗談のように笑いながら、本気で言って。
けれど、そんな日はずっと来ないのかも知れないとも、どこかで思っていた】
「はいはい、私は『わたし』ですよー。
むう、家族だったら食費も出してくれると思ったのに。
ねー、だめー? お兄ちゃぁん」
【要するに、食費捻出辛いです、と言う訴え。
もちろん妹やペットやら、そういう家族のような距離に――《そ■■は▲×切》――久しぶりに『聲』がうるさいなと思いつつも、上目遣いに甘えた声を出してみた】
「……え、うん、そうだけど。
えっとね、蒼穹って言って本気で殺しあったり、協力したり、ご飯食べたりしてたら仲良くなったの」
【いくら常世といえど、風紀にそう何人も破壊神がいたらたまらない。
間違いなく同一人物だろうという名前が飛び出すのも当然だった】
■東雲七生 > 「というか、どっちにしろそういう事をしそうだから言ってるってのも否定できねえんだけどな……」
人間であろうとなかろうと、根っこの部分は然程自分たちと大差無いように思う。
であれば、人間だから、とかバケモノだから、という区別は七生からすればセンスが無いのだ。
だから等しく接する。少なくとも、相手に明確な害意を見出さない限り。
「出来ればあんまり痛くしないで欲しいし、極力抵抗はするぞ、俺……。」
迦具楽の言葉は嘘じゃないように思えた。
だが、同時に初めから終わりまで本心とも感じられなかった。
七生はどんな表情をすれば良いのか分からず、困った様に笑う。
「働かざる者食うべからず、だぞ。
俺だってバイトしたり家事したりして、晩飯作ってもらってんだから。」
ふんす、と鼻を鳴らしながら両手で迦具楽の顔を挟もうとする。
うりうり、と扱う様はやはり兄が妹にする様な物に近く感じた。
「……うえ。やっぱり、あいつかぁ……。
常世島は狭いなあ。迦具楽も蒼穹の知り合いなんだな。」
割とこの島で最初の方に知り合った異邦人で、友人の一人だった。
最近は姿も見かけないが、一体何をしてるのかと思えば、と。
どこか呆れた様に呟くと、思わず溜息も零れる。
■迦具楽 >
「あはは、暫く山の中とか森の中で体一つで生きてましたとか、言えないなー」
【他にも奇奇怪怪な遺跡の中で寝泊りしたりとか、とても言えない事である。
今でも山で狩をして海で漁をして、遺跡をちょっと荒らしたりとかしてるとはいえ】
「ふふっ、別に食欲的な意味以外で食べちゃってもいいんだけどね?」
【困ったように笑う少年には、さらに表情に困る返しをしたり、しなかったりで】
「私だって、ちゃんと自分で食料調達して、お金稼いで生きてるもーん。
なにゃみろちがっへ、りょーりもするもーん」
【うにうにと弄られながら、そんな距離感が楽しそうに口答えしてみれば。
なんという事でしょう、地味に高い家事能力(自己申告)を主張するのです】
「――って、七生も蒼穹と知り合いだったんだ?
はー、常世島も案外狭いのね」
【そりゃあ島だし、と思わないでもないが。
まさかここにも繋がりがあるとは思わなかったのだ】
■東雲七生 > 「実際そうだったろうし、それが不思議だと思えないのがつらい。」
すごくつらい。
別にどこでどんな生き方をしてようと構わないのだが、急に会えなくなると寂しいのでなるべく穏やかに暮して貰いたいものである。
「? 食欲的な意味で食べるって?」
きょとんと。まさかのピュア返しである。
高校二年にもなってそういう話に疎いとか天然記念物かもしれない。
まあ断食男子だから仕方ないとはいえ。
「はいはいはい……
そっか、あの蒼穹が迦具楽と……なんか、たち悪い組み合わせだなあ。」
穏やかじゃないな。
交友関係の被りには確かに驚くが、それ以上に組み合わせに驚いた。
火薬庫に松明持って来てるみたいじゃないか、とどっちがどっちだか微妙に分からない例えを持ちだして来る。
■迦具楽 >
「あはは、今はちゃんと家があるから安心してね?」
【とは言っても、とても安心できそうにないだろうなと自分でも思いつつ。
なるべく心配をかけないように生活しようと、ちょっとだけ思いなおした】
「……七生って」
【と、そこまで呟いて言葉が出てこない。
さしもの迦具楽でも、言葉を失うほか無かったのである。
これじゃ先が思いやられると思いつつ、『はあ』とあからさまに呆れたような大きなため息をつくのだった】
「性質悪いって酷いなー。
これでもちゃんと、蒼穹から仕事丸投げされてあげてるんだから。
蒼穹も、ちゃんと働いた分、美味しいもの食べさせてくれるのよ?」
【しかも給料は現金でなく食料払いである。
完全に餌付けされて安く使われているのだが、迦具楽としては労働に見合うだけの美味しい物が食べられるなら、それはそれで構わない……のかもしれない。
いずれまた、それで揉めれば喧嘩の一つもしそうではあるが】
「まあだからね、今は宗教施設があるとこの、蒼穹の祭壇があった場所に家建てて住んでるの。
あんまり広くは無いけど、ようやく一通りの物がそろってきたのよ」
【自慢げに言うが、まだまだ二部屋風呂キッチントイレ付の小さな一軒屋である。
庭に当たる部分にはしっかりとした屋根のついた祭壇が置かれているのだ】
■東雲七生 > 「そこは安心する要素なのかどうか……」
まあ、ひとまず安心しても良いのだろう。本人がそう言ってるのだから。
けれども迦具楽の事だから、とすぐさま思案気な顔になる。
「ん? 何、なにさ!」
溜息を吐かれれば流石の七生も気に掛かる。
訊ねた迦具楽から答えが返ってこない以上、今度誰かに訊いてみるか、とか危ない事を考えつつ。
「いやまあ、ちゃんとやれてんなら良いけどさ。
……うん、まあ、いいんだ。杞憂で済んでくれれば。
宗教施設群の、蒼穹の祭壇……ああ、あの辺か。」
何度か行った事があるよ、と頷いて。
そう言えば久しく行ってない気がする。今度様子見がてら行ってみるのも悪くないな、と。
■迦具楽 >
「……そこは、信用して欲しいけど」
【自分のやってきた事を思い出せば思い出すほど、心配されて当然だと思い苦笑するしかなかった】
「はぁぁ~……。
どういう意味か気になるなら、調べてみたらいいんじゃないかしらー」
【そんな危ない考えを勧めるみたいな事をいいつつも、あからさまに呆れた様子続行。
健康な一般男子としてどうなんだろう、と思う迦具楽であった】
「……大丈夫よ、何かで揉めてもあまり被害が出ない方向で解決するから!」
【なにも 大丈夫では なさそうでした】
「あっやっぱり七生も知ってるのね?
それなら今度遊びに来てよ、七生ならいつでも歓迎だもの。
そうだ、七生が来たらこのランプ使っちゃおうかしら、きっと綺麗よ」
【そう、半ば忘れられていたランプを思い出したかのように示して。
言ってみてから、この黄金のランプからこぼれる光は、たしかに綺麗に見えそうだと感じていた】
■東雲七生 > 「まあ、今度様子見に行ってからだな。」
実際見てみない事にはどうしようもない。
そう言って屈託ない笑みを浮かべる。心配はしているが、信用してない訳ではない。
「ん、そうする。誰かに訊いてみりゃ分かるかな……」
変な所でお子様である。
とりあえず答えを知っていそうな友人を何人か思い浮かべて。
「あまり、じゃなくて全く出すな。……っとに。」
はぁ、と今度はこちらが呆れて溜息を零して。
単体でも性質が悪いのに、と言おうかとも思ったがそこは大人しく口を噤んだ。
「ああ、暇が出来たら行ってみるよ。
そんなに離れてるわけでもないし、今は。
……ああ、その──ランプって飾る物なの?水差しとかじゃなく?」
等と頓狂な事を言いつつ、そろそろ帰ろうかと時計を見遣る。
そろそろ良い時間だった。
■迦具楽 >
「素直に教えてもらえるといいわねー」
【割と、人によっては聞かれたほうが災難かもしれないなあ、なんて思いつつ。
犠牲者になるだろうどこかの誰かに、心の中で手を合わせた】
「はーい、気をつけます。
ああ、これは照明器具、かな?
水差しみたいなカタチしてるけど、油を差して火をともすの」
【なるほど骨董品に興味が無ければ知らないのも普通かと説明し、時間を気にする様子を見せればするりと体を離して立ち上がるだろう】
「それじゃあ、十分七生成分は補充できたし、私は帰るわね。
……ちゃんと遊びに着てよね?」
【立ち上がってから、また念を押すように言うのは、やはり名残惜しいからだろうか】
■東雲七生 > 「まあ……大丈夫だろ、うん!」
妙な自信はどこから沸くのか。
何故か握り拳を作って大きく頷き、そしてまだ定まらない何人かの友人に期待を掛ける。
「へえ、照明器具……。
なるほど、全然知らなかった。今度行ったときに実際見てみるのが楽しみだわ。」
ほうほう、と感心した様にランプを見て。
そして迦具楽が立ち上がれば、同じようにベンチから腰を上げる。
「それなら良かった。
……ああ、行く行く。絶対行くから。」
ちゃんと片付けしとけよ、なんて笑いながら頷く。
■迦具楽 >
「私もちょっと楽しみ。
ランプの明かりって、結構趣があって素敵なのよ」
【そう言うと、壊さないようにしっかり抱えてランプを持つ。
そして絶対に行くといってもらえれば、とても嬉しそうに微笑んだ】
「うん、約束だからね。
それじゃ、また遊んでね、七生っ」
【そう言って振り返ると、公園の出口まで弾むように歩いていく。
その後姿は、髪を纏めた黒い尻尾が揺れていて、とても機嫌の良さそうに見えただろう】
■東雲七生 > 「ああ、それじゃあまたな、迦具楽。
風邪ひいたりすんなよ!」
嬉しそうに去って行く後ろ姿を見送って。
久し振りに会っても変わらない姿に安心したのか、ほっと溜息を吐く。
あとは話の中に出て来た破壊神を名乗る友人にも会えたらいいな、とか思うのだが。
「……あ、そういや最近またコクられたって言うの忘れてたな。」
……まあ、言うほどの事でもないか、と呟いて。
公園を後にするのだった。
ご案内:「異邦人街」から迦具楽さんが去りました。
ご案内:「異邦人街」から東雲七生さんが去りました。