2016/09/12 のログ
ご案内:「異邦人街、商店街」にソルヴィスさんが現れました。
ソルヴィス > 多種多様な種族が行き交う商店街
人魚、エルフ、ミノタウロスや巨人族…
人間の中にあっては目立つ男の赤い肌と額の二本の角も、ここでは極ありふれたものでしかない。
だが、それが男にとっては都合がよかった。

自身より下等な存在と認識している人間という種族、彼の世界では家畜かそれ以下の扱いであり
そして今いるこの世界においては、支配者と呼べるほどには反映している種族。

彼等からすれば、この男の存在こそが異物であり、鬼と呼ばれる種族の一般的な印象も手伝い
好奇や警戒の目で見られるが
男にとって家畜程度の認識の存在に見世物小屋の珍獣のような視線に晒されるのは
端的に言って不愉快であり

故に人間の比較的少ない異邦人街は、生活の場としては最適であった。

ソルヴィス > 「それに…」
商店街の店の看板を、興味津々といった様子で見回す。
男に与えられた、「異世界の食文化の調査」という役目。
それを行う上でも今いる世界と、外の世界の食文化が入り混じったここは
うってつけである。

男のもといた世界が、自分達以外に外の世界がある事を知って以降
自分達の食文化が極端に肉食に偏重であり、それ以外については
大きく他の世界に劣っている事がわかった。
それを知った男の世界の企業は、そこにビジネスチャンスを見出し、この男のように
異世界の食文化を調査すべく、それに(彼等の世界の基準で)適した人間を派遣しているのであった。

「へえ、牛の乳を使って…成程、こんな味わいが…」
特に変哲の無い、焼き菓子を一つ店で買った男が、そんな事を口にする。

男の世界では牛とは肉を捌き、調理、或いはそのまま食すものであり
その乳を料理に使うといった事等は
誰も考えもしなかった。

ソルヴィス > 「こっちは…ん?米?米って普通は野菜では…」
カレーやラーメン、その他にもこの世界では極々ありふれた食べ物の数々が、それを食べた事のない男には
新鮮な驚きと、味わった事のない新たなる美味に幸福感を齎す。

「知らなかったな…小麦がこんなにも便利なものだとは…
米も、こうまで何にでもあう食べ物だとは…」

よくわからない植物程度の認識であった小麦と、腹持ちはいいが硬く味気の無い野菜ぐらいしか思っていなかった、米

今までの常識を覆された男が、今日何度目になるかわからない感嘆の声を漏らす。

ソルヴィス > あちこちで食事をしては、新たな食の発見に驚きを覚えつつ
そうして数件を回った後、今は一人、公園のベンチに腰かけ
お茶の入ったペットボトルを手に、しげしげとそれを眺め

「便利なもんだね…」

と、一人呟く。

お茶というもの自体に対してもそうだが
それ以上に驚いたのが、このペットボトルという飲料物そのものを
携帯し、持ち運ぶという発想に、男は人間という種の
発想力に、軽い衝撃を受ける。

ソルヴィス > なまじ体が頑丈な分、彼の世界では殺菌作用や衛生面での考慮というものを
彼の種族は勿論、殆どの種族はその発想にたどり着く事は無く

今まで飲み物はそこらにある湧き水や、単純に水資源をただ上下水道を整備し引いてきて
何の浄水もせずそのまま使うということしかしてこなかった。

「…面白いなあ、外の世界って」

そう言って、一気にペットボトルのお茶を飲み干すと、屑篭に器用に投げ入れ
携帯端末用な機械を懐から取り出し、操作し始める。

ソルヴィス > しばらく端末を操作していたが、やがて作業を終えたのか
端末を再び懐にしまうと

その場を後にした。

ご案内:「異邦人街、商店街」からソルヴィスさんが去りました。