2016/10/04 のログ
■東雲七生 > 「せめて何か出来れば……こう、大人っぽく見えるだろうか。」
思春期真っ盛り、東雲七生少年。
ちっとも背が延びやしないので、せめて上背以外の大人っぽさを身に着けようと躍起になっている節がある。
そんな事をぼんやり考えながら歩いていた所為か、気が付けば。
「あ、れ……?ここ、どの辺だ……?」
路地を通って、元居た場所に戻ろうとしたのだけれど。
周囲には背の高い建物ばかりが並んだ路地に迷い込んでしまっていた。
ほんの一画まがるところを間違えただけですぐに全く異なる造りの建物が立ち並ぶのがこの異邦人街である。
■東雲七生 > 「ぐぬぬ……ま、いいか。
日頃屋根伝いに跳び回ってばっかだし、たまにゃ地面を歩くのも。」
迷子になったという現実を受け入れきれずに嘯く。
もちろん誰か聞いてるわけでもない。自分自身に向けた強がりだ。
どんな策を講じても、まだまだ大人っぽくなるには分不相応なのである。
「とにかく……走るッ!」
たっ、と弾かれたように路地裏を駆け出して。
そのまま散々間違えたり迷ったりしつつ、七生は日没前に家に辿り着けたのだった。
ご案内:「異邦人街」から東雲七生さんが去りました。