2016/11/09 のログ
ご案内:「異邦人街大通り【常世祭期間中】」にルベールさんが現れました。
■ルベール > 異邦人街に住まう女にとって、同じ世界から飛んできた知り合いはほぼいない。
もしかしたら知っている人以外にもいるのかもしれないが、全然分からない。
やってきた世界ごとに出し物を何かしませんか、と言われても、脳内が暴力と食欲で満たされたこの人生蛮族な女が、何かできるわけもなく。
でもそんなことに気が付くほどの頭も無く。
「オーケーオーケーなんかやればいいのね」
というあっさりとした承諾によって、イベントに駆り出されてしまったわけで。
「何すっかな。」
冷や汗だらだらで真剣に悩む女。
ステージで何かをするといっても、何をすればいいのか全然分からない。
大食い大会? いやなんか5つ前の出し物で豚一頭丸ごと食べるパフォーマンスやってた気がする。
重量挙げ? 腕相撲大会? いやいや、流石の自分でも単なる腕力では負ける奴はたくさんいるぞ。
■ルベール > 最近は楽しくバスケで相手を振っ飛ばしたり。
楽器を弄ってバンド活動とやらにひょっこり顔を出したり。
いろいろなことをなんでもかんでもやっているが……。
異世界文化交流とか言ってたのに「最近これにハマってて」とかいうのもなんか違う。
やったこと、やったこと。
様々な思い出が走馬灯のように彼女の頭を通り過ぎる。
春。
艶やかな花が舞い散る中起こったクーデターをすりつぶすように殲滅した、春。
夏。
猛暑の中、3日間寝ずに城壁を守り通し、疫病にもかかった、夏。
秋。
収穫間近の畑を襲いに来た山賊を国境を越えて追いかけ、他国正規軍と山賊に仲良く挟まれた、秋。
冬。
凍り付く川を泳いで渡って、単騎で夜襲をしかけて敗走させた、冬。
ろくな思い出が無くて肩を落とす。
■ルベール > 「つーわけで、771番、ルベール。
えーっと、………パフォーマンスでもします。」
お祭りごとの時には、大体城壁の外で警護をさせられていたものだから、結局祭りらしいことの思い出が無い。
まあ、精々が戯れにパフォーマンスとして行った自由な剣舞程度だ。
参ったなー、なんて頭をかきながらステージに登った女は、
何事もなかったかのような顔で、その両手を炎に包ませる。
「そいやっ。」
軽い掛け声と共に、その炎の中から赤銅色の曲刀を取り出し、上に放り投げる。
一本、二本、三本。
三本の曲刀を手品のように空中から取り出し、曲芸のようにジャグリング。
身体を動かす芸であれば、この女はなかなか器用だ。
ご案内:「異邦人街大通り【常世祭期間中】」に滝川 浩一さんが現れました。
■滝川 浩一 > 「賑やかだなぁ…」
異邦人街の大通り。パンフレットを持ってキョロキョロを周囲を見渡しながら歩く少年がいた。
ラフな私服で大通りを歩いてはいるが、その目的は祭りではなくとある怪異の調査である。
というか祭りって何?状態である。
異邦人街大通りの入り口で狼の異邦人が配っていたパンフレットを一瞥する。
『常世祭』。この学園における学園祭のようなものらしい。
小学校中学校通して、学校ぐるみで開催する祭りを行ったことが無く、否が応でも興味を惹かれてしまう。
しかし、自分の目的はあくまで怪異の調査だ。
祭りに浮かれる訳にはいかない。
「おぉ!」
―――と思っていたのだが、やはり祭りの魅力には勝てず、ついついパンフレットにあったパフォーマンス会場まで来てしまった。
ステージの上では、金髪の女性が曲刀でジャグリングをしている。
器用にジャグリングする姿に歓声を上げ、拳をぐっと握りその様子を見守る。
■ルベール > 「単なる、大道芸と、思うな、よって……!」
あえて、受け止め損ねかけたり、少し遠くに放ったりして盛り上げどころを作り。
盛り上がってきた頃に思いっきり三本とも高々と投げ上げる。
金色の髪を振り乱しながら、まるで刀を抜く前の居合抜きのような姿勢になれば、その気配が殺気に満ちて、唇の端が持ち上がる。
そう、こういう感覚が癖になる。
「っしゃらぁあああっ!!」
何もないところから強引に引きずり出すように生み出されるのは、これまた赤銅色の剣。
両刃ではあれどギラリと輝くそれを、生み出すそばから一気に振り上げて。
ガチィィンッ、と強烈な音を立てて、降りてきた一本目の曲刀を真上へかちあげた刃で両断する。
返す刀で、二本目を横薙ぎに叩き切り。
三本目を縦に両断……できずに、空振りしてステージに突き刺さる。
「………失敗。」
てへ、と笑ってごまかした。冷や汗だらり。
■滝川 浩一 > 彼女が作る盛り上げどころにまんまと乗せられ、彼女の動きに合わせて歓声を上げる。
そして、高々と投げ上げられた曲刀を見上げる。
大技だろうか。上の曲刀と下で居合抜きの構えをする彼女を交互に見てどうなるのか楽しみになる。
「……!!」
彼女が大声で怒鳴った。
その迫力に気圧され、背筋にゾクゾクと寒気が走る。
背中の血の気が引いてひんやりとしているところで彼女が行う芸当を見据える。
強烈な鉄がぶつかり合う音を立てて落ちてくる曲刀を次々と両断している。
その様子に歓声を上げようとしたところで三本目の曲刀を彼女が両断し損ねて、こちらへ飛んでくる。
「マ…ジかっ…!!」
縦に回転しながら飛んでくる曲刀を見据え、意識を集中させる。
曲刀の動きをよく見て、一瞬の動きを見切り、手を伸ばした。
手が伸ばした先には曲刀の柄。それを掴んでこちらに飛んでくる曲刀を制止した。
(止まった…止められた!!)
曲刀を掴んだ体勢から静止して、冷や汗を掻きながら内心テンションを挙げる。
テンションが高いままてへ、と笑ってごまかしている彼女へ拍手を送る。
■ルベール > 「や、っべ。」
ちいさく声が漏れる。このまま事故で一人を殺ってしまったとしたら、このままここにいられるか分からない。
冷や汗が垂れるも……………。
「すげーなアイツ。………アイツの方がすげーな!」
なんて観客に声をかけて盛り上げ、自分の失敗をなんとか帳消しにしておく!
よし、なんとかごまかした!
ばたばたとステージから降りれば、すぐにやってきて。
「……わりー…。」
ぺろ、っと舌を出して。