2017/01/30 のログ
ご案内:「異邦人街:公園」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 「ふあぁ……あ。」
夜の異邦人街の片隅に、七生は居た。
いつも通り日課のランニングを終えて、一風呂浴びようと思ったのだが家に帰っても誰も居ない。
家主はどこかに出掛けているらしく、それなら家に居る理由もないので、
帰って来るまでの間追加でぶらぶらしていようと近所の公園を訪れたのだった。
公園に来るまでの間、長袖ジャージ上下というスポルティングスタイルで夜の異邦人街を歩いてみたのだが、
基本的には学生街や居住区と変わらない様に七生の目には見えた。
異邦人と、自分たち。
容姿の差異こそあれど、結局のところはそれだけの様に思える。
多少は相容れない面もあるだろうが、それこそ生粋の地球の人間である自分たちでも有り得ることだった。
だから──と言っては語弊がある気もするが。
七生は異邦人と呼ばれる彼らも、割とすんなり受け入れているのだろうと思っている。
■東雲七生 > 「……でも、」
本当にそうだろうか。
ぼんやりと夜空を見上げながら七生は考える。
もし、異邦人に対して違和を感じないのは、感性が彼等寄りだからだとしたら。
七生の記憶に一切情報が無くとも、遺伝子が「それは当然である」と認識しているのだとしたら。
「……んなわけ、ないよな。」
我ながら馬鹿げた考えだ、と七生は苦笑した。
仮にそうであるとして、 異邦人 とひとくくりにして考えること自体がおかしい。
地球人だって、国ごとに毛色が違うのだから、ひと口に異邦人と言っても様々な存在が居る。
異邦人から見ても、地球人以外の別世界の住人だってごまんと居る筈なのだ。
それなら感性なんて山ほど存在することになる。
結局七生が個人的に適応力の高いだけだ、ということなのだろう。
■東雲七生 > それでも、
「……もし俺が、異邦人だったら。」
どうしようか。
いや、どうしようもこうしようもないけど、と七生は溜息を溢す。
仮に自分が異邦人、本来この世界に認知されているべきでない存在だったとして。
──だったとして、それが何だと言うのだろう。
結局のところ、自分と言う個に劇的な変化が起こるとは思い難い。
ああ、まあ、そうだったのか、とどこか他人事の様にぼんやりと受け入れてそれで終わり、だろう。
■東雲七生 > 「………じゃあ別に考える必要もないな。」
果ての無い「たられば」に頭を悩ます必要はない。
今の自分が特に変化が無いと思っているのであれば、今考えても仕方の無い事だ。
もし、本当に“そう”だったとして、何か変わる事があるのならその時の自分が悩めばいい。
その為に今の自分は何をしたら良いのか。
「……そろそろ帰ろっかな!」
とりあえず、今はまだ、まだまだ強くなれば良い。
その時がもし来たときの為を考えて、悩む余裕を作れるくらいには、強くなれば良いのだ。
よし、と小さく意気込むと七生は公園を後にした。
ご案内:「異邦人街:公園」から東雲七生さんが去りました。