2017/04/11 のログ
真淨在処 > 暫くブラブラしていたが、丁度開けた場所の広場のような所へと出た。
見れば、丁度空いているベンチもあったので、これ幸いとばかりにそちらまで歩いていけば腰を下ろす。
ベンチ一つを丸々占領するようにだらしない姿勢で背凭れに体重を預けつつ。

「……平和だねぇ」

活気のある喧騒、カップルや親子連れ、友人同士、エトセトラエトセトラ。
それはありふれた光景で、眩しくて、優しくて、そして物足りない。
もうちょっと切り離していかないと行けないだろう。「あちら」の自分が混じっては意味が無い。

「……あ、煙草切らしてら」

一服でもしようかとポケットをゴソゴソ…だが無い。こっそり買い溜めしていた筈なのだが。
完全に手持ち無沙汰になってしまったので、仕方なくベンチでダラけている。

真淨在処 > 「……んぉ?」

どうやら、ベンチでダラけていたら居眠りしていたらしい。
ベンチでいつの間にか倒れこむ姿勢で寝ていた。眠たげな紫瞳で辺りを見渡しつつ、欠伸をかみ殺しながら身を起こす。

「…うっわ、気が付いたら周りがカップル包囲網じゃんかよ…妬けるねぇ」

辺りを改めて見渡せば、あっちもこっちも異種族同士のカップリングの群れ。
これもプレイというものなのだろうか、と至極どうでもいい事を思いつつもう一度欠伸を噛み殺す。

「ったく、こちらはナンパが不発で寂しくベンチで黄昏てるのに良いご身分だよなぁ」

と、ボヤくように口にするが、この若者の場合それ以前の問題でしかなく。
実際、僻んでいるような言葉だが顔はヘラヘラしている。あ、目線が合った。ウインクしてみよう。

「――あらま、こりゃマズいかも?」

カップルの女子と目が合ったからウインクしたが、彼氏の方がコワモテでムキムキだった。
そして、ズカズカとこちらに近寄ってきたかと思えば胸倉を掴まれた。

「おーけぃ、おーけぃ、兄さん落ち着こうぜ俺が悪かっ…ぐぇっ!」

胸倉を掴まれたかと思ったら一発腹にパンチを食らった。ゲホッゲホッと咳き込む。

「おいおい…こちとら一般人だぜ~?もうちょい穏便に行こ――ごぇっ!?」

更に鳩尾辺りに拳を食らって呻く。「真淨在処」は強くないので二発でもうヤバい。

「あ~…う~…ゲホッゲホッ…すいませんでしたハイ」

そう、息も絶え絶えに謝れば乱暴にベンチへと放り捨てられる。
そのまま、咳き込みながら女のほうへと戻っていく男を眺めて。

「…もうちょい手加減して欲しいなぁ…俺、弱いんだから…ゴホッ」

真淨在処 > 「…しゃあない、一人寂しく負け犬は逃げ帰るとしますかぁ」

軽く腹を摩りながらベンチから立ち上がって。軽く伸びをしてからのんびりと歩き出す。
帰り際、フと携帯が振動すれば取り出して中を確認して。

「…あーハイハイ、「お仕事」の時間か…仕方ない」

今宵の「真淨在処」の時間はここらが潮時らしい。苦笑と共に携帯を仕舞い込んで改めて歩き出そうか。

ご案内:「異邦人街:大通り」から真淨在処さんが去りました。