2017/10/04 のログ
神代理央 > 「…いや、すみません。先生相手に生意気でしたね。私自身、家計簿だの小遣い帳だのをつけている訳では無いので、先生にどうこう言える立場ではありませんし」

覚えている限りでの最近の出費は、家賃の引き落としくらいだろうか。食事は基本外食なので一々覚えていないし、特に大きな買い物をした訳でもない。
…先程も思った事だったが、露店街で和気藹々と騒ぐ同年代の学生達に比べると、単身赴任のサラリーマンみたいな生活になっていないかと内心深い溜息を一つ。

「宜しくない噂が広まっている事に安心するのは如何なものかと思いますが…。まあ、生徒から苦情が来ている訳でも無し。風紀委員や厳しい先生方の前では控えて頂くと、此方としても助かります。流石に先生を委員会棟で詰問したくはありませんよ?」

思わず苦笑いを浮かべつつ、冗談めいた口調で言葉を返す。
女子生徒から別に苦情や抗議が来ている訳でもなし、噂を元にそれとなく探った先輩の報告書も「(今のところ)問題無し」で締めくくられていたので、此方としては何も言うべき事は無い。
強いて言えば、スキンシップは時と場所を選んで頂きたいというくらいか。他の風紀委員からは文句を言われそうだが、個人的には教師と生徒が恋愛するのも自由じゃないかと思うし。

「ええ。程々に努力させて頂きます。道を覚えるのは余り得意では無いので、少し苦労するかもしれませんが。
…ええ、何か――?」

天空を見上げた彼に訝しげな視線を向ける。
一体何なんだろうかと首を傾げていたが―

「……ええ。勿論です。《与えられた役割を逸脱せず》学生生活を謳歌させて頂きます。
私もまだまだ若輩者ですし、多くの事を学ばなければなりませんから」

彼の言に僅かに目を細める。自身だけでは無く、過激な行動を取りがちな上級生の派閥に対しての忠告、でもあるのだろうか。

「…此方こそ、先生のお時間を頂いてしまって申し訳ありませんでした。私も巡回しながら直帰するつもりですので、なるべく遅くならない内に帰宅するつもりです」

暁 名無 > 「ハハッ、解ってりゃ良いんだ。
 お前らが生徒という大前提に居る以上、何かやらかした時の責任は、どうしてもお前らだけに留まらない。
 ……そこだけは忘れてくれるなよな。」

それが社会というもので、学校というものだ。
ここの生徒は本当にそこを忘れてやりたい放題するやつが多くてもう、ね。参っちゃうよね。

「そんじゃーな、神代。
 夕方から冷え込んでくるらしいから、風邪引いたりすんなよ。」

俺はひらひらと手を振りながら、異邦人溢れる人混みの中に紛れた。
些か不自然なほど自然に、もう十年来住んだ街を歩く様に慣れた足どりでその場を後にする──

ご案内:「異邦人街露店通り」から暁 名無さんが去りました。
神代理央 > 「はい、先生もお気をつけて。それでは、また」

ぺこりと頭を下げて彼を見送る。
数秒後、ゆっくりと頭を上げると、先程までの温和な表情では無く、難問に頭を悩ませている様な、少し考え込む様な表情に切り替わっていて―

「…先輩方にはそろそろスケープゴートになって貰う必要があるかもしれないな。もう少し煽り立てて、冒険させてみるのも良いかもしれんな」

ぽつりと呟いた独り言。
それが何を意味するのか。そもそもその言葉を聞き取れた者がこの群衆の中で何人いたのか。

軽く背伸びをして身体を解した後、物思いに耽りながら人混みに流されつつ少年も帰路につくのだった。

ご案内:「異邦人街露店通り」から神代理央さんが去りました。