2015/06/21 のログ
ご案内:「教会によく似た宗教施設」に神宮司ちはやさんが現れました。
■神宮司ちはや > (学期末のテスト勉強の息抜きがてらいつもとは違う場所へと散歩へ出かけた。
異邦人街へ足を向けるのに緊張はあったものの、昼間の時間帯もあってそれほど危なげな雰囲気はない。
自分の知らぬ世界、異なる人種、文化、風習……。通り過ぎるだけで不思議と異国情緒にひたれる。
ぶらぶらと歩くと綺麗なレンガ道の途中に白い壁と高い屋根を持つ教会に似た宗教施設を見つける。
そっと入り口から中を伺う。人は少なく、看板には『どなたでもご自由に見学どうぞ』の文字。)
■神宮司ちはや > こんなところがあったんだ……。
(自分の信仰する宗教とはかけ離れた、だが清楚さと静けさは同種の建物。
聖堂の奥の窓には色とりどりのステンドグラスがはめ込まれ、中もきちんと掃除されていた。
静かに外の光が降り注ぐ落ち着いた場所。
何より周囲にあるよく手入れされた庭、雨露に濡れたバラはとても美しく人を誘う。
お邪魔しますとそっと足を踏み入れた。)
■神宮司ちはや > (遠い異国の、洋風に見える建物と庭、レンガが敷き詰められた小道はおしゃれだ。
花々の傍を通り抜けようとすればバラの匂いがする。
本当に世界が違うようで、未知の文化に胸がドキドキする。
ここにおわす神様はどんな人なのだろう。
聖堂に入ると最後部のベンチへ腰掛け、ステンドグラスを仰ぎ見た。)
■神宮司ちはや > 綺麗だなぁ……。
(ぼんやりと外から差し込む光を見ながら感嘆のため息をもらす。
存外に居心地が良くて落ち着く場所だ。
静かで、人も少なくて、気配も清らかな気がするし……安心できる。
背もたれに体を預けると肩の力が抜けたのか瞼が段々重くなってきた。
眠気が忍び寄ってきて、思わずふあっとあくびをする)
■神宮司ちはや > (眠い……。そう言えば昨日遅くまで勉強頑張ったからかな……。
そんな風に考えながら段々と眠気に抵抗できなくなってくる。
うつらうつらと頭が揺れ、やがてかすかな寝息を立てて座ったまま無防備に眠り始めた。)
ご案内:「教会によく似た宗教施設」に正親町三条楓さんが現れました。
■正親町三条楓 > 「――あら?」
ふと教会に足を向けた。
とはいっても、彼女は特定の宗教を信じてはいない。
ただ、式典委員会はこのような教会などでのバザーへの支援も行っている。
それで、たまに足を向けるのだ。
そんな、人の居ない教会で。
うたた寝をしている少年が一人――
「――――」
ごくりとつばを飲み込む。
その少年が、あまりにも綺麗だったから。
そっと隣へ座る。
■神宮司ちはや > (夢の中でちはやは過去を思い出す。
物心ついた時から田舎の山奥、車でもないと行きづらいような神社で祖父とお手伝いさんと数名の修行者さんたちと一緒。
父も母も共働き。父はパソコンやらネットワークやらの難しい仕事で外国へ単身赴任。
時々はテレビ電話なんかで顔を見せてくれる。
母はよくわからないけれど何やら公的な、お役所の公務員らしい。
詳しいことは知らない。彼女も仕事の関係で日本中をあちこち飛び回ってる。
連絡先もひっきりなしに変わるし、休みだって少ない。
寂しくなかったわけではない。でも祖父の手前、わがままをいえば申し訳なく思うからずっと黙っていたのだ。
無意識に眠ったままの目から涙が一筋こぼれ落ちた。)
■正親町三条楓 > 「――――?」
泣いて、いる?
何故だろう、苦しい夢でも見ているのか。
起した方がいいのだろうか。
だが――
どうしても起こす気になれず、楓はそのまま隣に座り。
少年を観察する。
■神宮司ちはや > (辺鄙な所に住んでいるから、学校が終わった後は近くの空き地で車を待つ。
登下校には移動手段が必要だった。そのせいで気軽に友達の家へ寄ったり遊びに行ったりはしづらかった。
迎えに来てくれる人の手を煩わせるのは良くないことだ。
そんな中でも数名は友達も居たから嬉しかった。今でも有りがたかったと思う。
それも小学校までの話だったけど。
常世島へ行くことが決まって、今まで慣れ親しんだ生活はすっかり変わってしまった。
ぽろぽろと雨粒のように涙がこぼれる。教会の床に小さな染みをつくる。)
■正親町三条楓 > 「――――」
泣いている。
だが、自分にはどうする事も出来ず――
そっと、少年の頭が自分の肩に乗るように。
起こさないように抱き寄せるしかできなかった。
■神宮司ちはや > (ふと柔らかい手の感触。傍に人の温かみを感じる……。
するすると夢の底から浮上して、そっと瞼が開かれた。
まつげの縁は涙に濡れ、起き抜けのぼんやりとした顔で隣に居る女生徒、楓を上目遣いに見る。
一瞬相手の容姿に、この教会の天使様か何かうつくしい存在が現れたのではと勘違いした。)
■正親町三条楓 > 「――起こしてしまいましたか?」
少年の髪をゆっくり撫でる。
いきなりで驚いただろうか。
でも――今は、こうしていたかった。
少しでも、気が紛れればいいのだが。
■神宮司ちはや > ――…………
(声をかけられて思考停止。ぱちぱちと瞬きを繰り返して、相手をじっと見る。
ここはどこだっけ?この人誰だっけ?ぼく何をしていたっけ?
ゆっくりと、正常な思考が戻ってくるにつれ自分に起きていることを認識し)
ひゃ、ひゃああああああ?!!
(びくっと椅子から浮きそうなほど驚いて、顔を真赤にする。
とはいえ手を振り払ったりはしない。困惑したままじっとその場に固まっている。)
■正親町三条楓 > 「――あらぁ?」
驚いている。
とはいえ、そこまで驚かなくてもいいんじゃなかと思うが――
が、止められないので頭を撫でるのは続ける。
髪がさらさらで、とても気持ちよい。
■神宮司ちはや > あ、あああ……あのあのあの……?!
ごごごごめんなさいぼくちょっと眠っちゃってて……!
えっとえっと……あの、ここの人ですか?!
勝手に入ってすみません……!居心地が良さそうだなってっ思って!!!
(あわあわと真っ赤になりながら早口で告げる。
そこで何故か自分が頭を撫でられていることに気づいた。
相手の手は優しくて温かい。さらさらと癖のない髪が、引っかかること無く手櫛で梳かされる。)
あの、ぼく……なぜ頭をなでられているんでしょうか?
■正親町三条楓 > 「――あ、ごめんなさい、私も通りがかりでしてぇ」
ふふ、一緒ですねぇと優しく言いながら。
髪を梳くのはやめず。
「私は式典委員会の正親町三条楓、といいます。
この礼拝堂に入ったら――あなたが寝てるのが見えまして」
手っ取り早く自分の紹介をしながら。
じっと相手を観察する。
■神宮司ちはや > 式典委員会?おおぎまち、さんじょう、かえで……?
(名乗られた名前を復唱する。
長いし、どういう漢字を書くのだろう。案外漢字じゃないのかもしれない。そしてどこで区切ったらよいのだろう。
どこからが苗字でどこからが名前?
疑問は尽きねど、今一番の疑問は……)
と、通りがかりだったんですね……。
あ、あのそれでこの状態はどうして……?
ふ、普通通りがかりの相手を抱き寄せたり頭を撫でたりしないんじゃ……?
(ぼそぼそと俯いてそう尋ねる)
■正親町三条楓 > 「ん、だって――」
まぁ、確かにそうかもしれない。
だが――
あの光景を見れば、誰だってそうするだろう。
楓は、そっと少年の目じりの涙の跡に手を伸ばし。
「あなたが、泣いていましたから――」
■神宮司ちはや > (楓の綺麗な女性らしい指が涙のあとに触れて、
そこでやっと自分が泣いていたことに気づいたようだ。
狼狽えるように自分の頬や目もとを触り、濡れていることを確かめる)
あ、あれ本当だ……。ぼくいつの間に泣いていたんだろ……。
やだな、恥ずかしい……。
(ごしごしと両の手で涙を拭う。初めて会った人に泣いている所を見られるなんて色々と気まずいじゃないか。)
■正親町三条楓 > 「――いいんですよ」
にっこり笑いながら言う。
再び手でゆっくりと髪を梳きながら。
「この島には、色々な人が居ますから――
どんな理由でも、泣きたい時には泣けばいいんですよ」
■神宮司ちはや > でも、だってこんな、泣いてばっかりじゃ情けないです……。
恥ずかしいし、なんで泣いてたかも自分じゃよく覚えてなくて……
(言い訳するように色々と口には出すが、相手の優しい手つきに一旦収まった感情が揺れる。
何が悲しかったのか、何故悲しかったのかはもう夢の奥にしまい込まれてわからないけれど
確かに悲しかったという事実だけが胸の内にわだかまる。
話す内に声が震え上ずり、ひくっと息をつまらせるとひいた涙がみるみるうちに溢れだした。
恥も外聞もなく静かに瞼を伏せ、すすり泣く。)
■正親町三条楓 > 「――じゃあ、私の前だけでは、ね」
男の子ですもんね、と言いながら。
再び泣き出しはじめれば、そっと少年の頭を抱きしめ。
ゆっくりと、あやすように頭を撫で始める。
「誰にも言いません、二人だけの秘密ですから――」
■神宮司ちはや > (相手の言葉と態度に甘えてちはやは静かに泣いた。
細い肩が震え、両の手で顔を覆う。指の隙間からきらきらとした涙が滴る。
どれくらい経っただろうか。しゃくりあげていた呼吸も落ち着き、そっと楓の顔を見上げ体を離すように座り直した。)
……ごめんなさい、ありがとうございます。
ぼく、もう大丈夫です……。
えっと、ぼく、神宮司ちはやって言います。
(気恥ずかしそうに遅れて名乗る。)
■正親町三条楓 > 「はい、中等部の生徒さんでしょうかぁ?」
にっこり笑いながら尋ねる。
――もうちょっと堪能したかったのは秘密だ。
あくまで、親切なお姉さんとして振舞わねば。
こちらも座りなおし。
■神宮司ちはや > は、はい。中等部の1年になります……。
(泣きはらした目もとをハンカチで照れくさそうに拭いながら
改めて楓をまじまじと見つめる。
品の良い、のんびりとした女性だと思う。式典委員会と言っていたから、礼儀とかきちんとされているのかな。
視線が合えば、真正面から見ることは出来ずに落ち着きなさ気に床を見つめる。
もじもじとした様子で)
……あの、本当にここであったことは内緒にしていただけますか?
誰にも言わない、でしょうか?
■正親町三条楓 > 「――ん~、そうですねぇ、じゃあ、ひとつ『約束』しましょうかぁ」
ふふ、と悪戯っぽく笑う。
――あらためて見ても、綺麗な子だ。
まつげはパサパサ、髪は綺麗で顔は端正。
おまけに女の子と見まごうほどの美形。
足もすらっとしてるし腰も細い――あ、ちょっとイラっときた。
「うふふ、今度一緒に、遊びに行きましょうかぁ。
もし『約束』してくれたら、誰にも言わないって私も約束しますよぉ」
■神宮司ちはや > やく、そく?
(『約束』、その言葉にちはやは容易く楓の異能にかかる。
ただ、なかなか返事をせず、困ったような焦ったような表情をする。)
あ、遊ぶのは別に、構わないですけど……
でもぼく、遊び方とかあまり知らないし、かえで?さんもぼくと遊んでも、楽しめるかどうか……
あ、いえ、遊びたくない、わけじゃないんですけど……その、ぼくなんかとでいいんですか?
■正親町三条楓 > 「ん~、ひょっとして、常世島に来てあんまり遊んだ事、無いんですかぁ?」
ぱんっと手を打つ楓。
いい事考えた、とでもいう風に。
「それじゃあ、私が案内しますよぉ。
この島、実は色々遊ぶ所がありますからぁ」
うきうきと嬉しそうにする楓。
どうやら頭の中で常世島観光ツアー(という名のデート)プランを練っているらしい。
「私はちはや君と一緒がいいんですけど、ダメですかぁ?」
■神宮司ちはや > は、はい……。ここに来てからは全然、遊んだこと無くて……。
元々、友達と遊ぶことも稀だったから……。
(楓の提案した『いい考え』を聞くと、目を一瞬輝かせる。
純粋に楽しそうだと思う表情。
だがそれもつかの間、また自信がなさそうに困りながら、
それでもダメですか?と聞かれれば慌てて首を横に振り)
そ、そんな!ダメなんて、全然!誘ってくださるだけで嬉しいです!
で、でもいいんですか?本当に?
迷惑じゃ、ありませんか?
■正親町三条楓 > 「――ちはや君、いいですかぁ」
そっと両手で彼の頬を包み込もうとする。
そして彼の顔を上へ向かせ、自分の方をじっと見させて
「必要以上に謙遜しちゃ、だめですよ。
ちはや君は男の子なんです――女の子に恥をかかせちゃぁ、ダメですよ♪」
もっと自信を持って、と優しく言い。
ちゃんとデートの約束を取り付けようと。
■神宮司ちはや > あ……――
(無防備なちはやは簡単に上向かせられる。
目をそらすこともままならないまま口をぽかんと開けて
紅潮した顔で楓を見つめた。
抵抗はできない。
楓に言い含められると、何故かこれ以上口答えしてはいけないような気分にさせられる。
元々気弱で押しに弱い性分だ。それが楓の異能の力だなんて考えもせずに、小さく吐息をこぼしながら言う。)
は、はい……ごめんなさい。
『約束』します……。楓さんと一緒に、遊びに行きます。
■正親町三条楓 > 「――よくできました♪」
嬉しそうに言いながら、手を離す。
契約遵守<ミスラ・ジャッジ>は誰も逃さない。
もっとも、今回は使う必要すらなかったかもしれないが。
あぁ、しかし――なんて魅力的な子だろう。
純粋で、純情で、しかもまだ誰も手をつけていないなんて――
(……ふふ♪)
自らも楽しみにしながら、そっと立ち上がり。
「それじゃあ、ちはや君――『また会いましょう』」
吐息が耳にかかるほど近くで甘くささやき。
楓は礼拝堂から出ようとする。
■神宮司ちはや > (楓から開放されればくたりと力が抜けたように椅子に沈み込む。
どきどきと鼓動が収まらぬ胸をぎゅっと押さえてほてりを冷ます。
楓の吐息が耳元にかかれば、また身をすくませた。
怯えるうさぎか何かのようにぶるっと震える。
去っていく彼女の後ろ姿をぼんやりと見送りながら、慌てて椅子から立ち上がり、ぎこちなく頭を下げた。)
は、はい!『また』!
あの、ありがとうございました……っ!
■正親町三条楓 > 「――――♪」
振り返り、そっと手を振りながら。
楓は礼拝堂を出る。
――あぁ、今日はとても良い日だ
ご案内:「教会によく似た宗教施設」から正親町三条楓さんが去りました。
■神宮司ちはや > (優雅に手を振りながら去っていく楓を見送りながら
心ここにあらずといった表情でその場に突っ立っていた。
日が傾きかけたところでようやっと気付き、慌てて自分も礼拝堂から去っていく。
心の奥底で何かとんでもないことを『約束』してしまったような
それでも誰かと遊べることは嬉しいような……そんなちぐはぐな気持ちを抱えて、帰り道を小走りに駆けていった。)
ご案内:「教会によく似た宗教施設」から神宮司ちはやさんが去りました。