2015/07/23 のログ
ご案内:「宗教施設群」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > とん、とん。 とテンポの良いリズムで街を駆け抜ける。
学生地区の先まで走ろうと、各所を回っている内に新規開拓先として異邦人街の方にまでその足は伸びていた。
その中で、彼女が足を止めたのはモスクのような外観の建物だった。
理由は単に、明かりがあれどその扉が大きく開いていたからだ。
しかし、興味本位に中を覗けば――――何故か聖堂になっていた。
視線を回せば注連縄のようなものが祭壇奥に見える。
「――――なんだろう、ここ。」
他にも天井近くには動物の骨が飾られ、地面には何かの陣を刻んだようなチョーク跡が見える。 要するに、雑多な世界中の信仰を集めて混ぜて練り込んだような。 ……そんな風景が中には広がっていたのだ。
■谷蜂 檻葉 > 「お、おじゃましまーす……」
スニーカーのゴムが静かに地面の反響を吸い取る。
きゅ、きゅっ。という音だけが無人の聖堂に聞こえている……。
(これは、またなんというか。)
面白く、不気味だ。
広さで言えば、教室程度しかないのだが見上げれば天井はむやみに高く。球状の天蓋には不相応に明かりを照らす燭台がグルリと備え付けられている。
(……カルト?)
出口は一つ。 ……何かあるとすれば注連縄の先の祭壇の裏、だろうか。
流石にそこまでのぼっていく勇気もないのだけれど。
■谷蜂 檻葉 > 改めて周囲を見回しても、何もない。
いや、何もかもが奇妙なこの場所では奇天烈なものが自然だった。
葉を隠すなら森のなかとは言ったものだ。 確かに意識が全てに散漫になって何処を注意すべきかも判らなく感じる。
「あれ?」
ここでまた一つ、奇妙なことに気づく。
「妖精が、いない……?」
広く言えば、霊の類がいなかったのだ。 普段わずかに聞こえ、見える彼らの姿がこの混ぜ込み聖堂において一欠片もその気配を感じなかった。
■谷蜂 檻葉 > なぜだろう、ここまで神霊の類を呼びそうな場所なのにそれが一切ないというのは。
それこそカルト系の”場所”だろうと―――この前カフェで見かけた怪しいツボを売るお姉さんの背後――ーにだって妖精は、興味の赴くままに憑くものなのに。
(彼らは興味を引く"概念"の元を好んで寄っていく。それが何らかの意味があるかは、知らないけれど。)
「それだけの何かが居るってこと……?」
【しばらく、周囲の観察を続けている……。】
■谷蜂 檻葉 > 小一時間、ひと通りみて回った結果。
ここは本当に多様な信仰を雑多に集めた場所であるということが解った。
節操なし、とか。 そういう枠を超えて集められている。
細かな装飾一つ一つにでさえ「種類ごと」に別の信仰を埋め込んでいる。
ある意味、徹底して無秩序な空間だった。
しかし、今気になる『妖精が寄り付かない謎』だったが……
「……やっぱりあの奥よね……?」
視線を向けるのは、祭壇の先。
段の上がった演説台の裏、注連縄の奥、カーテンにかけられた不自然な一角。
■谷蜂 檻葉 > 「……まあ、また今度……かなぁ?」
此方側<<異邦人街>>の方には今後もジョギングルートの一つとして向かいはするが、この付近まで ましてやこの聖堂にまで足を運ぶかどうかは気分次第だ。
(次来るときは誰かと一緒に来ようかな?)
そんなことを思いながら、奇妙な聖堂を後にする。
そして檻葉が出てから少しして、ひとりでに聖堂はその扉を閉ざした……。
ご案内:「宗教施設群」から谷蜂 檻葉さんが去りました。