2016/10/27 のログ
ご案内:「宗教施設群」に谷蜂檻葉さんが現れました。
■谷蜂檻葉 > 「『ついたよ』
……っと。 しかし、落第街にいるってどういうことよ。入院してたんじゃないの……?」
溜息をついて、携帯をしまう。
■谷蜂檻葉 > 檻葉がやってきていたのは学生地区から区域を越えて奥の奥。
異邦人街の中でも海辺―――落第街にほど近い、そういう教会に足を運んでいた。
本来であれば今頃『いつもの部屋』でごろ寝でもしている算段だったが、
飛ばしたメールは予想外の返しをされてしまった。
【比良坂 冥が入院した】 という、ビッグニュースを伴って。
ついでに、そのまま脱走したと付け加えられて彼女は大きく大きくため息をついた。
ご案内:「宗教施設群」に比良坂 冥さんが現れました。
■比良坂 冥 > それは音もなく、まるでその空間から炙り出しが滲み出るように
もともとそこにいたけれど、何かが覆い隠していた?ように、その場にいつの間にか立っていた
「……や、檻葉」
小さく片手をあげる
その姿も調子も特にいつもと代わりはない
頭と、右目に及ぶ範囲を包帯でぐるりと巻かれている以外は
■谷蜂檻葉 > 「……わお、本当に入院してたみたいね。」
驚きは確かに。
どこか呆れたほどの様子で冥をみて肩を竦めた後、おいで。と手招きをする。
教会の長椅子に着やせした檻葉が腰を下ろすと、悲鳴を上げるようにギィと錆びついた音がした。失敬な椅子だ。
「冥が病気するとは思ってなかったけど……怪我させられて入院っていうのも、なんか合わないわね。」
怪我させるほうがよっぽどわかる。と言外にぼやき、マフラーを握る。
「―――それで、何があったの?」
興味が7割、心配2割。それ以外が1割。 眉尻を下げて、尋ねる。
■比良坂 冥 > 「……嘘はつかないよ?」
信用ないかな、と小さく首を傾げて
手招きされるままに檻葉の隣へと腰を下ろす
「……病気もするし、怪我もするよ。
ん…これは……成臣クンと話してたら、ちょっとね」
どうみてもちょっと、という怪我ではないけれど
もっと深く聞かれなければ話すつもりもないようで
もしかしたらわかるように話すのが難しい内容なのかもしれないが
■谷蜂檻葉 > 「知ってる。」
正直者だもんね、と素直によってきた冥を
ワシワシと大きな猫を扱うように包帯の無い側に手を回して撫でまわす。
「それも……まぁ、解るけど。
どこをどうしたら病気したり怪我するかが分らないって――――」
裸で寝ようが風邪をひかなそうだし、殴ったところでピンピンして次の日には全快してそうな程なのだけれど
ともかく
「―――成臣って、加賀智 成臣? 冥、加賀智君に何したの……!! ……いや、ん?
ええと、加賀智君と冥が話して、冥が怪我して……? ちょ、ちょっとじゃなくて詳しく。ちゃんと教えて。」
『奇妙な事』を冥がいうので、一気に頭が混乱する。
冥の頭を抱え込むようにしたまま、ゆさゆさと揺さぶって冥を急かした。
【あの自罰的な受動男が、誰かを傷つけるなんて有り得ない】という前提で。
■比良坂 冥 > 「…?」
なんだかわしわしされて不思議そうな顔をする
続いた言葉も、自分はそんなにタフに見えるのかなとまた不思議な気持ちになった
それは置いておいて
「……何もしてないよ。ただ、彼とお話して……、
彼の言葉の矛盾したところを教えてあげたら…認めたくなかったんだろうね…きっと、ふふ」
目を細めて笑う
あの時自分の頭を叩き割った鉄パイプの落下は、どう見ても事故のようであって、そうなるように改変されたもの
思い返せば冥には理解できた
自分に剣を突きつける私を、目の前から排除しようとしたのだと
なんて愚かで浅ましい
【自分よりも最低な人間】を想うと、自然とその口元にも笑みが漏れてしまった
■谷蜂檻葉 > 「加賀智君の、矛盾……?」
【死にたがりの癖に、幽世≪コドク≫を恐れる】あの在り様の事だろうか。
いや、それも厳密には矛盾ではない。
彼の願いの原点は言うなれば『幸福な終わり』だ。
『後腐れ無い終焉』を望んで彼は死の術を探している。
彼の言う『死』とは救世の一点、菩薩の示す『解脱』と変わらない。
―――世に蔓延る【死】はどこまでも醜くとも。
「ま、ともかく冥が満足そうなら良い……良いのかな? 多分良いわよね。 彼、死なないんだし。」
終わりよければ全て良し。 生きていれば良い事あるさ。
……ならば彼はいつか幸福に到達するだろう。
とりあえず、なんとも幸せそうに笑う冥を見て、つられるように笑った。
■比良坂 冥 > 「──そうだね。でも…成臣くんはもうここから地獄しか見れないよね…本当、可哀想」
つられて笑みを返す檻葉を見て、冥もまた妙に楽しげな、笑みを浮かべる
「…まぁ、私達には、関係ないかな…?」
ご案内:「宗教施設群」に比良坂 冥さんが現れました。
ご案内:「宗教施設群」に比良坂 冥さんが現れました。
■谷蜂檻葉 > 「ちょ、ちょっとそういう気になること言うの止めてよ……!ホラーじゃないんだからさぁ……!!」
不穏に過ぎる発言にもう一度ゆさゆさと冥を揺さぶる。
「……いやまぁ、直接的には関係ないけどさ。」
揺すろうとも楽しげな冥に溜息をつきながら、一つの肯定と一つの否定。
「大なり小なり記憶ある誰かが不幸だと、なんか嫌な気分にならない?
……いや冥はならないか。そう、私はなる。なるので、みんな幸せがいいなーって。ね?」
皆ハッピー、私もハッピー、冥もハッピー。 ……ならない?ダメ?
■比良坂 冥 > がくんがくん揺らされて少し頭がくらくらした
とまぁそんなことは表情にも出さず
「……気になる?成臣クンの"今"。
──たぶん、見つけることも大変だと思うよ。
図書委員の仕事にも、もう出てきてないでしょう?彼」
そういった冥の目はほんの少しだけ、暗い
「……私は、私を必要としない人は、どうでも良いから。
そうだね…檻葉は、そう…、ちゃんと自分の…芯を持ってる」
自分は違う、アイデンティティを誰かに依存し、求める
だから求めてしまう相手は、いつも檻葉のような…芯のある強い人間になってゆく
「……彼の抱えた矛盾はね…"死にたくない"ことだったんだよ、檻葉。
私は今まで何度も何度も本気で死のうと思ったから、すぐに理解ったの。彼の『死にたい』が本物じゃないってこと…」
■谷蜂檻葉 > 喋りだしに合わせて、ピタリと手を止める。
舌を噛んだら喋る場合ではない。
「――――。」
確かに、彼が最近顔を出さなくなったのは聞いていた。
珍しいと思うのと同時に、長命な人間の『日常』とはそういうものなのだろうな。
そういう納得もあった。
【何かがあったのだろうな】と。
それは、自分の一件の可能性も考慮して。 だが、しかし、冥の言っている事は……何だ?
自分の、芯。
我武者羅に、いくらかヤケクソに決めた道の事を言っているのだろうか。
一瞬【違う】と言いかけて、自分の心に嘘を吐く。
今は、聞いていればいい。
「……死にたくない? 死ねない、っていうのはフリ……じゃ、ないよね。
彼は確かに【死ねなかった】。 なら、死にたくないなんて――――
ん……ん?そこが違う? 『死にたくない』から『死なない異能』を持ってた、ってこと?
それで、死に方を試して……んんん、こんがらがってきた。それじゃあ彼、何がしたいってのよ。
”死にそうな真似” なんかして。……死んだらどうするつもりよ。」
ギャグか。
■比良坂 冥 > 「……あっはは、そうだよね?そう考えちゃうよね普通って。
本当に追い込まれて追い詰められてお前なんて生きてる価値ねェよ豚って蔑まされるくらいに底辺の人間から、
そう、"彼"を見上げなきゃ見えないところに在ったの。
そこが成臣くんの本質だった」
突然饒舌に喋る冥の表情は先程よりも、明るく
「死ねなかったのはただ死にたくなかっただけ、死にたくないから、彼の異能がきっとそれを叶えた。
じゃあ何で死にたがる"フリ"をしてたのか、だよね?
うふっ、他人を殺してまで平然と自分の"ポーズ"を守ろうとするくらいクソな自分を隠すためなんじゃない???
なぁんて言えばいいのかなぁ…?あぁ……構ってちゃんの偽善者、でいいんじゃないかな、ふふっ…」
濁った溝川のような瞳を見せて、嘲笑う
何よりも愉快だった
最低な自分よりも最低な存在がいた、そのことが
■谷蜂檻葉 > 「冥って、ほんとマイナスな事語らせると輝くよね……」
そこも可愛いんだけど。と、どうどうと抑えながら彼女の言葉をゆっくりと飲み込んでいく。
(……冥の怪我の事も踏まえて加賀智君の異能は『死なない以上』の異能って事、なのかな?
いやまぁ、死なないだけでもだいぶ規格外だけど。
彼の『ポーズ』……つまり、【弱者】だ。それも圧倒的弱者。【最底辺】
しかしそれは(彼女の言うとおりであるならば)仮初の姿であり、本来は【絶対強者】
いや、どちらかといえば【観測者≪カミサマ≫】のソレ。それは、実に―――)
「……一昔前に流行った主人公みたいな奴ね。」
似合わないわねー。 と。
自分なりに噛み砕いて、飲み込み終えてしみじみとそう呟いた。
■比良坂 冥 > ふぅ、と少し呼吸を落ち着けて
「……主人公。うん、それだろうね……。
ただ本当に全能だと、何も物語は生まれないし、誰も見てくれない……、"共感"ができないから。
…自分自身を何よりも儚い存在に置くことで、成臣クンはそういう…物語が欲しかったのかもね。
………無意識だったみたいだけど、自覚させちゃったし…今は、どうしてるのかな。
私の異能でも全然覗き見れないの、すごいよね」
暗に、自分の異能の危険さも口にしているものの、自覚して言葉にしたわけではないらしく
「………もしかしたら、友達の助けを待ってるかもしれないよ?」
そう言って、じっと檻葉の顔を見つめる
■谷蜂檻葉 > ふと息をついてしみじみと語る冥に、改めて口をはさむ。
「……生まれてこない、っていうのはまた別よ? 冥。」
ゆっくりと首を振り、否定を否定する。
「全てが出来る、っていうのはなにも『何もかも解決する』―――っていう訳じゃない。
『選び記す』。そういう『書き方』だってあるのよ?
大きな俯瞰から最善を、最も華々しいフレーズを書き出す。
エッセイ≪随想≫が嫌だっていうなら、しょうがないけどね。
確かにアクションアドベンチャー≪冒険活劇≫には一発逆転のドキドキがないと面白くないし?
だからまぁ、今加賀智君がどーいう訳かわからないけど良い感じに絶望してるなら……」
見つめられる瞳を軽く流して
「取り敢えず、ラブ・ロマンス≪恋愛物語≫の主人公ぐらいにならなれそうなんじゃない?
無能少年が一転、全知全能に…!
しかし現実とのギャップに新たなる苦しみに悶える少年。
失意と絶望の中、少年は運命の相手に出会う―――― ……みたいな。 ちょっと三文すぎるかな。」
私は読専。書くのはダメそうね、と。
檻葉は、肩を竦めて締めくくった。
■比良坂 冥 > 「……何もかも解決できたら?
その運命の相手さえも、自分の異能がそうさせている……だったとしても?」
向けた瞳はほんの少しだけ、悲しげにも見えたような
直接その異能を知ったわけでもなく、直接本人にそれを聞いたわけでもない
冥がしたのは、ただ"覗き見た"だけ
それでも、理解できる程の……全知全能という闇だった
「……そんな異能が私に在ったら、死にたくなる。
でも死ぬのは怖いし、きっと本能が拒否して、死ねない……やっぱり、地獄かな」
■谷蜂檻葉 > 「――――まぁ、解決できてるなら良いんじゃないかしら?」
対し、この能天気娘は。
『出来ないよりかは良いんじゃないか』と。
「それならきっと、本当に終わりたい時が来るんじゃないかしら。
覚めたくない夢ならそれもまたよし。
不幸せよりは、幸せなほうがずっといいんじゃないかなって。私はそう思うけれど。」
『作られた幸福』に怯える冥に、困ったような表情で笑った。
■比良坂 冥 > 「……それが彼にとって幸せになるのなら」
眩しいものから目を背けるように視線を外して
「成臣クンは嫌がるだろうけれど、私と彼はきっと似てる。
自分以外が何もかも自分の操り人形にしか見えなくなったら、そこにあるのは単なる孤独。
自分を救おうとする人間も自分が望んだものを勝手にそうさせているだけだと錯覚しはじめて、何も信じられなくなる。
最後には、きっと自分も」
ちらり、と流すようにして檻葉へと視線を向き直す
「それはきっと不幸。
…私の好きな檻葉だったら、友達がそうなっていたら考える前に動きそう。
それとも、成臣クンに近寄れないように、檻葉も異能の影響を受けているのかな」
だったら、彼のことを許さないのだけど
「………まぁ、いいか…忘れて。
きっともう彼は二度と私達の前には現れないだろうし」
■谷蜂檻葉 > 「そうねぇ。 ともあれ彼が幸せに思わないとね。」
愛おしげに、冥の髪をゆっくりと梳く。
「とりあえず、『解決しない限り加賀智君は死なない』んだし。
せいぜい悩んでくれれば良いんじゃないかなっていうのが一つ。
それに彼、意外と『人望ある』みたいだし。
まぁ、つまり『まだ私の出番じゃないかな』っていう感じ?」
真打登場!……なんちゃって。 そう、どこか茶化すように視線を受け止めた。
が
「そ・れ・よ・り」
向けられた顔を、頬を両手で挟むようにして
「私的には結構冥の事も気になってきてるんだけどねー。
気にしないように、って思ってきたけど。 ……まぁ、まだ良いよ。冥も。 加賀智君もね。」
そう言って、また解放するとゆっくりと立ち上がる。
「さて、無事も確認したし―――どうする?私の部屋にでも行く?」
■比良坂 冥 > 「───ん……」
ほっぺを両方から挟まれて、ほんの少し困惑したような目の動き
表情は、まぁ仏頂面だったのだけれど
「……いくらでも気にしてくれていいよ。私は、それが嬉しいから」
あとに続くように立ち上がる、がその足が向いた方向は居住区とは反対方向で
「…寮はダメ、保護観察の風紀委員が多分張ってるもの。
……私は、隠れることができるけど…檻葉が目をつけられちゃうから」
別宅とも言える部屋を持つ冥があえて檻葉の部屋へ匿ってもらわず、
落第街に潜伏していたのはそういう理由だったようで
「だから、ほとぼりが冷めたらね」
■谷蜂檻葉 > 「なんかこう、『深み』に嵌っていきそうな気がして……。
ま、まぁ冥が嬉しいなら良いか。それなら、適度に聞かせてもらうね。」
メールでも、言葉でも。
そして、これは帰りの合図でもあった。
とはいえ事情があるのなら仕方がない。軽く手を振って彼女に別れを告げる。
「そっか。じゃあ……ほとぼりが冷めたら、ね。
あ、そうそう。」
ふと、別れ際には珍しく―――というよりは初めて。
檻葉は彼女に言葉を残した。
「私だけ”お預け”なのに、冥だけは好き勝手にしてたら幻滅するかも、ね?」
そして、跳ぶ。
ご案内:「宗教施設群」から谷蜂檻葉さんが去りました。
■比良坂 冥 > 「………」
じ……と空を飛び、去っていく檻葉の背中を見つめる
最後の言葉から感じた感情は、間違いじゃなければ───
「……あれ?」
小さく、首を傾げた
「(もしかして)」
くるりと踵を返して、落第街へと歩いていく
「(気の迷いなんて、よくあること。私なんかにそんな気持ちを持つ子は、いないよ)」
すっと瞳を闇へと落として、ゆっくりと歩いていった
ご案内:「宗教施設群」から比良坂 冥さんが去りました。