2015/08/11 のログ
サリナ > 冗談めかしてはいたが、護衛すると言われた……見習いとは言え先生であるし、そこまで言うからには頼りにしよう。

「…護衛ですか?ええ、それじゃお願いします先生」

歩き出す前に目の前の魔法の光を操作して、頭上の少し前へと持って行く。
私が歩き出せば、それが追尾する。夜道の灯りとして私が常日頃使っていたりするものだ。

「…脳を筋肉に、ですか?よくわかりませんが脳が筋肉だとすると人は考える力を失ってしまうのでは…?」

脳を筋肉に見立てるとは一体どういう事なのだろうか、頭に力こぶができたりするのだろうか…?そ、想像したくない。

やなぎ > 笑顔を見せ、はいと返事をするも冷や汗が垂れてきた。
これでも軍人だ、市民の安全を守るぐらいはできないと…。
実のところ、自信はあまりないのであった。

彼女についてくる不思議な光を眺めながら自身も追っていく。

「猪突猛進、ただの脳筋ですと、戦いにおいて突っ込みすぎてしまい返り討ちにあいます。ですから状況判断が必要になってきますね。」

なお自分の失敗体験談である。

サリナ > 「ふむ…確かに前に出すぎて袋叩きに会う……というのは戦いや戦争においてよくある展開だと思います。
 ……それで、ノウキン?脳が筋肉だからですか、それと"タイイクカイケイ"とはどういった関係が?」

タイイクカイケイというのは恐らく戦いや兵法に関連のある事柄なのだろうか…?そこまで聞く分にはそう思った。

やなぎ > 「クラスに一人や二人いるのではないでしょうか?声がでかくて、冬なのに短パンで外を走り回るヤツ。
だいたい気合いで物を片付け終わらすみたいな。
多分魔法も使わないような―そんな人たちのことを言います。」

まさに自分である。"得意分野"で話をごまかすにはそろそろ詰まりはじめて来た。
それにしても、本当の体育会系の人々には失礼な話だ。

サリナ > 私はこっちの世界に来てから冬を越した事がない。春先でまだ少し寒い時期だったが……
でも、私の知る限り近いものを想像すれば、海港人足や船乗り水夫か…つまりは力仕事に従事していて、魔法を使うイメージがない人の事を指す訳だ。

「…なるほど、しかしあなたは夏なのに上はともかくとして、下はしっかりと着ているように見えます。
 それに、失礼ですが先程あなたを女性と勘違いしてしまって…そんなあなたも体育会系なんですか?」

目の前の彼はとても肉弾、とは言い難い。ほんの僅かばかりだが、私より背が低い気もするし…。

やなぎ > 意外な所を指摘されれば目を丸くして。

「え?ううん…、あまりオシャレに興味がないだけ、ですかね。
……女性みたいに見えますか?」

片手で自身の頬をぐりぐりと触る。
顔には全然自信がない。

「わたしは魔法が使えませんし、頭もよくないですしね。力と技で勝負というわけです。」

と彼女を少し見上げるようにして答えたのち、進む方向を向いた。

サリナ > 彼がスカートを穿いていれば、恐らく女性としか思えないかもしれない。流石にそれを言ったら失礼か…

「力と技で勝負、それがタイイクカイケイ……なんとなくわかりました。
 夏季休暇が終わったらあなたの受け持つ授業、取ってみようかな、と思います」

彼が前を見たので私も見れば、街灯が多くなってきたので魔法の灯りは消した。心なしか喧騒も増えている。
そういえば、まだ自己紹介してなかったな、と…

「あの、私はサリナ・イバルラ・アマビスカと申します。魔術学の授業を中心に取っています…あなたは?」

やなぎ > 「ええ、是非とも…。」

言葉尻に声を落とす。

もしかしたらその授業自体、なくなってしまうかもしれないのだから。
コトがどう動くかまだ不確定で、
…彼女には申し訳ないことをしたという気分になる。

不思議な光が消えた。そろそろ駅につく頃なのだろうか。

「サリナさんですね。わたしは―」

名前を一ついうのにもためらってしまう。
一息おいて、

「やなぎです。勉強大変でしょうけど、頑張ってくださいね。」

結局答えた。

サリナ > 「やなぎ…、やなぎ先生…と、覚えやすくていいですね」

彼は、先程から時折陰りを見せる気がする。表情、声の調子、それらが示している気がする。
事件の話の辺りからその表情を見たのでもしかしたら、それで何かあったのかもしれない…推測でしかないけれども。
私と話す事で幾分かそれが和らげばいいな、と思うけれど。

「やなぎ先生、生意気言うようですが、教師でも辛い事とか、その、色々あると思います。
 そういう時は是非、生徒を頼ってみてください。生徒に限りませんが、頼られたい人は多いと思いますから…

 教師という立場だから、生徒には頼るべきではない…という人に覚えがあったりするので、
 そういうのはちょっと一生徒としては寂しいな、って思ったり…」

やなぎ > 薄くわらって頬を指でかいてみせる。

「先生だなんて、普通に呼んでください。まだ先生らしいことなんて一つもしていませんし…」

続く言葉には、
……。

彼女は優しい方だな、と、ただただ思った。
心からの笑みを浮かべ、答える。

「…ありがとうございます。生意気だなんて誰が思うものですか。…
あなたはほんとにお優しい方ですね。見ず知らずの人に優しくできるなんて、本来中々出来ないものですよ。

何か、あったら、頼りましょう。この島にはわたしよりもずーっと優秀な方が揃ってますからね!」

そう言ってどこか寂しげに、それでいてぱっと花の咲くように笑ってみせた。

サリナ > やなぎ先生のその笑顔は太陽のようでいて、それでいて月のような憂いが混ざっている感じがする。
本当に表情豊かな人だ。きっと、心から泣いて、心から笑って、それは鏡に映すように表に出るのだろう。

「………」

やなぎ先生は笑顔が素敵な人だと思う。一方の私は先程から表情があまり変わってないな、と感じた。
感情を顔に出すのは苦手だから、やなぎ先生のそういう所はとても羨ましく感じる。

最後に細い路地を抜ければ色鮮やかな光る看板が連なる通り……駅の近くについた。

「…先生、護衛ありがとうございました。もう一人でも大丈夫ですので…
 私はもう帰りますが、先生はこれからどうされますか?」

やなぎ > 「わたしも職員寮に帰ります。
あなたと話せてほんとによかったです。」

護衛らしい護衛は出来てなかったが、それはそれとして。
先ほどまで暗く陰険な気持ちだったのが、久々に晴れ晴れとしていた。
これも彼女のおかげだと、心から感謝する。

「気をつけて下さいね。またお話しましょう、サリナさん。
―ありがとう。」

そして丁寧にお辞儀した。

サリナ > お辞儀をされたのでこちらも礼を返す。

「いえいえ、そう言って頂けると話しかけた甲斐があります」

彼の顔を見てみれば、少し晴れたかのように感じた。感じただけで実際どうなのかは私には知る術はない。
私がそう感じたかっただけかもしれないけれど…

「それでは、私はこれで……さようなら、やなぎ先生。授業で会える日を楽しみにしていますね」

そう言って、喧騒に向けて歩き出した。

ご案内:「歓楽街」からサリナさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」からやなぎさんが去りました。