2015/09/20 のログ
ご案内:「歓楽街にある通り」に四季 夢子さんが現れました。
■四季 夢子 > ――奇妙なモノの話を知る。
雑踏の中で
教室の中で
掲示物に視る事もあれば
街中の悪戯書きにも視た。
正体不明であるという一点において不明ならざりき明瞭な"なにか"
ある人は黄昏時に歪に伸びる人影のようだと言い
ある人は哄笑を帯びた奇妙な獣のようだと言う。
他にも挙げたらキリが無いのに霧の中にあるような有耶無耶は
昔、お父さんに聴かされた鵺とかいう化物を私に想起させた。
「……ま、こんな場所だし?大方異邦人とか、誰かの異能とかそんな所なんでしょうけど……
噂を聴くに、満月を視ると変身しちゃうような回顧的な奴でも居るのかしら。」
枯尾花と称するには些か不思議が過ぎる原因だけれど、生憎とこの島では通常の範疇。
今、こうして夜の歓楽街を歩く私の視界にだって、普通の人も居れば鱗の生えた蜥蜴みたいな人も居て
獣のような人もいれば、昆虫のような顔の人だって居るんだもの。
「と、いけないいけない。余りじろじろ見るのは不味いわねっと。」
私は鼻を小さく鳴らし猫の耳に似た意匠が施されたキャスケットを深く被り直した。
様々な彩を持った電飾に照らされる夜の歓楽街は、その色彩を倣うかのように色々な事が起きる。
巻き込まれるのは御免蒙りたかった。
――そもそもが、今日はスキンケア用品を買いに来ただけなんですもの。
ご案内:「歓楽街にある通り」に蒼穹さんが現れました。
■蒼穹 > (お気楽な警邏。名目上だけの、風紀委員の腕章を付けた散歩。ついでに店の冷やかし。
歓楽街、ともすれば、最も落第街に近く、そして異邦人街にも隣接していながら、
研究区域とも同じく隣接している、そんな場所だった。
「おかしなもの」が、沢山寄り付いても仕方ないし、頷ける。
そして、正体不明なナニカが、一つだけとは限らない。
或いは変幻するものかもしれない。或いはいくつもの悪意の表れかもしれない。
或いは、見間違いが嵩んだだけかもしれない。或いは性質の悪いチェインメールが作った幻想かもしれない。
或いは、それら全てが合わさっているのかもしれない。
正体不明である以上、それらは結局"かもしれない"の中で留まるのだけれど。
といっても、この島では日常茶飯事。
故に、そんな事もあったかな、なんて、とても気楽に、
やりそこねた冷やかしの商店街巡りのリベンジを、歓楽街で済ませようと、半ば警邏がてら入ったのだが。
ゆっくりながら、注意力散漫な歩き方をしていた。
何処の店に何が売って居ようか、すれ違う人にはあまり注意が行っていない。
流石に、他と比べてもかなりグロテスクに位置しよう虫の顔の男―――男かどうかは分からないが、取り敢えず男としておく―――が横に居たら、急遽びっくりして足を止めたわけだが。)
…おおっ、と?
(急遽だったが故、
その先、恐らくそんな異邦人をじろじろ見ていた、自分と似たような髪色を持つ少女と、
あわや追突しかねない様な状況になった。相手方も例の異邦人に気がそれていたらば、
ぶつかってしまうかもしれない。)
■四季 夢子 > 如何に歓楽街が所謂歓楽街として在っても、商店も在れば露天も在った。
勿論無論でちょっとこう……私が入る訳にはいかないような御店なんてのも多いんだけども。
更にそもそもが虫のような容貌の人が主の御店とかは、申し訳ないけどちょっと、怖い。
だから迂闊に目が合いそうになったなら、ピンクと黄に明滅する電飾を眇めるようにして誤魔化して――
「――わっ。」
うっかりと誰かに肩が触れたと言うには些かな程にぶつかってしまう。
反動で後ろに蹌踉めく足を根性で踏み締め、ずれた帽子を被り直しながらその"誰か"を見た。
「………げ。」
見て、御芝居で三流の悪役が今正に狼藉を働かんとする場面で主人公役に出くわしたような顔になる。
だって面前の私がぶつかった相手。腕にとってもアレでソレな腕章をつけているんですもの。
夜の歓楽街を歩いている。なんてのが、少なくとも良くはないって事ぐらい自覚出来てもいるからね。
「あー……えーと。す、すいませ~ん。ちょっとネオンが目映くてうっかりと……怪我とか、無い……よね?」
目線を隠すようにキャスケットを被り直し、努めに務める気安な言葉。補導とかされたら冗談じゃあないから、そりゃあ必死って奴。
■蒼穹 > (不夜城、なんて言ったもの。今は真夜中と言って良い様な、夜だった。
あっちこっち、昼と同じ様に騒がしく、人通りも多いだろう。ついでにいえばその人間の"種類"も多い。
ドラゴン、犬猫、のっぺらぼうから果ては顔という部位すらないものまで。何でもアリだった。
まるで何かの映画の妖怪風呂にでも訪れたような気分にもなろうもので。
物見がてらの不注意な歩行。その結果もたらされたものが、
正面衝突―――といっても間違いではなかったかもしれない。
ただ、ふらりと後に一歩下がってしまった彼女を他所に、己はいやにしっかり地面に足が付いていた。
傍目から見れば己が突き飛ばしたようにさえ見えてしまおう光景。)
ごめんね、こちらこそ。あっはは、大丈夫大丈夫。
キミの方は大丈夫?怪我ない?
(軽く笑って見せながら、元気そうな振る舞いを。…見えているのだろうか?
帽子の位置ゆえ、直立姿勢では目が見えない。さっと中腰の姿勢になって、斜め上の視線にて、彼女の表情を伺う。
因みに彼女を焦らせた風紀委員の腕章を付けているだなんてもう忘れているレベル。それくらい適当な職務だった。)
…ん。
(さて、色んな種類の異邦人が集まるところではあったが、
もはや珍しいというレベルでノーマルの人間の顔を見た気がする。
何故か焦りが見える表情。凄く気まずそう、ともすれば、己と鉢合わせたことが不幸だとでも言うかのような表情だった。)
え、ええと…。その。前に会ったっけ?
(知り合いではなかったはずなのだが。
己の腕章が原因とも知らず、何とも言えぬ勘違いだらけの問いかけをした。)
■四季 夢子 > 「……へ?え、ええ私の方は大丈夫……ですけど……!?」
面前の風紀委員の、私の想像していた風紀委員らしからぬ言葉や態度は、例えるなら抜けるような冬晴れを私に想起させる。
不意をうつように腰を下ろし、私を見上げる彼女の髪の毛が羨ましいくらいに綺麗で、夜の中にあっても真っ直ぐな蒼天のようだったからかもしれない。
思わずじいっと見詰めて、いいなあって小さく零しかけてしまったから慌てて咳払いで誤魔化して
次には頓狂に言葉尻が跳ねてしまうのは、彼女の問いが風紀委員にあるまじき、御話にあるようなナンパの常套句のようだったから。
「えっと……その、前に会った事は無いわ?ええ、無い無い。風紀の人に顔見知りもいないし
補導されたことも……じゃなくって。ほら、清く正しく健全な生活をしているから、初めましてなのよ、ええ。」
問い掛けには答えるけれど、やっぱりどこか言い淀むというか、端的に違うと言えばいいだけなのに
余計が混ざって身振り手振りとなってしまう。
「と、とりあえず道の真ん中だから!こっち、こっちで話しましょ?」
そして往来のど真ん中でそんな事をすれば当然目立つ。
色々な姿形の人々が私と風紀の人を、まるで動物園の檻中を視るようにしてくるものだから
私は彼女の背を押して道の端、邪魔にならない所まで押してみようと試みた。
■蒼穹 > ああ、なら良かった。
(ほっと一息吐く自分を他所に、彼女は何をそんなに慌てているのだろうか。
彼女が溢したその言葉は、聞こえたけれど、残念ながら何を意図するかは分からなかったし、
多分間違って出したのだろう。
因みに髪の毛については少ないながら胸を張って誇れるもの一つだった。)
ん?ああ…そっか。
(それで、やっとの事で納得が行った。そういえば、風紀委員の腕章、付けてきてたっけ。と、そんな風に思い返すわけだが。
彼女の弁明は一個人ではなく、風紀委員に対してのものとすぐに分かる。)
あっはは、分かってる分かってる。大丈夫さ、ちょっとこの辺不健全だけど、もうちょっと奥の方へ行かなきゃ大丈夫。
ただ、変な人も多いし、最近変な噂とか、危ない奴うろついてるから注意しなよ?
あ、やっぱり?うん、初めまし…ちょ、わわ…。
わ、分かったから…!
(必死な身振り手振り。無い無いと無意識に手を横にでも振っていたのだろうけれど、
誰でも風紀委員に呼び止められればこうなる。少なくとも、人間に似通った感情を持っているなら、
痛くない腹を探られたってアセアセとはするだろう。
それに、自分は働く気などなかった。補導は、される側も面倒だが、する側も面倒だ。あと大してお給料が入らない。
さて、原因も分かった事だしこれも何かの縁と初めましてを言おうかと思えばその矢先―――。
先程の衝突とは打って変わってあっさり人通りの少ない通りの隅っこへと押されていく。
変に視線が向いているのだから確かにあまり良い気分ではないし。視線から逃れる様に目立たない所へでも向かうのだろうか。)
■四季 夢子 > ――雑踏から、通りの中心部から路地へと至る小道の入口へと外れてから冷静になって考えてみる。
何も風紀の人と一緒に移動をするよりも息を止めて透明になって、人ごみにでも紛れてしまえば良かったのに何故私はそうしなかったのかしら?
生憎と眩い電飾の影となって答えは出てこない。
「まったくもう、この夢子さんは見世物じゃあないんだから……っと、今のは緊急避難的な奴で……貴方、随分調子が軽いけど本当に風紀の人?」
代わりに暗がりから転がり出たのは、注意喚起を促しつつも何処か奇妙に軽い調子の彼女の言葉に対する疑問。
聞いた事は無いけど、腕章偽造するような人が居ないとも限らないし、一応、念の為の確認も兼ねて訊ねてみる訳。
「……ま、もし違うならそれはそれで安心なんだけど……ともあれ改めて初めましてっ。
噂ってあれでしょう?夜な夜な跳梁跋扈する怪異の影。実しやかな話だと、もうちょっと奥の落第街の方だって言うし
この辺は大丈夫じゃない?危ない奴は、まあ多少なら私は平気ですもの。」
ただ、違うからなんだと言う訳でも無いのよね。
目の前の人、雰囲気は軽いけれど所謂悪人というか、剣を呑んでいそうな雰囲気は一先ず見当たらないんですもの。
帽子を取って、猫みたいに笑って御挨拶。でも名前を名乗らないのは一先ず超えて三つ重ねの用心が故。
……最前に自分で言った事に気付いて、ちょっと口笛とか吹いて誤魔化したかもしれない。
■蒼穹 > しっ、失礼なぁ!私はこれでも風紀委員だし!…はぁ、酷いなぁ。
ストレートに調子が軽いって言われたの、こっちに来てからじゃキミが初めてな気がする。
(ここなら、人目にもつか無いし、遠慮なく彼女のそんな物言いに反論できる。
露骨に溜息を吐く素振りを見せながら子供の様な文句を垂れる。)
制服着てないから分かると思うけど刑事課。中堅秘匿戦力だよ。
んじゃまぁ宜しくね。ユメコ、と呼ばせてもらおうかな。ん、あと一応学生証見せてもらえる?
(疑われるのは心外なのでと、そうやって自分の身分を程々脚色しながら言って。)
ん。それも…あったっけ。怪異の影…ねえ。
(心当たりは、あった。歓楽街をうろついたり、落第街をうろついたり。
たまに教室でもそんな話があったり、風紀委員会でぼんやりとそんな話が流れたり。
だけど、どれもこれも真っ直ぐその正体を示すものはなく、実体のない都市伝説に集結していよう。
だから、己は本当にそんな話もあったっけ、程度でしか知らない。というか―――。)
それに、危ない噂はそれだけじゃない。
(そう、今は実体のない何かより、実体のある危険物の方が意識されている。
見えないナニカと見える物体、二つ並べてどちらに意識が行くかと言えば、必然的でもあるわけだが。)
民間人の、それも一般のこうした商店通りで、文字通り通り魔っていうか…快楽殺人者みたいなのも居る。
落第街だけが危ない訳じゃないんだよ。…ってまあ、こんな注意喚起柄じゃないけど、一応ね。
あれ、もしかしてキミ、結構強い方なのかな。
(ふと、無表情に注意喚起を彼女に告げる。だが、「一応」と口にしたところで表情は半笑いに緩んで居た。
ちゃっかり彼女の不運な名乗りは聞いてしまったわけで。その上学生証の提示まで要求してしまった。)
んじゃ、私も改めて初めまして、だね。一年の蒼穹《ソラ》だよ。好きに呼んでね。
(取り敢えず、不本意でも名乗られたら名乗り返すのが礼儀だろう。
半笑いといった表情で、そうしてご挨拶を返した。)
■四季 夢子 > 「あ、怒った。ふぅん、ムキになるなんて益々怪しいけれど、私はその辺気にしないからーって本物ォ!?」
荒波の如き反論に乗った私の言葉が揺られて跳ねて、水面に沈んで消えて行く。
代わりに浮かぶは学生証。
勿論無論で正規の奴で、きちんと常世学園の一年生であることと私のフルネームが記されている奴。
おずおずと差し出して、長々と溜息。傍から光景だけを視るなら交互に溜息を吐き合う珍妙な光景だったに違いないわね。
「う……そりゃあまあ、何かと物騒は物騒ってのは判るけど……あ、ううん。私腕っ節は全然ダメよ。
そういう授業も取ってないし――」
そんな珍妙な光景の次は、溜息を吐いた片方が言葉を言い終えるや否やの瞬く合間に、電飾の明滅の合間に消えてしまう光景。
私は消えたまま彼女の後ろに歩いて周り、そこで呼吸を再開し、姿を現し肩を叩く。
振り向くならば、猫みたいに笑う私が視得るに違いないって寸法。
「――と、言う特技があるわけで……と、言っても透明になれるの、息を止めている間だけなんだけどね。
でも何かあっても逃げ易いから"一応"平気って奴。便利そうでしょ。よろしくね、髪の綺麗な蒼穹さん。」
風紀の人改め蒼穹さんに得意気な顔をこれでもかって向け、茶化すような気安い枕詞もくっついた。
風紀の人とは言え、雰囲気は軽いし、同じ一年生だって言うなら今までの他人行儀さなんて代物は
それこそ答えの出てこない電飾の陰にけりこんでしまおうっと。
■蒼穹 > 誰だって調子が軽いなんて言われたら怒ると思うよ。…本物だよ!失礼なー。
…ヒトトセユメコ。漢字って言語にはそこまで詳しくないけど、これでヒトトセって読むんだね。
確か春夏秋冬って書いてヒトトセとも呼んだっけ。ともあれ、結構珍しい苗字、なのかな。
ノーマル人間…あれ?14なんだ。もう16くらいなものかと思ったけど。
いや、老けてるって意味じゃなくて、大人びてるって意味で。
(いやそうに差し出されたそれを、それはそれは好奇的に見遣った。
見たままの少女、一般生徒の様だ。真夜中にこんな所をうろつくのは宜しくないが、
それは本人も分かっているだろうし口にはしない。というか結構暇だったので守衛も兼ねて彼女についていくのも一興。)
ん。そういう事。腕っぷしが駄目なら―――あれ。
(そうして話を続けようとした矢先に、目をぱちぱちとするわけだが。
もう少しした後に肩に感触がすれば、過剰反応が見られよう。)
―――ッ?!うわぁああぁぁ?!光学迷彩ぃいいい!
(荒事が多い来歴上、姿を消して後ろに回られる事、一瞬で視界から消えて背後を取られる経験は、悪いものが非常に多い。
心臓に悪い、本当に。普通の女の子と思ったら何という事か。
触れられた時点では振り返る事もなく、逃れる様に前のめりに飛び退いてから振り返る。
それは少々人間離れしたスピードだったかもしれないが、ここではそれは些事。)
はぁあああ…びっくりした。びっくりした…。
いやあのねぇ…キミね…。便利でしょ、普通に。ただ制約はあってキツそうだけどね。
本当危険に遭遇したら、パニックにならない様にだけ注意ね。折角あっても使えなきゃ意味ないし。
うん、よろしく。あっはは、髪は自慢なんだー。
(つまり悪戯で一杯食わされたらしい。やられた。原理はよく分からないけれど、便利そうではある。
ともあれ、それでも一応注意はしておく。馴れ馴れしかったり、振る舞いが軽いのは、平常運転。
言葉に違わぬ自慢気な様相で自分の髪を撫でやって。)
■四季 夢子 > 「んーと、それなら軽妙洒脱としておきましょっと。御免なさい、一応私なりの用心もあったのよ。」
芝居がかったような綻ぶ笑顔を貼り付けて弁明を転がし
「ええ、四つの季節でヒトトセ。割と珍しい……方かも。少なくとも同じ苗字の人は見た事は無いかな。
ノーマル人間って言葉は少しこう、あれだけどまっさらなノーマルの14歳。大人びてる・・・…ように視得る?
それは褒め言葉として受け取っておこうかな。」
手を後ろに組んで、少し腰を曲げて媚びるような仕草。嬉しそうに鼻が鳴って
後は姿が消えて、現れた後の事。
今までに無いくらいの大声を発して、瞬く合間にワープをしたかと見紛う距離を移動した蒼穹さんに目を瞬かせる私が居た。
「……え、えーっと……そんなに驚かなくっても……あ、そうか風紀の人だもんね。いきなりじゃ不意打ちかと思っちゃうか。
とりあえず便利よ。でも最大でも30秒くらい……息を止めて走ったらもっと短いから過信は出来ないんだけどね。」
例えば息を呑むような火急の危機だとかには、蒼穹さんの言うように無意味に近い。他にも嗅覚の鋭い獣人であるとかにも弱い。
注意喚起にも赤い舌をおどけて見せるくらいには此方も釣られて馴れ馴れしい様を見せ
言が髪の毛に及ぶと羨ましそうに瞳だって細めちゃう。
「むう……本当に綺麗でいいなあ。何か特別な事とかしているの?私は実のところ今日はお買物……スキンケアとかヘアケア用品を買いに来たのよ。
ほら、此処って昼間よりも夜のほうが色々な御店が出ているし。
今の所ケアが必要になりそうな商品のが多そうな気がするのが珠瑕なんだけどさ、面白いは面白いけど。」
蒼穹さんに近付き、腕を組み眉を顰めて立ち寄った店を振り返る。
凡そ学園地区の商店街には無いだろう、来歴不明の不可思議で蠱惑的なフレグランスを薦める鰹に似た頭部を持つ露天商の魚人。
手に取ると少し沁みるような気がする、スパイシーでオリエンタルな香りの膏薬めいたクリーム他、化粧品の類を取り扱う商店の主は犬のような人だった
中でも凄かったのは、紺碧の鱗が艶かしくも美しい光沢を放つ、蜥蜴人の女性が薦めてきたどろりとしたスライムのような粘性を持つ奴で
「使い続ければ皮膚が硬質化して綺麗な鱗ができますよ」とか言われても、どう反応しろって言うのだろう。
流石に口端を引き攣らせて逃げてしまったのだけど已む無しとしたい所よね。……綺麗だとは思ったけどさ。
「もしかして風紀とか公安の人しか知らないようなさ、何か素敵な奴とかあったりするんじゃない?」
閑話休題。青空のような瞳に星を宿して期待を込めて、何かお奨めがあるのでは!なぁんて訊ねてみたり。
■蒼穹 > んぁ、ええと。…けいみょう…しゃだつ?…?
(聞こえてきた言葉に不可解そうに首を傾げ腕を組んだ。どういう意味なのだろうか。
ともあれ、何だかやりこめられた気がする。何故だろう。)
でしょ。私もこの苗字は他に見ないなぁ。
いや、もうこの辺りは地球人ってのも中々見ないみたいで。異邦人街が近いからか分かんないけど、
人間は多いんだけど、それでも変な奴もいるからノーマル人間だよ。…言ってる意味わかんないねこれ。
ま、兎も角そうは思っても人間の14歳にしては、大人びてる。間違いのない褒め言葉だよ。
(先程視線に気付いて場所を変えた咄嗟の判断だとか。
相手をまずは疑ってかかるような用心深さとか。甘々で育った様子はなさそうだ。
ただ、仕草は可愛らしいけれど。
だけど、そんな大人っぽいそれとは裏腹に悪戯っ子なのだろうか。
雑談というか、御話モードになっていた故に、一際過剰反応だった。
大丈夫そうだと分かったら右胸を押さえながらもう一息。離れた距離をゆっくりと縮めていく。)
いやぁ、風紀って言うのはあんまり関係ないんだけど…兎も角、それ迂闊にやったらダメだから。
そうそう、13が名前につく狙撃手にやったら殴り飛ばされるよ。
兎も角、そう言うのがあるからって堂々と危ない所に言っちゃダメーって聞いてるー?!
(やっぱり悪戯っ子だ。結構真剣に話ている心算なのだが、舌を出しちゃう素振りがタイミング悪く見えた。
とは言え気分を害した様子はなく、問い質すというより、同じ様におどけた風に半笑い。)
んー。そもそも、ちょっと髪自体が特殊っていうかー…。よく覚えてないけど、
ちょっと普通の人間とは成分が違うんだよね。その所為かも。ああ、別に機械じゃないと思うんだけど。
っていうかユメコも綺麗だと思うし、私実際そういう用品には屯と疎いんだよね。
(そもそも、年を取ったり老けたりする概念がない故に、どうにもその辺りはよく分からない。
期待に沿えず申し訳ないが、振り返る彼女の傍らで弁明。
視線を追ってみると。)
…たまきず?…ああ、ノーマル人間には合わないんだろうね。
(人間の目から見れば、多分変な店と言って他ならない露天ばかり。
落第街のああいうクスリの店程ではないけれど、実に怪しげな店。適当に書類でも上げておこう。
様々な文化があれば、様々な用品もある。様々な店もある。
確かに面白いと言えば面白いだろう。だけれど、人間に使う物は…商店街で探した方がいいんじゃないだろうか。
して、御話が未だに用品に及ぶのでそこまで綺麗になりたいのかと思うが。)
んー。良く知らないなぁ。
(やはりというか、残念ながら知らないのだった。)
ただ、髪の毛をケアするなら地肌から。沢山の栄養や酸素を取り込むことで健康的な地肌が出来る。
地肌は髪の毛の製造所だからね。健康的な食生活と適度な運動。結局大事なのはこれじゃないかなー。
ああでも、運動するときはなるべく太陽光に注意…こらくらい、かな?
(あまり意識している事はないので、思いついたこととか、いつかの授業で聞いた事を交えて、
あまり確信がなさそうに答えた。)
■四季 夢子 > ピンクと黄色に明滅を繰り返す電飾の元で行き交う言葉の端々は
私に色々な納得と色々な疑問を生じさせる。
例えば……
「……蒼穹さんってもしかして所謂異邦人って奴?
あ、もし違ったら御免なさいね。漢字、苦手そうな所とか言い回しがなんとなくさ。」
何処か俯瞰的な、超然とした物言いとか。
尤も不快という訳でも無くて、単に私の心裡の猫が一匹お亡くなりになったような具合。
そして問いの合間に重なる褒め言葉には、重なるだけに面映そうに頬を掻いてしまった。
「あんまり褒めても何もでないわ?うち、お父さんもお母さんも割と口うるさかったからその所為かも。
13?は良く判らないけど気をつけるね。殴られるの、厭だもの。」
頬を掻いて、少し目を逸らして暗がりに居る鼠を見て、その傍に居る子鼠を見てまた視線を蒼穹さんに戻して。
「ふぅん、なんだか不思議ね。羨ましいけど……って、だから褒めてもなんにも出ないってば。」
髪の毛を褒められると困ったように、張り付くことの無い苦笑って奴が向いてしまう。
こうなると少し居心地が悪くなると言うもので、幸い今たっている場所自体、然して良い場所でも無いのだから、と
私は蒼穹さんの手を無遠慮で馴れ馴れしい具合に掴むのだった。
「御高説は御もっとも。でもほら、そうは言っても何かに頼りたいのが乙女心とも言うじゃない?
だから旅は道連れ毒を食らわば皿までって奴で、ちょっとお買物。付き合ってくれない?
疎いなら疎いなりの鑑識眼、別の目線が明日の活路を開くことだってあるはずだし、毒ならずとも遅い夕飯くらいは奢るからさ、ね?」
誤魔化しの方便と、風紀の人ならいざって時は頼れるだろうと言う打算と、折角知り合ったのだから供だって買物の一つもしたいという願望と、
色々の思惑が電飾の彩のように混ざりに混ざって、いざいざと大通りに戻らんとする。
■蒼穹 > ああ、分かっちゃう?せーかい。見た目これで異邦人だよ。私。
漢字もまぁまぁ覚えたんだけど、さっきのけいみょう?ってのは知らなかったかなぁ。
夢幻泡影、生者必滅、諸行無常、電光朝露、飛花落葉。…一杯知っているんだよ?
(漢字が苦手、そう言われればそうかもしれない。言語は色々知っているけれど、あまり得意ではない方だった。
故に、張り合う様に出した四字熟語も、どうも意味が偏っている。)
あー、そういうね。言葉使いとかさ、御両親の賜物ってわけなんだ。色々しっかりしてそうだよ、若いのに。
…知らないんだね。
(あれはただの漫画の冗談だったのだけれど。)
何か出してもらいたいために褒めてるんじゃないもん。
そういう事。地球人にはさっぱり理解できない理論で出来てる。キミらから見たらハリボテとか、ツクリモノだよ。多分ね。
…ん?
(さて、半ば否応もなく手が握られたが、これはどういうことだろうか。)
オシャレしたいお年頃、ってやつかな。乙女だね、私もババアだけど乙女だから分からないでもないけど。
はいはい、待ってました。一般生徒の夜遊びは危険だし、お付き合いしますよ。
…それを言うなら旅は道連れ世は情け、じゃないかなぁ?
あっはは、気が利いてるじゃん、でも割り勘で良いよ。
変な方向に転ばない様に頑張るさ。それじゃ、行こうか。
因みに、往来で気になるお店はあった―――?
(そう言う事なら。と、少しだけ手を握る力を返して、笑いかける。
一度外れた通りへと戻って行く。相変わらず真っ暗な夜の中に、電飾は昼間の陽光の如く照り輝く。
人の往来は一向に衰えを見せない。夜でも起きている種族はいるし、寝るという概念がない種族も居る。
余談だが、己は寝るという必要がない生き物だ。否、生き物と言って良いかどうかも分からないが、それも些事。
彼女の言葉の意図はまた測り兼ねた様で、訂正を入れてみるが、その訂正自体間違いであることに気付くのは何時の事か。
兎も角、つないだ手を握りながら、二人して暫く、買い物や食事を楽しむことだろう―――。)
ご案内:「歓楽街にある通り」から四季 夢子さんが去りました。
ご案内:「歓楽街にある通り」から蒼穹さんが去りました。