2015/09/21 のログ
ご案内:「大通り」に平岡ユキヱさんが現れました。
■平岡ユキヱ > 「こほっ…よし。今日は調子がいいな。警邏には仔細ない。」
ネオンがギラギラと輝き、人でにぎわう歓楽街。
大通りの入り口にほど近い場所に駐車している挺身隊用装甲車の傍ら、赤に黒の装甲をまとった特攻課仕様の制服。
平岡ユキヱである。
■平岡ユキヱ > 何人かの隊員と少しやり取りしてから持ち場のルートへと移動。
何事かと少しざわめく群衆にお楽しみのところ失敬、とウィンクしながら敬礼してそのまま静かに巡回を始めた。
ここ最近の治安悪化を鑑みての、違反生徒達へのプレッシャー半分、健全な生徒への安心感をうる為の警邏任務である。
「わかってる。些事や末端の小悪党には構わない。叩くべきは…もっと大物だ!」
インカムの通信を切り、意識を大通りに戻す。
本来ならば注意する客引きに、ほどほどにしとけとニヤリと釘を刺しながら通り過ぎた。
ご案内:「大通り」に蘆 迅鯨さんが現れました。
■蘆 迅鯨 > 歓楽街の大通りをあてもなくうろついている、黒いフードの少女が一人。
彼女の視界に、見慣れた制服と腕章を身に付けた少女の姿が映れば。
「(……あいつか?噂になってたのは……)」
新しく『たちばな学級』の所属となった風紀委員がいる、という噂。
それに該当する人物に、迅鯨はまだ直接出会ったことはない。
まして相手は普段の迅鯨であれば恐れ、身を隠すところである風紀委員、それも特別攻撃課。
ゆえに自分から声をかけに行くのは憚られた。
心中で声を発し、その異能によるテレパシーが彼女へと届くことに賭けてみる。
■平岡ユキヱ > 「…んっ?」
人込みの中でいやに響く声。というより…何かもっと不思議な、
聞き(?)慣れぬ形の声に思わず立ち止まり周囲を見渡す。
黒いフードの少女のあたりで、はたと視線を止めるだろうか。
獣のようなカンの鋭さ。おおまかな検討だけで、蘆にゆっくりと近づいていく。
「今の声…かはわからないけど。その主はあんた?」
面白い話し方ね、と世間話の体で軽く声をかけてみる。
ご案内:「大通り」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > ロンドンから帰ってきて、しばらく
大人しくしているようにと言われて、本人もその気で
商店街で買い物していたのに、いきなり七英霊の『モ
ンク』との戦闘に巻き込まれた陽子は、昨日も商店街
のファミレスで七英霊の『プリースト』が成敗された
と聞き、少し遠い歓楽街までわざわざ足を伸ばして夕
食を食べに来た。
お陰で今日は七英霊に遭いそうな気配は無い…が、代
わりに知人が二人話している所に遭遇する。
二人のところまで静かに近付くと、
「迅鯨さん、平岡さん、こんばんは」と挨拶する陽子。
■蘆 迅鯨 > 迅鯨の目論見通り、風紀委員の金髪少女がテレパシーを察知し、
こちらへ近づいてくれば、口角を上げて。
「ビンゴ」
口を開き、今度はその肉声で語りかける。
「俺ちゃんは蘆迅鯨<ルー・シュンジン>。覚えといてくれな」
名乗った後、見慣れた巨躯が視界へと入れば、迅鯨の意識は一旦そちらへ向く。
「よっ、ヨーコちゃん。……へェ、あんた平岡ってェのか」
風紀委員――平岡の苗字を聞き、再びそちらへ顔を向けると、ようやく迅鯨が気にしていた本題へ入らんとする。
平岡の毛先からぼんやりと発せられる青白い光が、迅鯨の視界においては妙に目立つ。
「で、あんたなのか?最近"こっち"に来た風紀委員ってのはよ。噂ンなってるぜ」
"こっち"とは言うまでもなく、『たちばな学級』を指す。
蘆迅鯨もまた、自らの異能の特性上『たちばな学級』において授業を受けることを余儀なくされている一人であった。
■平岡ユキヱ > 「嶋野か、しばらく!」
ニッと笑い、見知ったあの巨躯を見上げて笑う。
「探していたぞ。ちと個人的な理由でな…。
…。いや、言う順序を間違えた。ゴメン。
…よくこの島に戻ってきてくれた。『おかえりなさい』」
詳細は知らないが、彼女の身辺に何があったかはおおよそ耳にしているようで。
おかえり、と力強く微笑んだ。
「平岡ユキヱだ。よろしくどうぞ!」
蘆の名乗りにそう快活に返すと。相手の問いにはふむと答え。
「もう何日かすれば噂も落ち着く。新参者が目立つのは仕方のないことだ」
学級の特性上、なかなかクラスメイトに会う機会もない。
しかし同じ学級と知れば、それは嬉しいな。とがははと笑う。
■嶋野陽子 > 迅鯨さんが、《たちばな学級》の話題を
出したことで、彼女が平岡さんと話そうとした理由を
理解する陽子。保健委員として、陽子の耳にも平岡さ
んが9月から転入するという話は聞き及んでいる。恐
らく今も毛先で光っているチェレンコフ放射光に関連
した理由だろう。
「平岡さんとは、女子寮のロビーで知り合いました」と
迅鯨さんに説明する。
平岡さんに『お帰りなさい』と言われると、
陽子は姿勢を改めて、
「無事戻って参りました。色々ありましたが、心の
整理を付けて来ることが出来ました」と平岡さんに一
礼する。そこには風紀委員ではなく、寮の仲間への
挨拶の雰囲気が滲み出している。
初めて会った場所が女子寮のロビーだったこともあ
り、陽子の平岡さんに対するイメージは、特別攻撃
課のそれよりも、もふり者のイメージが先行してい
るのだ。第一印象の影響は恐ろしい。
「探していた、とはどういう事でしょうか?」と尋ね
る陽子。
■蘆 迅鯨 > 「ああ、俺ちゃんもだ」
ユキヱが笑えば、迅鯨も笑う。
迅鯨は彼女が『たちばな学級』へ転入するに至った事情を知らず、
出会ったばかりのユキヱに対してそこまで詮索するつもりも無い。
だが、ただでさえ少ない『たちばな学級』所属の生徒が増えるとなれば、
元より人との出会いを渇望している迅鯨にとってもまた、嬉しいことであった。
「……そういや、そうだな。なんでユキヱちゃんがヨーコちゃんを?」
ユキヱの下の名前を聞くや否や、その呼び方は若干慣れ慣れしくなる。
嶋野陽子のロンドン行き自体は、事前に彼女の口から聞かされていた。
彼女が出かけている間、迅鯨も別の問題に直面してはいたのだが、それはまた別の話。
今はユキヱが陽子を探しているという、その事情について尋ねてみる。
■平岡ユキヱ > 「保険課での活躍は耳にしている。
私の異能絡みで…。嶋野、もしかしたら『貴方なら』と、思ってね」
少し砕けた口調に代わると。少し逡巡したのち、まあクラスメイトたる
蘆にも知っておいて貰った方が健全か、と繁華街の片隅で雑音に紛れながら告白する。
「たちばな学級に移籍した事にも関係するけど、ごらんの通り
毛先の発光にあるように異能の発現が止められない…。
医者だの研究者だの魔術師だのの見立てでは、このままだと成人まで持たないのよ。
ゆえに『なんとかする』べく動く必要がある。」
戦闘が絶好調なのはいいけどね…とボヤくように、頭をかく。
「尋常の手段では無理だった。だから在野というか、生徒でなんとかできそうな人を探していたの」
いける、嶋野? と、腕を組みながら、さらりと命がヤバいという爆弾発言を。
■嶋野陽子 > 陽子の推測は大当たり所の騒ぎでは
無い。収容施設襲撃の際に異能の暴走を起こした事は、
保健課長のオフィスで見た映像で知っていたが、まさ
か余命数年のレベルの深刻さだったとは…
(ステラ、何か出来そう?)と心の中で尋ねる陽子。
[何かするならば、半日ほど宇宙船で検査してみてか
らね。でも宇宙船を見せていいの?]と逆に陽子に問
いかけるステラ。
『いける、嶋野?』と聞かれて1分ほど考え込んだ
陽子は、
「平岡さんのためなら、やってみるわ。そのためには
独自の検査の時間が必要になるし、秘密の手段を使う
事になるかも知れないけど、大丈夫かしら?」と確認
する陽子。
迅鯨さんの様子を伺い、クラスメイトの抱える問題に
彼女がどう反応するかも気にかける陽子。
■蘆 迅鯨 > 「成人までもたない……ね。そりゃ辛かろうよ」
ユキヱが『たちばな学級』へ移籍するきっかけとなった、自らの命を蝕む異能の作用。
それは無差別かつ一方的にテレパシーを送信し続け、周囲の精神を害してしまう迅鯨の異能とは異なるベクトルで危ういものであった。
想像していた以上に深刻な彼女の事情に、迅鯨の表情は曇りかける。
「で?ヨーコちゃんにはなんか策があるのか?」
独自の検査、秘密の手段。聞こえた言葉から、
ユキヱの異能の暴走を止められるかもしれない何かが陽子にはあるのだろうと察し、その詳細について問うてみる。
■平岡ユキヱ > 「守秘義務か? 安心しなさーい! 口は堅いほうだから!」
いやホントよ? 真剣な表情をのぞかせ、
なにやらこの嶋野陽子、只者ではなかったようだと一人合点する。
「何分、こっちは命がかかってるかんねー…。
ま、嶋野に限ってなら大丈夫だと思ってるから、なんでもきなさーい!」
わっはっはっは、と腕を組んで笑っている。
「…そうね。だからあがく。だが、どうにもならない時は…」
きちんと襟を正して生きられる分だけちゃんと生きて、あとは死ぬ方に片付くばかりよ。
と古の侍たちが持っていたかのような、覚悟を秘めた佇まいで蘆に返す。
■嶋野陽子 > 具体的な策を問われると、
「まずは、根本的な原因を、具体的に突き止める事が
不可欠なので、人間に出来なかった事は、神の千里眼
を頼りにします。友人の創造神ミウさんに、平岡さん
を見て貰う事から始めたいと思います」と、いきなり
神による診断という大技を提案する陽子。
アガートラームの秘密を突き止めたミウさんの千里眼
で、平岡さんの病魔も暴いてもらおうという算段だ。
[なるほど。ミウさんに見てもらえば、宇宙船を使わ
ずに済むわね。素晴らしいアイデアだわ]とステラが
感心する。
「診断結果で、何がどう悪いのかが判明すれば、後は
病院なり大聖堂なりで対応出来るかも知れないし、も
しそこで詰まるなら、今度は私が奥の手を出します」
と、治療に関しては陽子自身の奥の手があるらしい。
■蘆 迅鯨 > 「……そうかい。何つーか……覚悟があんだな、ユキヱちゃんはよ」
ユキヱの潔い覚悟をその口から聞けば、曇りかけていた迅鯨の表情は元に戻る。
もし迅鯨が同じ状況下に置かれたとして、とても彼女のような決意を固められはしなかっただろう。
「そうだな。もしそうなったとしても……ユキヱちゃんが悔いのないように生きられりゃ、それでいいと思うぜ」
と、笑って告げた。続いて、陽子の口から出る言葉に耳を傾ける。
まずは診断ののち、対応可能ならば然るべき機関で対応する。
そう聞けば、内容としてはごく真っ当だろう。
しかし、陽子が話す中に出てきた『友人の創造神』なる言葉を聞いた迅鯨は、一瞬わが耳を疑い。
「(……あ?何だって?友人の、創造神だ……?)」
そんなことを考え、また周囲へテレパシーを発信する。
■平岡ユキヱ > 「ミウ…。ああ、あの子…あの子…いや神ってアン…タ。何ィーッ!!?」
あいつマジで神様系の異邦人だったのか、とぬおおと今更ながら変な汗が出る。
ただのちびっ子的扱いをしていた気がするが、それは良いのかどうか。
「ふうむ。一応、役に立つかはわからないけど、この島の医者たち曰はく、
私は異能用の神経網が生まれつき不完全とか何とか言ってたわね。」
もちろん、かの創造神の分析があればまた違った問題や切り口が見えるかもしれないが、
現時点での判明している事だけでも治療への道が困難になりそうな感じを伝える。
「…長生きだけを願うなら、人は獣と変わりなし。ってね」
だが悔いは残るに決まっている。誰だって死にたくはないし、
小説や英雄譚のように綺麗に生きるなんてのはほとんど幻想に近い。
それでも、どうしようもないのならば、清濁まとめてただ受けいれて、前へ進む。
そういう気概だと蘆に笑った。
■嶋野陽子 > ミウさんが本当の神様と知って驚く
二人に、
「風紀委員に破壊神がいて、七英霊の一柱を退治した
そうじゃないですか。他にも神様や魔王とか勇者とか
がいてもおかしく無いんじゃないですか?」と、噂話
レベルのネタを二人に振ってみる陽子。
「これからご都合を伺わないといけないので、診察の
日取りは月末か月明け頃になりそうです。調整できた
らば連絡するという事でいいですか?」と平岡さんに
確認する陽子。
■蘆 迅鯨 > 平岡ユキヱの語る高潔な決意。それは迅鯨の心に強く響いていた。
この場に居る二人を含む誰にもまだ話してはいないが、蘆迅鯨は現在、命を狙われている身だ。
戦闘に向いた異能を持たず、使用可能な魔術も限られている迅鯨の命がいつまでもつかはわからない。
自身には彼女のような決意が持てるだろうか。そう考え。
「(……俺ちゃんにゃ、そこまで潔くはなれねェな、やっぱ)」
――心中で、そう漏らす。
風紀委員にも破壊神なる者がいるらしい、という陽子の言葉には。
「へェ、神っつーのは案外あっちこっちにいるモンなんだな」
と、彼女のほうを向いて笑ってみせる。
日程の調整については迅鯨の関与しない事柄であるため、
当人らのやり取りに任せることにしようと、しばし様子を窺う。
■平岡ユキヱ > 「調整をしてもらえるならばありがたいわね…。
風紀の仕事には都合つけておくわ」
問題なし! と二つ返事で嶋野に答える。
「魔王はそうね…本物を一人知っている」
同じTシャツ者なり。と魔王と趣味が合うユキヱさんはあいつはいい奴よ、と頷いていた。
「まだ勇者は見たことないけど。…『破壊神(笑)』は、まあ、その、なに?」
はっはっは、となぜかすごく優しい笑みで、あの破壊神には優しくしてやってくれ、と二人に告げるだろう。
何だろうか、この優しさと気遣いは。
「きっと成人したらジタバタして…その時は笑ってやりましょう」
この期に及んでまだかの破壊神を、ちょっとアレな趣味な年頃の同期だと思っているユキヱさん。
信じる力というものは、さも恐ろしい。
■嶋野陽子 > 何と、平岡さんは魔王をご存知でしたか。
しかもTシャツとは…今度紹介して貰おうかしら。
平岡さんのリアクションからすると、破壊神の方は
中二病の人なのかしら??
「ミウさんの診察が終わったら、魔王様を紹介し
て頂けますか?面白そうな方のようで」と平岡さ
んに頼んでみる陽子。
平岡さんの覚悟は、陽子の心にも響いている。見事な
死に方で22才の命を終えた恋人を弔ってきたばかり
なのだから。
■蘆 迅鯨 > 「アァ、たぶんユキヱちゃんが会った魔王っての、俺ちゃんも会ってたかもな」
先日、警備が薄いのをいいことに迅鯨が忍び込んだ男子寮の浴場で出会った、魔王ギルゲイオスの存在を思い出す。
ユキヱが語っているのは恐らく彼のことだろうと察し、告げる。
どうやら元気でやっているようで何よりだ、と迅鯨は思った。その後。
「……実はよ……」
口を開きかけ、言葉を止める。
迅鯨は自らの命を狙う者の存在について二人に伝えるべきか、迷っていた。
陽子には彼女自身の闘いがある。ユキヱの異能は制御不能な状態にあり、ただでさえ命が長くないことは聞いたばかり。
迅鯨が二人にそれを話すことで、余計な危険に巻き込むことにならないか。それを危惧したのだ。
■平岡ユキヱ > 「喜んで! あいつけっこー暇そうだし! 気さくでいい奴よー!」
魔王の定義を根本から吹き飛ばしてそうな、その快男児の話題になると
あいわかったと紹介を嶋野に約束する。
魔王ギルゲイオスの名が出れば、そうそう、あの魔王、と頷き。
「…クラスメイトの前で遠慮かしら、蘆?」
デコピンだな! とピンと宙で指をはじく動きをしながら、ニッと笑う。
バオッ、とちょっとありえない音が指から出たが気のせいだ。
「あなたの前には風紀と生活委員…。控えめに言って、怖いものなしと断言しておく!」
水臭いぞ! とそこで踏み込むのが、平岡ユキヱという少女である。
■嶋野陽子 > 『…実はよ…』と言って口ごもる
迅鯨さんの様子を見て、
「珍しいわね、迅鯨さんが口ごもるなんて。遠慮しな
くてもいいのよ。保健委員は人助けしてナンボだか
ら」と、務めて軽い口調で返す陽子。
恐らく帰国してから、夢の中に出てくるようになった
《星の子ら(シュテルン・ライヒ)》という単語に関係
する話だろうと見当を付けつつ。
■蘆 迅鯨 > 「そうかい……じゃァ、話すぜ」
迅鯨は言葉を続ける。
自身がかつて某国で作られた、少女を素体とする強化人間『星の子ら』<シュテルン・ライヒ>の一人であり、
両脚にサイバネ化が施されていることに加え、過去には戦場にも送り込まれていたというその来歴と、銃に対するトラウマ。
そして先日、落第街において同じ『星の子ら』の一人、河内丸・マリー・グラーザーと再会したこと。
河内丸は身体から金属質の棘を出し、刺殺した人間を生ける屍へと変える、
極めて危険性の高い異能『湖畔の住人』<インハビタント・オブ・ザ・レイク>と、
強化魔術を応用し、生物を生体爆弾へと変える『人間隕石』なる奥の手を保有しており、
迅鯨自身と『オレンジ色』と呼ばれていた人物の命を狙っていること。
さらに現在、この常世島にいる『星の子ら』は、迅鯨と河内丸の二人だけではないらしいことも。
それら全てを包み隠さず、二人に話す。
■嶋野陽子 > 《星の子ら》とは、迅鯨さん自身を含む
強化人間の集団の事だった。だから夢の中でも戦場の
場面が出てきたのかと納得する陽子。
昨日の朝食時に思った、畝傍さんとの共通点に、彼女
のトレードマークのオレンジのボディースーツを足す
と、畝傍さんが、迅鯨さん言うところの《オレンジ色》
である可能性は高い。
「なるほど、私が知る限り、この学園でオレンジ色で
有名なのは、女子寮にいる畝傍・クリスタ・ステン
デルさんですね。彼女なら特技が狙撃だし、強化人間
と言われても驚かないわ」と、陽子なりの《オレンジ
色》の正体に関する考察を披露する。
畝傍が既に別の《星の子》と交戦の末に、人格が入れ
替わってしまった事など、陽子は知る術もない。
■平岡ユキヱ > 「…」
蘆の言葉に耳を傾ける。何やらどうにも、いやそんな事が。
少なからず衝撃を受け、ぐっと口を横一文字に結び、しばらく沈黙。
「『星の子ら』…強化人間、か…あんまりおだやかではないが。」
むむむ、と小さくうなりながら、腕を組みつつ顎をさすった。
「蘆、アンタは『どうしたい』?」
すぐにこの情報、風紀に上げて指名手配、件の相手を追跡し、打撃を加え続けることは容易い。
打倒できるかは別問題だが、動く分ならすぐに他の課に属する者も迅速に動くだろう。
だからこそ。
「その河内丸なる者はすでに学園の生徒たる、蘆迅鯨…つまりあなたに危害を加えようとした。
違反生徒、ないしは島に害をなす存在の嫌疑をかける事は容易いけど…」
それで良いのか。確認、あるいは蘆のそれらに対する意志を知りたいと、問う。