2015/09/30 のログ
■渡辺慧 > 「なら今度、彫像のように静かに座ってる姿でもお見せしましょうか」
「案外、喋らないでそうしたほうがましに見えるかもしれないですし、ね」
笑いすぎ。と、ところどころに漏れ出す、ツッコミのような敬語が抜けた言葉。
「そうはいっても、笑って返すのも変でしょう。……なんですか、食べさせてくれるなら喜んで、って言ったほうがよかったかな」
自分のペースを取り戻そうと、軽く。いつも通りの冗談。
「――――――弟」
「……………………そっか」
もしかしたら。……前の時の彼女もそういう事だったのかもしれない。
あぁ、だからこそ、俺は―――――。
……今は、関係ない。差異は、関係ない。自分には、関係ない、話だ。
彼女まで、自分を、なんて。今は、関係ない。
少しだけ、上手くなった気がする。
「えぇ。そうしようかな」
「……からいの好きなんですか?」
自分は、分かりやすく。焦がし豚骨醤油。余りこういう場面では、冒険はしないのだ。
■谷蜂 檻葉 > 「まさに借りてきた猫みたい、になるつもり?」
この猫っぽい少年は、招き猫にまではなれなさそうだけれど。
まぁ、元風紀委員ということで一匹二匹の鼠でも捕まえてくれれば御の字だろう。
「笑って流してくれていいんだってば……もう!」
腰元に軽く手を当てて、怒ったぞ!というモーションを見せて、そこで手打ちに落とした。
「?」
ふと、何か少年の雰囲気に変化が起きたような気がして振り向くが
「そう、ね。どっちかって言えば、好きかも。」
うどん見ると一味入れるし。 と、3人分並びで空いているカウンター席の奥へ座って
券を店主らしき男に渡す。 『辛味噌で。 水は其処です』と、実に簡素な受け答えで店主は慧の方を見つめて、注文を待つ。 無意味に2往復するのは、嫌なようだ。 ついでに、その店主に檻葉は 「あの子が手を怪我してるのでフォーク、お願いします」と先に 言伝をした。
■渡辺慧 > 「にゃぁ」
「……だめですね。やっぱり大人しくしてるタマじゃないや」
自分のしょうもない動作に、笑って。券を取り出した。
「自分が……というかあれからかっていたんでしょう? なら、お返し、ということで」
先程より。余程スムーズに言葉を吐きだした。
……きっと、そういうことでいいのだ。怒ってる、そのポーズに笑って。
「俺は…………どうだろう。あんまからいのって、食べないかもしれない」
「今度、おいしいからいの、教えてくださいよ」
「……ほんとに、世話焼かれてるみたいじゃないですか」
何と言う表情をしていいか、微妙な顔を、いや。少しだけ恥ずかしがりながら、券を渡して。
お願いします、という言葉を残した。
■谷蜂 檻葉 > 「"タマ"っていうより、ブチとかクロっぽいかな。」
カウンターに肘をついて、ケラケラと笑う。
猫は猫でも飼猫ではなく、野良猫っぽい。
「もう………。」
お返し、という言葉には文字にすれば同じでも、今度は諦め混じりにため息を付いた。
「へぇ、意外―――でも、ないかな? うん、甘いもの好きそう。 好き、だよね?多分」
適当な見た目判断な味覚確認を交えつつ
「お、それじゃあお勧めのお店にでも連れてってあげる。 私が行くときに、メールするね。」
メルアド、交換してるのにまだ使ってないし。と、携帯を振ってみせる。
「―――もしかして世話、焼かれるの嫌い?」
少しだけ、悲しそうな瞳の色で尋ねる。
『辛味噌、豚骨醤油。』
その横で、静かに店主は頷いて麺をゆでに行った。
■渡辺慧 > 「ミケ、でお願いします」
前を横切っても、不吉なことなど怒らないと笑って。
「……こういう方が、お気楽、じゃないですか?」
自分だって。堅苦しいものは苦手なのだ。……元から慣れていたとはいえ。
「……この前のパフェ、はおいしかったですよ」
「でも先輩も結構食べてたから……ま、好き、かな」
思い出すように、頷く。苦味より、甘い方がやはりいいのだ。
右手を、少しだけ庇うようにしながら。
「ありがとうございます。変なメールでも返しますんで、ご自由にご利用ください」
その携帯を横目で追って、軽い言葉。
「いい年して、って感じですかね」
「…………別に、いやじゃあないですが」
本心でもあるし、本心でもないともいえる。
取り繕った言葉、というわけでもないが―――――。
「……弟、か」
■谷蜂 檻葉 > 「ん、そう……かな。」
気楽、か。
「なら、まずその使い慣れてなさそうな敬語、外していいって言ってるのに。
距離をおいてたほうが、気楽?」
ある種の確信と、そのまた確認。
態々使うというのはそういうことなんだろうな、と。
ちょっとだけ呆れ気味に笑って聞いてみる。
「そっか。 それじゃあ、甘いのも置いてあるところの方が良いのかな。」
料理と、杏仁豆腐が美味しい中華があるの。
と、店の人にわざわざ別の店の話題を出すのを聞こえないように小声で伝えた。
「それじゃ、チェーンメールでも来たらパスさせてもらうね。」
「ならいいかな……って、どしたの? さっきから何か気にしてるみたいだけど……
弟さんと、何か悪い思い出でもあった……?」
いい年も何も、何歳だって、別に誰かの世話になるのが悪いわけでもない。
それに、頼り切りになってしまうのが自立を遠ざけてしまう、というだけなのだから。
それはさておき、しきりに気にした様子のそれに、流石に気付いたらしい。
■渡辺慧 > 「……」
考える。きっと、そうなのだろう。
だが、ある意味。――都合のよく、都合の悪い解釈を出来てしまった今ならば。
「…………うん。わかった」
「どうかな、これで」
確かに。こちらのほうが気楽に笑える、と。
猫のように笑った。
「そう……かな」
「うん。じゃ、それで。期待しておく」
「送り返すから、安心して送ってくるといいさ」
弟。――そう、自分自身が弟。
出来の悪い、と。
「……いーや。逆。俺が弟だから、だから、そうなのかな、って」
そう、とは。
先程までの、ハナシのそれ。
そう言って、ぼんやりと。中空に視線をやって答える。
■谷蜂 檻葉 > 「――――――――――。」
いやまさか、ではないけれど。
「……出来るんじゃん。 うん、そーいう感じ」
敬語なし。
結構なスパンを要したが、0よりも1ということで。
一番似合いそうだと思っていた、猫のようなふやけた笑みに、
なんとなく、デジャヴのような”懐かしさ”にも似たものを見て、笑った。
ちょうど、弟だから。という申告と同時にラーメンがゴトンとカウンターに置かれる。
一先ず、ふんふんと頷きながら手元に下ろした。
一緒に、慧の分のラーメンも。 ―――レンゲと共に、鉄製の長いフォークが置いてあった。
「あ、本当に弟君だったんだ。 ……お兄さんは、本土?」
■渡辺慧 > 「出来ないとは言ってないし」
簡単なことではあった。だからこそ――途方もなく抵抗があった。
――こうも都合よく、楽な方へ。
目の前に置かれたフォークを見て。
やはり、ちょっとばかりの恥ずかしさを覚えながら。
――まぁ、怪我だなんだ。そういう言い訳だけは、得意なのだから気にしなければいい。
「おいしそうだね。…………ん。此処だよ」
「この、常世にいた」
表面だけをなぞるようにそう呟いて。
フォークを左手でぎこちなく握ると、そっと、その麺を。
ひどくぎこちなさそうに。話を誤魔化すために、なんて見えはしないだろうが。
一口食べると。
「……おぉ。……おいしいじゃん」
■谷蜂 檻葉 > 「……最初に言った時はなーんか、煙に巻かれたような気がしたんだけど……。」
ま、いっか。と ラーメンに手を付ける。
まずはスープを一口。
それから、赤い山を少し崩して、また一口。
次に麺を口を窄めて少し冷ましてから、髪を退けて啜る。
息で冷ましても熱い麺を、ほふほふと少し噛まずにまた留めて。
しっかりと噛みきって、飲み込む。 麺の味がある間に、白髪葱を。
チャーシューは後において、そのまま麺を啜る―――――
横で、ただ事実だけを伝えるような呟きには、
きっと 『ご飯時』に聞くことではなさそうな気がして、「そっか。」と。相槌だけ、伝えた。
一人の感想と、もう一人の美味しそうな表情に、店主は小さく頷いて店の奥に戻っていた。
純粋な少食で食べるのが遅い少女と、
フォークでゆっくりと食べる少年の食べ終わる時間は、大体変わらなかった。
ご案内:「歓楽街」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から谷蜂 檻葉さんが去りました。