2016/07/23 のログ
ご案内:「歓楽街」にセシルさんが現れました。
■セシル > 夕暮れ時。セシルは歓楽街の大通りで風紀委員の警邏業務に勤しんでいた。
試験前から徐々に警邏のシフトを増やし、気候には多少ではあるが慣れ、今の気候でも夕暮れ時ならさほど苦労はしなくなっていた(もっとも、今日は比較的涼しい一日であったが)。
それでも、昼間に動き回るには何らかの補助がないと辛い…ということで、セシルは6月頭に目標にした「目当てのもの」のための貯蓄を続けていたのである。
恐らく、今週分の業務に対する手当が出れば手が届く…そう見立てを立てているセシルの背は、いつもに増してしゃっきりと伸びているのだった。
■セシル > 「手当さえ出れば良い」と思えるほど、人間単純でもない。
「自分が役に立てている」という実感や、「自分が役に立ったことによる報酬で自分の望みが叶えられる」という希望は、人を前向きにする。
…そんなわけで、セシルはいつにも増して気合いが入っている。
何か不穏なことは起こっていないか、不審な人物はいないか…などと、歓楽街の大通りや、そこから伸びる路地の様子を注意深く伺う。
ご案内:「歓楽街」に龍宮 銀さんが現れました。
■龍宮 銀 > 何か変わったことはありましたか。
(路地を覗き込んでいた年上の後輩の後ろから声をかける。
気合の入った彼女とは逆に、こちらはいつも通り飄々とした感じ。
本日の見回りの相棒たる彼女とは、文字通り頭一つ分ほどの身長差がある。
こちらは完全に見上げる形になるし、あちらからは見下ろす形になるだろう。)
気合を入れるのは結構な事ですが、勢いあまって規則違反をやらかすなんてことはやめてくださいよ。
(やる気を出してくれるのは嬉しいのだけれど、勇み足を踏まぬよう釘を刺すような言葉。)
■セシル > 「身の程は弁えていますよ、シロガネ「先輩」。
…少なくともこの路地においては、私達が介入すべき異状や校則違反は無さそうです」
後ろから先輩に声をかけられれば、振り返りながらそう答え、笑みを見せた。
普段は先輩・後輩関係をさほど厳密に捉えない(士官学校に比べて常世学園が割とゆるいので、調子に乗っているのである)セシルだが、規則に厳しい先輩に対しては話が別だ。
笑みは見せるが、報告はきっちりと。
「夏期休業前に羽目を外す生徒がいないのは、私達としては喜ばしいことですね。
…流石に、本番となれば油断は出来ませんが」
最後の言葉を発する際には、流石に笑みを引っ込めた。
なお、「目的のもの」がそろそろ手に入るとはいえ、セシルは夏期休業中も同じペースで警邏業務に当たる予定である。
帰省などをする委員の穴埋めや、業績の点数稼ぎのためだ。
■龍宮 銀 > ならば結構。
――ただあなたの認識に一つ誤りがあります。
我々が介入すべきではない異状や校則違反は存在しません。
(彼女の報告に頷きを返す。
しかし続けて語った言葉は自身の校則絶対主義を表すようなそれであった。)
限度を知った上で羽目を外すのならば良いんですけどね。
夏休み前でなくても、そうでない生徒がいるのは問題です。
(不満そうに溜息を吐きながら、歓楽街を歩く。
今のところケンカなどは起こっていないが、どこで何が起きるか分からない。
自身は見回りをほぼ毎日行っている。
点数や手当てのためではなく、ひとえに「校則違反者を取り締まるため」だ。)
――あぁそうだセシルさん。
あなたは夏季の見回りをもう少し快適にと思ったことはありませんか?
(ちらりと後ろから付いてきているはずの後輩へ目線をやり、そんな問いを投げかける。)
■セシル > 「………。失礼しました」
「言葉の綾だ」と言い返したかったが…目の前の先輩の人となりを考えれば意味のないことだと判断して飲み込んだ。
もう少し距離が近づけば、話せることも増えるだろうが、今はその時ではない。
「ええ…限度を超えてしまった結果、誰よりも傷を負うのは生徒自身でしょうから」
先輩の不満に同調する。…が、これは別にごますりとかそういったことではない。
人の財産を、肉体を…尊厳を傷つけること。その「責任」を、若年の身で保護者抜きに突きつけられる事態は避けられるべきだ、というセシルなりの信念に基づいている。
「…?ええ…私は暑さに不慣れですので、少々難儀しています。
丁度良い魔術具が売られているようなので、今度の手当が出たら購入を考えておりましたが」
「それがどうかしましたか?」と、かっちりした姿勢のまま、声だけを疑問調に作って聞き返した。
■龍宮 銀 > わかってくれればそれで良いです。
(満足そうにもう一度頷く。
それは言葉だけを聞いた結果であり、彼女の心境など理解していない。
ただ自身の言葉に同意した、と言う結果だけに満足している。)
勿論それもありますが、何より規律を破るものがいては規律の意味がない。
始めから破られるための規律なら、存在しないのと同じです。
規律が規律であるために、規律を守り、守らせるのが我々の仕事です。
(自身の意見は少し違う。
言うなれば「規律を守るために規律を守る」と言うものであり、その内容はあまり重視していない。
文字通り「校則絶対主義」なのだ。)
そうですか。
いえ、夏になると特に屋外勤務時の作業効率や安全面に影響が強く出ますから。
署名を募って冷却ベストや冷感符などを備品として扱って貰うための署名を集めてるんですよ。
よければあなたにも一筆もらいたいんですけど。
(言いながら歩く速度を落とし彼女の隣へ。
見回り業務とは関係の無い話のため、ややくだけた口調になる。)
■セシル > 「………」
銀の満足そうな頷きには、声を出さずにわずかな苦笑いを零すのみ。
「…これだけ高度な社会であれば、規律も無為に存在するものではないでしょうからね」
相手の「校則絶対主義」に危うさを感じるが…とりあえず、規律の「意義」の存在を示唆するに留める。
規則の是非に踏み込むのは、セシルの身の丈を超えることだからだ。
…それより、署名である。
「おお、そんな署名が…。
私のような「軟弱者」でなくとも、この暑さは応えるでしょうからね。
是非一筆添えさせて下さい」
より良い委員会活動のための署名集めであれば、参加しない道理はない。
口の端を横に引く、男性的な印象の強い笑みを顔全体に広げた。
■龍宮 銀 > 全てを円滑に回すための規律ですからね。
規律なしでは平和どころか無法地帯です。
――それをわかっている生徒がどのぐらいいるのやら。
(大きな溜息。
人の数だけ意見はあろうが、自身にとってはそれが唯一で絶対の理屈である。
危ういところはそれを世界にとって唯一絶対だと考えてしまっているところにもあるだろう。
とはいえ、今はその考えが致命的な事態は起きていない。
今のところは、だが。)
ついこの間先輩と話しまして。
一応私が責任者、という形になるそうです。
今は見回り中ですので用紙を持ってきてはいませんが、帰ったら協力をお願いします。
(やはり誰でもこの暑さは応えるのだろう。
現場からも作業環境改善の声が上がっていると聞く。
この分なら充分な量の署名が集まりそうだ。)
■セシル > 「…いくら赤信号が煩わしくとも、信号がなければ円滑で安全な移動はなし得ませんからね」
銀の言葉に、当てはまるような例を挙げて、部分的にだが同意を示す。
セシルは、基本的には規律を守り、規律に従い…規律の変革には極力干渉しない立場のつもりでいる。
…しかし、そのセシルから見ても、この「先輩」の危うさは飛び抜けているように思われた。
(…いつか、齟齬が起こらねば良いが)
その懸念を表にはまだ出さず、署名の件には
「ええ、喜んで。
…要請が、通ると良いですね」
と、控えめに笑みながら(それでも、口の端の引き方が男性的な印象だ)頷いた。
「…それでは、警邏を続けましょうか」
セシルが、大通りの先に視線をやる。
歓楽街の一日はこれから…といった風情が漂い始めていた。
■龍宮 銀 > その通りです。
セシルさんにはおしるこコーラを奢ってあげましょう。
(自身の意見に全面的に賛同してくれた、と勘違い。
思わず足取りも軽くなり、自販機へと寄り道。)
ありがとうございます。
この分だと結構な量集まりそうですし、そうなると上も無視は出来ないでしょうから。
それなりに勝算はありますよ。
(財布から小銭を取り出し、自販機に投入しておしるこコーラのボタンを押す。
二つ買ったそれの片方を彼女へ差し出し、)
そうですね。
その前に一休みしましょう。
遠慮なくどうぞ。
(規律にうるさいとは言っても、暑い中延々と行軍するほど無茶でもない。
差し出した怪しげな飲料の方は初見であれば相当無茶な飲み物だが、果たして受け取ってもらえたかどうか。)
■セシル > 「………おしるこコーラ?それはいったいどのような…」
聞こうとしたが、遅かった。
相手はしっかりと2つ「それ」を購入し、自分に差し出してくる。
「………ありがとうございます」
流石に「校則絶対主義」的な危うさはいざとなったら歯止めをかけるつもりでいたが、この手の善意は断り慣れていなかった。
蓋を開け、恐る恐る口にし…
「…!?」
むせた。そもそも炭酸に慣れていなかった。
「…何だ、この、舌が痺れる…」
うっかり日常の口調を零したりしながら、断りきれずちびちび飲み干し。
それから、警邏の業務を再開したのだった。
ご案内:「歓楽街」からセシルさんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から龍宮 銀さんが去りました。