2016/09/05 のログ
ご案内:「歓楽街」にゲオルグさんが現れました。
ゲオルグ > くたびれたおっさんのような雰囲気を持つ学生。
ゲオルギー・コーネフは、歓楽街の一角、古いスタジオに来ていた。
ここにいるのはいわゆる「アイドルオタク」と呼ばれる学生たち。
そんな学生たちが、今日もオタ芸の練習にいそしんでいる。

「あー、それでね。ちょっと聞きたいんだけどね。
そうそう、この地下アイドル……」

写真を見せる。
何人かファンが居たので、話を聞く事にする。

ゲオルグ > 「ん、最近見てない? あ、そう」

さて。こんなアイドルに、公安委員会が何の用なんだか。
ゲオルグはあえて聞かなかった。面倒そうだったからだ。
友人がこういう事を頼んでくる時には、大抵ロクでもないものと相場が決まっている。
小遣い稼ぎか、また風紀を出し抜こうとでもしているのか……

「いやでもねぇ、ふーん……」

ゲオルグ > 『一体なんなんだよおっさん』

おっさん呼ばわりされるほど年はくっていない。
が、あえて否定しなかった。
自分でもおっさんくさい言動だという自覚はある。

「いや、ね。最近ほら、ここらへんも物騒になったそうじゃないですか。
何でもほら、米軍が居たんだって?」

最近の話題を振ってみる。
男は嫌そうな顔をして頷いてみせた。よりにもよって島の『外』の、それも軍属がうろついているなど、良い顔をする連中の方が少ないだろう。

「でもねぇ、おかしいですよねぇ、それ」

ゲオルグ > 何が、という問いに答えてみせる。
この男は、こういう事になるとべらべら喋りだす。

「いやね。米軍が何でこの島に来てるのか。
それも『何故軍服を見せびらかすように歩いているのか』。
普通はね、軍服見せびらかして歩くなんて事はしないんですよ」

アイドルオタクの男は不思議そうに顔を傾ける。
あまりなかった視点らしい。

「だってそうでしょう。
米軍ここにありなんて見せびらかすように歩いて、誰が得するんです?
この島の人間にとっちゃぁ、警戒もするでしょう。何せよそ者で、軍属。
で、米軍に得があるかと言えば、無いわけですよ。だってそうでしょう。
見せびらかして歩いたって、何が出来るわけでもなく、逆に警戒されるだけなんですから」

ゲオルグ > 『じゃあ何で』

と言った男に、我が意をえたりと頷く。
あ、これ話が長くなるやつだと、アイドルオタクは嫌な顔をした。

「何で軍服を見せびらかすように歩いてるか。
あたしゃぁね、こう思うんですよ。
彼らは『自分達の存在を誇示する事によって、何かが慌てて動くのを待っている』」

つまり、追い込み漁だ。
米軍という存在を誇示して、網の待つ方へと何かを追い込む。

『何かって、何を?』

「そいつぁ分かりませんけどね。
でもね、きっとロクな事じゃぁないですよ。
あんたもね、そんな事気にしてたら、長生きできませんよ」

自分で話を振っておいてこれである

ゲオルグ > 「網、網ねぇ……あ、火持ってます?」

煙草に火を点けてもらいながら、考え込む。
煙をゆっくりと噴出しながら、まるでアイドルオタクの男など居ないように呟いた。

「網は、隠しておかなきゃいけませんよねぇ。
つまり、米軍では不向きなわけで。
となると……ははぁん」

米軍を突っ込んで揺さぶるような乱暴な連中だ。
おそらく、あまり時間が無いのだろう。
つまり、網は公安や風紀などといった大きなものではなく、小さくて、感度の良いものを幾つか。
となると……

「案外大きなヤマかもしれないねぇ、これ」

ゲオルグ > 男は煙草の火を消すと、ふらりとスタジオを後にする
ご案内:「歓楽街」からゲオルグさんが去りました。