2016/10/30 のログ
ご案内:「歓楽街」に十口 風さんが現れました。
ご案内:「歓楽街」に駿河 怜さんが現れました。
十口 風 > 歓楽街。彼には大して興味のない――むしろ苦手である空気をまとうこの街。
くたびれて年季の入ったトレーニング姿で、彼は所在なさげにうろついていた。
とはいえ目だけはぎりぎりと集中力を宿し、街のあちこちを眺めている。

駿河 怜 > (数多行き交う歓楽街の大通り。雑多な通りに似つかわしい猥雑な張り紙まみれの掲示板を見ている青年が居た。
 目を通す内容は主に求人のものである。
 ふと通りを見れば学生の姿。記憶にある姿かどうか――
 しかし夜の中、立ち並ぶ店の明かりでは今ひとつ判別できず。ちらと視線を送るに留めた。)

十口 風 > 「……ム」

視線のはしに映ったのは校章入りの鞄を携えた青年。
何やら、不届きな――よろしくない――不健全な――つまり正義ではないような――。
そんな張り紙を見ている青年が、我が校の生徒であるならばそれは。

「君!!!!!!!!!!!!!!!」

背後から大股で近寄るスニーカーの足音が聞こえるだろう。
その場から動かなければ肩をがしりと掴まれることは想像にかたくない。

駿河 怜 > (内容と金額を照らし合わせてリスクとリターンを考える。
 背後で正義不正義ジャッジメントが行われているとはもちろん知らない。)

「えっ 何?」
(たとえば車に撥ねられた人間の台詞。
 さっきちらっと見た人間が高速で迫ってきたもんで思わず口から言葉が溢れる。)

「は!??!?!」
(肩も掴まれたらそれはもう動揺を隠すことなく振り向いた。
 わかりやすい狼狽のモデルケースとして教科書に載せられる顔をしている。)

十口 風 > 「よくない!!!!!!!!!!!よくないぞ!!!!!!!!!!!!!」

掴んだ肩を不躾にも前後左右に揺さぶる。
日々のトレーニングがこの揺さぶりにも生かされているのだ。
上腕二頭筋がうなりをあげている。正義の名のもとに。

「思い直せ!!!!!!!!!!君にだって親がいるだろう!!!!!!!!!!」

張り付いた狼狽を見ると、よしとばかりに手をぱっと離す。
威勢は全力だが、どうやらしつこいわけではないらしい。
その少年は神妙な顔つきで腕を組み、じっと青年を見ている。
金の巻き毛、長いまつげ、青い瞳。鍛え上げられた三角筋。
そしてくたびれたトレーニングウェアは汗臭く、白いタオルは若干黄ばんでいた。

「……君、何か人に言えない悩みでもあるのか?」

駿河 怜 > (そして始まるシェイクシェイクブギーな何だこれ。
 弛緩した体が揺れる。脳も揺れる。
 異能も体の中でアップ入りますとなる寸前に理性がスライディング入場して堰き止める。)
「待って!!!!!!」
(待ってほしい。素直な気持ちが心から溢れる。
 このまま揺すられていたら気持ち以外の何かが物理的実体を伴って出そうだ。)

「親は!!!!関係!!!ないだろ!?!!!」
(親というNGワード。雑にトラウマをピンポンダッシュされた心地である。
 突然の高速シェイクの方に脳のリソースが割かれていたためそちらへの精神的ダメージは少ない。)

(何を確認して手を離したのか理解に及ぶ前に表情は次のステップ:ドン引きへと進化した。)
「…………」
(金髪にしきれない中途半端な金髪と対して崩れてもいない着こなし。
 目の前の人間とはまったくもって対照的なモブ顔の青年は絶句した。
 揺さぶられて悩みを聞かれる……)

「これは新手の脅迫……?」
(正直な気持ちである。)

十口 風 > 「やはり脅迫されてるのか……君は。」

金髪の少年は親指で張り紙を指差す。
雑多な歓楽街のいかがわしい張り紙は多種多様だ。

疲れたあなたの人生に愛情イッポン♂♀
金利0%。今日から新しい希望に満ちた日々!
人生に役立つ99の言葉。金星の使者の無料占い。
どこに繋がるかもわからない怪しげな電話番号がそれらの張り紙の下に記載されている。

「君も、学園の生徒なんだろう?悩みがあるのなら、教師か友人に相談するべきだ。」

仁王立ちをしたまま、雑なピンポンダッシュ犯は堂々たる面持ちで青年を見つめている。

駿河 怜 > 「通じてない……?」
(心根の素直な少年だった。
 ドン引きから再度驚愕の顔に逆戻りだ。
 しかしクソ張り紙達の内容を思い出せば首を横に振って――)

「いや、そういうのじゃなくて……バイトを、ちょっと探してるだけ……」
(相談するべき、と言われれば出来るだけフラットな表情を保つように努め)
「相談、……」
(口元に手を当てて、極力何事もありませんよ、という態度。
 しかし言葉には詰まってしまう。
 相談出来る相手には相談する内容が必要だ。
 そして悩む内容には原因というものがいつだってある。)
「まあ、そこは、追々。」
(平静を装ってみせつつ、逃げの言葉。)

十口 風 > 青年の驚愕が伝染するように、少年もまた目を見開いて驚きの表情を見せた。
若干の狼狽すら含むその驚愕は、実年齢以上の幼さを覗かせる。

「……!!!!???? そ、そんなところにアルバイトの求人があるのか……!!??」

少年は単に世間知らずだった。
ピンク色の張り紙から全力で目を反らしながらも、
その雑多な掲示板を眺めて求人情報らしき張り紙を注視する。
目的のそれを見つけると、より一層驚きを隠しきれないといった表情で青年を見た。

「す、すまない。そうか、君は正当な労働をしようと……。早とちりをしてしまった。」

腕組みをといた少年は、ずいと右手を差し出す。
顔に似合わずタコマメカサブタだらけの無骨な手だった。

「悩みがあれども、その清い意欲があれば自ずと乗り越えられるだろう。」

駿河 怜 > (書いてある内容は様々、それこそ本当に怪しい内容のものもほどほどに含まれている。
 女性キャスト募集明るい職場ですだの内容を軽作業としか書かずやたらと高い時給のものだの……。
 何かからギュンと目を逸らす少年の醸し出す幼さにはとても同い年であるとは気づけなかった。)

「まあ、たしかにこの辺の求人はちょっとヤバそうなのが多いけどさ……」
(早とちりで人の肩を揺らすのは止めたほうがいい、という言葉は飲み込んでおいた。)

(差し出された手を見て、少年の顔を見て、もう一度手を見た。
 なるほどこの暑苦しさは体育会系である。とリョウは思った。)

(乗り越えられる。何をだろう。
 自分の過去というものが悩みの根源である。
 その過去はとっくに死体になってずっと自分にぶら下がっている。
 そんなイメージがふと浮かんで。頭の別のところで「手を出されたのだから握手しないのは不自然だろう」と冷静に考える。
 ゆっくりとした動きだが半ば反射的に、差し出された右手と握手を交わす。)
「まあそのためには、金があったほうがいいからね。」
(無表情。努めて笑顔のつもりだったが、どうにも顔の筋肉は伴っていなかった。)

十口 風 > 少年は労働などしたことはない。異能が発現し、この学園に入れられるまで。
入れられた後も、つねに誰かの庇護を受けてのことだった。
だから、目の前の学生――なのだから、上だとしても2、3だろうが――はひどく年上に見える。

極めて世間を知らないということは自負しているとはいえ。
労働を腹に決めた者を疑ってかかるなど、正義ではない。断じて。

「……いや、すまない。俺はてっきり……その、不健全な世界に足を踏み入れようとしている者は……。」

気まずさに逸れそうになる視線をぎり、と戻して相手の顔を見る。
人と話すときの礼儀である。少年――風は体育会系であった。
握手され返した手をがっちりと握り、嬉しそうに暑苦しい笑顔を見せる。

「俺は十口風!!!!!!学園の生徒だ。よろしく、正義!!!!!!」

風に、相手の悩みを慮るだけの繊細さはない。
とはいえ、その“ない”というのも専ら余裕が――ということは。
本人が一番よく知っているのだった。

駿河 怜 > 「不健全ね~……」
(ハハ、と目を逸して笑う。
 少々怪しくても金額の良い物に飛び込むべきか悩んでいた事は言わない方がいいだろうと判断した。)
「……している者はって、ええー、風紀委員か何かですかね……?」
(視線で体表が焦げそうな思いをしながら、もう一度相手に視線を戻す。)

「せ、正義。」
(謎の語尾を思わず反芻してしまう。
 口にした後で随分と、胸にぐぐ、と重りが入る心地を得た。)
「駿河……スルガリョウって言います。」
(名乗られれば名乗る。思考を整理しながらの道徳に基づいた反射行動。
 社交的な笑顔。)

十口 風 > 「いや全く!!!!!!!!!!!」

風紀委員かと問われれば、力強く首を横に振った。
相手の萎縮をものともせず、その場でバッバッと空を裂く勢いで手を突き出し、握りこぶしをキメた。

「俺は!!!!英雄同好会の者だ!!!!!!!!!!」

大多数の生徒が聞きなれないであろうその同好会の名前を高らかに宣言する。
にっこりと笑う口元の歯は白く、よく磨かれていた。

「正義を愛し、正義を実行するための者の同好会でだな。」

何度もポーズを変えながら、生き生きと握りこぶしを突き出し、突き上げる。
大げさかつ無駄のない無駄な動きは会話の最中も続けられた。

「本来はなんらかの委員会か部活動か、と頼んだんだが許可は降りなかった。無念だ。」

駿河 怜 > (目の前の少年のテンションに瞑目し眉を寄せて考える)
「……特撮ヒーローとかそういうのが好きなタイプ?」

(つまりは少年特有の……中二病というか小学生の憧れとかそういうものだろうか。
 少年の身振り手振り力強いサウンドに道行く人がちらちらとこちらを見て通り過ぎていく。
 自分ではないのに何やらこちらが辱められているような心地だ。)

「正義を実行するって、何だ……悪人を退治するとか。そういうのかい。」
(口元に手を当てて、眼鏡を上げ直す動作で何の気なしに問う。)

十口 風 > 寄せられている眉にも、道行く人々も大して気に留めず話し続けた。
大げさに腕を組み、うむ。と頷く。

「ああ、好きだ。虚構の世界とは言え、彼らは未来ある少年たちに正義を説いている。」

リョウの仕草から、淡白な印象を受けてはいたが、あいにく風は気にはしない。
歴代のヒーローの名前をいくつかと、今現在視聴中の番組の名をあげ、時代劇も好きだと付け足した。

「リョウは、なにか生きがいはあるのか?部活動とか、委員会とか、将来の夢とかあるだろう?」

初対面にも関わらず重い質問を投げかける。
部活動や委員会を生きがいという単語と並べる時点で、彼の学園での生活は見て取れるだろう。

正義とは何か。
問われた言葉を自身でももう一度言い直し、風は少しだけ考え込んだ。

「難しい質問だな。悪人などいない、というのが俺の理想だが。そうもいかないらしい。」

凛々しい眉を寄せて、更にうんうんと短く唸る。

駿河 怜 > (なるほどそういう奴だった)
「ああ、そういう……なるほど、うん。あー。見たことあるわ……」
(得心したように頷きながら。歴代の内見たことがあったものに反応して。)

「生き甲斐……」
(困ったように笑って首を傾げる。)
「正直、学校に居るので精一杯だからさ。そこまで考える余裕がねえんだ。」
(気恥ずかしそうに笑って。その辺りを深く掘り下げてしまうと初対面に対しては少し重すぎる内容がボロボロ出てしまう。
 少しばかりの実情を述べるに留めた。)

(唸って悩む様子に。悪人=退治とかそこまでド直球な単純ではない事に、表情を変えず内心だけで安堵した。)
「そうもいかないか。……ヒーローになりたいとか、そういうのはあるの。」
(淡白なトーンのまま、日常会話のようなさり気なさで問う。)

十口 風 > 「ム。そうか……労働も、学費にあてるため、なのだろうな。立派なことだ。」

重たい質問を投げかけるだけ投げかけておいて自己完結。
深くは聞いてこない性分らしく、風は心得たと満足そうに頷くだけだった。

もし、安堵のため息や表情が出たとしても風はその意味を知ろうとはしないだろう。
同じ年頃の男子生徒と話せることを純粋に楽しんでいるように見える。

「それも難しい質問だな。俺が望む正義とは皆の心に灯る光の炎だ。」

きっぱりと言ってのける。あらかじめ用意されていた答えのように。

「だから、俺1人がどうこう……とは、今は思わん。」

駿河 怜 > 「そう、まさにそう。家からの仕送りが無くなっちゃってさ~」
(軽い調子で自分の中の鬱屈を昇華しようと試みては見たが、口に出すとやっぱり重苦しい気持ちになる。
 自分で明かして自分で凹む負の自家生産。なんとも不毛だと我ながら思った。
 思わず自分に苦笑いである。)

「そう……」
(眼鏡を上げ直す仕草で、目を伏せる。
 どうしても心に掛かるもやを、頭を振って払おうとしつつ――顔を上げて。
 先程までと同じ、フラットな笑顔に戻っている。)

「君はなんか……なかなか暑苦しい感じがスゴイけど、熱血系……いや聞くまでもないな。熱血系か。」
(戦隊モノでもやる気だろうか。と少し思う。)
「正義、正義の炎ねえ……」
(言葉を噛みしめるように呟きつつ、荷物運びのバイトチラシを手に取っては眺め。)

十口 風 > 「それは……大変だな。俺には想像もつかない苦労だ。」

大げさに、と言えばそうだろうが、その表情は鬼気迫っていた。
痛ましげに眉根を寄せて心配しているのが見て取れる。
あれだけ暑苦しく正義正義と言っている性分だ、困っている者を見過ごせない、というやつだろう。
とはいえ、男児たるもの他の者の手を借りることの難しさもまたわかっている。

「何かあれば頼ってくれ、とまでは言わないが……。」

何か適宜、ちょうどいい助けはないかと思案を巡らせる。

「俺は今男子寮に住んでいるんだが、仕送りの食材を余らせている。困ったら言ってくれ。」

と、無難な答えを導き出して告げた。

再びチラシに視線を向けたリョウのあとを追って視線をそちらに移すが、
いかがわしい――もちろん彼基準での、いかがわしいチラシが目に入るたびに視線を逸らす。

「あー……場所を移さないか?」

駿河 怜 > (風の言葉にスッと真顔になる。)
「……マジか……!」
(――救いの神がハーレーに乗ってやって来たような心地!)

「ありがとう、マジでありがとう!」
(風の肩をガッと掴んで軽めにパシンパシンと連打する。
 感謝する声も表情も真剣そのものだ!)

(なんかスゥッ……とした表情で天を仰いでいたが風の言葉に素早く現世に戻ってくる。)
「んん。別にいいけど、何。こういう所はやっぱ嫌い?」
(目星をつけていたチラシを数枚頂きつつ。いつでも移動できる体制を整える。)

十口 風 > そんなに困っていたのか、と更に悲壮な表情を見せた。
が、肩を叩かれるうちにすぐに笑顔を見せる。
殴り合ったり叩きあったりするのが彼なりの交流フィールドであるらしい。
いかにも楽しげにリョウの肩を叩き返した。

「ああ!!!!! とは言ってもレトルトや即席麺ばかりだがな。」

一山ほどあるんだ、と手で山を表現してみせる。
部屋に積まれたダンボール箱が想像できる程度にはその量は多そうであった。

「嫌い……というか……。」

言い淀んだ。掲示板と背後の人混みの間を視線が行き来する。
その視線は明らかに妙齢の女性を捉えていた。

「……そうだな、苦手ではある。オレも用事がなければこんな所には来ない。」

駿河 怜 > (憐れまれている事に気づいても背に腹は代えられないしいつか背と腹がくっついてしまう危機が回避できた。
 その喜びを表さないわけにはいかなかった。
 肩をバンバンと叩かれればンッグと息を漏らす。なんという原始的コミュニケーションか。)

「いいよいいよ、上等だ……米さえあれば戦えるし、いざとなったら麺もある。生きていけるってこった……。」
(山の大きさに心があたたまる思いだった。心置きなく頼りにいけそうだ……安堵の表情である。)


「……なるほど?」
(スケベか……?スケベ衝動を押さえ込んで逆に苦手までなったパターンか……?
 勝手な予想をしつつ、風の視線の先を自分も見ていた。)

「まあ俺はいいけど、そっちの用事とかはもう終わった感じ?」
(初対面の時よりはやや砕けた調子になっている。
 チラシをカバンにしまい込みつつ問う。)

十口 風 > 原始的コミュニケーションを懐にしまい込む。
飯の話をすると、食べ盛りの性である。こちらも腹が減るというものだ。

「ああ、好きなものを持っていくといい。君も男子寮か?ならすぐに渡せるんだが。」

どちらにしろ寄っていくといい、と付け加えて歩き出した。
夜風に冷えそうになる首筋の汗をタオルで拭いながら、会話を続ける。

「終わったというか……トレーニングと見廻りは毎日の日課だからな。用事らしい用事も……あるが。」

砕けた口調に警戒を解いたのか、先程よりも言いよどむことはなかった。

「人を探していた。だが、見つからなかった。だから明日に持ち越しだ。」

駿河 怜 > 「神か~……」
(神は歓楽街に居た!眉を顰めて今この出会いに感謝。感動にヒタヒタ浸っている。)
「ああ、寮だよ。ほんとありがたいっていうか、初対面なのに申し訳ないな……」
(しかも年下なのにな、と勘違いも継続しつつ。
 鞄を掛けなおして自分も後に続く。)

「人かぁ。」
(それこそ学校に言えばなんとでも探せるとは思ったが、事情があるのだろう。
 学園に把握されていない人間であるとか、探して居る事を秘密にしたい、とか……)
「写真とか、あるの?あるならまあ、見たって言う事ぐらいはできるけど……。」

十口 風 > 仕送りで感謝されるとなると、幾分かの複雑さはある。
なにせ自分の力というわけではないのだ。
正義を成したが、自分が未熟であることには変わりない。

「そうか。俺はもう帰るが、用事があるなら受け取るのはその後で構わないぞ。」

寮番号と部屋番号、そして就寝時間を伝える。
これで食材を受け取るにあたって困ることはないだろう。

写真、と口に出して考え込む。
律儀にもその場で足を止めて、携帯端末を開いてなにやら検索をし始めた。

「この店の店主だ。」

映し出された画面には、飲食店の情報サイトに掲載されたラーメン屋と、その店主が映し出されていた。

駿河 怜 > (携帯端末に手早くメモをして――睡眠時間も決まっているとは、なんとも規則正しい奴だ。)
「ああ、都合のいい時に行かせてもらうよ。」
(とはいっても大した用事もない。せいぜい荷物を自室に置いてすぐに行く事にはなるだろうが。)

(足を止めるのに合わせて自分も立ち止まった。)

「えっ検索で出る人」
(写りの悪い写真一枚、とかそういうのが出てもおかしくないと思っていたのにまさか検索されるとは思ってもいなかった。
とりあえず画面を覗き込む。知らない人間とラーメン屋ではあったが、とりあえず覚えておこうと。)

「ラーメン屋の、店主……」
(ここにいったいどのようなドラマがあるのか。想像しきれずに情報をただ読み上げた。)

十口 風 > 「ああ。だが、早朝は困る。トレーニングの時間だからな。」

基本的に早朝には来ないだろうが、と付け加えた。
つくづく冗談も便宜上の言葉も通じなさそうな頭のつくりだ。

「俺が懇意にしていたんだが……少し前に店を畳んでな。」

律儀に検索ブラウザを閉じ、履歴を消去する。
説明書に書かれているようなお手本の使い方を行って、携帯端末をしまい込む。
ふう、と息をつき傍目にもわかるように落ち込みを見せた。

「噂によると、酒に溺れて飲み歩いているらしい。何か力になれないかとこうして探している。」

駿河 怜 > 「オッケーオッケー、俺も多分寝てるだろうし……朝は忙しいからなみんな。」
(軽く頷いて、なんともきっちりした人間だなあという感想を再度抱く。)


(マメだな……)
「――なるほど飲み屋ならこの辺り多いもんなあ。」
(前に一度飲み屋にこっそり行ったりした不良行為の事を思い出して、すぐさま思い出さなかった事にした。
 うかつにあそこの店なら人が多いとか、そういう事を言うのは藪蛇だろうし、と。)

「……見かけたら連絡するよ。行きつけのラーメン屋がなくなるって、悲しいもんなあ。」
(そう言うに留めて再度歩きだす。大通りを通って、歓楽街の喧騒を抜けていくだろう――)

十口 風 > リョウは、自分に比べてなんとも落ち着きのある生活をしている、と思った。
そうだ、普通早朝には人は寝ているものなのだろう。

「ああ、だが俺はめっぽうそのあたりの情報に疎い。」

学生の身分でみだりに居酒屋に出入りするわけにも行かず、うろうろと探し歩いている。
効率的ではないことは確かだが、不健全なことはできないのだった。
そうして得た成功に何の意味があるのだろうか。

「それは……助かるな。働くのなら、俺よりも数段人の話を聞く機会も多い。」

リョウにならって歩き出した。完全に口の中がラーメンの味だった。
いくつかの学生らしい世間話をして、風はそのまま帰路につくだろう。

ご案内:「歓楽街」から駿河 怜さんが去りました。
ご案内:「歓楽街」から十口 風さんが去りました。