2016/11/13 のログ
ご案内:「歓楽街」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 常世祭りエンジョイ期間という事で、普段はあまり訪れない歓楽街へとやって来た七生。
島外の人間も相当訪れている為か、学生街と賑わいの程は変わらない。むしろあちらよりも賑わっている気さえする。
そしてこの手のエリアに来る者というのは、善良な人間だけではない。
それでなくともお祭り気分で浮足立つ人間が多いのだから、些細な揉め事は頻発するのである。
七生がたまたま訪れたこの時でさえ、柄の悪い男数人が客引きと思われるメイド服姿の少女を囲って性質の悪い絡み方をしていた。
「……わー……やっぱ居るよなあ、ああいうの。」
やだなぁ、なんて早速来た事を後悔しつつ、七生は足を止める。
■東雲七生 > 放っておいてもそのうち連絡を受けた風紀委員か公安委員が来るだろう。
そんな風に考えているものの、見つけてしまったからにはやっぱり捨て置けない。
こんな些細な事件にも満たない揉め事が、島中でぽつぽつ起こるのだろうから、少しは各委員会の負担を減らそうとも思う。
「なあ……嫌がってるし、そこまでにしておいたら?」
なるべく棘の無いように声を掛けようとしたのだが、どうも嫌悪感を隠し切れなかった。
急に声を掛けられ、男たちは驚いた風の態度を見せたものの、
声を掛けて来たのが自分たちより遥かに小柄で幼く見える七生だと知れば嘲笑うかのように見下ろしてくる。
「そのまま絡んでたらこわーい人たち来ちゃうから、さ。
せっかくのお祭り、怒られたくないっしょ?ね?」
内心うんざりしつつ、七生は笑みを浮かべる。
完全に見下して来ている男たちの表情にこめかみや頬が引き攣るが、ここは我慢だ。騒ぎを大きくする訳にはいかない。
『なんだぁ?ガキが偉そうによぉ』
子供なのはその通り、正論だ。だから笑みを浮かべたまま反論はしない。
『子供はママと一緒に公園で遊んでりゃ良いんだよ』
母親、は居ないけどそう思うのも仕方ない。自分の見た目は重々承知している。
『そういう事だ、すっこんでろチビ。』
………。
(………あ゛?)
「………テメェ、今、何つった?」
七生は、そこから先の事は覚えていない。
ただ、気が付いた時には通行人数人に押さえ込まれて宥められていた。
男たちが完全に伸びた状態で地面に転がっている。
■東雲七生 > 『落ち着け!落ち着けって!』
「うるせー!!こいつら全員まとめて150cmにしてやる!!俺はやるぞ!!やるったらやるぞ!
やる時はやる子なんだ俺は!止めても無駄だぞ!!」
『それ以上はヤバいから!一般人だから相手!
ってうわ、こんなちっちゃいのにどんだけ馬力あんの』
「なんだー!?お前今ちっちゃいっつったかー!?
ちっちゃいから簡単に押さえ込めるって思ったのかー!?」
たとえ小柄でもその実、野生動物よろしく筋肉の塊の七生である。
特に鍛え抜かれた脚力は男数人が組み付いても支えた上で動こうとするだけの力があった。
最終的に羽交い絞めにされ、地面から浮く事で体の自由を奪われて無力化される。
「むきー!!はーなーせー!!縮めるー!こいつら全身寸詰まりにすぅーるぅー!!!」
それでもバタバタと抵抗するあたり、よっぽど悔しかったらしい。
ご案内:「歓楽街」にルチアさんが現れました。
■ルチア > 「あー、すいません。
その子は私の連れなんだ。
暴れさせてしまって申し訳ない。
悪気があったわけではないんだ、どうか許してやってはくれないか?」
人並みをかき分けて、状況に介入してくる女が一名。
当然ながら彼は聞き覚えがないだろう声だろうし、見覚えもないだろう。
彼を取り押さえている人たちに申し訳無さそうな笑みを作りながら、彼の前の方に立った。
彼と視線を合わせるようにしてから、それから視線をちらっと人垣の向こうへと向ける。
そちらにはオロオロしている、彼が助けたメイド服の少女がいた。
■東雲七生 > 『誰かこいつ鎮められないのか!?』
『とりあえずそこで伸びてる奴らどっか目の届かない所に連れてけって!』
街中で暴れる野生動物を相手にするかのような騒ぎに発展したにも関わらず、当の七生本人は繰り返し威嚇を続けている。
ふしゃお、だの、きしゃーだの声を上げてどうにか拘束から逃れようとするが、段々と時間が経つにつれて自分が何をしたのか理解してきたようだ。
そこに女からの声が掛かる。
まだ半分理性を失っていた七生だったが、聞き覚えの無い声に其方を振り返って。
「………ぁ、ん。」
一瞬で我に返ったが、それが何に起因するかは本人にしか解らないだろう。
七生を押さえていた男たちも、突然の事に戸惑っていたが、七生が急に無抵抗になったことで女の言葉を信用したらしい。
ゆっくりと七生の拘束を解くと、再び暴れ出さない事を書くにしたうえで三々五々に散って風紀委員に連絡を入れたりし始めた。
■ルチア > 威嚇を続けていた少年に、特に臆することも警戒することもなく、
自然な動作で近づいて、とりあえずどうであれ端から見えれば宥めることに成功した女は、
申し訳ない、今後気をつけさせますから。
気づいてくれたようで大人しくなった少年の横で、そう言った旨のことを周囲の人に口にし、それから解放された少年を引き取るようにして。
「風紀委員に事情聴取も厄介だし、早めにここを離れようか」
そう囁くと、人混みに紛れて歩き出した。
とりあえずはメイド服の少女の方だ。
話しかけるかどうかは彼に任せた。
■東雲七生 > 「………ん、と。」
もう一度、確かめる様に女の姿を見つめると、ふぅ、と息を吐き出した。
それから提案に、こくん、と一つ頷いて、その場を後にする前にメイド服姿の少女に小さく手を振る。
気にしないで、とお仕事頑張ってね、の意味合いを兼ねて。
しかし、最前列で七生の怒り狂う姿を見た少女の心境は推し量れなかった。
ともかく、彼女にはまだ仕事がある筈で、これ以上此処にいれば迷惑になってしまう事は容易に察しがついた。